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少年は魔人になるようです

作者:Hate・R
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第53話 少年は黒幕たちと遭遇するようです


Side ネカネ

「はぁ~い、それじゃ家族会議を始めます。刀子、罪状を~。」

「ハイ。愁磨さんはネカネさんに計画の事を話した揚句、

あろうことか"アレ"を見せ、危うくネカネさんを廃人にさせる所でした。」


愁磨さんについて行くと決めて、森の方にあるお家に来ました。

ノワールさんとアリアちゃんに久しぶりの挨拶をして、

アリカ様やあの、エヴァンジェリンともお話をしました。


「ええ、そうねぇ。全っ然ダメよねぇ?よってアリカ、判決。」

「死罪じゃ。」

「待って!!話聞いて!!てか会議じゃねーよなこれ!?」


それで、さっきの事を話したら・・・・・・

愁磨さんは簀巻きにされてギザギザの板に座らされ、膝には前が見えないほど

煉瓦を積まれて家族会議中です。


「そうね、これはもう会議の必要ないものねぇ~。じゃあ、審判って事にしましょうか。

あ、執行人はアリアだから、許しを請うならそっちよ?」

「判事より権限ある執行人っておかしいだろ!?………あ、アリア?パパに酷い事しないよな?」

「・・・・・・『神虎(シェンフー)』、ちょっとだけなら・・・いいよ。」

「うっそォ!?」


と、アリアちゃんがふーちゃんを出して愁磨さんを・・・って、ダメダメ!!


「ちょ、ちょっと待ってください!

私が愁磨さんに言ったからで……。だから、愁磨さんは悪くないんです!」

「あら、そんな事無いわ~。言われたからって、出さなければ良いんだもの。

いくら相手が本気だからって、それを受けたのはシュウの責任よ?」

「た、確かに、そうですけど……。で、でも!そのおかげで私は愁磨さん、に……。」


そ、そう言えば私・・・・・・あの時あらぬ事を叫んでた、ような・・・!?

大丈夫ですよね?だ、大事な事は何も言ってませんよね?

でも言ってたらどうしましょう!?ああ、でも今は愁磨さんのピンチを助けないと!?


「ネ、ネカネ?お遊びみたいなものだから、そこまで深刻にならなくても……。」

「そ、そうなんですか!?「よ、よかったぁ……。」」

「アッハッハそうだよな!俺に酷い事する訳ないよな。だって皆俺の事愛s「・・・ごー。」」

グルァ!

「え、ちょ、ま!?ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああ!!」

「愁磨さあああああああああん!?」


け、結局血まみれです!?って、腕が!?あぅ・・・・・・――

Side out


Side 愁磨

「っててて……。食い千切られるとかマジ勘弁なんだけど……。怒ってんのか、アリア?」

「当たり前。」


気絶したネカネを寝かせアリアに問うと、珍しく即答してきた。

その気持ちは痛いほど分かるけどさ。


「・・・ネカネ、弱い・・・。あぶない、もん・・・。」

「そうよね……。"家"で待ってろって言ってもあの子聞かなそうよねぇ~。」

「あー、その点は大丈夫だ。多分。」

「まぁシュウが言えば聞くかもしてないけど――って、まさか?」


ノワールのまさか通り、ネカネに『七つの大罪』の複製を持たせる。

だが、いくらアレに耐えたとはいえ、流石にそのまま使える訳は無い。


「能力規制と使用時の痛みを俺が引き受ける事で、ネカネが引き受けるのが精神面の

代償だけになる。」

「普通なら怒る所だけれど……ネカネはもう条件をクリアしてるし、

何より安全の為にも、ねぇ~……。」

「・・・あぶない、もん・・・・・・。」

「なんじゃアリア、妙に食いつくのう?」


ああ、そうか・・・あの頃は俺達三人しかいなかったもんな。丁度いいっちゃ丁度いいんだが。


「ノワール。」

「はいはい。アリア、もう寝ましょう。シュウに任せて、ね?」

「・・・ん。おやすみ、パパ、アリカママ、みんな・・・。」

「ああ、おやすみ。」


アリアには微妙にアレな話だから、ノワールに頼んで寝かせる。

全く、言わなくても分かるんだからいい妻だよ。


「あの……もしかしてネカネさんとアリアちゃん、過去に何か?」

「あー、うん。ウェールズに居た頃に、ちょっとな。

大した事は無い、んだけど……。」

「アリアがあんなに過敏になっておるのにか?大した事なくはないじゃろう。」


あれは確か・・・いつだっけ?

アリアから聞いた事だからイマイチ覚えが悪くてな・・・。


「アリアとネカネだけで森に遊びに行ってたんだっけかな。

で、結界抜けてきた悪魔と戦闘になってな。ネカネがちょっと怪我しちゃったんだよ。」

「アリアさんがいたのに、ですか……?余程強い悪魔だったんですね。」

「いや。それが普通の子爵か、強くても伯爵くらいだったな。」

「普通は大した事ある強さなんだけれどね……。

なら、なおさら妙だね。アリアなら『神虎(シェンフー)』でなくとも一撃だろう?」

「あー、一撃で仕留めたのが悪かったって言うか……。」


昔のアリアは力を抑えきれず、『神虎(シェンフー)』も魔力で抑え従えるしかなかった。

それに加え、俺とノワール以外でまともに懐いた人―――ネカネとスタンの爺さん。

そのネカネに危機が迫り、思わず力を出し過ぎて、

余波がネカネに当たって・・・それが若干トラウマになったんだ。


「で、まぁ……。『私の近くに居ると怪我する』ってのが、

年月を経て『こっち側に関わると怪我をする』ってなっちまってな。」

「なるほどのう、優しい子じゃからな……。」

「それで、どうするんだい?このままネカネさんを引き入れるのは簡単だけど、

アリアが拗ねちゃうんじゃないかい?」

「そ れ だ け は い や だ !」

「子煩悩め……。」


『七つの大罪』を渡せば安全面では問題はほぼ解決だけど・・・。

俺が守るって言っても、逆効果か。うぅーん。とりあえず、ネカネに話をしてからか。


「ネカネ、おーい、起きろ。ネカネちゃーん、起きてくださーーい。」

「ぅ……うぅん……。あ、愁磨さん、おはようございます……。

あれ?愁磨さん?あれ……?」


ソファに寝かされていたネカネを起こすと、俺を不思議そうな目で見てきた。

忘れてたが、俺の四肢ぶっ飛んだの見て気絶したんだったな。


「ネカネ。お前に、俺達について来るための力をやる。ただし、あくまで自衛の為だ。

アリアに怒られるからな。」

「あ……そう、でしたね……。分かりました、アリアちゃんの事は私に任せてください!

ずっと喋らないと、とは思ってたんです。」

「そうか……ありがとな、ネカネ。」


だけど、ネカネにだけは任せられない。・・・渡したら絶対怒られるし。絶対怒られるし。


「じゃあ、ハイこれ。」

「あ、はい。これは?」

「地獄の王、俗に言う魔王の力の源の一部だ。

使えば全部のパラメーターが四段階は上がる代物でな。制約とかは取っ払ったから

気にしないで使える。」

「さ、さらっとこう言うの渡すのやめてください!愁磨さん達と違って、私は普通なんですから!」

「その普通じゃないの相手に言うね。全く、ここのパーティには癖の悪いのしか来ない。」


クックック、と俺みたいに笑いつつ毒を吐く真名。

そりゃ、普通の奴なんて来ても面白くないからな。


「さて……明日からついに学祭本番だ。楽しみだなぁ。」

「ネギ、ごめんね……。」


戦闘の修行は良いが・・・従姉を相手にした時に、果たして全力を出せるかな?ネギ。

Side out


――翌日


Side ネギ

ドンドン! ドン!

『レディースエェェンドジェントルメーン!本日は例年通り絶好の晴れ!圧倒的、晴れ!

今日から三日間、最初からクライマックスで行きましょう!!

それでは麻帆良祭、開催でーーーーーーす!!』

ヒュゥン ヒュゥン!!


花火が上がり、空を飛部(改名愁磨さん)が飛行機でショーを始め、パレードが進行する。

昨日とは世界が変わったみたいに人が押し寄せて、大人でも迷子になりそうだ。


「す、凄いですね……!毎年こんなに人が来るんですか!?」

「三日間続けて麻帆良学園都市内の学術機関が総力をあげて開催する、

学園都市としては世界的にも、最大規模の超特大イベントです。

営利活動……要するに部費やらを稼ぎたい生徒達が、激しい商業化を押し進めた結果、

昨年はついに入場者数約75万人にも上った、一種のテーマパークなのです。」

「アッハッハ、外国からもめっちゃ人来るしね!

ほら、あそこの人みたいに、仮装に気合入れてる人もいるんだよ。」


早乙女さんの指差した方を見ると、浮いた虎に座った人魚の恰好・・・を・・・

あれ、間違いなく本物ですよ!?魔法世界からも人来てるんですか!!

ってあの人達、どこかで・・・・・・――!!


「(賞金首の"引き摺りゾフィ"!って言う事は、あの虎は相棒の獣人"吠神(ワータイガ)ロキ"!

なんでB級賞金首がここに!?)」

「ん、ネギ君どうしたの?ほほぅ、あの人魚さんに見とれたのかにゃ?」

「確かに綺麗です。チープな表現ですが、この世の物ではないみたいです。」

「そ、そうですね。アハハハハ……。」


そりゃ別の世界から来てるんですから、この世の物じゃありませんよ!

そっか、学園祭のせいで結界を弱めてるから通り易いのか・・・。

しかもこんな大勢いる所じゃ、何も出来ない!


「む、そこの人魚美人待ちなさい!!」

「あら、かわいらしい子ね。私に何か御用かしら?」


と言っているそばから警備腕章をつけたコスプレをした女の子が・・・

って愁磨さんじゃないですか!?何やってるんですか!?


「ちょ、マジで愁磨先生!?やばい、皆呼ぼう!つーか写メ写メ!」

「……相変わらず突っ込みどころばっかりな人です……。」


「あなたみたいな怪しい人(賞金首)は拘束しちゃいます☆

おとなしくついて来てください(魔法世界に帰れ)!!」

「――!ウフフ、こんな美人を捕まえて何をしようって言うのかしら?(やっと見つけたわアーカード)


そうか、こう言う人は愁磨さん達が勝手に感知して叩くのか。

でも、声に出している台詞と口の動きが合ってない・・・。器用だなぁ。


「はーい皆、怪我するから離れててねー♪」

「おぉ、なんだなんだ?」

「これじゃね?各所でランダムに劇が始まるんだってよ!偶に観客も巻き込むらしいぜ。」

「へー、ラッキーじゃん。見てこうぜ!」


「こんなんあったんだー。生徒にも内緒って事は、どっかのサークルの出し物?」

「私は知りませんです。と言うか、先生を見る目が変わりそうです……。」

「アハハ、めっちゃノリノリだよねー。」


あ、ああああ危ないですよ!?いや何かしら対策はしてるんでしょうけど!!

念のために障壁を「(張るなよ?蟠桃の加護受けらんなくなるぞ。)」え!?


「(しゅ、愁磨さん!いくら何でも街中でやっていいんですか!?

秘匿とか大丈夫なんですか!?)」

「(問題ない。俺達全域指導員にのみ効果が掛かる結界が張ってあると言ったろう。

俺らに限定しては、たとえ『雷の暴風』かまそうとも疑問に思われる事は無い。

それと………敵対者も、な。)」

「アハハ!それじゃあ行くわよ。『凍る大地(クリュスタリザティオー・テルストリス)』!『氷神の戦鎚(マレウス・アクィローニス)』!」

「……『我王砲』!!」


敵はいきなり、広範囲の地面を凍らせる『凍る大地(クリュスタリザティオー・テルストリス)』と、

巨大な氷塊を降らせる『氷神の戦鎚(マレウス・アクィローニス)』、虎の方はビームの様な咆哮を放つ。

ほ、本当に微塵も周りの人の事を考えてない!!


「フフフ、そんなんじゃ足りないよ?『包め』『融けよ』『弾け』!!」


と、それに愁磨さんは杖をクルクル回しながら、(多分)全く関係ない能力を使う。

『凍る大地』が広がるのを止め、『氷神の戦鎚』を蒸発させ、咆哮を上に反射させる。


「「なっ!?」」

「これで終わりだよ♪"来やれ、氷の竜王"――天相従臨。」


今度は太刀を出して氷の翼と鎧を纏うと・・・空が曇って、ゆ、雪が降って来た!!

天候も操れるのか、この人・・・!?


「『包め』『覆え』。やり過ぎたらごめんね?―――『氷天百華葬』!」

「ゆ、雪?バカね、私の攻撃方法を増やしてどうするのかしら!?」

「触らない方がいいって警告はしておくよ。じゃあね♪」

「待ちなさい!『"集え雪達 囲え旋風!旋て――な、キャアアアアアア!?」

「……これは。敵ながら美しい技である、と、評価しよう。」


雪が集められたと思ったら、一瞬にして大きな花になり、

どんどんゾフィとロキの体に咲いて行く。

天候を操っただけじゃなく、そこから任意の技を出すなんて・・・どんな魔法なんだ。


「あーあ、任務失敗しちゃいましたわ。結構良い額だったけれど、無理はいけないわね。」

「所詮、賞金首。文句は言えん。さらばだ、盲目の創造主よ。」

「盲目……?―――あ、コホン。この学園の平和は、私達にお任せです☆」(ギュピィーーン

「良いぞカワイ子ちゃーーーん!」

「いいぞ織原ー!ついでに俺の赤点取り消してくれーー!!」


しばらく歓声が収まらなかったけど、他の魔法先生が来て二人をどこかへ連れて――

もとい持って行った。


「お、やっほー!楽しんでるかい若人たちよ!!」

「ええ、まぁ……。それにしても大人気ですね。」

「ねね、先生!他んとこでもやってんの、これ!?」

「うん、やってるよ~。見かけたら是非どうぞ♪それじゃ、まだお仕事あるから~。」


それだけ言うと、建物を飛び越えて行ってしまった。

あれだけ飛んでるのによく見えないよね――って、僕はなにを言ってるんだ!?

い、いけないいけない・・・・・・。


「おぉ、ネギやないか!!」

「ん?き、君は!!えっと、こ、こ、こ……。小次郎君!!」

「おっしい、小太郎や!って、人の名前くらいきっちり覚えとけボケが!!」

「ご、ごごごごめん!で、でもなんでここに?」


今度は後ろから呼ばれ振り向くと、修学旅行の時に戦った狗族の男の子・小太郎君が。

まさか、また明日菜さんを――!?


「あー、構えんな構えんな。ワイは今愁磨様の弟子にさせていただいとるんや。」

「しゅ、愁磨……様?」

「ハッ!ち、違う愁磨はんの弟子や!ったく、あかんあかん。」

「ネギ先生、この子は?愁磨先生の……お知り合いみたいですが。」

「やだ、ちょっと可愛いぃーー!」

「あ、えっと。僕のと、友達で犬上小太郎君って言います。

修学旅行の時、京都で知り合ったんです。」

「よ、よろしゅう。」


誰が友達だ、って顔されだけどスルーしておいて。

えーっと、今日の予定は見回りとクラスのお手伝い・・・・小太郎君も巻きこ・・・もとい、

誘おうかな。


「小太郎君、今日暇?」

「あぁ?せや、お前に用あったんや!お前決闘大会の申し込みやったか?」

「いや、まだだよ。今日の見回りのついでに申し込もうと思って。」

「マジか!?よっしゃ、行くで!なんかあったら付き合ったるから今行くではよ行くで!」

「え?ちょっと、引っ張らないでよーーー!」


愁磨さん並みに元気だなぁ・・・・・。

………
……


「お前、いっつもこんなダルイ仕事しとんのか。尊敬するわぁー。」

「注意してる以外はただ歩いてるだけだよ?特に今日とかなんて、お店タダで見れるんだよ!」

「教師ってずっこいわぁ……って、メシタダで食えんのか!?」

「え、うん。色々貰ってるから、それ使って……。」

「ならメシ食いに行くで!丁度昼やし、美味い屋台知っとんの――」

ドガァ!!

「な、なんや!?」


空から人が降ってきて、傍のお店に直撃した。

な、なんだかまた妙な事が!?


「アイタタた……。」

「ちゃ、超さん!?」

「あ、アイヤ、ネギ坊主。丁度よかタ、助けてくれないか!?

怪しい奴等に追われてるネ!」


この時の僕はさっきの賞金首を見たばかりで、なにも疑問に思わなかった。

こうして、考えもしない長い一日が始まったのでした。


Side out
 
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