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魔法少女リリカルなのは平凡な日常を望む転生者 STS編

作者:blueocean
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第25話 妖怪大戦争(前編)

 
前書き
こんにちはblueoceanです。

今回またもあれ?これって………キャラが現れます。
別にクロスとか全くそんな気は無いので、今回だけは特別だと思ってください~ 

 
『さて、みんな準備OKやな?』

はやての念話に皆がそれぞれ返事を返す。
ぬらさんが言っていた山はペンションから約10分程飛んだ先にあった場所。

「何………これ………」
「気分が悪い………」

ティアナとスバルが顔を青くしながらそう呟く。
普通の人でも感じる程異質な雰囲気が森全体を漂っていた。

「はやて、結局大悟と加奈間に合わなかったね」
「仕方がないやろ。少し人数が減っちゃたけど決行するで。この雰囲気、危険や………」
「そうだね………」

はやての言葉を聞いたフェイトは森を見ながら気を引き締めた。

「零治君も頼んだで」
「ああ、むしろ俺が協力を願い出たんだ。俺達は見てるだけって訳にはいかないだろ」
「それにぬらさんの頼みだしね!」
「我等も他人事では無いのでな」

そんな感じで頼りになる言葉をかける3人だが、星だけは何も喋らなかった。

「星ちゃん?………大丈夫なん?」
「大丈夫ですよはやて。私はいつも通りです」
「………そう言うんやったら取り敢えずその両手を離してみよか?」

ガタガタ震えながらしっかりと零治の腕を離さない星。
実はミーティング中も零治の手をしっかり握って離さないでいた。

「星お姉ちゃん、怖いなら無理しなくても………」
「何言ってるんですか!妹のキャロが参加するのに姉の私が留守番なんてあり得ないです!!」
「いや、そう言われてもなぁ………そんな状態だと戦闘に参加出来んやろ………」
「大丈夫です、レイと私のコンビネーションなら………」
「レイはクロスレンジだから星とは別だ」

夜美に言われ固まる星。

「ど、ど、ど、どう言う事ですか!?」
「お前聞いていなかったのか………」

呆れながら夜美は星の方へと近づき、無理矢理零治にしがみついていた星を引き剥がした。

「レ、レイ~!!!」
「我等ははやて達と供にロングレンジからの集中砲撃だ!!」
「レ、レイ………」

お出掛けする主人を見つめる猫みたいに零治を見る星。

「だ、駄目だ、やっぱり俺星を見捨てられない!!」
「いいから早くA部隊の待機地点に行くよ!!」

「レイ~~~!!」
「星~~~!!」

引き離された悲運な恋人のように互いの名前を呼びあったが誰も同情するものはいなかった………









「星大丈夫かな………」
「レイ、いい加減僕も怒るよ………?」
「元気出して下さい………」

待機地点に着いても零治の態度は変わることはなく、リンスはともかくライもいい加減我慢の限界であった。

「全く、零治の奴は………」
「ねえ………本当にこのメンバーで大丈夫かな?」
「関係ないわスバル。私もあなたもいつも通りしっかりやれば良いんだから」
「そうだな。まあ零治達は零治達で勝手にやるだろうし、私達は私達でしっかりやればいい」
「そうですね、頼むわねティアナ」

ヴィータやギンガにもそう言われ、ティアナは一層気合いが入る。

(前の失敗を挽回するチャンスなんだ、しっかりやらなきゃ………)

そんな思いと共に作戦開始時間は徐々に近くなっていく………










「みんな、準備は良い?」

B地点の待機場所。こちらはいち早く皆が待機地点に向かっていた為、零治達のやり取りは知らないのだが、こちらはこちらで面倒な事になっていた。

「それでな、その時に大天狗との戦いに勝ったワシは奴の心意気に興味が湧いてな、殺せと言ったが逆に言ってやったのだ。『ワシの後ろで百鬼の群れとなれ』ってな」
「「おおっ………!!」」

現在、ぬらさんの自伝をエローシュとエリオが熱心に聞いていた。

「あの時間が………」
「こら、いい加減にしないさい!!もう時間よ、話は後にしなさい!!」

小さく呟いていたフェイトの代わりにルーが3人に対して怒鳴る。

「おおう、何とも強気な嬢ちゃんだ………これは将来良い女になるな」
「気が強そうですけどね………頑張れエリオ」
「ん?何で?」
「何でじゃないだろ………」

と呆れながらも時計を見る。

「さて、マジで始まるな………エクス、周りの状況はどうだ?」
『………今の所静かだ。静かすぎて逆に不気味な程な』
「静か過ぎる………?」
『こんなギリギリの距離に居るのに、動きすら無い。本当にいるのか疑う程にな………』
「だが、お前も気がついているだろ?」
『ああ。あの頂上付近から感じる異様な力。魔力では無いのは分かるがそれに匹敵、いや、それ以上の力を感じる。気をつけろ、一筋縄ではいかない』
「それはまあ分かってるけど………」
『何だ………?』
「このメンバーで負けたら、あの怨霊を止める手段は無いと思うぜ俺は」
『………確かにな』

「どうしたのだエローシュ?」
「すいませんぬらさん。ちょっと相棒とお話を………フェイトさん、始まりますね」
「うん、みんなセットアップして待機。ロングレンジの一斉射撃の後、一気に頂上へ向かいます!」

フェイトの指示の元、皆セットアップし、直ぐに始まるであろう戦いに備えるのであった………













「さて、時間や。皆、準備はええな?」
「ああ、我等はとっくに出来ている」
「来る前に全てを灰にします。優理手加減は要りません。この森全てを消し去る事を許可します」
「何を許可してんねん!!駄目に決まってるやろ!!先ずは分厚い結界を張らなくちゃいけないから悪いんやけど夜美ちゃん手伝ってくれる?」
「ああ、分かった」

返事を聞いたはやては夜美共にそれぞれ森を囲むようにそれぞれ動き、

「夜美ちゃん!!」
「ああ!!」

2人同時に森を囲む巨大な封鎖結界を張った。

『作戦スタート!!』

はやて念話と共に、ロングレンジのメンバーはそれぞれのデバイスを森へと向ける。

「先ずは私や、行くでリイン!!」
『了解ですはやてちゃん!!』
「来よ、白銀の風、天よりそそぐ矢羽となれ………フレースヴェルグ!!」

自分の魔方陣から複数発射される魔力弾。
それは森へと降り注ぐと周囲に広がり炸裂した。

「さて、鬼が出るか蛇が出るか………」

とそんな事を夜美が呟いていると下から夜美に向かってくる鬼と蛇が………

「って………本当に向かってこんでいい!!闇に落ちよ!インフェルノ!!」

巨大な棍棒を持った鬼が、翼の生えた蛇に乗って夜美に向かって真っ直ぐ向かってくるが、夜美に届く前にインフェルノによって消え去った。

「これは………」
「やっぱりロストロギアで生まれたみたいやね。魔力のダメージを与えれば消滅させることも可能みたいや」

夜美の隣へとやって来たはやてがそう言う。

「となれば………」
「そや。このままクロスレンジのメンバーが邪魔無く進める様に引き続き牽制を続けるで」

そんな話をしていると森に向かって強大な魔力が放たれた。

「なっ………何やこのバカでかい魔力………まるで大悟君並み………」
「優理………あいつ勝手にリミッターを外したな………星は何をやっている………」












「星、邪魔離れて!!」
「星お姉ちゃんしっかり!!」
「レイーーーー!!!」
「あわあわあわ………」

向かってきた妖怪達を巨大なエターナルセイバーで一気に殲滅する優理。
その近くでは大きくなったフリードがブラストレイで丁寧に妖怪達を撃退していた。
それなのに星はただ後ろでレイの名前を呼びながら真白の体をブンブン振っていた。

「星も戦って!!これじゃあキリがない!!」
「ああああああああっちから一つ目の巨人が!!!それにあっちは鎌を持った死神みたいな人が!!!!」
「きゅうぅぅぅ………」
「お姉ちゃん、真白ちゃんが!!」
「気を失ってる!?」
「キャアアアアアア!!」

この混乱はもはや抑えられない程になっていた。

「お姉ちゃん落ち着いて!!」
「アギト連れてくれば良かった………星が全然役に立たないよ………夜美、早く助けて………」

そんな事を言いながらもフォトンランサーで向かってきた妖怪達を貫く優理。
それだけでなく、自身の翼からも羽を発射し続け、星が戦えない分、キャロと一緒にカバーしていた。
因みに気を失った真白は優理に足場を作ってもらいそこで寝ている。

そんな風に何とか戦線を維持し続けてきたキャロと優理だったがもはや我慢の限界だった。

「星いい加減にして!!そんなだとレイに見捨てられちゃうよ!!レイ、前言ってたもん。『心が弱い奴は俺は嫌いだ』って」
「えっ、優理?」

いきなりそんな事を言う優理に驚くキャロ。優理の嘘であるが当然信じるとは思わなかったからだ。

「嫌い………?」

しかしかなり動揺していた星は簡単に優理の言うことを信じた。

「うん、私がレイだったら今の星見たら真っ先に嫌いって言うけどね」

そんな冷たい言葉に先ほどまで震えていた星がピタリと止まった。

「星、やっと正気に戻っ………」

してやったりと言った顔で星を見た優理だったが、星の顔を見て、その顔が一瞬で強ばった。

「………レイと一緒じゃ居られなくなる………?嫌い………?そんなの許さない………」

星のすぐ隣まで来ていた翼の生えた黒い馬が、一瞬何が起こったのか分からない程の速さで地面へと落ちながら燃え尽きた。

「………星?」
「優理、私の権限でリミッターを解除します。私とレイの邪魔をする者は全て灰にします」
「えっ、はい………」
「行きますよ、優理、キャロ」
「「は、はい………」」

あまりの恐怖に自然と星の言葉に従う優理。
そこからはまさに地獄絵図と言った光景が続くのだった………












「皆もっと速く駆け上がって!!」
「エローシュ遅れてる!!」
「が、ガリュー、俺もルーちゃんみたいに連れてって………」
「わはは!!派手にやっているの!!」

そう言って大はしゃぎしながら上ヘと進んでいくぬらさん。
今、Bチームの面々は止まっている余裕が無かった。
戦場みたいに先ほどから爆発が色んな場所から巻き起こり、それに巻き込まれまいと一生懸命逃げていた。

「やるのぉ、遠距離組のメンバーは!!」
「これ、一体誰の攻撃なんです!?バカみたいに高い魔力がいくつも森を燃やし尽くす勢いで爆発してるんですけど!!」
「エリオ落ち着いて………きゃ!?」

ルーテシアの目の前で爆発が巻き起こる。

「………あれ?」
「危ない危ない………」
『だが、このペースだと実際着いてから魔力が持つかどうか………優理の奴、ただ者ではないと思ったがこれほどとは………』

エローシュがルーテシアの目の前に盾の様な平らにしたクリスタルを素早く展開したお陰で難を逃れたルーテシア。
実はフェイトを含め、B班全員無傷でこられたのはエローシュとエクスの援護のお陰もあった。

「おっと………!!」

ただしぬらさんだけは別で自分で避け続けていたが、他のメンバーはそう言う訳にはいかず、エローシュが守り続けていた。

「エローシュ、エクス頑張って!!」
「はい!!なので帰ってたらその胸に飛び込んでも………」
「エローシュ、それやったら僕本気でストラーダで突き刺すから」

突き刺すような雰囲気で睨むエリオに思わずたじろぐエローシュ。

「マジで恐いんですけど………」
「エリオはフェイトさんの事、本当に大事に思ってるんだからあんまりからかわない方が良いわよ」
「それにちょっと嫉妬してるルーテシアさんもいると………」
「………まあちょっと」
『無駄話してる暇があれば死ぬ気で進め………本当に無傷で頂上までいけないぞ』

エクスに釘を刺され再び集中する2人。
Bチームは妖怪達には全く襲われないものの、別の問題で苦労しているのだった………








「スバル!!」
「ディバインバスター!!」

甲冑を着た侍の男を零距離からの砲撃で吹っ飛ばすスバル。

「敵将、討ち取ったり!!!」

高々と宣言するように言うと、近くにいた他の武士達がたじろいだ。

「バカスバル!!いちいち自分の居る場所を教えなくていいでしょうが!!」
「ティアナ、そっち行ってるぞ!!」

ヴィータにそう言われ、右を向くと、老婆が今にもティアナに包丁を降り下ろそうとしていた。

「うわぁ!?」

とっさに魔力刃を展開したクロスミラージュで受け止めた後、もう片方の銃で老婆を撃ち抜いた。

「危なかった………」
「油断するなティアナ!!」
「すいません!!」

「へえ………ヴィータしっかり隊長やれてんな………」
「そうだね!!」

そんな中、呑気にスターズの戦いを見ていたライと零治。
分断されているもののそこまで気にしていなかった。

「ライさん、来てます!!」
「了解!!光翼連斬!!」

ミントの声と共に、ザンバーを振るうライ。
刃か回転していき、大量に出てきていたゾンビ達は一気になぎ倒していった。

「レイ、キリが無いよ!!」
「ああそうだな。それに結構厄介そうなのも現れてるしな………」

そう呟きながら正面に立っている男を見る零治。
正面には白いロングコートを着た、若い男が立っていた。
手には自分の背丈と同じくらい長いロングソードを持っている。

「誰だ?………って聞いても答えてはくれないよな………まあいい、邪魔をするなら通してもらうだけだ!!」

一気に駆け出し、体を回転させながら威力のある一閃を与えるが、相手はいとも簡単に受け止めた。

「!?こいつ………!!」
「我は………クルースニク………ヴァンパイアハンター………なり………」
「こいつ話せるのか!?」
「ヴァンパイアハンターだって!!かっこいいねレイ!!」

一度距離を取った零治の隣にやって来たライが興奮しながら声をかけた。

「吸血鬼ハンターって言われると波紋使いの方を意識しちゃうけどな俺は………って別に吸血鬼ハンターじゃないか」
「波紋使い?」
「ああこっちの話」

ライに聞かれ誤魔化す様に話を終える零治。

「全て………断罪する………」
「悪いな、時間をかけていられないんだ、直ぐに終わらせる!!」

そう言って再び零治は駆け出したのだった………










「くっ!?ガハッ!!」

吹き飛ばされて太い木に背中を強打し、その場に崩れ落ちるギンガ。

「終わりだ………」

白く透き通った純白の青年がそのままギンガに向かって槍を突き刺そうとしていた。

「くぅ………!!」

ダメージ覚悟で相手に一撃をと考えていたギンガ。しかしその一撃はギンガには届かなかった。

「たああああ!!」

リンスがハルバートを回転させながら一閃。
青年はそのまま消え去った。

「大丈夫ですかギンガさん!?」
「ええ、ありがとうリンスちゃん………本当に助かったわ………」

リンスは零治の指示で孤立しているであろうギンガの援護に来ていた。
零治としては速いライをと思ったが、ライはライで戦闘中だったためリンスに任せたのだった。

「あの人一体誰だったんですか?」
「確かクーフーリンって名乗っていたわ。あの槍さばき見たことなかった………これがまだまだ続くなんてね………」

そう話ながらゆっくりと立ち上がるギンガ。
そんなギンガをリンスは心配そうにしながらあたふたしていた。

「零治さんが………」
「はい、本当に間に合ってよかったです」

とリンスが笑顔で言うが、ギンガとしては複雑な思いだった。

(力不足ね私………管理局員なのに一般人に心配されるなんて………情けない)

そう思うも実際苦戦していたのは明らかで、援護はものすごく助かる。
申し訳なく思うもギンガは………

「リンスちゃん、悪いんだけど私1人じゃとても対応できないわ。だから一緒に戦ってもらえないかしら?」
「はい、こちらとしても助かります。優理ちゃんはああ言ったけどまだ私は不安があるんです。ギンガさんが居てくれるととても心強いです」
「ありがとう、ならここを突破してひとまずティアナ達と合流しましょう」
「はい!!」

ギンガとリンスは互いに背中合わせになり、再び向かってくる妖怪達と戦うのだった………











「くっ!?」
「貰った!!旋狼牙!!」

斬撃により上へと仰け反ったクルースニクに零治は追撃を仕掛けた。
抜刀した斬撃に発生した真空の輪でクルースニクを拘束した零治。
そして最後に蹴り上げ………

「抜砕竜斬!!」

直ぐに斬り抜け、更に真空の斬撃が襲った。

「見事………!!」

そう言い残し倒れるクルースニク。そして直ぐに灰になるように消えていった。

「いくら伝説の人物だからってそう簡単に負けてたまるか」

と言いつつ、5分以上戦っていた零治。気が付けば近くで戦っていたライの姿も消えていた。

「くそっ、思った以上に手間取った………他の皆は何処だ?」

そう言いながら周囲を見渡す。

「ふむ、これは強そうな剣士だ………」

そう言いながら茂みから出てくる1人の男、右手に剣を、左手に盾を持っていた古代ローマ兵士が付けてそうな兜を被っていた。

「………誰だ?」
「我はアレス。戦いを好む者だ。さあ強き者よ力を示せ」
「アレス………何か聞いたことがあるような………しかし次から次へと………ロングレンジの奴等は一体何をしてるんだ………」















「くっ、フリード頑張って!!」
「クオオオオオオオ!!」

大きな咆哮を上げつつ、フリードは向かって来ている獅子の頭を持つ怪鳥達の相手をしていた。

「優理大丈夫!?」
「消え去れ、スターライトブレイカー!!」

集束された巨大な砲撃魔法は飛んでいた怪鳥や霊鳥達を巻き込んで森ごとえぐっていく。

「塵となりなさい、ディザスターヒート」

そして更に隣にいた星は狂いのない正確な砲撃で飛んでくる怪鳥や霊鳥達を仕留めていた。

「流石星お姉ちゃん。………だけど目が本当に恐い………」
「キャロ!!行ってアクセルシューター」

そんな周りを見ていたキャロを狙っていた女性の姿をした鳥に誘導弾が飛び、見事撃ち落とした。

「真白ちゃん、ありがとう!!でも大丈夫なの………?」
「うん!!ごめんもう大丈夫!!一緒に頑張ろう!!!」
「うん!!!」

そう話し合い互いに正面を見る。
そこには未だに列を成して向かってくる鳥の妖怪達が。

「行こう!!」
「うん!!」

戦いは更に熾烈を極めた。












「スバルそっち行った!!」
「くっ、来るな!!」
「URYYYYYY!!!」

玄武剛弾で魔力を飛ばすが、向かってくる金髪の男はもの凄いスピードで構わず突っ込んでくる。自身の体が削れようが血が噴き出てようが関係なくスバルに向かっていた。

「サークルバインド!!」

もはや止められないと思ったティアナがバインドで止めるが………

「無駄ぁ!!!」

その一言と共に軽々とバインドを破る。

「ふん、人間を超越し吸血鬼となった俺にそんな攻撃は無駄だ!さあ諦めて俺の食料となれ!!」
「そんなの絶対にごめんだ!!!」

そんな声が聞こえ、上を向くとそこには空中にいたヴィータがいた。

「お前ら離れてろ!!」

ヴィータの声と共に一気に離れるスバルとティアナ。

「いくぜ!!轟天爆砕、ギガントシュラーク!!」
「何!?」

自分に降り下ろされる巨大なハンマーに驚く吸血鬼。

「だが!!」

そう言って腕を上にかかげる吸血鬼。
そのままヴィータのギガントシュラークを受け止めた。

「うそだろ!?」
「俺を舐めるなクズが!!」

そんな吸血鬼に驚くヴィータ。
しかし………

「だけどティアナの作戦通り!!」
「こうなればいくらあなたでも手出し出来ないでしょ」
「何………?」

ハンマーを受け止めた吸血鬼にスバルとティアナがそれぞれデバイスを向けて構える。

「これでチェックよ」
「ふっ、舐めるな。不死身の俺にそんな銃撃や打撃など………」
「それは貴方が実際に生きていたらの話よ。スバル、一気に行くわよ」
「うん、修復されないように消し去るんだよね」
「消し去るだと………!!だが無駄無駄無駄無駄!!」

そう叫んだ吸血鬼は首を反転させてティアナに顔を向ける。

「死ね!!」

そう言って目からビームの様な攻撃が放たれ、それはティアナを完璧に捕え、斜め横に切り裂いた。

「ティア!!」
「はははバカが!!」
「そう、自分の力に過信した貴方がバカよ」
「なんだと!?」

そんな声が聞こえ、後ろに再び反転させるとそこには無傷のティアナがいた。

「貴様………何故!?」
「幻影。どお?女の子だってやるときはやるのよ」
「くぅ………このアマ!!!!!!」

「消えなさい、ファントムブレイザー!!」
「ディバインバスター!!」

スバルとティアナの砲撃魔法は吸血鬼が行動を起こす前に放たれたのだった………














「はやて、どうだ?」
「コッチはまああらかた済んだで。キリが無いから取り敢えずこっちに来たんやけど………」
「まあ言いたい事は分かる。だが我も面倒になってな………」

そんな飛んでいる2人の後ろには2人とは正反対の敵、天使の大群が居た。

「こっちは闇だの言ってるから相手は天使とは………少なからず罪悪感があるのだが………」
「いいや、夜美ちゃん。天使=正義とは限らへんで。天使ほど行き過ぎた正義を持ってたりするんや………だけどまさかただの一介のロストロギアでこんな凄い天使を生み出す事が出来るなんてテロリストが知ったら泣きついて手に入れてきそうな者やな………」

そう言いながら2人に向かってくる天使の大群。それを束ねている異質な天使がいた。

「あれは強敵だな。中々手強そうだ………」
「たしかカマエルとか言ったっけ?何か調べたらもの凄い説明文が出そうな天使やもんなぁ………このまま星ちゃん達の所まで行くったらこの天使達も連れて行く事になるやろうし………仕方あらへん、ここで足止めせなアカンな」

互いに頷きあった2人は並んで大群の天使達の前に立つ。

「悪いがここで行き止まりだ。ここからは行かせん」
「通りたければ私達、夜天と紫天を超えるんやな!!」

力強く答えた2人はそのまま天使の軍勢と戦闘を開始するのだった………












「落ち着いたみたいだな」

そうぬらさんが涼しい声で言ったが、他のメンバーはそうはいかない。

「はぁはぁ………」
「ルー大丈夫………?」

ちょうど中間辺りまで行って一度小休止しようとのフェイトの提案もあって休んでいるBチーム。
こちらのチームは零治達Aチームとは違い、敵とは一切遭遇せず、ただ空爆から逃げ続けるだけであったため、既に半分の地点まで達していた。

「スムーズ過ぎましたね」
「むしろロングレンジの奴等の攻撃がこっちにしか来ていないような気がしたんだけど………」
「エローシュの言う通りだ。砲撃はこちらの方だけ集中し、敵は自然とA班へと流れていったようだ」

ユニゾンを解いたエクスの言葉にこの場にいた皆が驚いた。

「そうなの!?それじゃあ助けにいかないと………」
「無駄だ、今更行ったところで時間がかかる。むしろ敵があっちに行ってくれたのはこちらとしては好都合だ。このまま頂上へ行きロストロギアを止めた方が良い」
「だけど………」

そんなエクスの判断に納得できないエリオ。

「ってかエリオ、ぶっちゃけ有栖家の人達も含めてあのSランクオーバーの人達が簡単にくたばると思うか?むしろ無双状態で暴れまわっている光景しか思い浮かばないぜ」
「無双状態は言い過ぎだと思うけど確かにエローシュの言う通りかもね」
「そうだね、零治君達もそうだけどはやても『これまでの鬱憤を晴らすでぇ………』とか小さく呟いてたっけ?」

そんな物騒なフェイトの言葉に次第に笑い合うBチーム。

「そうだね、結界が壊れる位暴れちゃう前に何とかロストロギアを回収しないといけないね」
「うむ、そうと決まればさっさと行こうかの。終わった後は皆で酒盛りじゃ!!」

そんなぬらさんの言葉に頷きながら立ち上がり再び頂上へ向けて出発するのだった………











別荘………

「あっ、加奈ちゃん!!」
「アリサ、すずか!!久しぶり!!!」

深夜回って0時15分。やっと別荘に着いた加奈は出迎えてくれたアリサとすずかと再会を喜んでいた。

「………ってあれ?ダメっ子の3人は?」
「ああ、さっきまでここに居たんだけどね………何処に行ったのかしら?」

そう言って二階へと上がる階段に目を向けるとそこにはこっそりと様子を見ている3人娘がいた。

「う、う、ウェンディ、先ずはお前から挨拶に行け」
「何でスか!!妹も売るんすかノーヴェ!!そしてセインも逃げようとしないで下さいっス!!」
「逃げてないよ、トイレに行くだけだよ」
「だったら何で遠い2階のトイレへ行こうとするんだよ!!魂胆が見え見えなんだよ」

「あなた逹、何をしてるの………?」
「「「!!」」」

そんな3人に優しく声を掛ける加奈。
しかし3人の反応は驚きと怯えに満ちていた。

「何よその反応………会うの久々なのに失礼ね………」

「か、加奈姉綺麗になったっスね!!」
「何故かしら………ご機嫌取りの様に聞こえたのだけれど………」
「ギクっ!?」
「何でコイツは分かりやすい反応を………」
「バカウェンディ………」
「まあ良いわ………取り敢えず遅れた分を取り返す為に私もこれから向かうわ。ノーヴェ達はこっちの別荘の守りを。もしもの時はISを使っても構わないわ」
「………良いんスか?」
「みんなを守ることを優先なさい。あっ、それと休日中に一度家に帰るから」
「「えっ?」」
「桐谷に言われてるのよ。ノーヴェは心配無いだろうけど家の様子を見てきてくれって。桐谷もまさかの部隊長やってるから中々帰れないみたいね。だからこそ家の方も心配してるのよ………」
「ま、ま、全く、桐谷兄も心配症っすね!!」
「そうだよ!!私達は大丈夫なのに!!」
「………」

そう元気よく答えるウェンディとセイン。
そんな2人を冷たい目で見つめるノーヴェの姿を加奈は見逃さなかった。

「そう、じゃあ楽しみにしてるわ。………もし酷かったら分かってるわよね?」
「ははは、当然じゃないっスか………」
「ま、まあ楽しみにしててよ………」

そう答えたがすっかり元気が無くなっていた2人だった………










「よし、エタナドセットアップ」
『はい、マスター』

光に包まれた加奈はTOVのエステルに似たプリーストの様な姿に。

「これが加奈のバリアジャケットなんだ………」
「何かゲームのキャラクターのシスターみたいな格好ね」
「まあそうイメージしたからね。それじゃパッパと終わらせてさっさと帰ってくるわ」
「気をつけて………」
「皆によろしく」
「ええ。………ああそれと大悟が来たらさっさと来るように言っておいてね」
「うん、分かった」

すずかの返事を聞いた加奈は空へと飛び上がった。

「それじゃあ………」
「待って、私も!!」
「俺も行く」

そう言って別荘から現れたのは散々暴れ回ってダウンしていたなのはとバルトだった。

「あら?なのはとバルトさんじゃない、何でここに居るの?」
「ちょっと喧嘩して休んでて………まあそれは置いて、私も行くよ!!」
「当然俺もな。こんな楽しそうな戦い参加しねえなんて勿体ない!!」

そう言って意気揚々と同じ足並みで加奈の居るところまで来る2人。

(本当にピッタリな2人ね………)

そんな事を思いながらも加奈を含めた3人は現在戦闘中の森へと向かうのだった………
 
 

 
後書き
今回出てきた人物達は真女神転生から参考にさせてもらいました。
吸血鬼の男は………分かる人には分かりますね。

次は後編の予定ですが、終わるかなぁ………?
 
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