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ハイスクールD×D~小さな赤龍帝~

作者:九桜
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第0章 転生世界のチャイルドドラゴン
  第4話 拾ったのは二匹の猫

 
前書き
 第0章の第四話です。

 あと一話でこの章は終わりです。

 その次から原作に入っていくという流れになります。

 それでは、どうぞ。 

 
 Side:龍夜


 どうも兵藤龍夜です。今日も元気に赤龍帝やってます。


 リンドブルム師父と出会って師父に弟子入りしてからもう一ヶ月が経とうとしている。早いものだ。あれから俺は学校が終われば来る日も来る日も鍛錬鍛錬。もう鍛錬漬けの毎日を送っていた。


 リンドブルム師父の教え方は滅茶苦茶厳しいがとても的確で分かりやすい。そのおかげでこの一ヶ月で煌龍真闘技も大分ものにできてきたと思う。龍通力(ドラゴン・フォース)のほうも最初のころに比べるとかなり制御ができるようになってきた。


 まあ一つ問題があるとすれば、イリナのことだな。最近は修行に時間を割くことが多くてあまりイリナと遊べてないんだ。放課後も休日もずっと修行だったしな。イリナは大丈夫と言ってくれているのだが時折すごく寂しそうにしてるのを見ると申し訳なく思ってしまう。今度ちゃんと時間を作って気の済むまで一緒に遊んでやろう。


 それにしても本当に師父には頭が下がるばかりだ。もし師父に出会えていなかったら俺は今もきっと龍通力の扱いに困窮してただろうな。いや、運が良かったよホント。


『単純な運だけではないだろうがな』


 と、いきなりドライグが頭の中に話しかけてきた。


「ん?それはどういう意味だドライグ?」


 俺はドライグの『運だけではない』という言葉が気になって訊いてみた。


『そういえば相棒にはまだ話していなかったな。ドラゴンの力には他者を引き寄せる特性があるんだ』


「他者を引き寄せる特性?」


『ドラゴンはどんな時代、どんな国でも力の象徴だった。多くの者たちがドラゴンという存在に憧れ、畏怖した。ドラゴンというのは知らず知らずのうちに周囲の者を圧倒し魅了してしまうんだ。そのせいで、昔からドラゴンのもとには力が集まる』


「…力?…力って?」


『簡単に言えば、腕に覚えのある強者や猛者のことだ。もしお前のもとに憧れる者や戦いを挑んでくる者が現れたのなら、それはドラゴンの力だ。リンドブルムと出会えたのもドラゴンの力が少なからず関係しているのかもしれん』


 ドライグの話を聞いて俺は成程なと思った。そういえば師父も初めて会った時言ってたな。「懐かしい龍の波動を感じた」って。……それにしても、


「なんか傍迷惑っぽい力だな。俺この先色んな奴と戦わなきゃならないのか?」


 そう思うとなんだか憂鬱な気分になってくる。師父とは運良くこうして師弟関係を結べたけど、会う奴皆と友好的な関係を築けるとは限らないわけだしな。


『まあ今の相棒ならそこいらの奴に遅れは取らんだろうがな。それに必ずしも敵対するばかりというわけではない。言ったろう?お前に憧れる者も現れると』


 まあ確かに敵だけじゃなく、味方になってくれそうな奴も現れてくれるのは素直に嬉しい。出来るだけそういう奴がたくさん現れてくれることを祈ろう。


『しかし、一番最初に引き寄せたのが龍王のリンドブルムとはな。案外お前はその辺の力も秀でてるのかもしれんな』


 …それは素直に喜んでいいのかどうか複雑だな。もしかしたら敵が現れるかもしれないし……まあいいか。それはもしそういう事態になった時に考えよう。


「さて、話はここまでにして、そろそろランニングの続きといくか」


 そう言って俺は腰かけていた公園のベンチから立ち上がると、軽めにストレッチをして修行を始めてから完全に日課になってしまったランニングを再開した。


 ランニングの目的は極めて単純。体力作りだ。赤龍帝の双角(ブーステッド・ギア)の能力は所有者の力を倍加させるというもの。高め続ければ神をも滅ぼせるというのだが、急激な力の増加に体が耐えられなくなることもあるそうだ。


 でも俺の場合は龍通力が体を守ってくれるからその心配はあまりないのだが、それでも基礎体力はあって困るものじゃないからランニングは欠かさないようにと師父から言われている。


 まあそのお陰で、今じゃ7回までの倍加なら余裕で耐えらえるようになった。やっぱり日々の鍛練て大事だよな。


『だがいくら龍通力があるといっても相棒はまだ幼い。あまり体に負担を掛け過ぎると却って逆効果になることを忘れるな』


 ドライグが注意をくれる。はいはい。もちろん分かってるって。師父にも毎度口を酸っぱくして言われてるからな。


『それにしても相棒、ずいぶん遠くまで来たようだが、一体どのくらいの距離を走ってきたんだ?』


 今度は質問してくるドライグに俺は少し考えてから告げる。


「んー、大体20キロぐらいかな?もう10キロぐらい走ったらまた休憩するけど」


『20キロを余裕で走り抜けられる子供など相棒くらいのものだろうな』


 ドライグの声は呆れ半分感心半分といった感じだ。ま、それも龍通力のお陰なんだけどな。


 今の俺はほんの少しだけ龍通力を出している状態だ。一ヶ月の修行で出す量のコントロールも出来てきた。これのお陰で俺は20キロという距離を走ることが出来ていた。


 それからもう10キロほど走ってそこで止まった。俺はポケットから腕に巻いた父さんから貰った使わなくなった腕時計を見た。


「ああ。もうこんな時間か」


 時計の針は午後の4時丁度を指していた。母さんからは午後5時までに帰ってくるように言われていたのでそろそろ帰らないと心配させてしまう。


「今日はここまでにして帰るとするか」


『そうだな。あたりも暗くなり始めてきたことだしな』


 ドライグも賛成し、俺は家に戻ろうと足を進めると、


「……にゃぁ~」


「……?」


 不意にか細い猫の鳴き声が聞こえてきた。とてもか細くて普通ならば聞き逃してしまいそうになるが今の俺は龍通力のお陰で感覚が鋭敏になっているので聞き取ることが出来た。


 俺は気になってあたりを探してみると草むらの陰に二匹の猫を発見した。黒い猫と白い猫でどちらも綺麗な毛並みをしていた。


 なんだか二匹ともぐったりしていて体も汚れていた。白い猫に至っては血が滲んでいる。


 俺が白猫に手を伸ばすと急に黒猫が起き上がって白猫を庇うように俺の前に立った。


「ふーーッ!!」


 俺を威嚇するような声を上げ睨み付けてくる。自分もボロボロなのにも関わらず一歩もそこを動こうとしない。


 そんな黒猫の姿を見て俺は安心させるように笑って、そっと黒猫の頭を撫でてやった。


「大丈夫。危害を加える気はないから。…な?」


 黒猫はキョトンとしたような顔をすると、気持ちよさそうに目を細めた。そして糸が切れたようにまたその場にぐったりとしてしまった。


「自分だって限界だったろうに、それでもこの子を護ろうとしたのか。大した奴だな」


 ぐったりした黒猫を両手で大事に抱えて白猫の方も同じように腕に抱く。


「待ってろ。必ずどっちも助けてやるからな」


 俺のその言葉を聞いて二匹は安心したように俺の腕の中で眠ってしまった。




 ―――○●○―――



 二匹の猫を連れ帰ってから一週間後。看病の甲斐あって二匹ともすっかり元気になり今では完全にうちの猫になっている。二匹を連れ帰った後父さんと母さんを説得するのは少し大変だったけど、何とか家で飼う許可を貰い、晴れて二匹は俺の飼い猫になった。


 名前はシロとクロにした。…え?安直すぎるって?しょーがねぇーだろ!俺のネーミングセンスじゃこれが限界なんだよ!!


 まあ二匹とも凄い尻尾立てて喜んでるみたいだったし、問題ないよな?


 シロとクロを引き取ってからというもの、二匹とも俺に凄く懐いてくれてどこに行くにも必ずお俺の後をついてくる。二匹もお互いすごく仲が良くご飯を食べる時も寝る時も一緒だ。ちなみに寝るときは必ずと言っていいほど俺の膝の上で寝る。


 性格自体は正反対何だけどな。


 シロは大人しくてあまり手がかからないんだが、クロの方はやんちゃで悪戯好き。しょっちゅう何か悪さをしては俺が叱っている。


 そんな二匹だが、本音を言えばどちらも可愛い。一緒にいるとなんか癒されるんだよな。


 さて、シロとクロにたっぷり癒してもらったところで、今日も鍛錬頑張りますか!


  
 

 
後書き
 今回は少し短くなってしまいましたがいかがでしたでしょうか。

 あと一話を終えたら原作に入ります。

 お楽しみに。

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