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ゲルググSEED DESTINY

作者:BK201
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第四十話 アストレイズ

ラー・カライムやミネルバなどの艦隊が基地に補給と修理を行う為に着艦している間、クラウ達技術者陣は相変わらず忙しさだった。

「修理を最優先にしろ!新ユニットなんざ後でいくらでも取り付ける機会ぐらいあらあッ!」

マッド・エイブスがそう叫び、それぞれに取り付けられる予定だった装備よりも修理を優先させて各々は動いていく。勿論、開発主任であるクラウ自身も奔走しており、特にセカンドシリーズ機であるインパルス、セイバー―――そしてガイアの整備を行っていた。

「同じセカンドシリーズ機である以上、セイバーのパーツにも互換性はあるはずなんだ。いいね、格闘性を引き上げるための改良と修理を同時に行っておくんだよ!パイロットの要求にこたえきれない機体を戦場に出すなんて技術者として恥と言ってもいいんだからさ!」

アスランのMSの操縦技能にセイバーは要求に応えきれなくなり始めており、その為に格闘能力の高いガイアのパーツを流用させることでセイバーの格闘能力の底上げを行っていた。
面倒ではあるし、手間もかかる上に、失敗すれば修正に必要な苦労は余計にかかるがセイバーの性能を引き上げるために改修が行われる。こういった改修というものは大抵は現場でコストを抑えたりするために造られるものだろう。しかし、改良の為にガイア丸々一機分というコストを度外視したパーツを使用できる時点で改良と言えるものではあった。勿論、しっかりと計算を立てなければ改悪になってしまうのだが。
ガイアの背面に取り付けられた二門のビーム突撃砲をセイバーの肩部に取り付けられる。MAへと変形したさい、このビーム突撃砲は後方から上方、前方と百八十度回転が可能であるように設計される。勿論、MS状態でも肩から発射可能だ。理屈的には収束ビーム砲、スーパーフォルティスビーム砲、ビームライフル、ビーム突撃砲の計七射の同時攻撃が可能となった。

「問題はエネルギー不足が否めない事か……」

どれほどの装備を取り付けようともデスティニーやレジェンドと違い、セイバーはバッテリー式である。そのあたりのバランスを調整しなくては武装として役立たずのただのデットウェイトとなるのみなのだ。
後付け装備で核動力を使うのも手だが、用意が必要な分それもすぐにつけれるわけではない。何よりそう言った装備は宇宙でならともかく、地上だと出力を効率よく上げないとデメリットしか生まれない。

「主任、レジェンドの装備が完了しました!」

一方でレジェンドの方にも改良が加えられ、デストロイとの戦闘時における反省を生かしてレジェンドの近接戦用の装備が追加された。とはいえ単純に対艦刀を持たせてもバランスが悪くなるだけなので、ビームライフルからサーベルを展開できるように流用しただけだが――――――そうやって見るとビームシールド発生装置もサーベルにしたりビームガンを放てる辺り、隠し武装の要素がある様な気がしないでもない。デスティニーの掌といい、カオスの足のクローといい、アビスのMA形態での後ろへの射撃といい、他にも諸々含めてザフトにとって隠し武器というのは一種のロマンなのだろうか?

「ま、とりあえず俺のやることはこれらの整備だね」

セイバーのエネルギーも効率化すれば何とかなるかもしれない。ビームライフルの方はザクのライフルやマーレのビームバズーカのようにバッテリー式ではなくマガジン式にすればいいかもしれない。そう思いながらクラウはセイバーの改良に精を出すのであった。







アークエンジェルはマルキオ導師と連絡をつけて、ジャンク屋との協力を取り付けていた。地上で移動できるマスドライバー施設であるギガフロートにアークエンジェルは着艦し、補給と整備を受ける。

「こりゃひでえ!海の中進んでて沈まなかったのが嘘みてえだな!」

一人のジャンク屋はアークエンジェルの損傷を見て、思わずそう叫んでしまう。見た目の損傷こそ、そこまで酷くはないように見えるが、修理をしている最中に見つかる被害を見ては驚愕せざる得ない。
思えば、補給こそいくらか受けることは出来たものの、基本的には海中を移動しているアークエンジェルはまともな修理を受ける事は出来ないでいた。そうでありながらオーブ艦隊を止めるために戦いブラストインパルスやマーレのゲルググから攻撃を受け、ベルリンでの戦いはアビスによって被害を受けて、エンジェルダウン時にはザフトの艦隊やMSから大きな被害を受けたと言える。
応急的な修理はともかく、本格的な修理をしていないアークエンジェルにも限界が来ていたのだろう。

「私たちのような厄介者を受け入れてくれてありがたいと思っている」

「なあに、壊れたもんがあって直せるのに修理しないなんざジャンク屋の恥ってもんだ。それに困ったときはお互い様だろ?」

依頼を受けて来ていたコバヤシマル・ジューゾー達はそう言ってアークエンジェルとムラサメの修理に取り掛かっていた。

「それにしてもお互い災難だな。テロリスト扱いされるなんてさ」

ロウがそう言いつつカガリ達に話しかける。ユニウスセブン落下の罪を擦り付けられて一時期は彼も大悪党のテロリストの扱いだった。

「しかし、我々が行ったことは貴方がたとは違い、結果的には……」

カガリ達も悩まされている。信じて行った行動自体はともかく、結果的にはテロリストと罵られてもおかしくないような行動だ。国を思い、オーブを思った結果がこれではと誇れる気持ちには成れない。

「いいんだよ、大事なのはそれを自覚して行動する事なんだ。それによ、道なんて自分で決めるものだ。他人が勝手に決めていいもんじゃねえ。王道ばかりが道じゃないんだぜ」

「そうそう、ロウはいっつも失敗ばかりで型破りなことばっかりするんだもんね」

「何だと!キサト、言いやがったな!お前だってビビッて失敗ばっかじゃねえか!」

二人が騒いで喧嘩をしている様子をジャンク屋のメンバーはいつもの事ばかりだと笑って流しながら作業を進める。

「そう言えば新しい開発案っていうか渡されたデータの中にこんな奴があってな。そいつが変形機構持ってるんだが―――」

この現場を少なくともクラウが見ていたならこういっただろう―――『嫌な予感しかしない』と。







「エターナルの護衛か……劾はどう思ってる」

「どんな依頼であろうと受けた以上は依頼主が裏切らない限りは請け負う。それが俺たちのやり方だ」

そんな話をしながら劾とイライジャはエターナルの護衛の為に自分たちの艦で待機しながらMSをいつでも出せるように準備しておく。十中八九攻撃を受けることになるであろうエターナルは戦力不足であり、いかに劾やイライジャでも敵の数が多ければ危険だろう。

「それにしても大気圏外から地上に荷物を送り届けるって、一体何を送り届けようっていうんだ?」

「まあ、確実にとは言わねえがMSだろうな」

「MSってどういうこと?」

リード・ウェラーがMSだと推測したのに対して風花・アジャーが何故なのかと理由を尋ねる。

「あいつ等は独自のMS製造所を持ってるんだよ。それで地上は今やロゴスを討てとばかりに叫ばれてる。下手したら次の狙いはロゴスと密接な関係を持っているオーブになりかねない。そんな時に守ろうとするためのMSが無けりゃ話にならねえだろ?」

そうやって依頼内容に関して時間を潰す為に話し合っているとエターナルから連絡が届く。

『すいません!サーペントテールの皆さん。敵が来ました。護衛をお願いします!』

「敵が来たのか!劾、出るぞ!」

「ああ―――」

ダコスタが艦に連絡を回して敵が来たことを告げる。もう少しで目標の降下ポイントまで辿り着けたのだが、敵が来た以上、無理矢理敢行するわけにもいかず、敵を撃退しなければなるまい。

『敵は、四隻の艦にMSが二十機以上!?艦一隻沈めるためにどれだけ用意してきたっていうんだ!』

発進するザフトのMSはグフとゲルググを中心とした混成部隊だ。ガナーザクウォーリアーとゲルググC型がおそらく対艦攻撃の部隊だろう―――それが六機。そしてMSや艦砲を迎撃するためと思われるグフとゲルググB型が十二機。指揮官機と思われるゲルググFS型の機体が三機―――計二十一機だ。
艦隊も四隻のナスカ級と一隻を落とすためにしては随分豪勢な部隊数である。イライジャが驚愕するのも無理のない話だろう。

「イライジャ、俺が敵部隊に切り込む。お前は艦を護衛しろ!」

『あ、ああ、わかった。無理はするなよ!』

そう言って劾はブルーフレームセカンドLに乗り込み強襲を仕掛ける。接近に気付いた敵部隊は迎撃を開始するが、タクティカルアームズを盾にしながらガトリングを撃ちこみ一機のグフを沈黙させた。

「行くぞッ!」

敵の数が多く、艦隊の護衛が任務である以上、時間を掛ければこちらが不利になると判断し、劾は短期戦に持ち込む。一機のゲルググB型を狙い、タクティカルアームズで敵を叩き斬ろうとする。無論、ゲルググもビームナギナタを展開しながら、シールドを構えて反撃しようとした。
しかし、シールドで攻撃を受け止めたゲルググはそのままシールドごと吹き飛ばされ、叩き潰される。タクティカルアームズはバーニアが取り付けられているため、その加速を利用して一気に吹き飛ばしたのだ。その背後を狙おうと一機のグフがスレイヤーウィップを放つが、劾はそれを反転しながら躱し、タクティカルアームズを片手に持ち替え、腰にマウントしていたビームライフルを空いた片手で握り撃ち抜いた。

「悪いが、仕留めさせてもらう!」

そのままエターナルを攻撃するための部隊であろう六機のガナーザクウォーリアーとゲルググC型を狙い、接近する。

『やらせるかッ!』

だが、流石にそうやすやすとは敵も通らせてくれない。指揮官機であろうゲルググFSが立ち塞がり、ビームサーベルでこちらに斬りかかる。劾はその攻撃をタクティカルアームズで受け止めた。ラミネート装甲であるタクティカルアームズならば敵のビーム攻撃を防ぐことが可能であり、そのまま鍔迫り合いが続くかと思われた。
しかし、劾は頭部バルカンであるイーゲルシュテルンをゲルググのモノアイに向かって放つ。モノアイを撃たれ、よろめくゲルググ。だが、流石は指揮官機と言うべきか、タクティカルアームズに対する警戒は怠らない。

「相手が悪かったな。俺以外ならそれは最善の手だっただろう」

それでも、劾はそれを読んでいた。タクティカルアームズをあえて手放し、対装甲コンバットナイフ・アーマーシュナイダーを抜き放つ。一発だったが、それは見事にコックピットを貫いた。再びタクティカルアームズを握りなおし、AMBACを利用してタクティカルアームズを軸にゲルググを蹴り飛ばす。その反動で敵部隊の攻撃を避けて、逆に不意を突く様に距離を詰めた。そしてそのままタクティカルアームズを振りかぶる。

『クッ、これが最強の傭兵と名高いサーペントテールの実力か!?』

『狼狽えるな、奴は俺達が抑え込む。その間にエターナルを落とすんだ!』

敵は劾を抑え込む部隊とエターナルを仕留める部隊の二部隊に分けて分散する。一騎当千の力があろうとも、本当に一機で同時に千機も相手取れるわけではないのだ。ドラグーンなどの兵器でもない限り不可能だろう。

「確かに、俺一人で出来ることは限られている。だが、俺達が最強の傭兵と呼ばれるのは俺一人によるものではないぞ」

『近づかせるかッ!』

確かに劾は強いが、サーペントテールの強みはそれだけではない。互いに信頼できる仲間がいる事もその一つだ。エターナルに近づいてきたグフが、急接近するイライジャのザクに不意を突かれビームトマホークで切り裂かれる。

『何だと!?こいつ、速い!』

ブースターウィザードを装備したイライジャのザクファントムは機動力においてはグフやゲルググB型をも上回っている。続けてそのまま脚部に取り付けたM68パルデュスを放ち、敵部隊を近づかせぬようにした。

『この野郎ッ!』

一機のゲルググがミサイルを放つが、イライジャは大きく回避せず、一部にのみ攻撃が命中する。しかし、命中したことは確かにも関わらず、イライジャのザクは傷ついていなかった。だが機体のカラーは大きく変化している。全身灰色だったザクの装甲の一部が真っ赤に変化したのだ。

『こいつ、PS装甲か!』

イライジャのザクはジンを使っていた頃からの彼の癖を取り入れて、一部の被弾率が高い部分にだけPS装甲が施されている。劾のブルーフレームのTP装甲とは違い、むき出しであり、付いている部分とそうでない部分はわかりやすいが、彼の技量と無意識の動作に対して、PS装甲を取り付けていない部分を狙うことは相当難しい為、殆ど問題はなかった。

『喰らえッ!』

肩のシールドとスパイクを取り外して、代わりに付けていた二門のビーム砲が敵を貫く。彼の才能はコーディネーターの中でも最低クラスであることに違いはないが、MSがジンしかなく、ナチュラル操縦用のOSなどなかったころからMSを操縦していたパイロットだ。その技量はトップクラスのエースと比べれば劣るが十分にエースクラスの実力を誇っている。
そうして劾とイライジャによる迎撃は続き、敵艦隊が撤退したのはMSが半数以上撃墜されてからの事だった。
 
 

 
後書き
劾さんお得意クルクルシュピン!スレイヤーウィップなんて放ったグフはあっさり返り討ちだぜ!
というわけで外伝の主人公二人組の登場。ロウに出番なんて殆どないけどね(ニヤリ
ちなみに作者はイライジャ大好きです。あの情けなさも英雄殺しの時も花畑守ろうとした心意気も。風花にすら遅れをとるあの頭の残念さも(笑)
それにしてもゲルググは情けないやられっぷりである。誰だ、こいつ主役に仕立てようとしたのは!あ、作者か。 
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