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今時のバンパイア

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第三章

「探したわよ」
「おい、来たのかよ」
「実は私もここの学生だったのよ」
「市立のかよ」
「私は文学部だけれどね」
 だが同じ大学だというのだ。
「そこだったのよ、縁ねこれも」
「そうだな。まさか同じ大学だったなんてな」
「じゃあ再会を祝してね」
 桃香は小柄な身体から明るい感じで言う。
「今日はお天気もいいし外でお昼にする?」
「ああ、昼な」
「もう食べた?お昼」
「いや、まだだよ」
 それはまだだった、丁度今からラーメンでも食べようと思っていたところだ」
「今からって考えてたんだよ」
「そう、じゃあ何食べるの?」
「ラーメンかなって考えてたけれどな」
「大蒜ラーメン?」
「いや、昼から大蒜の匂いをさせるのはさ」
 マナーとしてどうか、禎丞はこう考えていた。
「普通のラーメンにしようかなってさ」
「最近はトマト入れたラーメンもあるわね」
「ラーメンにもトマトかよ」
「ええ、あの夜にも行ったと思うけれど」
 その時の話もするのだった、天気のいいキャンバスの中で。
「私は赤いものが好きなのよ」
「それでトマトか」
「トマトは身体にいいのよ、じゃあ今からラーメンね」
「それ食べるか」
「一緒にお外でね」
 桃香は楽しそうに上を見上げた、そこには黄金に輝く太陽がある。
 その太陽を見上げてこんなことも言った。
「やっぱりお日様は気持ちいいわね」
「変なこと言うな」
「変なことかしら」
「ああ、日光浴好きとかか?」
「好きよ、大好きよ」
 その白い顔に満面の笑顔で禎丞に語る。
「夜も嫌いじゃないけれど」
「そうか。あと胸の十字架は」
 銀のそれも見る、太陽の光を受けて眩く輝いている。
「あんた宗教は」
「あっ、これは只のアクセサリーだから」
「それか」
「そう、家は仏教で実は家はお寺なのよ」
「全然そうは見えないけれどな」
「よく言われるわ、とにかくね」
 桃香は彼女のペースで禎丞に言っていく。
「今日はラーメンね」
「それにするか」
「わかったわ、トマトもトッピングしてね」
 ここでも赤にこだわるのだった、そしてその外で一緒にラーメンを食べてからだった。
 桃香は禎丞と一緒にキャンバスを歩きながらこんなことも言った。
「今度の日曜ね」
「もしかしてデートの誘いかよ」
「そうよ、プールに行く?海に行く?」
 禎丞の方を見て楽しげに言って来る。
「どっちにするの?」
「おい、いきなり水着かよ」
「悪い?」
「デートに自分から誘って水着か」
「私これでも肉食系なのよ」
 桃香は笑顔で禎丞に返す。
「自分から積極的にいってるのよ」
「幾ら何でも積極的過ぎるだろ」
「そうかしら。まあそれはいいとして」
 桃香はあくまで自分のペースで話を進めていく。
「どっちにするの?」
「そうだな、じゃあ海にするか」
 禎丞は少し考えてからこちらにした。 
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