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嫌い。

作者:由乃亜
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第3Q「彼の顔が曇ったんだ。」

 
前書き
ども。前回までのお話を読んでくださって誠にありがとうございます。
今回は百合羽の過去ことが入りますので長いですが最後までお付き合いしてください。 

 

助けたいのに方法が思いつかない。そんな自分が嫌だった。

「あら先客かしら?」

後ろから声がした。女性の声だった。
しかもどことなく百合羽さんに似ていた。

その人は僕の向かえに座った。

「あの、百合羽さん?」

気がつくと声が出ていた。

「あ、初めまして。百合羽の姉の菊羽です。よく妹に間違われるのよ。」

そう言いながらクスッと笑った。姉妹とは言え仕草のほとんどが似ていた。

「ありがとうね。お見舞いに来てくれて。妹も喜ぶわ。って言いたいところだけど・・・百合羽の
お友達?」

「あぁ、申し遅れました。帝光中バスケ部黒子です。」
と言いながら一礼した。

「バスケ部?じゃあ征十郎君と同じなのね。」

「はい、しかしすいませんでした。彼女をこんな目に合わせてしまったのは僕のせいです。本当に
申し訳ありません。」
頭を下げ必死に謝った。

こんなことになったのは僕のせいだから。
「確かにこんなことになったのは黒子くんのせいね。
でも私はそんなこと思ってないわ。百合羽もね。しかもあなたを庇ったということでしょ?そんな
勇敢な妹を持ったことを誇りに思うし、それにこうなるのは前からわかっていたから。」

え?驚いた。怒らないなんて。そんな冷静になれるなんて。
しかも・・・わかっていた?どうゆうこと・・・こんなことが運命だというのか。

「あの子小さい頃から不治の病を患っててね。医師から長くはもう生きられないって。
長くて高校入学ギリギリ。短くて一ヶ月・・・かな。」

何も考えられなくなった。どうしたらいいのか・・・頭がぐちゃぐちゃになって壊れそうだった。
そんな・・・嘘だ。そう拒否することしか出来なかった。受け入れなきゃいけないのに。
いや。百合羽さんはもっと前から受け入れたのに。

「百合羽さんはいつから知っていたんですか?」

「確か小学校入る前からかな?こうなってすぐに。」

え?こうなったすぐ?

「生まれつきとかじゃないんですか?」

「そうよ。その様子だと本当に征十郎君から何も聞いてないのね。あの子は事件でこうなったの。
9年前の誘拐事件知ってる?『幼児障害誘拐事件』その当時5歳の幼児が百合羽だったのよ。
心臓付近を刺されて体が弱くなって丈夫で元気だった百合羽じゃなくなったの。
それまで遊びでやってたバスケもできなくなって。でも治療法は無くて。
あの子かなり落ち込んでいたの。中学もね本当は養護学校通うはずだったんだけど。
最後に学校生活になるなるならって帝光中学がいいってわがままを言ったの。」

そのあと気がつくと家にいた。

ただあのことを聞いてなんて言ったらいいのかわからなかった。

僕は彼女のことを知ったふりしていたんだと思う。

悔しい。そう思えた。

それから毎日見舞いに行った。

でも彼女が目覚めることはなかった。

いつ目覚めるのかがわからなかった。

そんな時だった。

いつものように病室のドアを開けた。
ガラッ
「!!」

カーテンに人影のような黒い影が写っていた。
誰かいる・・・

一歩恐る恐る踏んでみると

「黒子か。」

その声で確信した。

近づいていみると赤髪の少年がいた。

「赤司君・・・いらしゃっていたんですね。」

「あぁ、事故以来こいつの顔見ていなかったからな。様子を見に来ただけだ。しかし未だに
眠り続けている・・・とは・・・」

確かに一理ある。あの事件から一週間以上経つのに目覚めません。
「早く・・・早く目覚めてくれ・・・百合羽」

そう呟きながら赤司君は彼女の手を握りしめていた。

「!!?」

意外だ。




初めていつも余裕だった彼の顔が曇ったんだ。
 
 

 
後書き
はい。最後まで読んでくれてありがとうございます。コメントなどくれると嬉しいです。
今回は私にとっても結構時間をかけたので自信作って感じですね。
そういえば番外編で「(由乃亜自信原作読んでないので)」って書いていましたが正しくは「(由乃亜自身は原作を読んでいないので)」です。ここでお詫び申し上げます。本当にすいませんでした。

では次回もお楽しみに。 
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