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プロローグ

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不思議な物語のプロローグ

鮮やかな贈り物 プロローグ

由月「狭い」

ボコッ

由月「痛っててて、キッツいな全く、私は女の子よ、オ・ン・ナ・ノ・コ」

ボコッ

もう一発

星太「何処に、男の家に居座る女がいるんだよ!」
由月「やだ///、何考えて…」

ボコッ

星太「出ていけ」
由月「イヤン///」

由月「あーあ、外に出されちゃったなぁ、それでも外は気持ちいいなぁ…」

精一杯伸びをする。

由月「ヤッホー!」

ガンッ

星太「うるせぇ!!」

計4発


陸「ああ、可哀想に」
空「由月(ゆづき)ちゃん…温泉饅頭食べる?」
海「サーターアンダギーもあるわよぉ」

由月「うぅ…グスン、うっ…た、食べるぅ」

さぁ、と言わんばかりに目の前に料理が運ばれてくる。

気付いたら馴染みの家に来ている。そんな、感じだろうか、自分がまだ幼いように思えた。

空「ふふっ、由月ちゃん…子供みたい」

〜♪

由月のポケットから、流行りの曲がながれてきた。

由月「星太(せいた)からかな?」

その音楽が終わると、カウンターの中に居た三人が由月の近くに集まった。

陸「由月貸して!!私がでるわ、文句言ってあげる!!」

携帯が強引に取り上げられる

空「りっ…陸(りく)ちゃん…そんな、勝手なことをしたら、めっ…迷惑でしょ!」

陸の手が止まる

海「そうよぉ、陸姉。ちゃんとぉ、空(そら)姉さんの言うことはぁ、聞かないとぉ」

ピクッ

海「今日のおやつはぁ…抜きだからねぇ〜」
陸「うっ…海?」

海は陸に微笑み掛けている

陸「ごっ…ごめん、だ、だだだからおやつだけはなんとか〜」

陸は豪快に頭を下げた。

空「陸ちゃん…可哀想に…そんなに…おやつが欲しいの?」

陸の顔がパァっと明るくなった。

陸「空お姉ちゃん、どうか、どうかご慈悲を〜」

陸は腰が直角に曲がるくらい頭をさげていた。まるで一つの芸術作品の様だった。

星太「空さん、もう許してやれよ」

由月「あっ…星太…」

一瞬、時間が止まったかのように思えた。

いや、一瞬、止まった


こんな言葉を知っているだろうか

「人は何かを持って、この世に来る」

そう、何かを持って…

それは、形のある物、ない物、

はたまた、説明し難い物や存在しない…というか、存在してはいけない物もある。


空さんは、パッと空間から消えていた

そう、例えば、空さんのこれ、

海「空姉さん、まぁた、やっちゃたのぉ」

星太「あぁ、またか、くそっ」

由月「星太のせいだよ」

陸「そーよ、あんたのせいよ」


彼女、"心江 空"はこの世に"瞬き"を持って生まれた。

『一瞬を永遠に』

彼女にとって一瞬は永遠でありながら、一瞬でもある。


星太「悪いな陸、ちょっと探してくれないか」

陸「わ・た・し・に・さ・し・ず・す・ん・な」

海「陸姉ぇ、もとはと言えばぁ、陸姉ぇのぉ、せいなんだからぁ」

陸「ん、ん〜…はーい、わかったわよ」

渋々、了承した陸は、肺のある位置に手を置いた。
そして、大きく溜め息をついた。

由月「ううっ、肌寒い」

まるで、北風が吹いたかのような、鳥肌が立つような空気になった。

陸「ゴホッ、ケホッ、見っけ」

陸は何も入っていない掃除ロッカーを指差した


彼女"心江 陸"はこの世に"空気"を持って生まれた。

『世界は空気、すなわち、私』

きっと、これは、何もかも包み込める。少なとも、彼女はそう思っていることだろう。


由月「⁉」

また、一瞬、時が止まった。

そして、何もない場所に空が立っていた、まるで、ずっとそこに居たかのように。

星太「いやー、空さんも陸もすごいことをするなぁ」

由月は首を大きく縦に振った。

空「みんな…ごめん…なさい…」

海「あらぁ、空姉さんのせいじゃないのよぉ」

空「ううん…お詫びと言ったら…あれだけど…星太君、由月ちゃん、今日は…夕飯…ご馳走するよ…」

星太「いや、そんなの悪い……っておい」

由月は、宝石のように、目を輝かせていた。

由月「い〜やっっっったぁああ」

ボコッ

計5発

星太「少しは遠慮してくれ」

由月「それは、こっちの台詞よ〜」

五人「ぷっ、ハハハハ」

五人の大きな笑い声が響いた。 
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