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ハイスクールD×D 千変万化の男

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目が醒めると…



目が醒めると…って何回目だ。
二回目かと一人でツッコミを入れつつ辺りを見回す。
夕暮れの教室の机で俺は呆然としていた。
見た事のない制服を身に纏い、胸ポケットに入っていた生徒手帳を手に取る。
写真に写っているのは平凡な顔立ちの黒い髪を肩ほどまで伸ばしたぐらいしか特徴のない男が写っている。
名前の欄には自分の名前である『山谷 霧也』と書かれていた。

「何だって言うんだろうなぁ…」

さっきのは夢だったのだろう。
そう結論着けて俺は『何時もの様に』家路に就いた。






家に帰り、制服を脱ぎ捨て晩ご飯を作る。
中学を卒業する頃に両親は亡くなり、親戚もいなかった俺は両親の遺産で日々を過ごしていた。
他人事の様に自分を分析しながらチラリと乱雑に脱ぎ捨てた制服に視線を向ける。
それは間違い無く駒王学園の制服である。
どうして忘れてたのだろうと疑問を抱きつつ、素早く晩ご飯を食べ終えて宿題を済ませると自室のベッドに横になった。








夢を見ている。

夢の俺は普通に社会人になって、普通に生活を送っていた。
彼女もいなかったが自分の趣味でもあるマンガやアニメに埋もれた生活もいい物かもしれない。
そんな夢だった。








目が醒めると俺は何時もの様に学園に行く準備をする。
時間は充分に余裕がある。
弁当も作り、登校する事にした。

通学は徒歩である。
早朝という時間ではないが人通りはあまりない道を通る。
別に人が嫌いと言うわけではない。
この道を通ると一匹の黒猫が居るのである。
名前は無い、が俺はクロと呼んでいる。
初めは何と無く竹輪パンなるパンをその猫にあげたのが始まりである。
時々通っていたこの道で出会ったのが切っ掛けでそれ以来朝は此処を通る事にしている。

「にゃー」

今日はいる様である。
偶に居ない事があるクロではあるがいる時は大体此方に向かって鳴き声をあげるのである。
しかし今日は持ちあわせが無い。
見かけに寄らず大食らいなこの猫。
生半可な餌では満足しないのである。
仕方なしに俺は弁当の包みを解くとクロの目の前に置くのである。

「ほら、食べるといい。」

ガツガツと弁当を平らげるクロに溜息を吐きながら、俺はその様子を眺めていた。 
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