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Black Engel and White Engels

作者:腹黒い人
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ガニメデ行政府編
第1章
  「シムアース1983」

 
前書き
あれ?
このシリーズって魔法少女ものだったような・・・

だんだん架空戦記になってきたぞ?

2013/10/02現在、魔法少女の設定が終わっていない・・・

なので、それをすすめるかてら、ガニメデ行政府編を進めます。 

 
・1983年4月1日
“ガニメデⅡ”第1期都市開発計画開始

・1983年5月1日
軍備整備計画“アキヤマ・プラン”計画開始

・1983年7月1日
“ガニメデⅡ”行政府正式発足。
同日、宇宙開発計画“ガガーリン・プロジェクト”開始
宇宙基地“TAIKI”工事開始。なお、この基地は5基のロケットの同時発射を想定している。

・1983年9月30日
柊一馬、都市区画内“トライアンフパレス”に居住開始。

・1983年10月1日
“ガニメデⅡ”第1期都市開発計画完成。
中央広場にて式典が行われる。

・1983年11月1日
宇宙基地“TAIKI”完成

・1983年12月8日
初の人工衛星(偵察衛星)“だいち”打上。成功
同日、同所内別区画より通信衛星“さくら”打上。成功
これにより衛星通信の初期段階開始。

・1984年1月7日
衛星航法システム“ひかり”衛星打上開始。
6月打ち上げ終了。システム運用開始。

・1984年7月25日
“ガニメデⅡ”南半球に知的生命体発見。
外交官と情報官を中心とする交渉団派遣決定。

・1984年7月26日
交渉団、テロ攻撃により全員死亡。
即日謝罪を要求するも拒絶。
軍事行動実施。

・1984年12月8日
軍事行動終了。完全撃破を宣言。
以降、治安維持任務開始。

・1985年1月1日
惑星名を“ちんじゅ”とすることを正式決定。
都市名を“おおくに”とすることを正式決定。
同日“鎮守行政府”の発足を正式宣言。

・1985年3月10日
軍事整備計画“アキヤマ・プラン”が終了。
最終的には陸上部隊約95万・海上部隊約10万・航空部隊約10万・宇宙航空部隊約10万となる。

・1985年5月25日
新しい知的生命体の存在が“ちんじゅ”北半球で確認される。
外交交渉を行うも、交渉決裂。

・1985年5月27日
“おおくに”にて爆弾テロ発生。死者負傷者合わせて1000名を超える大惨事となる。
行政府、即時反撃を宣言。

・1985年10月25日
正式に対抗勢力の撃滅を宣言
これにより“ちんじゅ”における対抗勢力となりうる勢力の殲滅を確認。

・1985年12月1日
“ちんじゅ”第2期都市整備計画終了。
これにより、住宅・生活・文化・行政・軍事の各施設が完成。

・1985年12月31日
柊一馬、“ちんじゅ”行政府執政官に就任。

1986年1月1日・“ちんじゅ”・鎮守行政府本庁舎・柊一馬
「乾杯!」
だれかの音頭によって、全員がシャンパングラスかジュースのグラスを掲げ、新年の始まりを祝った。
わたしは窓の側に立って、おおくに市の煌びやかな明かりに目をやった。

ここまで来るのは苦難の道程だった。
都市整備計画では都市整備庁と都市計画庁が主導権争いで紛糾するわ、軍事整備計画では陸海空入り乱れて主導権争いを行なうので、収拾がつかなくなり大変だった。
とはいえ、いまではその両計画は終了し、我々は有数の兵力と基盤となる都市を保有する一大勢力となった。これは一強といっても差し障り無いだろう。

この過程で、私は2回の戦争の開始と終結の決断を行った。
確かに、これらの戦争によって各軍は精強になり、各情報機関もインテリジェンスの経験を積むことができたのは事実だ。
だが、そのためにこの星におそらく我々よりも前に住んでいたであろう、人類型の知的生命体と2回戦うこととなった。

その結果は、いや、装飾なく言えば「殲滅」か「絶滅」に追い込んでしまった。
私の決断で。

言ってみれば私は、「ウルトラセブン」におけるノンマルトを殲滅した地球人、そしてキリヤマ隊長になったわけだ。
状況管理対応室(シチュエーション・ルーム)でその戦況を確認していた私は、そのことにふと
気づいて思わず叫んでいたよ。

「奴らの都市、国家は、生活圏は完全に粉砕した!われわれの勝利だ! この星もわれわれのものだ! われわれの先進を邪魔する者は二度と現れないだろう!」
と。
それを見て、部屋にいたスタッフは皆唖然としていたが、安全保障庁の首脳部は拍手を送っていたよ。

ふと我に返ると、それは恐ろしい光景だ。
最高指導者がとんでもない好戦的な言葉を口にし、おそらくヒトラーかスターリンかマオかポルポトぐらいしか言わないであろう言葉をはいた指導者に、軍事と外交の責任者たちが拍手喝采なのだから。

この政権は超好戦的な政権なのかもしれない。
この星だけであって、東京政権(日本国政府)およびアメリカ(合衆国)と協調する局面では、できればその様な超タカ派のコメントはしないでもらいたいと思う。

そんなことを考えながら、シャンパンに口をつけると側に首席補佐官がやってきた。
「閣下、新年おめでとうございます。」
「新年おめでとうございます。あと、その閣下はやめてください。ジム。」
「そうでした。すみません。柊さん。」
そう言って我々は苦笑した。

先の執政官就任の際に、「閣下」などと呼ぶな!とスタッフに指示をしている。
それは徹底しなければならない。私は尊大意識を持ちたくはない。

「ジム。今年の課題はなんだと思う?」
私はベーカー首席補佐官に問題を投げかけた。
「そろそろ久瀬絵里嬢が記憶を取り戻す頃でしょう。それへの対応を進めなければなりません。日本政府との協定の内容を考えさせましょう。」
ベーカーは少し渋い顔をして答えた。はて?この御仁がこんな渋い顔をするのは珍しい。

「どうかしたのか?ジム?」
「いえ。この問題を今の安全保障庁に任せて良いものかどうか・・・」
「全くだ。思わず言ってしまったあの発言に拍手喝采なのは問題だろう・・・」
2人で渋い顔をしていると、少し特徴的なダミ声のある御仁がやってきた。

「新年おめでとうございます。新年にふさわしくありませんな。そんな渋い顔は。」
やっぱりヘンリーだった。
「今年か来年には日本政府との折衝があるだろう。そろそろ草案を作るべきだとは思うのだが、なにせジェフ以下安全保障庁は全員超タカ派だ。そんな連中に草案を任せたら、何でもかんでも戦争しかねない。」
「そうですな・・・確かに今の安全保障庁はタカ派過ぎます。統合参謀会議議長以下、制服組を交代させて軍から抑えるようにしてはどうでしょうか?」
ヘンリーが意外な提案をしてきた。

「どう思う?ジム。」
「一理ありますな。実力集団ができないと言えば、外交交渉なり何なりで対処可能です。外交交渉の案件もできますから、少し連中に水をかけられるでしょう。」
「問題は、日本政府との交渉を誰がするかだが、ヘンリー、君の推薦は?」
私の質問に、少し表情を固くしたヘンリーは意外な名前を口にした。
「ズビグを中心に交渉団を編成しましょう。」

1月7日・鎮守行政府本庁舎・柊一馬
執務室をノックする音がした。
「入り給え。」
私の言葉に反応して、数名の人物が私の執務室に入室した。
私は読んでいた書類から顔を上げた。

「みなさん揃いましたね?早速でお願いしますが、日本政府と合衆国政府と締結できる協定の草案を作成してください。」
「我々が、ですか?」
安全保障担当補佐官の一人、ズビグが驚いた声を上げた。

「そうです。外交安全保障庁ではタカ派過ぎて危険です。私は最小限の戦争にはコミットせざるを得ないと考えていますが、連中に任せると世界大戦を起こしかねません。これはオフレコですが、各軍首脳の交代を考えております。」
私の言葉に、全員が絶句していた。

ここに集めたのは、ズビグと政策担当補佐官のマック、外交安全保障庁のハト派官僚5名と情報庁5名である。この12名でタスク・フォースを編成して交渉の草案を作成させる。
まるで吉田茂だな。

「これは指示ですか。」
驚愕から立ち直ったマックが質問を投げかけてきた。
「そうです。年内か来年には交渉をすることになるでしょう。それまでに、妥結可能な草案を作ってください。主は安全保障面になるとは思いますが、場合によっては食料・鉱物資源・燃料資源の提供を求められるかもしれません。その際の対応もお願いします。」

その言葉に、またも連中は驚愕したものの、先程とは違い、興奮を混ぜた表情をしている。
「よろしくお願いします。」
私の言葉に、12人全員が頷いた。

・1986年1月7日
対日本政府、アメリカ政府協定草案作成を指示。

・1986年2月11日
協定草案第1回原案提示
・日本政府に対して、軍事・資源の提供を要請があれば可能とする。
・合衆国政府に対して、日本国の安全に関わる事案に対して提供できうる資源を提供する。
・両国に対して、当方は両国軍隊の支援を当方領域内にて実施する。この際、我が方の法に従うこととする。
・日本政府は我々に対して、平時の法的支援・部隊派遣時の役務提供を行うこととする。
・合衆国政府は我々に対して、部隊派遣時の役務提供を行うこととする。
・両国と我が方は密接な情報交換を行うこととする。
以降、これを基本線として草案作成・交渉を行うこととなる。

・1986年4月26日
科学技術庁および宇宙開発庁、地球との(ゲート)開発に成功する。
第1回ゲート設置は、丹沢渓谷内に設置され、極秘裡(密入国)に特殊部隊と情報庁(IA)の工作員を潜入させる。その後、軍事情報部(MI)の工作員も潜入する。

・1986年6月
情報庁工作員、数名の退職日本政府高官と接触開始。
日本民主主義人民共和国(あっち側)への工作員潜入開始

1986年7月10日・鎮守行政府本庁舎・柊一馬
「これで報告は終わりです。」
次席補佐官のジョーが現在の“ちんじゅ”および“おおくに”にける問題に関して報告を終了した。問題点はあまりない。実に結構なことではないか。

ドアを開く音がして、国家安全保障補佐官のヘンリーとブレントが入室した。
私は、部屋にある6名程度がミーティングを行えるデスクに3人を案内した。
着席すると、私は現在進行中の重大な案件に関して質問した。

「どうかね?接触は?」
「久瀬道隆元海将補と高梨昭二元警視長に接触しております。久瀬元海将補は防衛庁勤務が多く、政府関係者への既知が多いとのことです。また、高梨元警視長は70年代の福田政権期に首相補佐官を努めております。」
「なるほど。で、感触はどうかね?」
私は一番関心のある事柄、つまり日本政府が我が方の存在を知ったとき、どのような反応を見せるのかに関して尋ねた。

「両名とも現在懐疑的です。数回接触し、現在では前向きな反応を得つつあるとの情報があります。」
ブレントの話に他の3名の表情が若干柔らかくなった。

「そして、これは最大の関心事なのですが、両名とも久瀬絵里嬢の祖父です。」
ヘンリーのやつ、最大の爆弾を投げ込みやがった。

「で、そのへんの情報は得ているのか?」
「まだ得ておりません。」
ヘンリーの答えに、皆ガッカリした感触を感じる。

「そうか・・・引き続きその線での交渉をして欲しい。」
私はそう指示を出した。

・1986年10月
宇宙開発庁、有人宇宙飛行計画を提出。
飛行は12月を予定。

・1986年10月1日
統合参謀会議首脳部交代
トーマス・ジェファーソン統合参謀会議議長
真田丈一郎統合参謀会議事務局長
の体制が発足

・1986年12月
宇宙開発庁、“TAIKI”宇宙基地より有人宇宙飛行船“のぞみ”の打上に成功。
同時に有人宇宙飛行往復機“とき”計画を提出。承認

そして、賽は投げられた。

 
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