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少年は魔人になるようです

作者:Hate・R
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第65話 少年は決戦用の贈り物を貰うようです


Side 愁磨

「はーい、学校と学年・クラス・名前を一人ずつ言ってねー。」


何やら不穏な波動を感じとった俺が向かうと、高校生と思しき五人組が刹那達をナンパしている所だった。

『相手が三人だろうが!』と説教をした後、聞く事を聞いて返した。


「愁磨さん、あ、ありがとうございました。」

「俺の嫁に手を出す奴は許さんと言うだけだ。気にするな。」

「嫁?ボクも嫁!?わーいわーい!」

「ただし、赤髪の一名を除く。」

「ちょっとぉーー!!」


喧しいのをネカネと刹那に羽交い絞めにさせて、三人の元を去る。

その後は結局何も無く超と打ち合わせをする。昼まで時間が余り、また別宅で寝るのもいいか――と、思った時。


「織原先生、動かないで頂けますかな?」


騒乱の種にしかならん奴が、俺の前に現れた。


―――――――――――――――――――――――――――――
subSide 朝倉


「だ・か・ら!!本国からの応援がねーとダメだっつってんだろぉ!?」

「いや、しかしのう……。魔法具を一般人に使わせると言う時点で、既にワシの交渉力的には限界での。」


ネギ君から頼まれて、学園長の所に来た私達。

カモっちの情報と夕映の論術が冴えてダメ押しにさっき見たDVD持見せたら、渋っていた教師陣も重い腰を上げた。


本国とやらにある魔法具を一般人・一般生徒に装備させて、戦闘に参加。

DVDだと3000人参加してたのが、今度は魔法具の増加もあって、最低5000人にまで膨れ上がった。

・・・までは良かったんだけど、それでも戦力が足りないらしい。


「切り札切っちまえばいいだろうが!"皆殺し"が関与してるって言やぁ、本国も何かやってくれんだろ。」

「体裁もあるからのう……。死ぬ気で殺しに来るか、死ぬ気で揉み消しに来るか………。」

「ハッキリ言って、どちらにしろ、あまり得策ではありませんね。

最悪本国からの援軍が第三勢力となり"アーカード"勢と勝手に戦い始めるか………。」

「「ぬぅぅぅー。」」


さっきから妙な単語が聞こえて来る上に、不穏な事も言ってる。

組織ってのは一枚岩じゃ無い・・・って言うか、やっぱり体裁とかそういう問題になるんだ。


「仕方あるまい……職員と生徒を全員招集するのじゃ。」


学園長先生が言うと、部屋の隅に居た人達が外に走って行く。

二十分もしない内に、見た事ある先生と見なれた制服の生徒、見た事ない先生と見なれない制服の

生徒が学園長室へ集まった。そして、さっきまでの話を聞かせた。


「皆の者、言いたい事も侭あろう。信じ難いじゃろう。じゃが、これは真実じゃ!!

そして、敵はとてつもなく強大じゃ。……ワシは今まで、これを見て見ぬフリしておった。

が、相手が人類を滅ぼそうと言うならば、話は別じゃ!―――君らには、彼らの捕縛。

難しければ、これの抹殺を頼みたい!」


学園長の言葉に、ざわめき出す魔法使い?達。以前なら抹殺とかそんな、と思っただろうけど今は違う。

あの人達にはそれを実行する力と、未来に成した実績がある。


「これは、人類を守る為の戦いとなろう。決行は明日。

それまでに各人覚悟を決め、再びここに集まってくれ。―――以上、解散じゃ!!」


厳しい顔のまま、集まっていた人達が出て行く。

残った二十人くらいの殆どが似たような格好の人で、三人は学園長と同じくらいのおじいちゃんだった。


「それで、ワシらを残したのは何故じゃ近衛門。」

「うむ。明日になる前に、"四拳王"と"四天王"の手で、彼らを一人でも……いや、全員捕らえたい。」

「我は反対じゃ。余計な恨みを買うだけじゃと思うぞ。」

「そうじゃのぅ………。織原のモンは、身内に手を出されん限り何もせんじゃろうのぅ。」

「影から見ていただけじゃが、ワシも天宝治に賛成じゃ。

実際問題、彼奴等はここまで何もせんかったしのう。」


学園長の提案を、ばっさばっさと斬って行く三人。つーかこの三人とSPさん達は誰なの?


「「「じゃがやろう!!」」」

「「「「えぇっ!?」」」」

「うむ。では、頼んだぞい。」

「"皆殺し"本人は…………仕方ないのう、全く。」

「ゆっくり隠居出来るとおもっとったんじゃがのう。」


おじいちゃん達とSPさん達は颯爽と去って行った。残ったのは私達と四人のSPさん達。


「では、行くかのう。フォッフォッフォッフォ。」


笑う学園長に続いてSPさん達も出て行って、学園長室には私達だけが残ってしまった。

私達だけだとついて行けない―――そう悟った私達は、ネギ君を呼んで来るために、校長室を後にした。

Side out
―――――――――――――――――――――――――――――


「と、言う訳で、ワシら四長全員出張っての大捕物じゃ。」

「それはそれは、ご苦労なこった。とはいえ、まさかお前一人で俺を捕まえられるとでも――」


そのセリフの直後、俺の周りに降って来る黒服4人。

神多羅木と恰好は似たような雰囲気だが、物腰は遙かに物々しく、そして・・・とても修練されている。


「初めて見るかの。ワシを護る四天王じゃ。」

「通りで、成程成程。して、紹介はしてくれるのか?」


俺の言葉に四人がズレ無く前に一歩出る。それぞれが腰や背に・・・一様に"刀"を装備している。


「"修羅"が北刀、朱雀。」

「同じく東刀、青龍。」

「同じく西刀、白虎。」

「同じく南刀、玄武。」

「初めまして。"白帝"、"皆殺し"、"微笑赤点"の織原だ。」


丁寧に挨拶すると、射殺さんばかりに睨んで来る。どうやら俺の返答が気にくわなかったようだ。


「さて、おぬしの嫁達も捕まえねばならんでの。本気で行かせて貰うぞい。」

「「「「覚悟!!」」」」

「ほぉ、マイ・スウィートハニー達を男共で囲んで何をするって?」


ちょぉぉぉっとブチ切れた俺は、魔獣程度なら殺せる程の魔力波をぶつけてやる。

動きは止まる・・・が、怯えた様子は欠片も無い。少なく見積もっても、根性だけなら真名レベルだ。

それに、ジジイも居る。と言う事は―――


「(囲われて逃げられるのは俺・ノワール・エヴァ・アリア・刀子……それに、上手くやればもみじは行ける……

が、他四人は無理だ。と言うか、他の皆が危険なのにゆっくりしてる場合じゃねぇ。)………じゃ!」

「させると思うてか!!」

「『『『『護縛陣!!』』』』」
ガンッ!
「~~~~~~~~!!ってぇぇ!!」


飛び去ろうとすると、四人がかりの防御陣に頭を思い切りぶつける。さ、流石、拠点防衛の最"硬"術。

半端じゃねぇ。


「終わりじゃ、魔人殿。大人しく捕まれい。」

「そんな物分かりよく見えるか?"バル・ボル・ベルグ・バルホルス!"」

「ぬぉっ……!?」

「"降り注げ天の光 高き炎 王と神の命により来れ 天の鎚!!"『流星輝く神の刻(アルダント・ネイル)』!」

「ぬ……?……………フォッ!?」
ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!
「っとと、振り過ぎ振り過ぎ。アデュー!」

「しま――待たんか!!」

「待てと言われて待つバカは以下略!!」


星を降らす技、防御ごと相手を打ち砕く事で陣を破り、皆に念話を飛ばす。

この技の良い所は降らせる数が決まっており、魔力供給で止める事が出来る点。

つまり、途中で移動して違う拠点へ向かい、放つ!事が!出来る!


ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!
「うわぁあああぁああぁぁあ!?」 「な、なんだ!?」
「岩が、岩が降って来る!!」 「防御陣け――ぎゃぁっ!?」

「アリア、真名!掴まれ!」

「ん・・・・。」

「っとと、良いタイミングだよ。助かった。」


一番近かった二人を回収し、"闇"に入るよう促す。同じ様に全員を回収し、俺もすぐさま"闇"へ入る。


「愁磨、これは一体何事じゃ?」

「ネギ達がやってくれたらしい。超が、余計な事をしてくれたせいでな。」

「ふぅー……。全く申し訳ないと思てるヨ。まさか、ネギ坊主に数日分跳ぶ魔力があるとは思わなかったヨ。」

「未来人も役に立たんなぁ……。」

「私のいた未来じゃ、今ので行けたんだがネ………。」


と、言う事は・・・歴史が変わっているのか?

超の居た未来の俺が"今"取っていた行動と、俺の行動が違うのか。

―――はたまた、ネギの行動が違うのか。何れにしろ。


「楽しくなって来た……!抗え抗え、少年。俺はその悉くを凌駕しよう……!!」


俺が楽しげに笑う隣。超は何かを決意した眼で、しかし寂しげに笑うのだった。

Side out


Side ネギ

「申し訳ありません、取り逃がしました!!」

「よい、よい。ワシが一番失態じゃ。よもや、四天王を連れて逃げられるとはのう……。」


僕達がダイオラマ球から脱出し、学園長先生に訳を話して一時間。

驚異的な速さで愁磨さん達を捕まえに行ったけれど、結果は0だった。と言うか、分からない事が一つ。


「あの、一ついいでしょうか?」

「む、何かの。」

「そもそも、何故なんでしょう?」

「何故、とは?」


勿体つけないで早く言え、とばかりに睨んで来る・・・誰だろう。黒服の、槍を持った人。


「いえ、なんで愁磨さん達はそんな事をしたのかな、と。」

「メリットも無い様に思えるしのう。そればかりは本人に聞かんと分からんのう……。」

「ならば説明いたしましょう。」

『『『『『!?!?!?!?』』』』』


急に現れた愁磨さん―――の分身。


「説明だと?今更何を言うか!?」

「決まっているだろう?ゲームのルール説明だ。」

「ゲームだと!?ふざけおって!!」

「ルール説明の前に、一つ。俺は仏みたいに優しくないから、一度しか言わないからよぉぉぉっく聞け。

――黙れ、小童が。身の程を弁えろ。」


ぐっ、と身を引き攣らせる黒服。

・・・そもそも、愁磨さんが話してくれたのに前の世界は負けたのかな?


「それで、ルールとはなんじゃ?」

「1、開始時刻は明日17時。場所は麻帆良全体。

2、我々の目的は世界樹の完全制御。それに伴い、超大規模魔法の実行。

これにより―――魔法秘匿の認識阻害魔法を全て無効化し、魔法を公表する。

そして……地球、旧世界に居る旧世界人を、全て"消す"。」

「そんっ、馬鹿なぶぅる!!」

「……続けてください。」

「うむ。3、勝利条件。こちらは魔法の発動。対してそちらは魔法発動の阻止。

4、我々が狙うのは、学園に6つある世界樹広場のみ。

5、我々の戦力は三つ。1、織原家。1、超とロボ軍団。1、本陣である巨城。

そちらはいくら使おうが、どこから持ってこようが構わない。こんな所か。質問は?」

「愚問かとは思いますが……何をしても、良いんですよね?」

「人類を取るか、体裁を取るか。好きにしたまえ。」

「……………分かりました。」

「ああ、言い忘れていた。なお、俺は敵ではない。―――では、健闘を祈る。」


それだけ言うと、現れた時と同じように一瞬で消えてしまう。

転移か何か何だろうけど・・・・媒介が見えないんだよね。


「ふざけおって!!敵ではないだと?今更何を言うか!!」

「いえ、恐らくは本当です。無闇に愁磨さん……正確には、織原家に手を出さなければ良い筈です。」

「ふぅむ………アレらに関しては、ワシらよりはネギ君の方が詳しかろう。

天宝治達も言うとったしのう。ならば、敵は二つ。超 鈴音とロボット軍団、と言うておったが……。」

「それについては、僕から説明が。」


いつから居たのか――居なかった方が不自然だった――タカミチが手を上げ、前に進んで来る。

いつも着ている真っ白なスーツが、ボロボロになっている。


「下水道を進み、地下深くに古い空間を見つけました。そこにあったのが、これです。」

「………成程。ロボ軍団と言うに相応しいのう。」


タカミチが写真を出し、学園長先生がプロジェクターか何かにかける。

すると、大量のロボットが並んでいる映像が浮かぶ。

何よりも目を引くのは・・・奥にいる、腰から上でも5mはあろう機体。


「ざっと見たところ、歩兵2000。後ろの中型100。そして……大型3体。

これが、6つの広場前に出る海岸へ通じる地下道全てに配置されていました。」

「これだけ、と言う事もあるまい。歩兵12000以上、中型600以上、大型24以上。

更に、先程の映像にもあった巨大な機体と、それが小さく見える空中に浮かぶ兵器。

本国から応援を呼んだとて、市民を守りながらは退けられんじゃろう……。」

「民間の人には自衛して貰いつつ、しかし魔法は隠し通す。

僕達が守りと攻めに分かれて戦える。これが最適ではあります。」

「となると、やはり先程の手で行くしかないのう。」


僕は・・・さっきの愁磨さんの言葉に、違和感を覚えていた。

だって、魔法を公表した所で意味は無い。もしも計画が成れば、死ぬのは魔法を知らない人達。

そして生き残るのは魔法を知っている、魔法世界人だ。


「(推測だと、愁磨さんの計画が公表、超さんが抹殺。

一枚岩じゃ無い、って言うなら説明つく事はつくけど…………。)」


愁磨さんはなんて言った?旧世界にる旧世界人を殺す・・・いや、消すだっけ。

つまり、旧世界に居る魔法世界人は死なないんだ。

・・・・・あれ?僕がさっき考えた事と一緒だよね?でも、何かが引っかかる・・・なんだ?


「では諸君、各自の準備は今日中に済ませてくれ。明日12時、再びここに集合じゃ。では、解散!」

『『『『『ハッ!』』』』』


考えていたら、いつの間にか会議が終わっていた。

一緒に来ていた明日菜さん達と、皆さんが待っている図書館島へ戻る。


「あ、ネギ!どうだった!?」

「ええ、っと……?カモ君、お願い。」

「おうさ。学園側は、全力で当たる事に決めたぜ。

それと、本国から魔法具を取り寄せて、学園生にも当たらせる。」

「えぇえっ!?あ、危なくないの?」

「『世界樹の加護』とやらを増幅する魔法具を取り寄せるみたいだぜ。

防御力がすげー上がって、単純な物理攻撃は銃も効かなくなるんだと。」


会議を上の空で聞いていたので、カモ君の話を僕も聞く。

学園生ほぼ全員と魔法先生半分が陣地防衛・・・ロボット軍の相手、残りの魔法先生・生徒で超さんを

探す、と言う事だった。でも、もし僕の推論が正しければ、防衛は必要無いと言う事になる。


「あの、いいかな。」

「おう、オレッちの話は終わったぜ。」

「じゃあ……単刀直入に言います。恐らく愁磨さんは、この計画を成功させるつもりがありません。」

「「「「「えっ!?」」」」」

「な、なにそれ、どう言う事?」


僕は、先程考えた事をほぼそのまま伝えた。

ノワールさんの言葉もあってそう思ったんだけれど、それは伏せておいた。


「……なるほど、確かにその通りです。けれど、あの映像の様になってしまった以上、その推測は……。」

「あの未来での過去、つまり計画が成功してしまった世界には僕達は存在せず、計画を止めようとする事すら

出来ませんでした。これは、本当に勘と言うか想像と言うか、そう言う域を出ない事なのですが……。」


言ってるうちに、段々自信が無くなって来る。

だって、これは全部、僕があの人達と居た時間から推測しただけに過ぎない。

他の人に僕の考えをそのまま喋った所で、分かって貰える筈も無い。


「ん、いいわ!なら私達は、超さんをやっつけちゃいましょう!!」

「ロボット軍団も、でござるな。」

「そーと決まればネギ君!私達は何すればいい!?」

「皆さん…………。はい!今出来る最善が最悪の状態になった場合でも、多分通用します。

明日、皆さんはダイオラマ球で見つけたある物に乗って貰います。」

「ある物?」


そこで、ノワールさんのくれたダイオラマ球を作動させる。

これは他の物より中が小さい代わりに、出入り口の魔法陣を固定されていない。

中に入ると、とても簡素なドックになっていて、九体のロボットが格納されていた。

多少の大きさの違いはあるけれど、10m以上はあると思う。


「目には目を、歯には歯を。巨大ロボット………これで、超さんに対抗します!!」

Side out
 
 

 
後書き
最終日、スーパーロボット大戦。そこまで出番ありませんけど。 
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