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ハイスクールD×D 新訳 更新停止

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第1章
旧校舎のディアボロス
  第30話 武器を取って良いのは殺られる覚悟がある奴だけだ!

 
前書き
今回は千秋に続いて明日夏もマジギレです。
それから明日夏と千秋の名字をちょっと変えます。やっぱり名前に死と言う字を使うのはちょっとあれだったので(感想でも指摘されたので)今さらですが読みは同じで士騎と言う名字にしました。 

 
「あ~あ、逃がしちゃって。オマケにクサい熱血ドラマも見せられちゃったわよ。もう最悪」
「……お前の性根の腐った性格よりは全然マシだろ?」
「至高の堕天使たる私にずいぶんな物言いね?」
「……至高ねぇ。俺から見たら、その辺のカラスと大差ねえよ」
「……人間如きには分からないのね。かわいそうに」
「……そんな事はどうでも良い……」
「……明日夏君……?」

 僕は思わず身震いしてしまう。それ程までに、明日夏君から濃密な殺気が溢れ出ていた。

「……木場、塔城……お前らは手を出すな……」
「「ッ!?」」

 僕達は明日夏君が言った言葉に驚きを隠せないでいた。

「何を言っているんだ、明日夏君!」

 いくら明日夏君が強いと言っても、あの数の神父達を一人で相手をするのは無謀だ!

「……心配いらねえよ……たかがあの程度の神父があんだけいようと大したことねえよ……」

 顔だけこちらに見せた明日夏君は笑っていた。だが、その笑顔はとてもドス黒い物で、何より目が全然笑っていなかった。
 溢れ出る殺気と言い、今の笑顔と言い、明日夏君が抱いている怒りの感情は相当なものだ。
 無理も無い。先ほどの堕天使の言葉は僕でも怒りを抱いた程だった。それが兵藤君との付き合いが長い明日夏君なら、僕らとは比べ物にならないくらいだろう。親友の命を一度は奪い、奪う為に親友の心を弄び、傷付け、その真剣な思いを嘲笑った。その怒りを一人でぶつけたくてぶつけたくて仕方ないんだろう。
 僕にも許せない事がある。その怒りは自分一人でぶつけたいと思っている。……同士達の無念を……。
 だからだろうか僕は…。

「分かったよ。でも、無理はしないでね」
「祐斗先輩!?」

 僕の言葉に小猫ちゃんが驚き、反論しようとするけど、僕はそれを手で制す。

「……悪いな……Thunder Charge(サンダーチャージ)……」

 明日夏君の背中に背負っている刀から電撃が迸る。
 話に聞いていた、刀の切れ味を上げる動作か。

「……おい、お前ら……武器を捨てて大人しくしてた方が良いぞ?今の俺は今まで以上に容赦が無い……武器を持つ者は確実に殺す!」

 それはおそらく最後通告だったのだろう。無抵抗の者は殺さない、だが、少しでも抵抗の意思が見られれば容赦無く殺すと言う。

「ふざけるな!やれるものなら…」
「……忠告はした……」

 その呟きと同時に、明日夏君は言葉を発しようとした神父に一気に近付き、刀で神父を斬り捨ててしまう。

「ッ!?きさ…」

 続けて言葉を発しようとしていた神父も、言葉を言い切る前に明日夏君によって首を切断された。
 そこからはもう、一方的な惨殺だった。
 神父達の攻撃は避けられるか、捌かれるか、攻撃を行う前に腕を切断されるなどで、明日夏君に全く通用しないのに対し、明日夏君は一撃で確実に相手を仕留めていた。

「ひぃ!?バ、バケモノッ!?」

 神父の一人が恐怖に捕らわれ、銃を乱射をするが、明日夏君は銃弾を避けるなり、刀で弾くなりして神父にゆっくり近付く。

「ひぃ!?こ、降参!降参だ!命だけは!?」

 明日夏君は武器を捨てて降参の合図をする神父から視線を逸らし、他の神父の下に向かおうとする。
 だが、明日夏君が振り返った瞬間、降参した神父が武器を拾おうとした。
 が、神父が武器を手に取った瞬間、神父の首が飛んだ!明日夏君がすかさず斬り飛ばしたのだ。
 その光景は神父達から戦意を失わせるのに十分だったらしく、神父達は次々と武器を捨てていった。

 ドスッ!

 だが、神父の一人が堕天使によって、光の槍で胸を貫かれてしまう!

「……貴方達、何をやっているの?まさか私を裏切る気なのかしら?」

 その言葉に神父達は震えながら武器を手に取る。

「フフフ。それで良いのよ。私は逃げて行った子を追うから、ここは任せたわよ」

 堕天使が翼を広げ、扉へ向かおうとする。

「行かせるか!お前はここで殺す!」

 明日夏君が堕天使を追おうとするが、神父達がその行く手を阻む。

「い、行かせん!?」
「邪魔をするのなら斬るッ!!」
「ひぃ!?」

 神父達は完全に明日夏君に恐怖している。だが、堕天使に殺される恐怖の方が勝っているのか退く気は全く無さそうだった。
 僕達は堕天使の足止めをしようと構える。

「邪魔よ!」

 堕天使は光の槍を投げ付けてきたが、僕達はその場を跳んで避け、僕は堕天使に向けて剣を振るう!
 槍で捌かれてしまったが、それでも腕を少し斬りつける!
 だが、結局堕天使はそのまま扉を通って行ってしまう。
 慌てて追おうとするが、神父達が行く手を阻んでしまう。

「ひぃぃぃ!?く、来るな!?来るなぁぁぁ!?」

 神父の悲鳴を聞き、そちらの方を見ると、尻餅をついて銃を乱射している神父に明日夏君がゆっくり近付いていた。そして、神父の首を容赦無く斬り飛ばしてしまう。
 明日夏君は他の神父達に言う。

「……さっきも言ったが、武器を捨てれば俺は殺さない。あいつの事が怖いんだろうが、あいつは俺が殺す。……だから、さっさと武器を捨てろ。俺は別にフリードの野郎みたいに殺しが好きな訳じゃないからな。だが、それでも来るのなら……斬るッ!!」


ー○●○ー


 俺は『雷刃(ライトニングスラッシュ)』の刀身に付いた血を振り払い、鞘に納める。
 結局、神父どもは誰一人として武器を捨てなかった。結果、この場にいた神父はみんな殺す事になってしまった。
……あんまり、良い気はしねえな……人を殺すのは……。
 ま、それが普通の反応だよな。

「……凄い惨状ね?」

 声を掛けられ、声がした方を見ると、部長と副部長、千秋がいた。

「これ、ほとんど明日夏がやったの?」
「はい。ほとんど明日夏君が」
「千秋もだけど、貴方も相当凄いわね」
「……人を殺して凄いとはあまり思えませんけどね……」
「……それもそうね……」
「……明日夏兄……あの女は?」
「……これから追うつもりだ」
「……なら、私も行く」

 千秋の言葉には怒気が含まれていた。

「……その様子じゃ、そっちも何かあったか?」

 千秋は目線を鋭くするだけで、何も言わない。

「……まあ良い……行くぞ」
「……うん」
「待って、二人とも」

 レイナーレの後を追おうとすると、部長に呼び止められる。

「少し様子を見させて」
「ッ!?部長、何を!?」

 千秋が部長に食って掛かるが、俺は千秋を手で制す。

「……イッセーの実力ですか?」
「ええ。それを見てみたいの」
「イッセー兄は戦った事なんて無いのに!?」
「……『兵士(ポーン)』の駒八個消費の理由が知りたい気持ちは分かりますが、それでも……」
「私はあの子なら堕天使を倒せると信じているわ」

 部長の言葉にはイッセーに対する絶対的な信頼があった。

「……分かりました」
「ッ!?明日夏兄ッ!?」

 知り合って間も無い部長がここまで信じるのなら、俺達も信じてやらねえとな。

「信じてみようぜ。俺達の幼馴染みを……お前が惚れた男をな」

 俺の言葉に千秋が顔を赤くする。

「……ただし、危なくなったら助けに入ります……それが条件です」
「分かったわ」

 でも、なんでだろうな?一度信じ始めた途端、大丈夫と言う妙な確信ができていた。 
 

 
後書き
今さらですが明日夏、人を殺しすぎの様な気がします。 
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