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転生者拾いました。

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濁り銀
  閃銀

 突如、死神から強烈なプレッシャーが放たれ、ワタシは両脇がゴーレムを配置して彼の様子をうかがう。

「もう、いやなんだ。仲間が死ぬのは。」
「なんなの?これ。」

 死神は立ち上がって落としていた剣を呼び寄せ消えた。否、瞬間移動的な速さで移動したのだ。
 すると突然脇にいたゴーレムが胴を斬られ爆散した。

「ゴーレム、あいつを止めなさい。」
『グオオォォォォ!!!!』
「遅い。」

 しかしシルバも一瞬のうちに状況を理解し両脇を固めているゴーレムに指示を出す。
 だが、それも瞬く間に斬り捨てられた。

「い、いったい何なんですか!?」
「目標を無力化する。」

 漆黒の瞳を持つ死神が緩慢ながらも緊張した動きで近づいてくる。

「どういうこと……。」
「……。」

 その様はまさしく『死神』そのもの。この時シルバは初めて身の危険を感じ取った。

「もう、だれも死なせない。死なせるものか!」
「くっ!」

 死神が剣を振りかぶって切りかかるがバックステップをとり、短剣をもう一本取り剣を受け止める。勢いが付きすぎたせいか死神の体が浮き、彼の足が鳩尾に刺さり息ができなくなった。蹴られた衝撃でシルバは真後ろに飛ばされ、岩に激突し肺に残っていた空気のほとんど吐き出した。
 機を逃さず死神が再び攻勢に出て、炎の矢を放つ。シルバの土の矢を放って迎撃しそのほとんどを撃ち落とした。爆炎が立ち込め死神が斬りこんでくると予測した彼女は岩から離れる。

「くっ!ゴーレム!」

 予測通りシルバが元いたところに死神が斬り込んだ。
 ゴーレムに捕まっているセリナとエリザはぐったりとしている。ゴーレムの戒めを解かせ、シルバはこのゴーレムたちを逃げの一手として使うことを決める。
 二体とも死神に向けて突撃させ、一体は容易く斬られたが、もう一体は予定通り自爆させた。

「その力は危険。目を覚ましなさい。」
「うるさい。」
「その力はあなたを滅ぼしてしまいます。死ぬ気ですか。」
「うるさい!」

 爆炎を使ってうまく死神から離れ、巨石のすぐ近くに降り立つ。
 瞳の色からして呪い系の魔術に掛っている。
 記憶をたどり身体強化のページを開くが該当する呪いが見つからない。

「あれは能力(オリジナル)バーサーカーだ。」
「バーサーカー?」
「説明は後だ。もう儀式部隊が保たない。」
「わかりました。撤退ですね。」
「そうだ、私が転移魔法陣に魔力を注ぐから、その間部隊の防御を頼む。」
「了解です。」

 死神に斬り込まれた時点ですでに儀式部隊には被害がでていた。それでも霧の森の時に比べれば倍近い大所帯で来ている。数人やられた所で儀式に支障は出ない。
 しかし、いくら大丈夫とは言っても戦闘部隊では再起したあの女たちを抑えることは出来ない。ならば撤退もやむなし。
 現に彼女たちは淵で大技のチャージをしているし、転移魔法陣が魔法発射より先に出来れば巨石に被害が出て破壊されるおそれがある。しかし、ワタシ一人ではあの二つの大技に耐えることは出来そうにない。

「儀式部隊!ワタシに魔力を廻せ!」

 待機している儀式部隊が了解の旨を示し、魔力受け渡しの呪を唱える。みるみるうちに魔力が回復しワタシも防御魔法を構築させる。
 
「転移魔法陣、準備完了!シルバ!」
「少しお待ちください!」

 足元の魔法陣が光り出すがまだ防御魔法の構築が済んでいない。相手のチャージもそろそろ終わりそう。
 
「っ!くぅっ!!」

 魔法陣の縁をなぞるように薄い緑の発光現象が起き、そこから透明な緑の幕があがっていく。ワタシが出せる最大の防御魔法、それも座標を固定化しての設置型。通常、こんな大きな防御魔法は使われることはない。

「はぁはぁ……できました。」
「よし、転移だ。」

 司教が頷いて転移魔法陣を作動させ、辺りに巨大な光をもたらして我ら白光教会は蒼風の谷を後にした。 
 

 
後書き
生きる糧との戦い
開かれる扉

次回 流銀

お知らせ

どうも、ジョニー・Kです。
夏休みも終わりかけの今日この頃、みなさまは如何お過ごしでしょうか?
さて、私事で大変申し訳ありませんが「転生者拾いました。」を毎週木曜日とします。
部活、バイト、ボランティアなどがありまして執筆の時間がとれません。

年が明ければ週二の更新に戻します。
ご迷惑をお掛けしますが、ご理解とご協力をお願いします。 
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