| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

少年は魔人になるようです

作者:Hate・R
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第36話 力を持たない少年は知るようです



――黒フードの男が現れる数十分前



Side ネギ


カチッ ビュン!
「うひゃぁ!?(ガシッ」

「無暗に触ると危ないでござるよ、ネギ坊主。」


ほ、ほほ本を取ろうとしたら矢が飛んで来た!?

あんなの当たったら死んじゃうよ!!長瀬さんありがとう・・・。


「この図書館島には、世界に100冊とない貴重な本もあるですから、盗掘・盗難者の為の

罠が仕掛けられてますです。」

「そうなんですかー。それなら……って、泥棒さんより先に生徒さんに被害が出ます!?」


この学園、楽しいけどおかしいよ!!

愁磨さんが言ってる事何となく分かってきた・・・・。うう・・・。


「って、皆さんなんで居るんですか!?」

「さっきも言ったでござるよ~。もう一回だけ言うが、

明日菜殿からネギ坊主が不審者退治に行くと聞いたでござるよ。」

「だから着いて来たアルよ!!ネギ坊主一人には任せられないからネ!

ついでに、ワタシ達の点数アップの為に噂の魔法の本を探しに来たアルよ!」


みなさん・・・なんだかんだで僕の課題の為に・・・!

って、魔法の本!?た、確かに麻帆良ならありそうだけど・・・、

使ったら愁磨さんに怒られるかなぁ?それとも、使える物は全部使っていいって言うかな?

大丈夫だよね、うん!!


「それじゃあみなさん!頑張って不審者さんと魔法の本探しましょう!!」

「「「「「「おーーーー(でござる)!!」」」」」」


それから僕達は、図書館島を探険・・・じゃなくて、冒険した。

異常に高い本棚の上を歩いたり、湖の中を歩いたり、

床が開いて落ちそうになった佐々木さんがリボンで手摺にぶら下がって助かったり、

落ちてきた本棚を古菲さんが蹴り戻して、中の本を長瀬さんが全部キャッチしたり、

数十・・・数百メートルある本棚をロッククライミング?で降りたり。


「こ、こんなの絶対、おかしいよ……。」

「魔法使いのあんたがそれを言うの?」


な、なんでこんな不思議な所なのに不思議に思わないんだろう?

ウェールズの村どころか、メルディアナの学校にもこんな所なかったよ!


「ふふふ……バカレンジャーは流石としても、ネギ先生が

ここまで着いて来れたのは以外です。さあ、この上に魔法の本があるです。」


や、やっと着いた・・・!ここまで来て居ないんだから、不審者さんも居ないよね!

あとは、本を取って帰るだけ!石の天井を開けて上に出ると――


「すごーーーい!!RPGのラスボスの間みたーーい!!」

「が、学校の地下にこんな場所が……。」

「あ、見て!あそこに本が!!」


佐々木さんが指差した方を見ると、両側を石像が守ってる感じの祭壇があって、

その真ん中にハードカバーっぽい本が・・・って、あれは!?


「あれは、伝説のメルキセデクの書!!?ほ、本物だ!

あれなら頭を良くするくらい、多分簡単ですよ!!」

「ホントーー!?あれがあればネギ君先生になれるねーー!」

「ふふ……本好きの欲をくすぐるです。」


と言って、本のある祭壇に走って行く皆さん――って


「ダメですー!!貴重書を守る罠が絶対あります、気を付けて!」

「へーきへーk


ドッガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!


キャアアアアアアアアアア!?な、なに!?」

「おやおや、お嬢さんたち。こんな所で何を・・・・あなたは。」

「ほほう、ナギの息子じゃのう。よもやこんな所で会ってしまうとはのう。」

「愁磨に怒られるな、こりゃ……。」


祭壇の奥の扉が吹き飛んで、中から左側を結んだ黒紫色の髪の人と

白髪の僕と同じくらいの子供と、タカミチに似てるオールバックのおじさんが出て来た。

って、今・・・・・


「父さんを、父さんを…知ってるんですか……!!?」

Side out



――十数分前


Side アル


「と、言う事はやはり……。」

「ああ、ナギとエルザ様は間違いなく『造物主』が握っている。

と言っても、愁磨もそこは分かってるんだろうから……。何か考えているんだろう。」


『ナギ・エルザ奪還』及び『『完全なる世界(コズモエンテレケイア)計画』の正当性検証』

私達四人はここ二十年、その為の調査ばかりしていました。

ナギは居なくなってしまいますし、ラカンは魔法世界に引き籠り。

愁磨は協力しているので賛成と取りまして・・・と言う事で四人しかいません。


「それにしても、先程から妙な魔力を感じるのう。」

「ええ・・・。ネギ君とアスナ姫・・・あとは・・・・・何でしょう?」

「ああ、それは私でございます。しかしながら、安心して頂きたく存じます。

私は、危害を加える気など毛頭ございません。」

「「「――――!?」」」


現れたその男から、全員が瞬時に距離を取ります。

フードで顔は見えんせんが、この魔力・・・異常と言うよりありませんね・・・。

ええ、この感じは大戦の時に嫌と言うほど覚えがあります。


「どうしてお前がここに居る、フェイト・アーフェルンクス?」

「…勘違いして頂きたくございません。あれら(フェイツ)と私は違うモノでございます。

造物主猊下に創って頂いたと言う点では同じでございますが。」

「と言う事は・・・・貴方はデュナミスですか。雰囲気が随分違いますね・・・。」

「ああ、役回りを申し上げるならばデューエ・ルナミスと言った方が妥当。

違うのは至極簡単。私があれとも違う、と言うだけでございます。」


そう言ってフードを取るデュナミス(?)。

現れた姿は・・・・・・そう、正しく虹色の髪を持った――


「しゅ、愁磨……!?いや、姿を模しているだけか。」

「ええ、ええ。フェイツは猊下の嘗ての友を、デューエは嘗ての猊下を。

そして私は、創造主猊下を模して創られたのでございます。」


だとしたら厄介ですね・・・。

まさかとは思いますが、愁磨の『創造』を擬成りにも使えるとなったら・・・。

いえ、問題ありませんか・・・。


「造物主も愚かじゃのう。愁磨の創造には、詠唱呪文なぞ比べ物にならんほど

魔力を消費するのじゃ。お主の魔力量では、3分と持つまい!」

「折角出張って来て貰って悪いが、一気に決めさせて貰おう。」(ゴォウ!


ゼクトが魔力を練り上げ、ガトウが咸卦法を使用して完全な戦闘態勢に入ります。

その瞬間、敵の臭いが一気に血生臭くなります。

そして、先程から臭っていた血の臭いも一層強くなります。


「・・・貴方、ここ二時間以内に人を殺していますね・・・・・?」

「ああ、気付かれてしまいましたか。ええ、美しいものを見ると壊したくなる性分でして。

……ついつい、半分持ってっちまったよ。」


――ッ、口調と一緒に、雰囲気が変わります。

・・・・・嫌な気ですね。狂った獣としか言いようがありません。


「おっと、これは失礼致しました。あの時は一人で十分だったのでございますが……。

ああ、忘れていました。今は時間が無いのです。本題に入らせて貰います。」


メキメキメキ、と言う音と共に敵の体が変化して行き――

何時か造物主と戦った時の、愁磨と同じ姿になって行きます。


「【ああ、やはり創造主猊下のお力は素晴らしい!漲ります!!

――さて、ここに来たのは他でもありません。】」


翼を広げ、手を横に出すと、あの・・・アトロポスとか言う剣が現れます。

ああ、いけませんね・・・・死亡フラグが見えます。


「【私の独断で申し訳ございません。

計画の邪魔になりそうなので、あなた方には死んで頂きたく存じます!!】」
ッバアアアアアアアアアアアアアアアアア!!


敵が剣を振るうと、造物主と同じ魔力砲が放たれます――!!


「獄滅・居合拳、『双双』!!!」(ゴゴガガォォウ!!

「イーソ・リーソ・ヴォンヴァリーメ!!」「ヴァイス・ハルト・ガルハルト!!」

「「赤斬光波(トール)!!!」」


ガトウが四連撃で押さえる間にゼクトと同じ呪文を詠唱、放ちます。

真っ赤な極薄いカッターのようなそれは魔力砲を分断し、両側へ逸れて行きます。

が、風圧までは殺し切れず、魔力砲と一緒に背後の壁を突き破ってしまいます。


ドッガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!


「キャアアアアアアアアアア!?な、なに!?」

「おやおや、お嬢さんたち。こんな所で何を・・・・あなたは――」


突き破った先には、生徒さんらしき姿と・・・ナギの息子、そしてアスナ姫が。

これは・・・・不味いですね、色々と。

Side out



Side ネギ

ドッガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!

「キャアアアアアアア!!」

「まき絵!逃げるわよ!!ネギ、あんたも逃げんのよ!!」

「で、でも、父さんの仲間が戦って――!!」

「そんな事を言っている場合ではござらん!

あの戦いに拙者達が入る隙など、毛ほど以下も無いでござる!!」


急に現れた父さんの知り合い見たいな人達と、虹色の髪の愁磨さん。

あの人達の戦いは、僕の常識を超えてた。

僕の大魔法見たいなパンチ、見た事も無い数の魔法の射手や魔法。


「もう少し、もう少しだけ……!!」

「ネギ、あんた……。」


僕は調子に乗ってた。あの戦いを見て、ハッキリ分かった。

あれが、父さんの領域。魔法学校なんかじゃ辿り着けない世界。

動きなんか見えない。けれど何となく見なきゃいけn(ゴッツン!!!)


「あうう!?」

「いいから逃げんのよ!!死んだら元も子も無いでしょ!!」

「でも、だって――――!!?」


後ろを振り向くと、四人が向かい合って魔力を気を練り上げていた。

鳥肌も立たないくらい、凄くて・・・見た瞬間、死ぬって思った。

そして、それが放たれた。


「ネギーーー!!!」


明日菜さんが走って来て、僕を庇うように抱き締める。

その瞬間、技がぶつかり合って―――


バシュゥゥゥ!!
「お前ら、オイタはそこまでだ。やるんならガキ共が居ない所でやれ。」


爆発は起こらないで、間には愁磨さんが居た。

父さんの仲間・・・英雄の攻撃を、片手で止めてた。やっぱり、あの人は何か違う。

村に居た優しい旅人で、僕の先生としての先生で、あなたは――


「あなたは、一体何なんですか……?」

「………さて、何だろうな?」

Side out



Side 刀子

「ん、んんっ……。」

「あ、気が付いた?大丈夫、刀子……って、シュウが治療したのだから大丈夫よね。」

「……ノワール、さん……?」


私が目を覚ますと、ベッドの横にノワールさんが座っていて、

刹那が私に被らすように寝ていた。・・・・この子は・・・。


「あ……助けて頂いて感謝します。

それで、私はどうなったのでしょうか…?愁磨さんは人外がどう、と……。」

「ほほう、流石だな葛葉刀子。自分の状況を真っ先に確認するとは。

兄さまの修業の成果のお陰だな。」

「――エヴァンジェリン!?」


一応戦闘態勢を取りますが、刀がありません・・・・・。

神鳴流は武器を選びませんが、真祖相手に徒手空拳では―――兄さま(・・・)


「……あの、兄さまと言うのは……愁磨さんの事ですか?」

「ああ、シュウったら言って無かったわね。エヴァは私達の妹分で、

私の次のシュウのハーレム要員よ~。」

「ね、姉さま!!ハーレムとはどう言う意味だ!?」

「あら、男性がそう言う好意を向けている女性を複数人侍らせたらハーレムでしょう?」

「た、確かにそう言う好意を向けてはいるが……!!

だがしかしそう直球で言われると、どうしても恥じが先行してしまって………(ゴニョゴニョ)。」


しゅ、愁磨さんとノワールさんの義理?の妹が悪の魔法使いで・・・、

愁磨さんは英雄で・・・?あ、今は犯罪者だから・・・と言うか初めは犯罪者でしたね。

えーと、つまり・・・・・・。


「愁磨さんは何処に?お礼を言わなければ。」

「ええ、深く考えたら負けだからそれで正解よ。シュウは貴女を預けた後、不審者の首を

取りに行ったわ。多分、もう直ぐ帰ってくるから、待ってましょう。」

「む、そうだな……。茶々丸、お茶の用意をしておけ。」

「かしこまりました、マスター。ついでにお茶漬けも用意しておきます。」


エヴァンジェリンが部屋の隅に居た絡繰さんに命令すると、

さも当たり前のように従って下階に下りて行きました。

と言うか、お茶漬け・・・ぶぶ漬けって。招きたくない客でも来るのでしょうか?


「ああ、帰って来たみたい。私達も下に行きましょう。」

「え、はあ……。」


ノワールさんの言葉に従い全員が今に着くとほぼ同時、

玄関が開き、愁磨さんが帰って来て・・・一緒に生徒達とネギ先生が来ます。


「どうぞ皆様、お座りください。…どうぞ召し上がってください。」

「……おやおや、手厳しいでござる。」


お茶より前にぶぶ漬けを出す絡繰さん、着いていけていない生徒達とネギ先生。

愁磨さんはそれを意に介さずソファに座り、不機嫌さを隠さずに言います。


「……で、どこから説明して欲しいんだ?」

「ぜ、全部に決まってんでしょーー!!」


・・・・・今だけは、神楽坂さんに同意しましょう。


Side out
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧