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神々の黄昏

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第二幕その四


第二幕その四

「ですから婚礼の式の準備を」
「そうだな」
 ハーゲンは今の彼女の言葉に頷いた。
「それではすぐにだな」
「ハーゲン、家の者達を」
「ここに集めるのだな」
「私は女達を集めます」
 彼女はそうするという。
「すぐにそうしますので」
「わかった」
 彼女のその言葉に頷くハーゲンだった。
「ではすぐにだな」
「はい、では私はこれで」
「私も人を呼ぶのに協力しよう」 
 ジークフリートは二人の手伝いをすると申し出た。
「では角笛を吹こうか」
「いや、それはいい」
「貴方は旅から戻られたばかりですから」
 しかしそれは二人によって止められてしまった。
「休むといい」
「どうかそうして下さい」
「休めというのか」
「今帰って来たばかりですから」
 グートルーネは優しく彼に告げた。
「ですから」
「そうか、そう言うのならだ」
 ジークフリートもそれに頷いた。そうしてだった。
「では私は休ませてもらおう」
「そうして下さい。ではハーゲン」
「うむ」
 話は二人のものになっていた。
「私はこれで」
「ここは私が引き受けよう」
「それでは」
 こうしてジークフリートは休みに入りグートルーネは女達を呼びに向かった。ハーゲンは彼等がそれぞれの場所に向かったのを見届けてから角笛を吹いた。それは高らかに宮殿全体に鳴り響いた。
 それを鳴らしてからだ。彼はさらに言うのであった。
「ホイホー!ホイホー!ホホーーー、ホーーーーー!」
 まずは高らかに叫ぶ。
「ギービヒの者達集え!武器を手に集え!」
 こう叫んで家の者達を呼ぶのである。
「全ての武器を!鋭い武器を!今は危急の時ぞ!」
「角笛が鳴っただと!?」
「軍を集めるのか」
「それではだ」
「今こそここに!」
 その声に応えて四方八方から黒い軍服の男達が出て来た。ブーツも黒である。そしてその手にはそれぞれ槍や剣、斧といったものを手にしている。
 その彼等がだ。庭の中央にいるハーゲンに問うのだった。
「危機とは何だ?」
「戦いか?」
「グンター様の身が危ないのか?」
「何故武器が必要か!」
 言いながら集まるのだった。
「ハーゲン!」
「ホイホーーーー!」
 彼等もまた叫ぶ。
「ホホーーー!ホーーーーー!」
「武器を固め休むことをするな」
 ハーゲンは己の周りに集う彼等に告げる。
「グンターを迎えるのだ」
「グンター様を」
「御無事なのだな」
「そう、彼は無事だ」
 そのことは保障する。
「妻を迎えるのだ」
「妻をか」
「あの方が」
「そうだ」
 まさにその通りだという。
「恐れを知らぬ妻をだ」
「何と」
「あの方もいよいよ」
「それではだ」
 彼等はハーゲンにさらに問うた。
 
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