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少年は魔人になるようです

作者:Hate・R
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第14話 時はメイドインヘヴンのようです


side 愁磨


「何か、言い訳はあるかしら?シュウ。」

「ルシフェ……、の、ノワ―ル様。何もそこまで………。」

「ミカエル、黙ってなさい。これは私達の問題よ!!」

「ノワール。ミカエルに当るなよ。」

「貴方が悪いのよ?!大体――!!」

「パパを、いじめちゃ、メ―・・・・なの。」

「私達はまだそ、そこまで行ってないわ!!」


――――――それは、今から15分ほど前に遡る。



「貴方が、本当にクルセウスを倒してくれたの?

……その様子からは、とても想像出来ないんだけど?」


そう言って訝しげに見て来るのは、緑色の髪と藍色の瞳の少女

『風』のエクリウル。


「悪かったな。マジで俺が倒したんだよ。尤も、殺さずに力奪って、閻魔の所に送ったがな。」

「君は酷い事するねぇ。

それって、天使にとっては何より屈辱的な事なんだよ?」


俺の後ろから言って来る優男。

前髪をファサァとやっているこのナルシストっぽい青髪金眼は

『魅』のアルトクラン。


「アルトクラン。シュウマはそんな事承知でやっている。」


と、復活したカタルシス。

俺の事を名前呼びなのは、『気に入ったから。』だそうだ。


「そんな事はどうでもいいだろう。この者をどうするのだ?」


黒髪橙眼の青年『地』のグレゴリアスが、俺を睨む。


「そんな事いってもぉ。どぉするんです?ダルタニアン?」


間延びした声は碧の髪と眼の巨乳若奥様『水』のウェルセウス。


「・・・・どうするも無かろう。我らが束になっても勝てんよ。」


と、金髪金眼の武将然とした壮年、『武』のダルタニアン。


「そーだよ?クルセウスのおじ―ちゃんと戦って無傷の人に、

私たちが勝てる訳無いよ~。」


桃色の髪と眼の小学生くらいの女の子は、『花』のプルネウラ。


「そんな事より、確認する事があります。

どうしてアリアが敵の貴方にしがみ付いているのですか?」


氷髪の灰色つり目の少女、レイジアークが聞いて来る。


「俺だってよく分からんよ………。」

「そんなこと言われても私たちだって分かんないよ~!」

「シュウマ。私が死んだ後から説明してくれるかい?」

「ああ。実は――――かくかくしかじか。」


俺はあの後の事をそのまま伝えた。


「「「「「「「「「お前のせいだな。」」」」」」」」」

「ぐぅぅぅぅ……。反論できない……。」

「ふむ。どうやらクルセウスが洗脳魔法を掛けていた様ですね。」

「ふぇ?同じ『神』にそんなこと出来るの?」

「まぁ、可能だねぇ。

尤も、日に二、三回は掛けないといけないだろうけどねぇ。」

「それが解けただけなのね。今までのアリアが嘘みたいだよ。」


そう。今のアリアは借りて来た猫みたいに大人しい。

表情はあるんだが、無口になっている。性格悪かった方がどんなに助かった事か。


「洗脳が解けた事は喜ぶべきだろう。

それよりまずはアリアを此方に引き渡して貰おうか。」

「いや、それが出来たら苦労は…(ギュッ)…ああぁぁぁあぁぁ。」


グレゴ(ryの言葉に、俺の服を更に強く握るアリア。

どうしてこうなった。マジでどうしてこうなった。


「・・・・・・いや・・・。」

「アリア。何故、その男から離れないのですか?

さっきの説明を聞く限りでは、どうも……。」

「・・・この人は、私を助けてくれたの。でも、私が悪い事、したの。」

「要領を得ないわねぇ~。困ったわぁ~。」

「ハァ…。アリア。詳しく話してくれるか?」

「・・・・うん。あのね―――――」


アリアの話しは、あのトラックに轢かれた所から始まった。

あの時のアリアは洗脳が半分くらい解けていて、

自分を助けた俺を探しに行って、謝ろうとしたのだ。


しかし、俺を見つけたは良いが、目の前にクルセウスが居たのが不味かった。

クルセウスから洗脳魔法―――

では無く、別人格を植え付け体を乗っ取る魔法を掛けられ、

あの性悪モード(黒アリア)になってしまったのだ。

そしてこの時、『アリアの意識』は外を認識出来るんだそうだ。


だが、既に途中まで言ってしまっていたので、

仕方なく黒アリアは俺に礼を言い、去ろうとした、と。


そしてさっき。一番最初は黒アリアが1/3残っていたのだが、

強制執行の問答をする時に、完璧に意識が戻ったのだそうだ。

要するに――――


「轢かれる時に付けて貰い、クルセウスの呪縛から解放してくれた。

二回も貴方を助けてくれたシュウマに感謝している、と。

そう言う事ですね?」

「うん。パパは・・・・とっても強いの。・・・だから、スキ。」

「ハハハハハハハハ……。ああー、そうかい。

と、ところで、なんでパパ?」

「わたしを、いっつも、助けてくれるの。だから、パパ。」

「……そう言うのって普通は王子様とかでは無いのですか?」


余計な事を言うな!レイジアーク!!!


「・・・うーんとね、おーじさまは、かっこいいの。

でも、パパはかっこよくて安心するの。だから、パパ。」

「はっはっは。そうかそうか。俺をパパと呼んでくれるか。」


子供、というか大抵の奴は、俺の事いっつも女としか見ないから、

小さい子が俺を男扱いしてくれるのは嬉しい。


「最早納得している?!」

「だって、なぁ?」

「分かるよ!!」 「…理解できない事も無い。」

「仕様の無い事だな。」 「ええ、分かりますとも。」


俺の疑問に、男全員が理解を表してくれる。


「男ども!!何で敵と意気投合してんのよ?!」

「おいおい。こんな小さな、自分にこんなにも愛を露わにしてくれている女の子を、

かつての敵だからと、仇だからと言って引き剥がすのか?!

元凶が爺で、利用されていただけの女の子を!!?」

「それはちょっと美しくないんじゃぁないかい?」

「……子は、大切にすべきだ。」

「はっはっはっはっは!!!」


「それにしても、あのアリア殿が、

こんなにも可愛いとは思いませんでしたよ。」

「た、確かに、このアリアは可愛いですね……。」

「そうねぇ~母性本能擽られるわ~。」

「にゃはは~。アリアちゃんが年相応に見えるっていいねぇ。」

「こ、こいつら……。」


エクリウルは何が気に入らないんだ?ま、いいや。


「さて皆の衆。そろそろあっちに戻らないか?」

「そうですね。

シュウマ(こちら)の世界に入ってから20分は経ってますから。」

「ワシに異存はない。他の者は?」


「「「「「「「「無い。(ね)(よ)(わぁ~)」」」」」」」」


「うし。『領域解除』」


パリィィィィィンと言う音と共に世界が砕ける。

そこには、見るも無残になった聖堂と、ボロボロになったミカエルと、

此方を向くノワールがいた。


「よ、ノワール。終わったんだな。」

「ええ、一応決着は着いたわ。―――でも、今からまた始まるのよ。」

「……デスヨネー。」

「で?何故その子が貴方に引っ付いているのかしら?」


ノワールがアリアを指差す。


「・・・・パパぁ。あの人なんかこわい・・・・。」

「パ……?私の耳がオカシクナッタノカシラ?

もう一度言ってくれるかしら?」


ノワールの目のハイライトが段々消えていく。そして―――


「ぱ、パパぁぁぁ。」

「ええ、やっぱりそうね。―――シュウ。

なんで貴方がパパと呼ばれてるのかしら?」

「あーー、話すと長いんだが……。」

「ああ、なら良いわ。」


そして、冒頭に繋がった。


「何か、言い訳はあるかしら?シュウ。」


ガシャ、と『明星の彗星』を構えるノワールさん。


「ルシフェ……、の、ノワ―ル様。何もそこまで――」

「ミカエル、黙ってなさい。これは私達の問題よ!!」

「ノワール。ミカエルに当るなよ。」

「貴方が悪いのよ?!大体―――!!」

「・・・ぱ、パパをいじめちゃ、メ―なの!!」

「私達はまだそ、そこまで行ってないわ///!!」

「ノワール!!子供の前で何てこと言うんだ!!」

「貴方は一体どうしたいの?!」


不味い。カオスになって来た。


「とりあえずノワール。説明聞いてからにしてくれないか?」

「………聞きましょう。」


      説    明    中
―――これこれしかじかかくかくうまうま―――


「なるほどね……。仕方無い事ではあるわねぇ~……。」

「それでだな。この子、どうしたらいいと思う?」

「私達に着いて来ても、ちょっとねぇ。」

「でも…、離れるのは……。」

「……そう、なのよね。」


忘れがちだが、天界人は不老なのだ。

天界人は遙か昔から地獄勢と戦い続けていて、最初から居た天界人はもう数える程居ない。

そして、天界人は子を為す事が出来ないのだ。

だから死んだ人間を引き入れる。


つまり、今居る天界人の9割以上が元は人間。

アリアだってその一人なのだ。

アリアの見た目はどう高く見積もっても小学生程度。

そんな若さで、アリアは死んだのだ。両親の事など覚えていないだろう。

まだまだ甘えたい盛りに入ったばかりだったろう。

それを、薄汚い考えの爺に使われ、自分の意識がある中で人を殺す。


そんな事をさせられた子に、パパと、親だと慕われたら、

俺はどうしてやったら良いんだろう?俺に、なにがしてやれる?

俺が、一体、何を――――――


「・・パパ?パパ!!・・・どこか痛いの?だいじょうぶ?」


気付くと、アリアが俺を見て辛そうな顔をしていた。

ああ、どうやら泣いていた様だ。


「あ、ああ。大丈夫だよ。目にゴミが入った、だけ、だから……。」

「・・・ほんとう?もし、パパをいじめる人がいたら、

私が、やっつけてあげるからね!」


ハハハ、情けねえなぁ。


「ありがとう、アリア。その時はお前に言うからな。」

「・・・・うん!パパの痛いのは、私が飛ばしてあげるね。」

「ああ。ああ、そうだアリア。まだ紹介してなかったな。」


アリアを抱っこしてノワールに向かせる。


「彼女はノワール。お前のママだ。」

「・・・・・ママ?」

「そう。お母さん、マム、マーテル、ラ・マデリ。」

「・・・・・ママ。」


そろそろとノワールに手を伸ばすアリア。

そして、肩口をキュッと握る。


「・・・・ママ、ママ。エヘヘヘヘ。」

「……アリア。」


ノワールにアリアを渡すと二人が顔を見合わせる。


「・・・なんか、パパと違う。でも、あったかい。」

「フフフ、そう?アリアも温かいわ。」


暫く、二人にしておこうか。ちょっとだけやる事もあるしな。


「カール。」

「おや、シュウマ。家族の団欒はもう良いのですか?」


カールとは、カタルシスの事。

名前を略すなど本来天界人なら許さない所だが、こいつは主神に思う所が無いのだろう。

実際、あいつからそう呼べと言って来た。


「なに、今は母と娘の時間なだけさ。」

「そうですか。して、何用ですか?」

「もう戻ろうかと思ってな。挨拶だよ。」

「ああ、そうですか。皆を呼びましょうか?」

「いや、良いさ。軍の兵士全員が爺派だったとは言え、全滅させた俺なんかと

話したくはないだろうさ。」

「ハハハ!違いない。しかし、貴方の事だから、

何か策があって、全滅させたのかと思っていましたが?」


俺がそんなに万能に見えるのか、こいつには。


「いや。残念ながら、って奴だ。

あの時は、ただ邪魔だったから全滅させただけだ。」

「そうですか…。なに、再編成が面倒になっただけです。

私の策が発動していても、これと同じ様な結果になっていたのですから、

気にする事はありません。」

「そう言って貰えるとありがたいぜ。」

「いえいえ。私も助かりましたから。」

「こっちの、本当に俺が手伝わなくていいのか?」


俺がここに来た理由は、復讐と・・・・カールと同じく、天界直しの為だ。

本当なら『神』を殲滅しても良かったんだが、全員反爺派だったので、生かしたのだ。


『天界』ってのは、『地獄』と対の重要なシステムだ。

天界が無いと、生物が転生出来ない。そして、その役割は天使が行う。

その天使の上官の『神』を全員殺してしまっては、選出に時間がかかり、システムが滞る。


尤も、天使を半分殲滅してしまったから

五十歩百歩ではあるのだが、今後を考えるとこれが最良。


「ええ。私の策より良くして頂いたのに、

それを貴方に手伝って頂く訳には行きません。」

「分かった。そこまで言うなら甘えよう。」

「ええ。それでは、また会いましょう。」

「ああ。その内また来るよ。何百年先になるかは分からんけどな。」

「なぁに、どうせ不老なのです。

何千年待とうとも、生きていれば良いのです。」

「それもそうだ、違いない。」

「ええ。今度は、貴方の子供を見せてくださいね。」

「……は?天界人は子供作れないんだろ?」


俺の質問にカールは頭を抱え溜息をついてみせる。


「シュウマ。貴方は人間なのですから、子供なら作れるでしょう。」

「いや、だってノワールが天界人じゃん。」


幾ら堕天しても、種族的には天界人のままなのだろうて。


「いえ。子を為せないのは天界人同士だけです。我々が精子を持ちませんので。

しかし、女性の方は卵子を人間同様持っておりますので。

と言っても、かなり少なくはありますが。」

「何それ初耳。」

「ま、そう言う訳ですから。頼みましたよ?」

「……………………余裕があったらな。」

「フフフ、貴方の精神的に、ですか?意外とウブなんですねぇ。」

「ぃやっかましい!!自分でやるには経験皆無なせいだよ!」

「いえいえ、良いじゃないですか。

そんなあなたも可愛いですよ?そのケはありませんけどね。」

「……はぁ。疲れた。もう行くわ。」

「ええ。本当に、さよならです。」

「ああ。元気でやれよ。」


そう言って後ろを向くと、ノワールとアリアが手を繋いで待っていた。


「じゃ、戻るか!」

「ええ。そうね、あなた?」

「……そーゆーのは結婚してからにしなさい。」

「フフフ。分かったわ、シュウ。」


ギュッ
「・・・・パパとママだけ、ずるいの。」

「ハハ、ごめんごめん。じゃ、行こうか、アリア。」

「・・・うん!」


そう言って、アリアと手を繋ぐ。


「目的地は?」

「日本!!そろそろ戦国時代の幕が開けるしな!!」

「……この子に戦場を見せるの?」

「?・・・へいきだよ?こわくない。」

「いえ、そう言う事では無くてね?」

「死体なら、いっぱい見たからへいき。私が外に行くの、初めてだから、たのしみ。」

「ハッハッハ、そうなのか!日本は俺の故郷だからな。

少しなら案内してやれるぞ!!」


「・・・・ねえ、パパ?つよい人いるかな?」

「いるぞ~!第六天魔王って呼ばれる人だっているんだ。」

「私・・・たたかって見たい。」

「危ないから、俺が戦ってからな。」

「はい。」


「ああ、この子の未来が凄く心配だわ……。」

「良いじゃないか。この子強いし。」

「いえ、そうなんだけどね?そうじゃなくて………」

「(クイクイ)・・・・パパ、ママ。早く行こう。」

「ああ、そうだ!?1497年だから、戦国入ってるけど、

信っちとか謙信たんとか生まれて来るのが1530年からだからな~。

う~ん。まだ天下取りの時期じゃないから、マッタリしてようぜ。」


「じゃあ、このままここに居るの?」

「いや、日本はもう少し後にして、魔法界行こうか。

アリア、日本じゃないけどいいか?」

「うん。そこも行ったことないから、たのしみ。」

「そう、なら…………。」


とノワールは『神』達が集まっている所を向き、大声で言う。


「ミカエル!!あの子達の事、頼むわね!!」

「貴方に言われずとも助けますよ!!!」


短い遣り取りを終えると、再びこちらを向く。


「本当に良いのか?

ノワールを助けようとして捕まったんだから、挨拶くらい……。」

「…いいのよ。ミカエルが説教するだろうから、私も居たら一緒に文句言われちゃうもの。」

「……ふふ。よし、なら行くか!『次元転移!魔法世界!!』」


バシュウ!!!


―――――――――――――――――――――――――――――――
sub-side カタルシス


「全く、騒がしい方達だ。」

「カタルシス!早く手伝え!!

選定終わってない人間が山ほどいるんだ!!」

「ええ、今行きますよ!

―――いつかまた、会いましょう。」

「カタルシスーーー!!!早くこんかーーーー!!!」

「そんなに急かさなくても良いでしょう?!」


Side out


――――――――-------------------------


パシュゥゥゥゥゥ!


「おお、着いた着いた。」

「と言っても、一日くらいぶりでしかないんだけれどね……。」

「・・・・パパ。ここ、何も無い。」


今来たのは、あの時戦ってた、ゲート近くの荒野。

そりゃ何も無いよ。俺が吹っ飛ばしたんだから。・・・なんて言えない。


「またオスティアにでも行くか?」

「それでも良いけれど、帝国の方にも行ってみましょう。」

「うし。アリア、どっか行きたい所あるか?」

「・・・パパ達がいればいい。」

「ハハ、了解了解。」


――――これ以降は、簡単に上げて行こうか。



1499年  ヘラス帝国


「・・・ね、パパ。あのおっきい龍とたたかっていい?」

「お、龍樹か!ん~ちょっと強いかな?待ってろ、俺がちょっと……。」

「やめなさい!?」



1507年  王都オスティア


「よ~!大神官三人衆。元気だったか?」

「シュウマ!久しぶりだな。何時こっちに来たんだよ!?

「十年くらい前だよ。

しっかしお前好青年って感じになったな、ジオン。」

「そんなに前から来てたなら挨拶くらいしに来なさいよ!」

「ジルダリア!お前随分でかくなったな。あの時は小学生みたいだったのに。」

「あの時でも私とエイルは30越えてたのよ?」

「流石精霊と悪魔ハーフ。で、エーリアスは?」


「ああ。エイルなら今病院よ?」

「何?!どっか怪我したのか?」

「んふふふふ~。お・め・で・た!!」

「おお!おめでとう、ジオン!!」

「なぜ分かる!!?」

「いや、あん時の目線で、お前がエーリアス好きだったの分かってたから。」

「フフフ、いじわるねぇ~。」

「ククク、分かってたくせに良く言うよ。」

――クイクイ

「パパ?その人たちだれ?」

「「パパぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」」



1509年 同・教会前


「いや~。エイル綺麗だったな~。」

「私なんかすっかり生き遅れよ………。」

「ま、まぁ元気出して、ジル。」

「フン、ノワールは気楽よね~。貰い手確定してんだから。」

「な?!///わ、私は、その、あの…………///」

「もう~。シュウマ。なんで結婚しないのよ?」

「いやその、だな///」

「ハァ…。二人ともウブだから進まないのよね~。どーせまだヤッても無いんでしょ?」

「「うぐ…………。」」

「ホントにヤッてないの?!信じらんない!!」

「・・・・パパ?なにやってないの?」

「「「アリアはまだ知らなくて良いの!!」」」


Side out
―――――――――――――――――――――――――


Side 愁磨@『闇』の中の家 


あの、ジルの言葉から二年。俺は三人の後押しもあり、覚悟を決めた。


「の、ノワール!!!」

「わ?!ど、どうしたの、シュウ?」

「あの、その。……これ、受け取ってくれないか?!」


そう言って、俺は黒真珠で出来た小さい箱を差し出す。


「?……改まって、何よ?」


訝しげながらもノワールは受け取り、中を見る。


「…え?あの、シュウ?///これって、その……。」


中に入っていたのは、黒と透明な宝石で作られた指輪。

真ん中にはマーキーズの黒真珠。

その両端には翼型のヘマタイトとダイヤモンド。


「……すっげー遅くなったけど。……ノワール。」


黒真珠は『美しさ』や『守護』。

ヘマタイトは『障害を退ける』、『強さ』。ダイヤは『永遠の愛』を露わす。


「俺と、結婚してくれないか?」

「――――――――っ!!

……本当に、私で良いの………?」

「お前じゃなきゃ嫌だ。お前が、いいんだ。」

「シュウ……。シュウ……!!」


ノワールは、泣きながら俺に抱き付いて来る。


「待ちくたびれたわ…………。」

「うん。ごめん。」

「シュウ……ん、……んん…。」

「……その、……返事、は?」

「フフフ。喜んでお受けするわ。……愛してるわ。」

「………俺も、…愛してるぞ…………。」


こうして、俺とノワールは結ばれたのだった。


―――――――――――――――――――――
 
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