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ソードアート・オンライン~ニ人目の双剣使い~

作者:蕾姫
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階段にて

キリトとの戦闘に勝利した俺は塵となったキリトをアスナに返却した
どうやらお話という名の教育をするとのこと
……廃人になりそうだからキャリバー取得クエストをクリアしたあとにするようお願いした

キャリバー取得クエストについての話し合い自体はスムーズに進み、メンバーはキリト、俺、クライン、アスナ、リーファ、シノン、ユウキのトンキーと名付けられた饅頭らしきエネミーに乗れる最高人数である七人
トンキーとはなんであるかは今は気にしないでおこう。考えてもわからないし

「今日は集まってくれてありがとう! このお礼はいつか精神的に! では今日はよろしく!」

キリトの音頭に合わせて持っていたグラスをあげる

「はい、皆の武器は耐久度マックスまで回復させといたわよ!」

リズベットが全員に武器を配って準備完了
俺はいつもの通り腰に吊しておく

「じゃあ、行こうか。私について来てね」

ニコリと微笑んだアスナに先導され、曲がりくねったアルンの裏路地を歩く

右に曲がったり左に曲がったり。しっかりと意識しなければすぐに道に迷ってしまいそうだ

やがて俺達七人は古びた木製の扉の前に到着した
そこでアスナはストレージから小さな銀色の鍵を取り出すと、その扉を解錠する

その扉を開けると下が見えないほど長い階段が姿を現した

「うおっ、下が見えねぇな」

「転がり落ちたら……一番下までノンストップかな」

軽く階段を足で確かめてみる。どうやらかなり摩擦力が小さいようである

「ボク、先頭を行きたい!」

ユウキが手を挙げて興奮した声をあげた
好奇心旺盛なその様子は小動物を思わせ、それがアスナの母性本能を大いに刺激したようでユウキにあれこれ世話をしている
ユウキも満更ではない様子で微笑ましい

「じゃあ、アスナさんがユウキの後ろとして……次は私かな?シノノンはリンの後ろでいい?」

「うん、それでいいよ。……リン、足を滑らせたら助けてね。私も、リーファも」

「了解」

だから俺を間に挟んだのか
言われなくても、彼女を助けるのは彼氏の役目だ

階段を普段よりも心なしかゆっくりと降りていく
静かな空間にユウキの鼻唄と階段を降りる際に発生する足音のみが響いている

そんな時だった

「フギャア!!」

シノンの悲鳴が響き渡る
振り返った俺が見た光景はキリトがニヤニヤしながらシノンのしっぽを掴んでいる光景だった

「冗談にしろ、本気にしろ、人の彼女に悪戯をした報いは受けてもらおうか」

「へっ?」

キリトが反応する前に瞬歩を使ってキリトの前へ
そして、キリトの右足の甲に右足を思いっきり振り下ろす

ちなみに足の甲は人間の急所の一つだから良い子は真似しないように

キリトの左手と右側の襟を取ると、踏み付けた足を基点に身体を半回転させ左足を階段の段差で固定する

そして今度はその左足を基点にキリトを回転に巻き込みつつキリトの右足を払った

「全員しゃがめ」

俺の声に反応して前にいた面々が地面にしゃがみ込む
これで憂いはなくなった

足を払い宙に浮かんだキリトを勢いそのままにぶん投げる

柔道というのは技をかけている途中に手を離してはいけない
なぜならば危険だからだ
スポーツの意味での柔道は手を離さず、地面に相手がつく前に上に腕を引く
故に相手にダメージを与えたい場合はぶん投げるか、たたき付ける場所につま先を立てておくかしなければならない

「うおおぁぁぁぁ!?」

奇妙な叫び声をあげ、キリトはしゃがみ込んだ四人の頭上を越え、着地
しかし、かなりの勢いで飛んでいったキリトに摩擦力が低い床で止まれるはずがなく、そのままの勢いで階段を下へ下へとドップラー効果によって間延びした悲鳴を響かせながら消えていった

「シノン、大丈夫か?」

「う、うん。ちょっと驚いただけ」

「ならよかった。……というかケットシーのしっぽって感覚があったんだな」

実際には存在しない部位だから神経が通ってない、飾りのようなものだと思ってたが

「シリカちゃんから聞いた話によると、触られると妙な感覚に襲われるんだって」

「所謂、性感帯ってやつだな」

リーファの言葉をついで、野武士がニヤニヤと笑いながらゲスな言葉を出す
その言葉にシノンは顔を真っ赤にして俯いてしまった

「クライン……少しは学習しな」

キリトと同じように奈落へとご招待
こちらは野太い叫び声をあげて闇に消えた

「あははは……」

消えた方を見て苦笑いを浮かべるアスナとリーファ
ユウキは逆に楽しそう

「リン!」

「どうした?」

モジモジとなにやら葛藤していたシノンが勢いよく俺の名前を叫んだ

「リンならしっぽ触ってもいいよ?」

シノンは俺から見て後ろを向き、尻を左右に軽く振る。その動きと同調し、左右に揺れるしっぽ

……俺だって健全な男ってことを忘れてないか?

「じゃあ……触るぞ?」

とはいえ、こんな他人の目があるところで理性を飛ばすほど俺は野獣ではない

だからリーファとユウキはそんな期待した目で俺を見るな

「う、うん。優しくしてね?」

手の平を大きく広げ、目の前で左右に揺れているしっぽを優しく包み込むように掴む

フワフワと柔らかいが、中にはしっかりと芯のようなものが通っている感触がする

手触りは滑らかで先程も言ったようにフワフワとして柔らかく、しなやかだ

「ふわっ!?……あ……んっ……」

指を少し立てて、手を軽く滑らせると指と指の間をスルリと毛が流れていく感触がまた心地好い
指が少しもひっかかることもない

「……ゃぅ……ぃん……っ……」

名残惜しいものの、時間が押しているため、手をしっぽから離す

「あ……」

潤んだ瞳をこちらに向け、残念そうな声を漏らすシノンだったが、次の瞬間我に返ると一気に顔の赤みが増した

「……気持ちよかったぞ」

「う、うん。どういたしまして……」

正直なところ、かける言葉が見つからなかった

「はいはい。ここから先は部屋でね? じゃあ、行こうよ」

アスナの咳ばらいで空気はいつも通りになり(全員顔は赤いが)階段を降りた 
 

 
後書き
シノンのしっぽをもふりたい……
蕾姫です

今回はリンがなんかムッツリ化したと思った女性方(いないとは思うが)。あれが男として普通です。

ネコミミも愛でさせたかったのですが、またの機会に

近所の猫のしっぽを触るのはやめてあげてくださいね?
猫のしっぽは神経と密接に繋がっているため、引っ張ったりすると凄まじい痛みが走るそうです
今話を読んで猫のしっぽを触りたくなった方は自重をお願いします
猫は艶やかな声を上げませんので

さて、キャリバー編に入ったはいいものの話が全く進まない……
キャラが多すぎて捌き辛いです(ユイの存在を忘れていたのは秘密)
私としては早くアシリ編に言って若作り婆さんをぶっ飛ばしたいんです
その前にマザロザ編がありますがねー

では、次回もお付き合いいただければ。感想等もお待ちしています

ではでは 
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