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少年は魔人になるようです

作者:Hate・R
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第67話 少年は漢の魂を背負い戦うようです


Side もみじ

「クソッ、なんだこのデカブツ!さっきの奴らとまるで違うぞ!?」

「足狙え!とにかく動き止めるんだ!!」


あっちの割と強そうな駒の四天王とか言うのを倒しに行かされたんだけど、

直ぐに壊し終わっちゃった。仕方ないから広場に向かったんだけど・・・。


「おっそぉぉぉい!!なんでこんなに動き悪くなるの!?弱いし!」

『設定されとる相手でないと、途端に動きが悪くなるみたいね。どうする、下がっちゃう?』

「んー、ネギ君達が来るまでコレもヤダなぁ。

かと言って降りて戦ったら愁磨さんにすっごい怒られちゃうし、う~ん。」

『つべこべ言わず遊んでやらんか、五月蠅い奴だ。

……ああ、いや。お前の憂いはなくなるようだぞ?噂をすれば何とやら、だ。』


エヴァのセリフと同時に、機械の音が3つ近づいて来た。

そっか、これが愁磨が言ってた抵抗その1かぁ。フフ、フフフ・・・・・・。


ボクの機体が敵を見つけて、また鳴動を始めた。

背中に生えたスラスターと4本の足からバーニアを吹かせて、空中にゆっくりと浮く。

目の前にはボクの機体の半分以下の、小さい三体の白い機体が立ちはだかった。


「ハァーイ、ちっちゃい子達。誰が乗ってるのかなぁ?」

『もみじ殿でござったか……。なぜ、こんな馬鹿な事に手を貸すのでござるか?』

「ん~?あぁ、そっか。知らないんだもんねぇ、フフッ。

まぁどうだっていいじゃん、楽しめばさぁ。」

『楽しむ、って、本気で言ってるの!?あんた、皆殺してなんになるって言うの!』


背丈もある大きい銃を持った機体にはハルナが乗ってるみたいだね。

もう一機、妙にメカメカしいのがいるけれど・・・まぁ、どうでもいいよね。


「ん~、語っても無駄なだけだしさぁ?戦ろうよ。」

『………それが、それが、答えなの、もみじちゃん……!!』


もう一機に乗っていたまき絵ちゃんの叫びを掻き消すように、

コォォォォォォォォン!と機体が甲高い"唸り声"を上げる。

命を持った機体。それがボク達の、愁磨のくれた無条件に使えるオモチャ。


「ああ、そっか。名乗りを忘れてたね。フフッ、この名前は初めて名乗るんだ。

もみじ・アスモデウス・ディアボル・朱里。まだP(プテリュクス)を貰ってないけどね。

さぁ――――デビルガンダムMk-A、行くよ!!」

『この……バカ!!』


ボクの拳と、三人の銃撃が激突した。

Side out



Side ネギ

「馬鹿な、四天王が全滅じゃと!?」

「……正確には、修羅の剣だけが残っとる。今は刹那君を移送中じゃ。

槍・戦斧・暗器の十二人も暫く再起不能ではあるが、命に別状無い。」


戦況が開いて暫く、敵兵の殆どを倒していた四天王の殆どが、

もみじさん達が乗る50mを超えるロボット3機に負けた。

・・・今は僕と明日菜さん以外の8機が出撃しているけれど、果たして勝てる物なのか。


「しかし、他の巨人機械兵が何故かそやつらと戦っとる。

倒すにしろ、時間を稼ぐしろ、ワシらも今から出た方がよさそうじゃのう。」

「そうじゃな。よもや、組みにした四天王が簡単に屠られようとは。

これ以上無駄に戦力を減らされる訳にはいかん。」

「……よかろう。では東の、貴様がここに残れ。我々があの三機を潰して来ようぞ。」

「相分かった。死ぬでないぞ、3人とも。」

「カカカ、誰に物を言うか戯けが。一番の若造は大人しくしておれ。」


それだけ言うと、3人の拳王は背にそれぞれの化身を揺らがせ大扉から出て行った。

・・・多分、あの3人も勝てないだろう。

もみじさん達には勝てても、超さんかノワールさんか。そして愁磨さんに。


「学園長先生。では、僕も行きます。」

「………いや、ワシも行こう。残るはあちら側の王と臣下のみじゃ。なれば、ワシが出んといかんじゃろう。」


そう、あっちで残っているのはチェスで言うクイーンとキング。

キングが複数ある状態ではあるけれど、一手で好きな所に行ける駒も複数と来ている。

方法があるとしたら、ただ一つ・・・・。


「ネギ君、君はどうするのじゃ?彼と戦って勝てる算段がある訳でもあるまい。」

「……一つだけ、1%以上は希望が持てる策があります。愁磨さんを信じるなら、ですが。」

「フゥム………………相分かった。ワシが先に彼を止めれば良い事じゃ――――」
ズ ズ ゥ ン ― ― ―


その時、天井から何かが降って来た。黒い、呪われた影。現代に甦った亡者・・・・・!


「よぉぉぉうやく出番がまぁわって来たと思ったがぁ。儂の運も捨てたモノでは無いらしぃなぁ。」

「織田、信長……!?」

「小僧ぅ、こぉんどは逃げられると思うでないぞ!!」


禍々しい魔力が僕と学園長先生へ叩き付けられ、魔王の刀が振り下ろされる。

待機させておいた強化魔法で、何とかずらすくらいは・・・!


ガキィィン―――
「フォッフォッフォ、子供の前にこの老いぼれの相手をしては頂けんかのう。第六天魔王殿?」

「若造ぅ、頭が高いぞ!!」


学園長先生が僕と信長の間に割って入り、剣を受け止める。

その瞬間、二人の纏う気と魔が弾ける様に膨れ上がり、拳と剣がぶつかり合った。

一撃で地面が1mも沈み、二撃で四方の壁が砕ける。学園長先生が信長を蹴り上げ、校舎の外へと吹き飛ばす。


「ネギ君、愁磨殿は任せるぞ!儂はあやつを片付けてから向かう!!反論は無しじゃ!」

「く……呪いに気を付けてください!」

「応!」


学園長先生が信長が降って来た穴から飛び出すと、建物の中に居ても分かるほどの打ち合いが幾度と無く響く。

僕は急ぎ、明日菜さんと合流するべく、学園長室を飛び出し図書館等へと向かった。

Side out


Side 明日菜

暫く格納庫で待ってると皆が次々帰ってきて、最後にネギが慌てたように飛んで来た。


「皆さん、よく無事で!」

「なーによ。アタシらがどうにかなっちゃうと思ってたの?」

「あ、いえ……。えっと、分かっているとは思いますが、拳王さん達が出撃しました。

倒せたかどうかは、分かりませんけれど……。それと、何と言ったらいいのか……。」

「………………。」

「せ、刹那殿。あちら側にいたのでは?」

「ここに来る途中、学園長先生の四天王さん達に引き渡されました。………それで、話があるそうです。」


ネギに言われて、前に出て来る刹那さん。

いつものサイドテールは解けて髪で隠れてしまってて、顔が見えない。

・・・・暫く下を向いて黙ってたけれど、ポツポツと話し始めてくれた。


「……皆さんは、誤解しているんです。あの人がしようとしている事は、そんな事では無いんです………。

私は、あの人を………助けて……いえ、守りたいんです。」

「誤解、って……何を言ってるの!?私たちは愁磨先生と超さんが何をしたか見たんだから!」

「そこは、そう言う世界だからと言っていました。

私にもよく分かりません……でも、愁磨さんが私達に話した事は、もっと別の事でした。」


それについては詳しく言えない―――そう言って、また刹那さんは黙ってしまった。

・・・良く、分かんないんだけど・・・刹那さんの言う事が本当なら、

愁磨さんは人を殺す気がない、って事なの?


「刹那さん。真実がどうあれ、僕達は"愁磨さん達"を止めます。

僕達は戸惑う暇も迷う暇も無いんです。……僕が聞きたいのは、一つだけです。」


その時、ネギから良くない・・・ザワザワする気配が漂ってくる。

前に出くわした、愁磨さんそっくりの虹色の奴みたいな―――


「貴女は、僕達の味方ですか。それとも敵ですか?」

「…………私は、あなたの敵です。ですが、今は愁磨さんの味方でもありません。

自分が成したい事の為に、あなた達と協力すべきと思った。それだけです。」

「そ、そんな身勝手な理由で「分かりました。ついて来て下さい。」

ちょ、ネギ君!?」


まき絵ちゃんの静止を無視して、ネギはドックの方へ歩いて行ってしまう。

どうしたんだろうあいつ・・・急に様子がおかしくなったわよね。

また一人で思いつめてんじゃないでしょうね。だったら―――――

Side out


―――――――――――――――――――――――――――――――――――
subSide 愁磨

ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!
『システム起動 73%。機体操作可能マデ後8分35秒。』
ガドン!ドォン!!ボゴァァァァァァァァァァアア!!
「………130から215まで機能限定停止。強制起動開始。」
ボォエェェオォァアァァアアァァァァァァァァアアアアア!!
『システムNo.GRN-G-132カラNo.GRN-L-119マデヲバックグラウンド設定・待機。

付随スルシステムヲ4階層以下ヨリ停止。

システム権限ニヨリ最重要事項ト認定。マスター、映像ノ音声ヲ停止シマスカ?』
ブッゴォオオオオオオオオオ!!ガガガガガガガガガガガガガ!!
「………ああ、頼む。」
チュドオオオオオオオオオプツン―――――
『作業再開。システム起動 93%。』


外の状況を見つつ機体の起動をしていると、タイミング的に間に合わないので、

武装の半数以上を後回しにし起動を急がせる。

・・・誰だ、こんな面倒なの創ったの。・・・いや俺か。


『システム起動 100%。機体起動試行 3・2・1………システム、オールグリーン。

本起動ニ入リマス。Gストーン発動、全機体レーンヘ移動シマス。

起動プログラム終了。マスター、ゴ武運ヲ。』

「ああ、ありがとうアーク。行ってくる。」


作業ブースを出て、射出レーンの最後尾についているライオン型の機体"ギャレオン"へ乗り込む。

後は・・・良いところが来るまで待つだけだ。

Side out
―――――――――――――――――――――――――――――――――――


Side ネギ


「起動準備完了。いつでも行けるわよ、ネギ。」

「………分かりました。行きましょう、明日菜さん。

これで、全てを終わりにします……!!」

「よぉーっし!ギッタギタのメッチャメチャにしてやるよ!」


漸く僕と明日菜さんが乗る機体の調整が終わり、出撃出来るようになった。

・・・と言っても既に四天王の3/4が倒れ、魔法先生の半数が戦線復帰不能。

学園長先生は信長と戦っていて手が出せない。

つまり―――――


「現状、愁磨さん達と戦える戦力は僕達と魔法先生数人。

……生徒・一般の皆さんをアテにする訳にもいきませんので。」

「そうね。あんなのと戦ったら脱げるだけじゃ済まないだろうし。」


他のみんなは、戦線が崩壊しかけたので一足先に行ってもらった。

そして、世界樹広場を除く五の戦場全てが均衡を保ったままで生徒・一般人の被害が皆無。


「(……………どこまでも、計算づくとでも言うのですか……!!)」

「ハッチ解放!グレン、行くわよ!」


ドッグのハッチが開き、明日菜さんの乗ったグレンが上空へ射出、そのまま外へと転移される。


「……ラガン、行くよ。」


続き、僕の乗った小さい機体も射出、転移される。

視界が開けると、そこに見えたのは見慣れた街並みと世界樹。

そして―――学園の結界を守る五の結界陣がある広場で行われている戦闘。


「明日菜さん、まずは一番近場の黒い人型から行きます!」

「了解!」


最初の"獲物"は、肩が突出した狐のような頭部の真黒な機体。

ラガンのデータによれば、機体名は『ガウェイン』。搭乗者は――――


「そこまでです、木乃香さん。」

『ネギ君に明日菜。ようやっと来たん?主役言うても遅すぎとちゃう?』

「木乃香!あんた何やってんのよ!ひっぱたいてやるから降りてきなさい!」

『そうはいかん。愁磨はんから私の持ち場はここや言われたんや。せやから、精一杯やらせてもらうえ!』


僕達の言葉に耳を傾けず、戦闘態勢に入る木乃香さん。

・・・・そうですか。ならば止む無し、ですね。


「では、ここで落ちて貰います。明日菜さん、行きますよ!!」

「仕方ないわね……!!このおバカ!」

『ふふふ、やっと思いっきり動かせるわぁ。これでも暇しとったんえ?行くでぇ!!』
バジュウウウウウウウウウウウウウウウ!!


両肩が開き、赤黒い波動砲ハドロンブラスターが放たれる。しかし、そんな攻撃なんか!!


「無駄ぁ!!」
ギャリギャリギャリギャリギャリギャリ!!
『わぁ!流石愁磨はんとネギ君のおとんが使っただけあるなぁ。』

「まだ終わってはいませんよ!!」
ドシュウウウウ!!
『そ、そんなんありなん!?』

両手にドリルを出現させ、ハドロンブラスターを掻き集める。そしてそれを木乃香さん目掛けて撃ち返す。

だけど、薄紫の板が重なり合い受け止め、黒い機体には傷一つない。


『なぁんてな!自分の武器でやられてたらカッコつかんやろ!』

「ならとっておき食らわしてやるわよ!!行くわよネギィイイイイイ!!」

「はい、明日菜さん!!ハアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


僕と明日菜さんはグレンラガンの必殺技を使うべく、これでもかと気合を入れる。

全ての機体中、二番目の防御力を付与された機体。これを穿ち貫けば、後方の憂いは無くなる!!


「「ひっさああああああああああああああああああああああああああああああつぅ!!」」
バシュゥ!    ヒュンヒュンヒュンヒュン!!
『無駄や!!』
ガインガイン!!


相手の動きを止めるべき放ったブーメランは、思った通り防御される。でも、本当の狙いはそこじゃない!!


「「ギガァ!!ドリルゥ!!!」」

『なんや、隙だらけやで!!』


そのまま必殺技のモーションに入るグレンラガン。

ガウェインは右手を高々と上げた状態で棒立ちになる所へ、すかさずハドロンブラスターを撃つ体勢に入る。

そう、これで・・・・・・!!


『これであんたらを!!』

「捕まえました!!」
ガッ ガッ!   ガシィィン!!
『なっ、後ろから!?』


弾かれたブーメランが再度弧を描き戻って来て、ガウェインの両手足を拘束する。

戦闘の初心者であろう木乃香さんが、この攻撃にすら反応出来ない事は読まずとも分かった。


「「ブレィイイイイイクウウウウウウウウウウウウウウ!!!!」」

『………あーあ、これで出番終いかぁ。』

ドガァッ!!      ―――――ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!


そして、ギガドリルに貫かれたガウェインは轟音を立てて爆発する。

その一瞬前にコックピットと思われる後ろの浮遊装置が後方、遠く飛んで行った。

・・・安心したけれど、それと同時に、何か妙な気持ちになる。


「次、行きますよ!!」

「どんと来いよ!!」


でも、迷う暇はない。空に浮く巨大な機体、残り4。そして、少なくとも愁磨さんと海上に浮く天空城。

彼らを止めるまで、僕達は止まれない!!


Side out
 
 

 
後書き
諸事情と言うか勢いにより、学祭終了まで連日更新。 
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