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ドラクエⅤ主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?

作者:あさつき
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一部:超絶美少女幼年期
  二十五話:出来る女とそそっかしい子

 お説教されてるベラを後目(しりめ)に、モモと一緒に散々景色を堪能し、お部屋の中もキョロキョロと眺め回して、いい加減することも無くなってきたので。

 そろそろ止めたほうがいいかな?と、ポワン様とベラに目をやると。

「どうですか、ドーラ。妖精の村は。楽しんで、頂けました?」

 と、にっこり微笑むポワン様。

 全てを見ていただけあって、名前も何もかも、お見通しですか!
 私が色々見たがってるって、わかってたんですね!
 その時間をくれるついでに、必要なお説教も済ませてしまうとは!
 ポワン様も、出来る女ですね!

 大変素敵な女性ではありますが、だからこそ、ハーレムメンバーなんて失礼なことは言えないね!
 目上の女性として!別格の存在として!
 敬意を、払うべきだね!

 決して、ハーレムメンバーを下に見ているわけでは無いけれど!
 パパンやママンやサンチョを、いくら好きでもハーレムメンバーとは言わないとか、そんな感じで!
 攻略対象外?
 愛でる相手と、慕う相手の違い?
 そんな感じ。

「はい!とっても、すてきなところですね!ちょっと、さむいですけど!」

 人間界もまだ寒かったけど、雪に包まれるような状態では無かったからね!
 ここが、季節の中心みたいな感じなのかな?
 冬の間は、とことん冬!
 春は思いっきり、春!みたいな。

「そうなのです。本来はもう、春の温もりに包まれているべき時期なのですが。あなたにお願いしたいのは、そのことなのです」

 おお!雑談から、自然に本題に持っていった!
 こんなに出来るポワン様の部下であるベラは、何故に……。
 ……よくあることか!

 ベラの視線がキツいが、気にしない!
 ホント勘はいいね、ベラは!

「私たち妖精が春を呼ぶために必要な春風のフルートが、ある者に奪われてしまったのです。このフルートが無ければ春を告げることが出来ず、世界は冷えきったまま。まだ幼いあなたに、このようなお願いは気が引けるのですが。私たちの姿が見えるのは、清い心を持つだけでなく、あなたに不思議な力があるためかもしれません。どうか、フルートを取り戻していただけませんか?」

 清い心は正直自信が無いんですが、不思議な力には心当たりがありますね!
 そういうことか!

「はい!はるがこないと、おやさいもつくれなくて、みんな、こまりますから!がんばります!」

 ある者って、はっきり言わないのが気になるが。
 このポワン様が濁すからには、言いたくない理由があるんだろう!
 どうせやることは変わんないし、わざわざ不興を買うような真似はしませんとも!
 ポワンファンとして!!

「ありがとうございます。ではベラを、お供につけましょう」

 え?ベラを?
 そういう展開って知ってたけど、大丈夫なの、その子?
 なんか、危なっかしくない?
 そそっかしいというか。

「ベラはそそっかしいところはありますが、好奇心旺盛で、行動力があります。剣を振る力を持たず、戦いに向かない私たち妖精には、珍しい人材です。きっと、お役に立てるでしょう」

 思考、読まれた!

 頭脳労働には使えないけど、肉体労働なら適任ってことね!
 適材適所ですね、流石ポワン様!
 そういうことなら、オッケーです!

「では、ベラ。期待していますよ。ドーラに、ご迷惑をかけないようにね?」
「はい、ポワン様!お任せください!」

 汚名返上とばかりに、ベラが張り切ってますね!
 たぶん、後半聞こえてないね!
 だからそそっかしいっていうのに!

 まあ、私が気を付けておけば大丈夫だろう!
 ある意味、扱いやすそうだし!

 またベラの視線がキツいが、言いたいことがあるなら、言えばいいのにね?
 そんなことしたら、返り討ちですが!

 とか考えてたら、逆に視線を逸らされました。
 うん、勘がいいね!
 そしてやはり、扱いやすい!



 ポワン様のいる大きな木の家を出て、村に出ます。

「さあ!早く出発しましょう!」

 ベラが張り切ってますが。

「まってください。すこし、じゅんびしていかないと」

 話も聞きたいし、買い物もしたいんですよ。
 自前の立派な爪とキバがあるとは言え、モモが丸腰だし。
 痛めたら可哀想だから、なんか買ってあげたい。
 あと寒いから、あったかい服とか!

「だけど、急がないと!」

 自分の都合を押し付けてくるというより、単に気が回ってない感じなので、まあいいんですが。

「いそぐなら、よけいに、じゅんびは、たいせつですよ?いそがばまわれって、ポワンさまにいわれたこと、ないですか?」
「……!な、なんで、知ってるの!?」

 あるのか。
 適当に言ったんだけど。

「……わかったわ。ごめんなさい、私ってそそっかしい上に、せっかちで。よく、ポワン様にも叱られるの」

 ベラも、反省ができる良い子ですね!
 その反省が、なかなか次に生かされないようですが!
 こういうのは性格だから、仕方ないのかね?

「わかってくれたら、いいんです。いまは、わたしがいっしょなんですから!わたしが、きをつけておきますから!」

 あまり子供らしくない発言だが、まあいいだろう。
 相手は妖精だから、後の生活に響くことは無いし。
 下手すると、命が懸かってくることだし。

 ベラが、決まり悪そうに微笑みます。

「ありがとう。ドーラはまだ小さいのに、なんだかお姉さんみたいね」

 ませてると思われるくらいなら、別に問題も無いし。
 まさかこの程度のことで、転生とかそこまで飛躍しないよね!

「まるで、中身は大人、みたいな……」

 ちょ!
 勘、良すぎ!!

「おかあさんが、いないので。しっかりしてるって、よく、いわれます!」

 内心冷や汗をかきつつ、誤魔化しに入る私。

「えっ!?ご、ごめんなさい!そんなつもりじゃ、無かったの!大人とか、もちろん冗談よ?……うん、そっか、大丈夫!お母さんは無理だけど、お姉さんと思って、甘えてもらっていいからね!」

 なんか色々と、自己完結してしまったベラ。
 逆に、申し訳無いです。

 ……まあ、都合良く勘違いしてくれたなら、いいか!
 元々、誤魔化そうとしてたんだし!



 と、いいのかわからんけどまあいいことにして、妖精の村のお店で装備を調えます。

 モモに、石のキバと皮の腰巻き。
 私に、毛皮のフード。
 そして、船でゲットしてほとんど使わずに持ってた皮の帽子を、モモに。

 寒いからモモにも毛皮のフード、なんとか被せられないかと、思ったんだけどねえ……。
 耳まですっぽり覆っちゃうからか、モモが嫌がってね。
 まあ、嫌がるものを無理強いすることも無いので。
 なんとか耳出して装備できる、モモも嫌がらない、皮の帽子を被せることで妥協しました。

 私の盾は皮の盾のままで、鎧は無く、普通の服に手織りのケープを羽織った状態で、マントも着けてますが(重ね着とか、現実ならではだよね!裸鎧とか無いでしょ、実際!)。

 うろこの鎧も青銅の盾も、特に防寒の役には立たなそうなので、そこは節約してこのまま行くことに。
 ゲームでも結構なんとかなるし、レベルもゲームの通常進行時よりは高そうだし、きっと大丈夫だろう!

 今にも旅立ちたそうなベラに情報収集の重要性を説いて、今度は村の散策です!
 小さい木のお家も、近くでじっくり見たいよね!
 中にも入りたいしね!


 趣味と実益を兼ねて、きっちり探索するとしましょう!! 
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