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少年は魔人になるようです

作者:Hate・R
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第30話 一行は麻帆良に入るようです


Side エヴァ


「遂に追いつめたぞ、ナギ・スプリングフィールド!!」


私は目の前の目深にローブを被った、如何にも『魔法使い』風貌の男に

断罪の剣(エンシス・エクセクエンス)』を突き付ける。

この数年間この男を追って来た理由は、ただ一つ――――


「今日こそにっ、んんッ!『白帝』と『黒姫』の居場所を教えて貰うぞ!!」

「『闇の福音』『禍音の使途』『不死の魔法使い』エヴァンジェリン……。

しつこいな……、俺も暇ではないのだ。ここでケリをつけさせて貰おう。」


フン、流石は英雄と言われているだけあって、凄まじいプッレシャーだ。

しかし・・・・・兄さまと姉さまに比べたら、子供騙しに過ぎん!!


「くらえ!!『闇の吹(ニウィス・テンペスター)―――」


得意の中級呪文を至近距離で叩きつけようと、奴に突撃する。

が、あいつは何もせずに、後ろにスッと下がっただけ。

――――舐めおって、若僧が!!!


「おっと。」


と奴がわざとらしく地面に落とした、それは―――


「兄さまぁあぁぁぁぁぁああ!!!」


が、着替え中の写真が――ってしまった!!思わず取ってしま――

メリッ、と音がし、次いでドボーーン!!と言う音と共に、

私はネギニンニク地獄に落ちて行った。


Side out



Side ナギ


俺は今、前に愁磨に頼まれた仕事をやっている。

何でもこの真祖の吸血鬼、エヴァンジェリンを麻帆良に行かせろ、って。


「……で、貴様。兄さまと姉さまの居場所はどこだ!」

「ワリーワリー、俺も知らね―んだわ!!」

「きっさまぁぁぁぁぁああああ!!この三ヶ月間無駄にさせおって!!」


・・・俺は、本当に知らねえんだよ。

今年は俺の番じゃ無かったから、こうして来れてるんだ。


タカミチの話だと、愁磨もガトウも一緒に逝っちまったとか言ってたが――

愁磨を倒せんのは俺だけだから、ンなこたぁ有り得ねえ!!

・・・・愁磨を倒すのが有り得ねえとか言うなよ。


「まーまー落ち着けって。ホレ、愁磨からの手が――。」


手紙を出した瞬間、かっぱらわれた。

愁磨よぉ・・・教育はちゃんとしねーと・・・。


「今年から学校に行け、までは了承しよう……。しかし―――!!!」


手紙を読みながら、顔を真っ赤にしたり怒ったり照れたりしていた

エヴァンジェリンが突然立ち上がって―――


「小学校からと言うのはどう言う事だあああああああああああああああああああああああ!!!」


・・・・・色々、最強種ってのも大変なんだな。

Side out



Side 愁磨


「遂にやって来ました、麻帆良学園!!!」


あれから俺達は、詠春の所に行って身を隠したりまったりしたり、

魔法世界に行って計画の準備を進めたり遊んだりしていた。

・・・真面目にやる事はやったんだぞ?


「エヴァ、エヴァ。あああ、早く会いたいわ……。

でも、もう少しだけ待っててね!!」

「師匠・・・もとい愁磨さん、ノワールさんはどうにかならないのかな?」


真名はその後、恵司と同じ武器が良いという事で俺が銃の扱いを教えて、

ノワールが実戦訓練、アリカが治療担当となった。(アリカの通常魔法制御の練習にもなった。)


アリアとも模擬戦をしていた為、魔法剣士ならぬ魔砲銃士になった。

弾は自分で調達する、と言ったので援助していない為、

魔砲弾は経費が馬鹿にならないらしく、滅多に使う事は無いが。


「エヴァ、エヴァあああああ!!すまない、不出来な兄を許してくれ!!」

「………ああ、こっちの方が重症だったね。」

「・・・・パパ、エヴァずるい。」


真名は悪魔とのハ-フの為か、数年でいきなり大きくなっていきなり成長が止まった。

身長、追い抜かれた・・・・。

そうそう、アリアと真名で何故か衝突が無く、至って平穏だった。

むしろ二人っきりで遊びにすら行く事もあった。・・・嬉しいんだけど、ちょっと寂しい。


「アリア、エヴァとは仲良くしてな。えーと……姉みたいなものなんだから。」

「・・・・・・・ちょっとだけ、頑張る。」

「いっつもそれだ……。」

「して、愁磨。この後はどうするのじゃ?」

「えーっと、詠春とクルトが話しはしてるみたいだから……とりあえず学園長の所行くか。」



実は密かに楽しみにしてた事が一つ。

・・・・それは、あのジジイが本当に人間なのか見極めるって事。

Side out



Side 近右衛門


「フゥ………。」


おっと、思わず溜息をついてしもうた。

しかし、溜息も出るというものじゃ。今日、婿殿が話して来た人物・・・

さらに、本国の新任とは言え、議員殿から配属命令が来た人物が来る。

これが同一人物だと言うから(複数が一致しておるのじゃから更に)驚きじゃ。


関西呪術協会と関東魔術協会でさえ、仲が悪いと言うのにじゃ。

・・・・監査官とかじゃったら、ワシ、逃げても良いかのう・・・?


コンコン

「学園長。新任の先生方と生徒が到着致しました。」

「おお、しずな君か、ご苦労。通してよいぞ。」

「失礼します。さぁ、みなさんどうぞ。」


しずな君が促し、入ってきたのは―――


「ありがとうございます、しずな先生。お礼に、今度食事でも如何ですか?」

「ウフフ、お気持ちだけ頂いておきますわ。」

「ずるいわ、シュウ。私もお食事したいのに。と言う訳でしずなさん。如何かしら?」

「え…あ、あの……。」


・・・・発音から見ると、恐らく男性じゃろう。

白髪の、軽そうにも紳士的にも(何れにせよ真剣な)見える・・・男性。

黒髪黒目の、しかし日本的では無くヨーロッパ的な顔立ちの、

不思議な雰囲気の女性。


「愁磨……。しずな殿が困っておるではないか。」

「ふむ…、これは失礼しました。ああ、皆で行けば問題無いじゃないか。」

「良いわね、名案。アリアはどうかしら?」

「・・・・・わたしは、いっしょでいいよ。」


続いて入ってきたのは、プラチナブロンドの女性(オッドアイとは珍しいのう。)

銀髪の無表情な少女・・・この子が生徒じゃろう。

・・・・この家族、仲が良いと言うか・・・。

しずな君が狼狽えておる所など初めて見たぞい。


「あ、あの、私は……。」

「・・・・・・おねーさん、いや?」


アリアと呼ばれた少女が、しずな君の上着の裾を引っ張りながら上目遣いで・・・。

こ、これには流石のしずな君でも――


「……今度、ご一緒させていただきますわ。」

「・・・・・・ん。」

「「イエーイ!!」」

「………『つっこみ』とか言うのが足りないのじゃ。」


案の定、しずな君が落ちた!?

麻帆良中の男がいくら誘っても反応せんかったのに・・・。とりあえず・・・。


「ゥオッホン!!そこら辺にしておいて貰えんかのう?」

「おおっと、これは失礼。」

「フォッフォ、しずな君、もう下がって良いぞ。」

「は、はい。失礼致します。」


バタン、としずな君が去ったのを見送り、会話を再開させる。


「ようこそ、麻帆良学園へ。学園長・並びに統括理事の近衛じゃ。」

「――コホン。初めまして、近衛近右衛門学園長殿。

本日より配属となりました、愁磨・P・S・織原と申します。」

「同じく、ノワール・P・E・織原。シュウ……愁磨の妻になります。」

「アリカ・アナルキ……ではなかったの。アリカ・P・X(クリソルオス)・織原。同じく妻じゃ。」

「・・・・アリア・P・W・織原。」

「私は龍宮真名。何時か織原を堂々と名乗りたいね。」


仲が良いと思ったら、家族じゃったか。・・・・妻が二人!?

とかツッコミどころがあるのは、ワシが日本人じゃからじゃろうかのう?

と言うか、総じて名前を、どこかで聞いた覚えが・・・・。


「さて、詠春とクルトからは、話しは通してるって聞きましたが?」

「フォッフォッフォ、どちらも詳しくは教えてくれなかったのじゃ。

自己紹介ついでじゃし、くわし―――――!!!!」


織原殿――四人おるか。愁磨殿が、恐らく認識阻害を解いたのじゃろう。

一瞬にして、四人が四人と繋がった。


「……かの英雄は、女王と共に処刑されたと聞いておったんじゃがのう?」

「主の上層部が嘘八百並べただけ、と言うことじゃ。現に私達はここにおる。」

「………して、英雄兼犯罪者一向がなんの用じゃ?」


エヴァンジェリンでさえ持てあましておると言うのに、

よもや、伝説となっている英雄に勝てるなど毛頭思っておらんが・・・。

学園園に仇成すと言うならば、この命と引き換えにでも―――


「クフフフフ。ふむ、いい目だ。それに免じて応えよう。

ん~、そうだな。ここに来た理由は……ぶっちゃけ無い。」

「………ホ?」

「そこはせめて『ヒョ?』にしておけよ……。

暇潰し、休暇、戯れ、休暇、気紛れ、茶番、退屈凌ぎ、気晴らし。

要するに、何となくって事だ。」


こ、この英雄破天荒過ぎやしないかのう!?

自分が死んだ者扱いされているという事に、もっと気を使って欲しいのじゃが。

・・・・・職員にバレたら、ワシ飛ばされちゃう。


「飛ばされやしないから安心しろ。どっから命令来てるか忘れたのか?」

「心を読まんでくれんかのう?……それで、何が目的じゃ。」

「それはさっき答えたじゃない――って言っても、納得はしないわよねぇ。

そうね、ここで働かせて頂戴。」

「……つまり、教師として、と言う事で良いのかの?」

「そう言う事だ。ああ、家はエヴァの所に住むから問題ない。」


な、なぜエヴァンジェリンがおる事を知って―――

気にするだけ疲れるだけじゃの。


「フォッフォ、どうせなら警備もして貰いたいのじゃが、如何かの?

給料は弾むぞい。」

「やってもいいが、どうせならそうだな……。

ここには、日常でも権限持ってる指導員ってのが居るんだったよな?」

「良く知っとるのう……。」


指導員とは、主に分けて校内・区間・広域の三つあり、

校内は読んで字の如く、区間は一つの纏まった初等部~大学の学区内、

広域は決められた区間内において、学生にそれなりの指導を許された教員の事じゃ。


「俺達全員に、全域――麻帆良指導員とでも言えば分かり易いか?

教員・学生・麻帆良内に居る全てにおいて指導する権限を貰いたい。」

「ヒョ!?そ、それは流石に無理と言うものじゃ。学長達ですら学区内が精々じゃしのう。」

「ならば、善意以外を持って私達に攻撃・言動して来た場合にのみ、

これを適用、でどうじゃ?それ以外は一般人で良い。」

「それじゃったら問題無い、かのう?

加えて、其方から手を出したりそうなる様に煽った場合も適用は無しじゃぞ?」

「まぁ、それならこちらも問題無い、かな。」


事実、エヴァンジェリンがそうじゃからのう。

あれと同じ処遇と言う事で問われても、押しつけてしまえば良いからの。


「さて、もっと詳しい話しになるが――――」


しかし、嫌な予感がするのう・・・・・・。


Side out



Side 愁磨


あれから数ヶ月経ち、俺達は学区内では知らぬ者のいない教師となった。

俺は『微笑赤点(デスペナルティ)の織原』とか呼ばれてる社会科教師。

ノワールは養護教諭(白衣万歳!)で、休み時間は生徒が途絶えないとか。

アリカは外国語教師(赤メガネ着用)で、古めかしい言葉がつぼるらしい。

アリアは初等部3年で、何故か登下校中周りに来た男子共がデストロイされるらしい。


「ああ、寒い寒い。日本より余裕で寒いんだが。」


そんな事を継続しているのは俺の分身であって、本体である俺は数ヶ月前から

ウェールズに滞在中。何故かと言うと―――


「愁磨さん、ここに居たのですか。探してしまいました。」

「およ、ネカネちゃん。久しぶりだね。学校はどうしたの?」

「はい。休校日とかが重なって、ちょっとした休みになったので。

ネギから手紙で、しゅ、愁磨さんが来ていると……。ですから、その……。」


もう17なんだから顔を赤らめてモジモジしないでくれ。

抱きしめたいくらい可愛いじゃないか。


ネギは、ちゃんと生まれてきた。・・・何故か、危険な臭いがするが。

ナギにエヴァの方を頼む代わりに、こっちを引き受けたって訳だ。


「あ、すいません。ネギの様子を見に行かないと……。」

「この間池に自らぶっ込んだばっかりだもんな……。頑張れ、お姉ちゃん。俺も後で行くよ。」

「はい、ありがとうございます。

愁磨さんも、何時までも外に居たら風邪を引いてしまいますよ。」


丁寧にお辞儀して去って行くネカネちゃんに、手を振り見送る。

・・・・・ん?冬、雪の日、ネカネちゃんの帰省・・・。まさか、今日なのか?


―――――――――――――――――――――――――


Side 少年


「ピンチになったらあらわれる~♪どっこからともなく~♪」


ぼくのお父さんは、えいゆうって言って、すっごくえらい人なんだって。

一回も会ったことないけど、きっと、カッコ良くてつよいんだと思う。

村の人たちはみんな、『悪ガキだった』とか『しんでせいせいする』って言ってた。

でも、ぼくはお父さんは―――


「あ、そうだ。今日はネカネお姉ちゃんがかえってくる日だったんだ!

早く村にかえらないと!!」


ネカネお姉ちゃんはぼくのおじさんの子供で、いとこのお姉ちゃん。

やさしくて、いっつもニコニコしてる人。

ずっと村にいる、たびびとの愁磨さんのお話をきいてくるのはなんでだろう?


「ハァッ、ハァッ!ネカネお姉ちゃーーーん!!」


ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!! 


ぼくが村にかえったら、村がまっかになってた。

すごく熱くて、パチパチ音がしてて―――


「ネカネお姉ちゃーーん!?おじいちゃーーーん!!」


なんだか良く分からないけれど、みんながあぶないって思ったら、

走らなきゃいけない気がして、燃えている村に入っちゃった。

走って、走って、みんなを見つけたけど――


「おじ、さん……?おばさん…?」


みんな灰色になってて、動かなくなってて。

みんなが杖を持ってて、みんな、みんな・・・・・・。


「ぼくが、ピンチになったらって、言ったから……?

ぼくが、お父さんが来てくれるって言ったから、言ったから?」


ズズズ、っておっきい何かが出てくるけど、

ぼくは動けなくて。何もできなくて。


「お父、さん……。助けて、お父さん、お父さん………!」


その何かが、ぼくに腕をふりあげて―――


  ド ン ッ !!!


目を開けると、誰かが、その手を止めてた。



Side out

――――――――――――――――――――――――



「フン。何様のつもりだ、ガキが……。」


自分のせい自分のせいと。随分主人公精神溢れるじゃないか。しかし、妙だな・・・。


「κενοτητοζ αστραπσατω δε τεμετω.!

雷の斧(ΔΙΟΣ ΤΥΚΟΣ)』!!」


あいつ、どっかに行った思ったら急に出て来たり――それはどうでもいいとして。

ナギが助けに来るまではいい。予定通りなんだが・・・・・。


「veniant spiritus aeriales fulgurientes,

cum fulgurationi flet tempestas austrina. !!

雷の暴風(JOBIS TEMPESTAS FULGURIENS)』!!」


おかしい。『ネギ、早く逃げろ!』的な段取りで被害は無い筈だったのに・・・・。

クルト・・・いや、生き残している元老院か、ツェラメルか。


ゴキッ!


と、ナギが持ち上げていた悪魔の首の骨が折れる音がして、それを見ていたネギが逃げ出した。

そう言えば、あいつも妙だ・・・。

無茶苦茶な威力なのは前からだが、壊すのを楽しむような戦い方をする様な奴では・・・。


「ネギ!!」

「六芒の星と五芒の星よ、悪しき霊に封印を!『封魔の瓶(ラゲーナ・シグナートーリア)』!」


ネギの逃げた先に悪魔が先回りし攻撃を放つが、スタン爺とコロナおばさんが庇い、

隙を付いて悪魔を封印する。


「―――待て、ネカネちゃんは何処だ……?」


瞬間『円』を使い、村を全て捜索。

ネカネちゃんと傍にいる悪魔を発見し、転移。悪魔を殴りつける。


「【『短縮結合』―≪禁忌ヲ犯シタ救世主(アーヴォ・ガジ・エッティアス・メシア)≫】」

「おっとと、あっぶないなぁ!!何すんのよ!」

「【………一応聞こうか。お前が指揮官か、『魔王』】」

「そうだよー、カッコイイおにーさん♪

七大魔王が一人、『色欲のアスモデウス』。他にも幾何学とか天文学も得意なんだよーー♪」


人の話しを全く無視して、一つの村壊す為に態々魔王まで召喚しやがって―――

ツェラメル、後で絶対にシバく。


Side out
 
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