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ゲルググSEED DESTINY

作者:BK201
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第四十四話 黄金の輝き

オーブは戦線を一度後退させ、ザフトの猛攻がカガリはやっとの思いで戦場にたどり着く。

「これ以上、オーブを撃たせて堪るか!敵の上陸部隊を叩くぞ!キサカ、ゴウ―――リゼル部隊の指揮はお前たちに任せる。私はムラサメ隊を連れてゆく!」

ロウが用意したデータに乗っていた機体リゼル―――ムラサメと同様に可変機能を持っており、武装の火力面ではムラサメを上回っている。しかし、機動力も高く、OSにリミッターが付いているという明らかにエース向けの機体だが、だからこそエース級のパイロットが乗れば、ムラサメは愚か、セカンドシリーズすら超えるとのことだった。(尤も、セカンドシリーズのパイロットが同じエース級ならその限りではないが)
この機体は元々はオーブの技術者であるエリカが資料を見つけ、ロウ達ジャンク屋に製作を頼んでいたらしい。本来ならばムラサメの後継機、或いは上位機としてもっと早い段階で完成するモノだったらしいが、ジャンク屋の方でも色々と事件が起こったため、延期していたようだ。

『わかった、カガリ。しかし、くれぐれも無茶はするなよ』

分かっている、とそう反論しようとしたが、これまで自分が全く分かっていなかったことを思い出し、その言葉を呑み込む。だからカガリは代わりに礼を言う事にした。

「ありがとう、だが―――後々の国を立て直すのはお前たちだ。お前たちこそ無茶をするなよ」

『カガリ……』

カガリは自分の運命に対して覚悟を既に決めている。国を戦火から守り抜いたら、自分が国に追うべき責任を全て負うと。だからこそ、自分がいなくなった後にオーブを立て直してくれる人間が必要だ。ユウナは個人的には好意を持てないが、政治家としての手腕を発揮していた。政治から逃げた自分よりもずっと。
アスランは言っていた。考えて行動しろと。だからこそ、国を守るため、オーブを守るために私は戦う。

「行くぞッ!」

『何だあれは?』

『敵の増援か!』

突如現れた黄金のMSに戸惑う両軍。しかし、アカツキと共にいるムラサメの識別コードがタケミカヅチ搭載機であるものからザフトは敵として、オーブは正体不明の味方として判断する。

「喰らえッ!」

アカツキのビームライフルであるヒャクライがザフトのMSを貫く。その様子を見てグフが接近戦を仕掛けようとする。それを支援しようとゲルググC型がビームキャノンを放った。しかし、アカツキは無防備にもそのビームを正面から受ける。

『やったか!?』

そう思ったのも仕方ない事だろう。ビームキャノンの威力は本来ならばMSは愚か、直撃を与えれば艦ですら落とせるのだ。だが、アカツキはその砲撃に一切のダメージを受けず、それどころかビームキャノンを反射して襲い掛かっていたグフを貫いた。

『何だと!?』

アカツキの最大の特徴とも言える黄金色の装甲「ヤタノカガミ」―――鏡面装甲によって敵のビームをそのまま相手に跳ね返すことができる装甲であり、ことビームに関しての耐性はそのまま反射を行い反撃できる分、デストロイの装備していたIフィールド以上のものであるとも言える。

「行かせるわけにはいかない!」

上陸の為に接近していた艦に向かってオオワシの高エネルギービーム砲を放った。それを目の当たりにしたザフトはアカツキが厄介な敵であると認識して次々と攻撃を開始しだす。
しかし、彼女のアカツキにビーム兵器は通用しない。それを見たグフはスレイヤーウィップを放つが、アカツキは背部に装着していたオオワシを切り離し、ジャスティスのファトゥムのように分離してそれを支援戦闘機のように扱う。結果、敵のグフのスレイヤーウィップがアカツキを捕らえた瞬間、オオワシからビーム砲が放たれ、グフはまともにダメージを与える暇もなく落とされた。

『見つけたぞ!そこの金色!!』

敵をそうやって時には翻弄しながら落としていくと、オープンチャンネルで声を掛けてくる敵が来た―――そう、アカツキと同じように燦々と輝きたる金色のMS、ゴールデンギャンのパイロット―――ルドルフ・ヴィトゲンシュタインだ。
彼は愛機であるゴールデンギャンを駆り、空中で浮遊した状態で専用ビームサーベルの切っ先をアカツキに向ける。まさかカガリは自分の正体がばれたのかと考える。違う機体に乗っていようとも、何らかの理由で自分の正体がカガリだとばれたのではないだろうか。そうであれば、オーブを更に危険な目に曝すことになるのではないのか。そう思い、油断せず警戒しているとルドルフはそのまま叫ぶ。

『貴様、美しいではないか!』

その言葉に、場が膠着した。空気がとか雰囲気がではない―――場が物理的に止まったのだ。それを知ってか知らずか、彼は続ける。

『その機能美、特注品と取れる希少性、特殊性、純粋な性能の高さ―――どれを取っても素晴らしい。だが、何より、その黄金色!わかっているではないか、貴様!』

奴が何を言っているのかまるで理解できない。戦場でありながら誰もがそう思う。これが未知か―――そんな詮無い事を考えていると彼は一度騎士の構えを取るかのように剣を縦にし、もう一度振りかぶってアカツキに切っ先を再び突き付ける。

『だが、故にそのような好敵手を討ち果たすのはこの僕、ルドルフ・ヴィトゲンシュタインが相応しい!貴様に決闘を申し込む!!』

まるで後ろから効果音でも聞こえてきそうなほど堂々とした態度でそう言い切る。そのテンションに圧されてか、オーブは愚か、ザフトのMSですら彼には近づけずにいた。

「だが……」

決闘だ何だと言うふざけた要件を突き付けるが、パイロットの腕は明らかにエースクラスのものだ。立ち振る舞い、位置の取り方、そして機体特性を完全に理解した上での機体との距離感。その総てが計算した上で立っている(実際には単なる勘であるのだが)。おそらくカガリの腕では――――――

「やるしかないッ!」

先制攻撃とばかりに高エネルギービーム砲を放つ。それを躱すルドルフのギャン。一気に彼は近づいてくる。勿論、持っている装備を見る限り明らかに接近戦が得意だと思えるギャンに距離を詰めさせるわけにはいかないとカガリは後ろに下がりながら距離を取る。加速する速度ではオオワシを装備しているアカツキの方が完全に上。そして、ギャンをビームライフルで迎撃する。
しかし、卓越した技量でビームライフルを防ぐ正面からシールドで防ぎきるルドルフ。逆にそのままシールドからニードルミサイルを放ち、アカツキを串刺しにしようとする。それをシールドで受け止めるカガリ。だが、それによって彼は接近戦を仕掛ける距離に入った。

「来るなら来い!」

双刀型ビームサーベルを抜き放ち、ギャンの格闘攻撃に備えるカガリ。だが、その判断は甘いと言わざる得ない。ギャンの真価は近接格闘でこそ最も輝くのだから。

『教えてやる、ここは僕の距離だ!』

そんなアカツキの気概を一蹴するかのようにギャンは突きを連続で放つ。一撃一撃が重く、必殺の威力を誇るギャンの突き。そんな攻撃をまともに受けるわけにはいかず、シールドで防いでいるものの、徐々に押し込まれていく。少しでも反撃をしようとビームサーベルを振りかぶるが、ギャンはシールドで受け止めて、逆にその隙をついてアカツキを斬りつける。
わき目もふらず放たれる怒涛の攻撃にカガリのアカツキはついに体勢を崩す。そして、ギャンは止めとばかりに上から振り下ろすが、カガリは此処で負けるわけにはいかないと蹴りを入れ、反作用で距離を置きながら高エネルギービーム砲を放つ。

『甘いぞ!今の僕は―――』

しかし、ルドルフのギャンはそれすら読んでいたかのようにシールドを正面に構えて突き進む。その力技にカガリは驚愕し、ギャンは一気にビームサーベルを放った。

『阿修羅すら凌駕する存在だッ!!』







セイラン家保有のシャトルの一つに乗り込む準備を整える。アズラエルとジブリール―――彼らは今後の宇宙での戦いについて話を進める。

「しかし、地上の打倒ロゴスの感情が消えぬ限り、我々が月に逃げ込めば月の物資は忽ち干上がってしまう。それはどうするつもりなのだ、ジブリール?」

未だ影響力が大きいロゴスであろうとも、単独で月基地へと継続的に物資を送るようにすることは出来ない。いや、以前までなら可能であっただろうが、今の状況では不可能となっていたという事だ。

「フン、その程度の事を考えていないとでも思っているのか?」

あからさまに馬鹿にしたかのような目つきでアズラエルを見るジブリール。だが、アズラエルはそれに動じることなく尋ねる。

「手があるという事か?それはどんなものなのだ?」

言うのを少しばかり躊躇うジブリール。しかし今や一蓮托生であることに変わりはないので疑われるのを避けるためにもその方法を告げる。

「私がただファントムペインをレクイエム完成の為だけに送っていたとでも思っていたか?本当の狙いは奴等にパイプラインを作らせるためだ。地上の規模の大きくない物資の補給を受け付ける所をいくつか用意し、そしてそれらを細々と集めさせる。手間だが分散されている以上、総てを特定することも不可能だ」

単純だが、それだけに効果的な策。補給をマスドライバー施設などを使い大きく補給するのではなく、今回脱出に使うようなシャトルなどの小規模の補給を多く用意することで補給路を確保する。多ければ数える程度、潰したところで替えも効くし、大きな問題も発生しない。実に単純で巧い策だ。

「そして、宇宙に上がればレクイエムがある。それさえ使えば、ザフトのコーディネーターなどあっと言う間に滅ぼしてくれる」

自信満々にそう言い放つジブリール。アズラエルもレクイエムの概要は聞いており、確かにこれならばジブリールがそこまで豪語するのも頷けると思える。デストロイを戦術・戦略兵器というならばレクイエム完全に殲滅型の戦略兵器だからだ。前大戦にザフトが造ったというジェネシスなどというものよりもよっぽど優れているのではないだろうか?

「なるほど、なるほど―――ジブリールがそう豪語するのも頷けるものだ」

「何を今更、当たり前だろう。私は勝利を得るための準備というものを怠らない主義なのだからな。当然の用意だ」

「なら、次からはその用意の一つに自身の身の事を書いておくのだな。尤も、次はないだろうが」

いきなりそんなことを言われて後ろにいるアズラエルに向かって振り返るジブリール。そして一発の凶弾が運命を狂わせることになる。







「クッ、オオッ!この機体、無茶苦茶すぎる!?」

大気圏を突破する一機のMSのコックピットにはサーペントテールのイライジャが乗っていた。彼が動かしている機体は碧く、キラ・ヤマトという人物に届けるためにアークエンジェルが隠れているというアカツキ島に向かって必死に機体を操縦していた。劾の乗っていたもう一機の紅い機体は既にオーブ本島に向かって降下している為、お互いの姿こそ視認できるがそう近い位置にはいない。

「クソッ!言うとおりに動けって!」

イライジャは機体を必死に制御するが、あまりのピーキーさにまともに動かしきれていない。普通に動かすだけならそこまで苦労しなかっただろうが、繊細さが要求される大気圏突入では操作が非常に難しく感じられる。元々OSや機体の設計を含めてキラ・ヤマト個人に合わせた設定をしているため、反応が良すぎるのだ。
機敏に反応するこの機体は、例えるならキーボードを押すどころか触れる程度でその文字が反応する、遠隔操作で動かせる手があったとすれば、それで卵を掴もうとするとどれだけ繊細に扱おうとしても卵が割れてしまう、というレベルなのである。
いくらイライジャが成長したとはいえ、このような機体は荷が重い。いや、こんな機体はキラ・ヤマト本人を除いて誰もまともには扱えまい。そう感じさせる程度にはイライジャはこの機体を操作していた。

「漸く降りれるか……」

大気圏を突破し、雲の上ではあるもの、もう少しでオーブにたどり着くであろうという所まで到着する。若干ルートからは外れてしまったものの、アークエンジェルが潜んでいるであろう場所までたどり着くことが出来た。

「こちら、サーペントテールのイライジャ・キールだ。依頼通り、キラ・ヤマトにMSを持ってきた。着艦の許可を願う」

そうして彼は艦に着き、MSから降りるが思わずへたり込んでしまう。だが、そう悠長にしている暇もない。

「悪いんだが、余ってるMSはないか?もし良かったら貸してくれ。俺も劾を援護しないと……」

イライジャは先に直接戦場に向かった劾が心配で出撃しようとする。それを聞いたエリカが少しだけ逡巡して少しでも戦力が増えるならと考えて言う。

「一機だけあるわ、こっちに来て頂戴」

そう言われてついて行く。アークエンジェルの入ってきた方から反対側の格納庫にあるのだろう。それなりの距離を歩く。

「これは……!」

そうして見せてもらった機体はストライクルージュだった。

「パーソナルマークは剥がしてるけどOS自体はそのままだからカガリに合わせた調整になってるわよ?それでも良いならこれを貸すわ?」

貸してもらえる機体が予想外のものだった為、思わずたじろぐイライジャ。本人としてはM1アストレイ位のものだとばかり思っていたのだがまさかこんな機体が貸し出されてるとはと思いつつも、貸してもらうことにする。

「あ、ああ―――構わない。OSに関しても、俺の機体のデータを持ってきてるから差し込めばそう時間は時間はかからないはずだ」

そう言って、彼はストライクルージュに乗り込む。イライジャも傭兵サーペントテールとして戦場に介入する。
 
 

 
後書き
…………ハッ!?な、何が起きったっていうんだ!
リゼル?そんなものどうでもいい!アズラエルの凶弾?んなこたぁ関係ねえ!イライジャとストライクルージュ?あ、ストライクルージュだけは何装備か気になる!
でもそんな小さいことはどうでもいい!ルドルフだ!!何やってんだYO、ルドルフの野郎!!サクシャの考えすらも覆すコイツ恐ろしいわ。何かってに刹ハム化してるんだよ!そこはお前噛ませ役だろうに!! 
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