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魔法少女リリカルなのはVivid おっさん奏でるStory 

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Memory;1 覇王が酔いどれと出会った日

 
前書き
前々から考えていた話です。お付き合いください。 

 
 ――突然だが、読者諸君はこんな経験は無いだろうか?
 学校で行われる朝の、もしくは帰りのHR(ホームルーム)などで、近隣などで起きている変質者などの珍(笑)行動や、誘拐など、様々な犯罪などを担任教師から話をされて、「気をつけるように」と言われて――

『自分がそんなことに巻き込まれるはずが無い』

 こんなことを思ったことは無いだろうか?
 しかし、そう思い高をくくった奴に限って、そういったものに巻き込まれやすいのである。そう――

「貴方にいくつか伺いたいことと……確かめさせていただきたい事があります」

 “ここの所この辺り周辺で“覇王”を名乗る謎の格闘家が格闘経験者や有段者、もしくは実力者を襲撃しているという騒動が起きている。”

 こんな話を酒を飲んでいるときに仕事の部下から聞いて、「だーいじょうぶ、大丈夫! 俺は襲われないって多分♪」と高をくくったこの男のように。

「…………(うっぷ、吐きそう)」

 ……“若干”雰囲気をぶち壊しにしているが、気にしてはいけない。



 Memory;1 覇王が酔いどれと出会った日




 男は若干青い顔をしながら自身を見下ろす相手を見る。僅かな街灯と、少しだけ吹く強い風で雲が切れ、その切れ目からこぼれる月明かりで確認できるのは目の前の相手が以外にも女……もとい、少女だと言うこと。そして――

「お嬢ちゃん。その前に言いたいことが……っあるっ……ゲホッ」

 喋り出してすぐに胃の中に納まっていた酒が、胃液と共に口から外に出ようとする。男はそれを強引に飲み込みながら相手に言う。

「あぁ、申し遅れました。私は「違うそうじゃねぇ」……?」

 てっきり「顔ぐらい見せて名前を名乗れ」と言われると思っていた少女は顔の上半分を隠すバイザーを取ろうとするが、そうではなかったらしい。では、この男は何を言いたいのだろうか? 少女は少し黙考する。

「お嬢ちゃん」
「はい?」
「はっきり言う。スカートでバトるんならスパッツを穿け。黒 の 糸丑 ノ\°`ノが丸見えだぞ」

 この男。さっき吹いた風で花も恥らう乙女のスカートの中を完全に見てしまっていた……。

「…………? …………!!?」

 男の言っていることの意味を理解してから少女の行動は、それは速かった。ソニックムーブでも早々出せない速さでスカートをばっ! と抑える。だが、それが原因で少女は自身が建っている場所がどこなのか頭から抜け落ちてしまった……

 少女の立っている場所――街灯ポールの上。(ポールの幅、約20㎝ほど)

 結果は火を見るより明らかである。少女はそのまま地面に向かってまっ逆さま。ゴインッ! と頭をぶつけ、その場でゴロゴロと頭を抑えて転がり続けた。

「(うわ痛そ……)」

 未だに転がり続ける少女に男は思わず同情してしまう。というかこうなったのもコイツが原因であるが。

「とりあえず10分位待つわ」
「……! ……!!」(ゴロゴロゴロ)

 果たして少女に聞こえているか。それは分からないがとりあえずそう言っておいた。

「(ふぅ……。それにしてもこのお嬢ちゃんといい、あいつ等といい、どうして女って奴はバリアジャケットこう……スカートにすんのかねぇ。別に個人の好みにどうこうは言わねぇけど、捲れて恥ずかしがんならズボンとかにすればいいものを……)」





      †





 それからきっかり10分。少女は荒く息を吐きながら起き上がった。

「あー……大丈夫か?」
「ぇ、えぇ。なんとか……」
「そうか。なら、念のため明日は病院にでも行くといいぞ?」
「そうですね……」
「んじゃ、おやすみ~ ノシ」
「あ、はいお休みなさい……って、ちょっと待ってください!?」

 うっかり、そのままさよならし掛けた所で、少女は男を慌てて止めた。

「なんだ? まさか私の頭を傷物にしたんですから責任とって私の始めても傷物にしてくれってか? OKいいぜ。まずはラブホだ」
「違いますっ! そうじゃなくて最初に言ったじゃないですか! 伺いたいことと確かめたいことがあるって!!」

 キャラ崩壊など気にも留めず、少女は声を荒げる。だが、男の反応は相変わらずのほほんとしていた。

「そうだっけ?」
「そうです!」
「ゴメン、過去は振り返らない主義なんだ。俺」
「そんな過去の話でもないでしょう!? ホンの10分ちょっと前ですよ!」
「チッ、覚えてたか」
「舌打ちされた!?」

 自分は何も悪くないと言うのに何故舌打ちをされねばならないのか。とてつもなく理不尽な気分に少女はさせられた。

「ハァ~……。んで? 何を聞きたくて何を確かめたいんだ? まさか野郎のスリーサイズを知り、俺が童貞か否かを確かめたいのか?」
「ちがいますっ! ……ふぅ」

 危うく流されそうになり、声を荒げかけて止める。そして一回落ち着いて呼吸をして男を再度見て、言葉を紡ぐ。

「伺いたいことは一つ――『王』達の所在についてです」
「王達の所在だぁ?」
「はい。聖王オリヴィエの複製体(クローン)と冥府の炎王イクスヴェリア。この二人の王の所在を貴方はご存知だと伺いました。そしてもう一つは――」

 そう言いながら少女は構えを取る――瞬間、彼女の纏う雰囲気が変わる。

「私と貴方。どちらが強いのか、ということ」

 そんな少女の顔は、正に戦う者の顔だった。
 そんな少女を見て、男は頭をポリポリ掻きながら小さくため息をつく。

「なるほど……要するに「二人の所在を言え、さもなくば痛い目にあわせるぞ」と……」
「……そう捉えてもらっても結構です」
「ほ~ぅ。ただな、お嬢ちゃん」

 これはこれはと言わんばかしの大仰なリアクションをし、ジロリと少女を見る。その目は先ほどまでのお茶らけたものではなく、獲物を自身の視界に捕らえ、これからその獲物に対して狩猟(ハンティング)を行う歴戦のハンター思わせる鋭いものだった。

「一つ訂正しなきゃならねぇ事がある」
「……なんです?」
「それはな……」

 男がそう言うのと、少女の顔面を掴みそのまま地面に叩きつけ、少女が気を失うのはほぼ同時だった。

「痛い目を見るのはお嬢ちゃんの方だってこと……って、もう遅いか」

 視線の先には地面に倒れ付し、そのまま気絶して動かなくなった少女を見ながらそう呟く。だが、その口調は「なんともつまらない」と言わんばかしの感じである。

「やれやれ、噂の覇王とやらがどんなものかと思えば……ん?」

「まさか酔っ払い相手にワンラウンド且つワンサイド一撃KOとはな」と言おうとした所で、少女の体が淡く光り始める。スラリとした長い四肢、出る所は出て、引き締まる所はちゃんと引き締まっている体つきは、まるでその人物の成長を巻きもしているかのように四肢は短く、体つきは細く控えめになっていく。そして光が消えて現れたのは――

「おいおい。まだ子供じゃねぇか」

 そう呼ぶに相応しい、幼さが前面に出た少女の姿だった。



「……なんか、色々と厄介な気がしてきた」

 そう呟いて、男はため息をついて少女を担いで自身の住まいへと向かった。

「言っておくが誘拐じゃ無いからな」

 誰に言っているのかこの男。 
 

 
後書き
次回予告
「私は、あの女を殺さなければならないんですっ!」
「やめろ!! 復習は何も生まない!」

 動く少女、止める男。すれ違う二人は、迷走を続ける。

 そ し て…………

「死ねえぇぇぇえええ!!!!」
「やめろぉぉぉおおおーーーーーー!!!」

 少女の振り下ろす包丁は、真っ直ぐ復讐相手に向かう!

 次回!「悲しみを止めて」

 想いを形に、そして願いを現実に……





※諸事情により内容が百割がた変わる可能性がございます。ご注意ください。 作者 
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