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幸せな犬

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第三章

「ここは何もないらしいよ」
「へえ、そうなんだ」
「そうした場所だったの」
「それで食べるものもね」
 タロ達の御飯のお話にもなります。
「種類が少ないらしいよ」
「お肉あるよ」
「そうそう」
 タロ達は犬です、だから食べているものはお肉です。 
 牧場の牛さんや豚さん達ではありませんが同じ種類の、他の牧場から貰ったものを食べているのです。
 タロ達はそのお肉を美味しく食べています、ですが。
「烏さん達が言うにはなんだ」
「僕達食べている種類少ないんだ」
「そうなの」
「何でも街っていう場所だとね
「街?」
「街って何なの?」
「凄く色々なものがあって」
 タロは街と聞いていぶかしむ兄弟達にお話します。今は皆で牛さん達を見守りながらお外でくつろいでいます。
 その中でこうお話したのです。
「家や建物も一杯あってね」
「食べ物もなんだ」
「一杯あるのね」
「たくさんの種類がね」
 あるというのです。
「何かハンバーグとかコロッケとか」
「ハンバーグ?コロッケ?」
「何それ」
「他にはお好み焼きとか」
 そうしたものがお話に出てきます。
「とにかく一杯あるらしいよ」
「お肉かな」
「そうじゃないの?」
「烏さん達が言うには違うんだ」
 タロ達がいつも食べているお肉とは、というのです。
「またね」
「一体どう違うのかな」
「全然わからないわよね」
「ハンバーグとか言われても」
「どういうのなの?」
「ドッグフードっていうのもあるらしいんだ」
 タロは今度はこの食べ物のことを言いました。
「そんなのもね」
「ドッグフードっていうのも」
「何が何なのか」
「うん、僕も話を聞いてて全くわからなかったよ」
 タロ自身もそうでした、烏さんからそう聞いても食べ物ということだけがわかっただけだったのです、それ以外のことは全くわかりませんでした。
「本当にね」
「ううん、街にはとにかく建物が一杯あって」
「沢山の種類の食べ物があるのね」
「しかもどれも凄く美味しいらしいよ」
 タロは今度はこのことを言いました。
「もうびっくりする位ね」
「美味しいっていつも食べてるお肉も美味しいよね」
「そうよね、生のも焼いたのも煮たのも」
 タロ達はいつもそうしたものを食べているのです。それもたっぷりと。
 ですがそうしたお料理のことはどうしてもわからず言うのです。
「そういうのの他にもあるんだ」
「街には」
「本当にね、烏さんが言うにはね」
 タロはさらにお話します。右の前足が時折上下に振られます。
「街は凄く楽しくていい場所だよ」
「そうなの」
「そんな場所があるのね」
「そうみたいだよ」
 タロは兄弟達に烏さんから聞いた街のことをお話しました。兄弟達も街のことを聞いてどういった場所かと考える様になりました、そのタロ達のところにです。 
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