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少年は魔人になるようです

作者:Hate・R
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第59話 少年達は一歩進むようです

Side 刹那

「ぅ……………。あ、痛っ!」


起きると、そこは何時も見るダイオラマ球の中でした。

そう、確か・・・私は武闘祭でエヴァさんと戦って・・・・・無茶な強化をしたせいで倒れた、のですか。


「あれ……。誰か居るのですか?」


階下からドタバタ暴れる音と、人の声が聞こえてくる。

少々負傷が痛みますが、そこは我慢出来る範囲です。


「に、兄様……やめ、こんな所で!」

「いいから脱げって。ほら。」

「私はいいと言ってるだろうが!!ほ、ほら、刹那の様子を見てやらんと……!!」


居るのはどうやら、愁磨さんとエヴァさんのようです。怪我を見ようとしているのでしょうか・・・?


「せ、刹那!起きたのか!!」

「はい、なんとか……あっ!?」

「っっとぉ!!まだ起きるなって。そこそこ治ったけど、両足と右手はズタボロだったんだ。」

「す、すみません……。」


脚から力が抜けて危うく階段を転げ落ちる所を、愁磨さんが受け止めてくれます。うぅ、近い・・・・。


「私は大丈夫だから行くぞそれではな刹那!!」
ガッ
「しばらくそこに居なさい。」

「ちょっ、はーーなーーーせーーー!!」


愁磨さんはエヴァさんを何かで縛ると、私を抱きかかえ寝室まで上がり、再度ベッドへ寝かされる。

って、今思ったらこれは愁磨さんのベッドじゃありませんか!!


「刹那ぁ!!」

「ひゃいっ!?」

「あんな無茶苦茶やりやがって、何のつもりだ!?

これで死ぬって状況でも無い限り併用すんなって言っただろうが!それを学園のクソ下らねェ、

なんでもない戦いで使いやがって!てめーから死にに行く奴を守れる程俺は万能じゃねェぞ!」

「あ、わ、私………。」


愁磨さんの剣幕に、何も言えなくなります。

いつもの修行の延長線だと思って、ちょっと無茶しただけで・・・良いところを見せたくて・・・・。


「私、わた、し………ごめん、なさ…………。」

「……はぁ。いいよ、これから気をつけろ。じゃな、おやすみ。」


いつもの様に頭をポンポン叩くと、下に行ってしまう。エヴァさんの悲鳴が聞こえますが・・・

今は助けられません。


「……そう言えば、いつからやってるんでしょう、あれ。」


考えても詮無い事だと思い、また寝る事にしました。

Side out


Side 愁磨

ドッッッ―――――ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!

『大 爆 発 ーーーーー!!もみじ選手の痛烈な一撃!と言うかステージ必要なのか!?』


刹那とエヴァを別荘へ残し武闘祭の方へ来ると、もみじのモノと思しき火柱が天高く昇った所だった。

・・・自分でやっておいてなんだが、認識阻害やりすぎたな。


「小太郎、この前はアリアとしずなの対戦だったよな?」

「ああ、あー、せや。」

「……?どうした、何があった?」

「なんちゅーか………まぁ、簡単に話すわ。」


―――――――――――――――――――――――――――――
subSide 小太郎

『お待たせいたしました!それでは二次本戦、準々決勝を始めます!

神速の虎使いアリア選手VS謎多き女教師しずな選手!!』


ステージにアリアはんとしずなはんが上がる。あ、アリアはん、ものすっごい怖いで?

そら、得体知れんのは分かるけど。


「・・・聞きたいのは、一つ、だけ。何者・・・?」

「ウフフ。勝てたら教えて差し上げますわ。」

『それでは一回戦!レディイイイイイイイ……ファイト!!!』

「喰い千切って・・・・『神虎(シェンフー)』!」


音を置き去りにした一撃・・・いや、四撃がしずなはんを襲う。が・・・無傷やと!?


「今のは危ないですわね。危うく死んでしまう所でしたわ。」

「・・・・!?避け、た・・・?」

「直線的な攻撃なんて、私には効きませんわ。"エル・デル・ケルク・ヘルネルド"『集え、生者の施し』!」
ズガン!!

『しずな選手のパンチ一発で強化したステージが陥没しました!!一体なんなんだこの教師は!?』


多分、光を凝縮した一撃や。

ワイは魔法詳しくないけど、始動キーとマナの集まり方の感じやと他のと同じや。


「"エル・デル・ケルク・ヘルネルド" 『屠れ、死者の花束』!」

「・・・神虎(シェンフー)、ファイア!」
ズドドドドドドドドドドドドドド!!


あの虎の火球、一発が|火の上級魔法くらいの威力あんねんぞ!それを魔法一発で相殺するやと!?

愁磨はんじゃあるまいし、そんなアホな!


「あら……二節もった相手は初めてですわ。」

「・・・・パパの、魔法?・・・似てる、けど・・・違う?」

「わたくしのは魔術との混合ですので。"エル・デル・ケルク・ヘルネルド" 『持て、正義の剣』!」


アリアはんと虎は、光の剣を避けながらチマチマ攻撃するけど、しずなはんに当たると掻き消えてまう。

愁磨はんの"アトロポス"と同じもんか!?


「・・・手加減、しない。来て、神虎(シェンフー)。」

「あら、それは厳しいですわ。"エル・デル・ケルク・ヘルネルド"『潰せ、死の制裁』!」
キュインキュインキュイン ―――ドン ドン ドン!!


三つの黒い玉から極太いレーザーが発射されて、アリアはんと虎が呑み込まれる。

けど、虎はもう融合状態になっとったし無傷やろ。


「無傷とは少々傷つきますわ……。"エル・デル・ケルク・ヘルネルド" 『穿て、聖者の列』!」

神虎(シェンフー)、右手・・・。『蒼炎虎撃 右ノ光線』!」


アリアはんが虎を手足に宿して、上から降って来た光の柱を蒼い炎で逆に消し飛ばす。


「"エル・デル・ケルク・ヘルネルド" 集え光輝 消え去れ闇夜 サンタ・マリアの名の元に! 

『全ての不義に鉄鎚を』!!」
カッ――――――!!
神虎(シェンフー)、皆・・・。『翼族流奥義ノ天 翼獣王』。」
schlgruaaaaaaaaaaaaaaa――――!!

ガゴォオォォオォォォオォオオォオッ!!


しずなはんの十字架とアリアはんの翼の生えた何かがぶつかって、ステージの半分が蒸発しよった。

・・・にも拘らず、あの二人無傷やねんけど。


「あら……わたくしの最強の一撃を受けて無傷とは。これでは、勝てる気がしませんわ。

わたくしの負けですわ。」

Side out
―――――――――――――――――――――――――――――

「で、言ったら消えてもうた……っちゅー感じや。」

「ふーむ、成程……。ウチに馴染んでる以上、一般人じゃないと思ってたが……。

"天"と相討ちした時点で、エヴァクラスの力はあるな。」


俺の魔法と何かの魔術の混合術式・・・?

だが俺の魔法は創ったモノだから、解析には強化魔法でも十数年、最上級魔法なんて百年単位の時間がかかる筈。


「『魔炎奥義 "天拳(ヘヴンズフィスト)"』!!」

「『神鳴流最終決戦奥義 氷帝剣』!!」
ザッ シュゥゥゥゥ――――――


考えている間にも、二人の戦いは佳境に入ったようだ。

もみじの炎の拳を刀子の氷の剣が斬り裂き、同時に氷が蒸発、大量の霧が発生する。


「(通常なら刀子が"霧化"、周囲の霧と同化して掛け値無しの全範囲攻撃で終わりだ。

が、相性が無いな。)」

「『霧化』!」
サァ――
「……それを待っていたよ。『炎陣 "爆"』!」
ドゥッ!!


もみじが霧内に炎の球を大量に形成し、爆発させる。周囲の温度が上昇し、霧が全て蒸発する。


「ぐっ………!!しまっ―――」
ゴゥッ
「……………。」

「……参りました。」


刀子は一瞬早く気付き霧化を解き一緒に蒸発するのを防ぐが、無理な解除により体勢を崩す。

そこにもみじが炎剣を突き付け、戦いが終わる。


「次は……タカミチとエヴァか。………ダメだな。間違いなくタカミチの攻撃が当たっちまう。」

「アンタは相変わらず過保護かいな!!って、今までのはええんかいな。」

「ウチの子同士だったり、実力があまりにも違ったからな。

だが今回はダメだ。一発でも掠ったら、間違いなくタカミチを殺しちまう。」


となると、俺達とジジイ達の弟子対決か・・・・。

ネギの手はアルのおかげで大分出たし、小太郎は殆ど手を見せてない。

有利なのは圧倒的に小太郎だが、どうなるかな?

Side out


Side ネギ

『第三回戦はエヴァンジェリン選手の棄権により、高畑選手の勝利!』

「アハハ、正直安心してるよ。」

『それでは、準々決勝最終戦!!見た目は子供、実力は破格!

ネギ・スプリングフィールド選手VS犬上小太郎選手!!』


僕と小太郎君は、同時にステージに上がる。

僕は魔法を教わる為に。小太郎君は・・・よく分からないけど。お互い、譲れない以上。


「負けないよ。」 「負けへんで。」

『レディイイイイイイイイイイッッ!ファイト!!!』

「『戦闘の為の協奏曲(バルトフェルド・コンチェルティア)』!!」

「『狗族獣化』!!」
ドッ――――

「ぁぁあッッあああぁぁああぁぁあぁぁぁぁあぁぁあああああ!!!」
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ
「うぉぉおおおおぉぉッッおぉぉぉぉぉおおおぉおぉおおおお!!!」

『超 連 激 ーーーー!!拳によるガチンコ対決!!これは熱い、凄く熱い!!暑苦しい!!』


同時に肉体強化しインファイトに縺れ込むけれど、小太郎君が獣化した事でリーチに差が生まれる。

技もバレてる、リーチも負けてる、頼みの綱は運と度胸!

秘密で特訓した魔法も、小太郎君には殆ど意味ないし・・・・


「(不利も良い所……だけど。)フ……フフフ、ハハ……!!アハハハハハハハハハハハハ!!」
ガッガガッ ガガガガガガガガガガガガガガガガガン ドォォン!!
「こんの、戦闘狂が……!楽しそうに笑いよって。自分不利なんが、そんな楽しいんかいな!」

「うん、楽しいよ!小太郎君だって楽しそうじゃないか!!」

「この先に、この世の不条理集めた化けモンが、牙も爪も研いで毛並みまで整えて待ってんねんで!?

しかもそこに行くには、ライバル倒さんとあかんと来た!!」

ガドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッドドドドド
「「楽しくないはずがない!!!」」
ドドドドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!

『殴る、殴る、と に か く 殴るうううううううう!!!

衝撃で二人の真ん中には、綺麗な一文字が刻まれている!』


体力と力は多分五分、速さは僕の方が上、技の数はあっちが上!なら、ここは!!


「雷矢、正拳加速!!」
ドッ!
「がふッ……速いやないか!」


魔法の射手(サギタ・マギカ)の雷の矢を肘の後ろから撃ち込んで、高速の正拳突きをぶつける。

それを受けた小太郎君は狗神を右手に凝縮する――!!


「うぉぉぉおおおッッッ!『狗音爆砕拳』!」

「それはっ…!雷矢収束ッッ『雷華崩拳』!」
ズガンッ!!!
「グッ………、痺れるやないか!!」

「普通は動けなくなるんだけどね!?」


『魔法の射手』を拳に収束させて、攻撃力を爆発的に上げる。

学園長先生が魔法の修行を殆どしない代わりに教えてくれた技。だけど、溜め無しで使える

67本でアレと相殺か・・・!


「(そうなると、魔力がキツイ……!)なら、『我流 銀龍』!!」
GRAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!
「(アレを殆どノーモーションで相殺かいな、割に合わんわ!)『犬上流 狗撃』!!」
WUOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!


僕が龍を召喚すると、小太郎君は黒い狗を召喚する。

対策はバッチリ・・・って言いたいんだろうけど、甘いよ!

GRu―――
「避けた!?
GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!
ガッ……!!アホな、巻き付いたまま消えんやと!?」

「これ、ホントはそう簡単に消える物じゃないんだよ!!

"ラス・テル マ・スキル マギステル 光の精霊667柱集い来たりて敵を射て!

魔法の射手(サギタ・マギカ) 連弾・光の667矢(セリエス・ルーキス)』"――!」

「うげっ、『犬上流 狗針陣』!」
ザザザンッ!


小太郎君の足元から黒い針が出現して、龍が串刺しになる。拘束が解けるけど―――無駄!!


「集束、『桜華崩拳』!!!」
ズドンッ!!!
「か…………。」

『犬上選手、ダゥゥゥウーーーーーーーーン!!!』


今撃てる最大の一撃を殆ど直撃で受けて、小太郎君は倒れた。死んではいない筈だけど―――

ド ドンッッ!!
「ぐぁ………!?」

「ハッハ……。『犬上流 狗撃二連』、気ぃ抜いたな……!」


後ろから二匹の狗神・・・!防御を捨てて攻撃するなんて、そんな事!


「狗音、影装!!『翼族流奥義ノ参――――――!』」

「"ラス・テル マ・スキル マギステル" 神光 皇杖 輝天 聖浄!我を喰らいて闇を晴らせ!!」


小太郎君が黒い狗になり、これまでとは比べ物にならない気を練る。

その分時間が長いから、詠唱を完成させられた!


「『毅貂(キテン)』!!」

「『救世主の(アートロポス)聖天(ヴェチェクニクタ)』!!」
ジュッ!
「なんやと――――――!?」
ドゥウウッッッッ!!


禁書の滅魔魔法、そのオリジナル。自分の"聖"を犠牲にして"魔"を討つ魔法。

魔の放った攻撃にも絶大な効果を発揮する。


「あぁあ…………ワイの負け、や。もう立てんわ……。」

『小太郎選手、降参と同時に気絶ぅーーーーーー!!ネギ選手の勝利ぃぃーーーー!!』


これで、僕は進める!けど・・・流石に、もう無理――――

Side out


Side アリア

『15分のステージ補修後、準決勝を始めます!こらそこ、いらないとか言うなーー。』


あの人とコタは一緒に、運ばれてった。・・・もう少し、粘ると思った、のに。


「・・・役立たず。」(グリグリグリグリ

「痛い痛い!アリアはん痛いて!!ごめんて、ごめんなさい!?」

「ふん・・・・いいよ。私が、倒したげるから。」

「お、もしかしてワイの仇取ってくれるんかい―――あだだだだだだ!じょ、冗談やないか!!」

「・・・おバカ。」


どうせ、一緒に修行したかったんでしょ・・・。だからタカミチも・・・多分負けちゃう。

みんな、アレに期待しすぎ。変・・・。


「アリアーん、なにしてるの?」

「・・・別に。」

「そ。……ね、コタちゃんと、あと……しずなの事、さ?」

「コタは、おバカ。しずなは、パパがなんとか・・・する。」

「そーおー?アリアんがそれでいいなら、いいけどさー?」


ついて来てたもみじに、振り返る。


『さぁ、ステージも直りましたので!武闘祭準決勝を始めます!

アリア選手ともみじ選手はステージへ!』

「・・・ごめんね。」

「へっ?」


ちょっとだけ、本気で行くから。・・・私は、認めない。

Side out
 
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