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モンスターハンター ~厄災の狩人達~

作者:島原
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明星の英雄
  千年杉から

 
前書き
地図に存在しない村、エイン村の象徴『千年杉』からこの物語の主人公二人の冒険が始まる。 

 
水晶と農業で栄えた地図に存在しない村、エイン村。
大きくそびえ立つ一本の杉の木の下に二人の少年が居た

「遅えよ!」

「ラスが速すぎるんだよ!」

ラスと呼ばれた少年は自信の表情を浮かべた。
彼の名はダイラス、ダイラス・レノベイア。本作の第一主人公である。
背丈はそれほど高くなく、太陽より眩しい笑顔と炎よりも熱い性格で村では知らない人は居ない。

「アルのその遅刻癖治した方がいいと俺は思うなー」

「揚げ足取らないでくれよ…」

アルと呼ばれた少年は頭を掻いた。彼の名はアルフレッド、アルフレッド・ディエラ。
幼い頃より学問に才を発揮し、数々の功績を挙げてきた凄い少年である。
やや大人びた顔立ちをしており、長身と優しい性格から幅広い年代…特に女性に気に入られている。

二人は今千年杉の木の下に居た。千年杉とは、エイン村の平和を象徴する杉の木である。
大昔、まだ二人が生まれる前遠くの国との交易が百回を超えた記念に植えられた物である。

「ラスはいいよなぁ。本業がハンターで。」

「何を言うんだよ、こっちは常に危険と隣り合わせなんだぞ!?そっちのほうがよっぽどいいわ!」

「そんなものなのかなぁ…。」

「とにかく大衆酒場に行こうぜ。あっちのほうがお金のことで苦労しなさそうだし。」

アルフレッドはダイラスにつれられ大衆酒場に行った。
大衆酒場とは、この村にいるすべてのハンターに酒はもちろんのこと、食事や仕事の依頼、
果ては生活必需品や仕事道具なども提供してくれる万能屋である。

「たまに恋話も持ちかけられるんだけどね…。」

「アル、なんか言ったか?」

「いいや、何でも。」

アルフレッドにとっては例外の事態もある。
そんなことをよそにダイラスはアルフレッドの腕をつかんでずいずい歩いた。
そしてハンターズギルドの受付嬢がいるカウンター席にコップがひっくり返るほどの勢いでこぶしを叩きつけ

「ソルディム山地に行ける討伐系の依頼はあるか!?」

と、噂で聞くバインドボイスとやらよりうるさいかと思うくらい大きな声で尋ねた。
受付嬢は耳を抑えながら困り果てた顔で

「お探ししますので、少々お待ちください。」

と、フラフラしながらクエストボードに向かった。通常クエストボードとは同行者を求める
言わば求人版のようなものなのだが、稀に匿名希望者からの依頼が来てることもある。

「三件ほどありました。」

と、まだ痛そうな顔をしながら契約書を持ってきた。

「一つは?」

と、ダイラスがようやく声のトーンを最小に落として聞いた。

「最近よく目撃されている、鳥竜種ブルノスを五頭討伐するものです。」

ブルノスとは、ここ最近発見された、テロス密林に生息している鳥竜種ランポスの亜種である。
ブルノスの体表面は灰色の鱗で覆われており、岩場が多いソルディム山地では保護色の役割を果たす。
また、ランポスやゲネポスにあるトサカがブルノスにはない。これも大型モンスターから身を守るためだとも言われている。

そして最大の相違点は攻撃方法。
フラヒヤ山脈にいるギアノスは氷液を、クルブティオス湿地帯にいるイーオスは毒液を
吐いてくるが、ここソルディム山地に発見されたブルノスは粘性物質を吐いてくる。
その粘性物質には装備者の防具を溶かす能力まで持ち合わせており、手慣れたハンターでも
けが人が出るほどである。
溶解状態を解除するにはソルディム山地でのみ採れるデンキ草とクルブシキノコを調合した
中和剤をかければ粘性物質は中和され、消滅する。

「次は?」

「広範囲で目撃されている飛竜種ガブラス十頭の討伐です。」

ガブラスについては知らないものは居ないとされているほど有名な飛竜種である。
空中から奇襲したり、毒液を吐いたりすることで有名だが、古龍出現の前には必ず
このガブラスが目撃されてたりと、生態に関してはまだまだ不明である。

「最後は?」

「えっと、牙獣種ヴリンダを三頭討伐する依頼です。」

ヴリンダも最近発見されたモンスターの一つである。
周囲の環境と同化し、安全に生息するためかこちらも灰色の毛に覆われている。
テロス密林やクルブティオス湿地帯に生息するコンガとは違い、あまり好戦的ではないが群れの一匹が倒されたことを察知すると、集団で襲い掛かってくる習性がある。

「じゃあ一番妥当なヴリンダの依頼、行くか。」

「そうしよう…って待てよ?ガブラスが目撃されてるってことは…。」

「古龍でも来るってか?」

「まあ、今は気にしなくてもいいか。ガブラスはいるけど古龍は出なかったって報告もあるし。」

「じゃ、決まりだな。このクエストに同行者はいるか?」

「いません。募集しますか?」

「いや、いいよ。行こうぜ、アル。」

「あ、ああ。」

「それではご健闘をお祈りします。」

ダイラスは先に出口へ行ったが、アルフレッドはストアでマタタビを買ってから行った。

「そんなマタタビ何に使うんだ?」

「まあ見てて。」

少し歩くと何かが飛び出してきた。よく見るとアイルーだった。

「旦那!忘れちゃいニャいでしょうね?」

「あー分かった分かった。ほら。」

「ニャーい!旦那さんありがとニャ!」

アイルーはマタタビをもってどこかへ去っていった。

「あれ、お前の相棒か?」

「違うよ、たまたま落としたマタタビをあいつが持ってって、何故かこうなったんだ。」

「結構なりゆきまかせだな、お前。」

「気にしない気にしない。」

二人は再び歩を進めた。大衆酒場のクエスト出口を出て十分、ようやくソルディム山地についた。

「さって、支給品の割合どうする?」

「五対五でいいだろ。」

「オッケー。」

と、アルフレッドは支給品ボックスから応急薬を六個、携帯食料を四つ、
携帯砥石を二つ取り出した。ついでに取った地図でソルディム山地の地形を確認した。
このソルディム山地は土に恵まれた土地である。
ふもとには珍しい草が生い茂り、山頂には古龍観測局が立てた旗がある。

ここまで聞いているとフラヒヤ山脈とほぼ一緒だが、ここからが異なる。
まず、フラヒヤ山脈のふもとには大きな湖が広がっているが、このソルディム山地にはない。
ソルディム山地の雪解け水は三合目にある特殊な地質の土に吸収されてしまう。
それと、フラヒヤ山脈では凡用性のある鉱石が採れるが、ソルディム山地ではマスティア鉱石や
ホークスロー鉱石など、珍しい種類の鉱石が採れる。
これがエイン村を栄えさせた理由の一つ。
なぜこのような特徴があるかは地質研究学者が調査中だが、依然分かっていない。

「まず、ふもとの広いエリアへ行って草食動物に実験だね。」

と、アルフレッドが歩き出した。

「じゃあ、オレはノフォスを討伐してくるよ。」

ダイラスは別方向へ歩き出した。

「おっいたいた。あれは…、バノトプスか。」

草食竜バノトプスとは、ソルディム山地のふもとにいる堅い甲殻に覆われたモンスターである。
バノトプスは様々なものに用いられている。骨は武器に、皮は防具のつなぎや衣服に
甲殻は防具本体に、肉は栄養価が高く健康食として食べられている。

「よーし、ちょっと失礼するよ。」

アルフレッドはポーチから薬包紙に包まれた試作品を取り出した。

「おっと、忘れるとこだった。マスクマスク。」

そして、

「それっ。」

と、薬包紙を思いっきり広げた。衝撃で薬包紙は破れたが、粉塵は風に乗って拡散した。
すると、バノトプスはゆっくり顔をあげ、活動が活発になった。

「成功だ!やったぁ!」



「…何かすげぇ数のノフォスがいるなぁ。」

エリア五、山でいう二合目辺りの場所で無機質な岩に囲まれた閉鎖空間である。
天頂部に大きい穴が開いており、飛竜種が稀に巣を作ったりする。

「とりあえず降りて速効で力を溜めてぶん回せばいいかな。」

ダイラスは背中に担いだハンマー、マーシレスガンハンマーを持って飛び降りた。
このハンマーはエイン村反映の要でもあったホークスロー鉱石を使った無属性の鉄鎚。
しかし威力はハンマー相応、振り応えのある得物だ。

「ぐぅぅぅぅ…」

ハンマーを持つ手に力を込める。
溜めきったところでダイラスは一気にハンマーをぶん回した。

「よぉいしょっとぉ!」

たまたま振り回した先に三体のヴリンダが居たおかげで依頼は速効で終わり。
合図の角笛を吹いた。



アルフレッドは急いで拠点に戻った。

「今日はすごく早かったね、討伐。」

「いや、こっちとしても幸運だったんだ。何しろ一つのエリアに十匹以上群がってたんだから。」

「…まずいな、早く行こう。」

「どうか、したのか?」

「ヴリンダの繁殖期だ。今にものすごい数のヴリンダが生まれるだろう。」

「そりゃあやばいな。早いとこ行こう。んで、強走の粉塵の効果は?」

「大成功!だけど、一応大衆酒場の薬学研究長の許可をもらわないと。」

「そうしないと?」

「違法製造で捕まる。」

「…結構大変なんだな、調合師も。」

「ハハハ…。」

二人はバノトプスがひく荷車に乗っかった。

第一話 終
 
 

 
後書き
どうも、こちらへの投稿は初になります。島原というものです。

もともとこの小説は「モンスターハンター 二次創作小説」様に投稿していたものですが
しばらく前に謎のサイト閉鎖がされ、こちらに移行した次第になります。

これからリメイクしつつもう少し読み応えのあるものに仕上げていこうかと思いますので
生暖かく見守ってあげて下さい(´・ω・`) 
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