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転生とらぶる

作者:青竹
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魔法先生ネギま!
  0267話

 エヴァの所持している別荘の中で、俺は意識を集中していた。
 周囲にはエヴァ、茶々丸、チャチャゼロ、あやか、千鶴の姿があり俺の一挙手一投足に意識を集中している。

『アリアンロッド ものみな焼き尽くす浄化の炎、破壊の主にして再生の徴よ、我が手に宿りて敵を喰らえ……紅き焔!』

 右手に付けている腕輪にSPを通しすぎないように注意しながら紅き焔の呪紋を唱える。
 視線の先では、エヴァがどこからか用意してきた鎧が標的用に置いてあり、俺の呪紋が完成するとそこを中心に莫大とも言える炎が出現し、標的の鎧を瞬く間に溶かし尽くす。

「ほう」

 感心したようなエヴァの声を聞きつつ、溜息を一つ。
 始動キーを設定した俺が初めて使う魔法という事で、興味を持ったエヴァが別荘を提供してくれたのだ。

「ふむ、アクセル。腕輪の調子はどうだ?」

 エヴァに尋ねられ、右手に装着している腕輪へと視線を向ける。

「ざっと見る限りでは、特に不具合は無いな」

 さすがにわざわざ宝物庫に保存していただけあって、エヴァ曰く馬鹿魔力である俺のSPを消費して魔法を使っても初心者用の杖のように1発で使い物にならなくなったりはしない。

「フハハハ。さすが私がくれてやった物だな。感謝するがいい!」

 空中に浮かびながら腰に手を当て、高笑いをするエヴァ。その姿はとてもじゃないが齢600年の吸血鬼には見えなかった。

「ああ、マスター。嬉しそうで何よりです」
「あらあら、エヴァンジェリンさんったらアクセル君の魔法が成功したのがそんなに嬉しかったのかしらね?」

 そのエヴァの様子に茶々丸は無表情ながらもどこか嬉しそうに呟き、千鶴もまた微笑んでいる。

「お、お前等何をそんな生暖かい目で私を見ている! 特に那波千鶴! 貴様は魔法を使えるようになったのか!?」

 そんな2人に気が付いたエヴァが狼狽え気味にそう叫び、それがまた余計に千鶴の慈母の如き微笑を引き出す。

「ええい、調子の狂う奴だな。雪広あやか、お前の進み具合はどんな具合だ?」

 エヴァのその言葉に自信あり気な笑みを浮かべたあやかは、持っていたバッグから初心者用の杖を取り出して意識を集中する。

『プラクテ、ビギ・ナル……火よ灯れ!』

 その呪紋を唱え終えた瞬間、何とあやかの持っている杖の先に小さいが確かに炎が生まれていた。

「……何だと?」
「ホーホホホ! これこそがアクセル君に対する愛の為せる力ですわ」
「あらあら、あやかったら」
「オイオイ、マジカヨ。魔法ノ存在ヲ知ッテカラ、マダ1ヶ月モ経ッテナイッテノニ」

 この別荘の中でのみ動けるチャチャゼロも、さすがに驚いたようにあやかへと視線を向けていた。
 その様子を見ながら、エヴァは何やら考え込んでいる。

「アクセルはまだいい。あの馬鹿魔力で力任せに魔法を発動させているという可能性もあるし、何より幾多もの戦場を戦い抜いて来ただけあってその手のものに対する慣れというのもあるだろう。だが、雪広あやかはつい一ヶ月前まで紛れもない無い一般人だった筈だ」
「エヴァンジェリンさん、あれがあやかの愛の力なのよ」
「そんなんで納得出来るかーっ! 映画や漫画じゃないんだぞ!? 愛やら友情やらでそうそう自分の限界を超えられて堪るか!」
「しかしマスター、実際に雪広さんは魔法を使っていますが」
「で・す・か・ら! アクセル君に対する愛の為せる行為ですわ!」

 正直それはどうよと思わないでも無いが……でも、実際に初心者用の魔法とは言っても使えてるんだよな。
 いや、夜とか夏美が寝た後に部屋で練習をしているのを見た事はあるし、初心者用の教本も俺達3人の中で一番熱心に読んでいたのは確かにあやかだ。それに元々あやかはその性癖さえ除けば完璧人間と言ってもいいような存在なのだから、魔法の才能があっても不思議では無い。

「私もあやかには負けてられないわね」

 千鶴もそう言いながら、初心者用の杖を取り出して意識を集中させ……

「おい、まさか那波千鶴も魔法が使えるなんて事は無いだろうな?」

 エヴァが半信半疑といった感じで千鶴へと視線を向ける。

『プラクテ、ビギ・ナル……火よ灯れ!』

 その呪紋が唱えられた次の瞬間……皆が息を呑んで見守っていたが、あやかとは違い特に火が出るような事はなかった。

「あら? やっぱりまだ練習不足かしら?」

 小首を傾げて呟く千鶴に、何故か安堵の息を吐くエヴァ。

「そ、そうだ。それが普通なんだ。アクセルや雪広あやかのようにそう簡単に魔法を使えるようになるのがおかしいんだ」
「ケケケ。御主人モ魔法ヲ覚エルノニハ苦労シテタカラナ」
「黙れチャチャゼロ! あの時の私にはこいつらみたいに初心者用の魔法教本なんて便利な物は無かったんだから時間が掛かって当然だ!」

 そんな主従のやり取りを眺めていたのだが、明日この麻帆良に来るというネギ・スプリングフィールドの事を思い出す。

「エヴァ、明日この麻帆良に一人魔法使い見習いが来るらしいが、聞いてるか?」
「ん? あぁ、その話ならじじぃがお前等に話した時に私もその場にいただろう。それがどうした?」
「その魔法使い見習いのフルネーム、ネギ・スプリングフィールドって言うらしいがそれは?」
「ふん、何でわざわざ私が一介の見習い魔法使いの存在を気に掛けないといけないんだ。スプリングフィールドだと? 待て。スプリン……グ……フィールド……スプリングフィールドだと!?」

 先程までのお子様然とした様子からは想像も出来ない程の速度で俺の近くまで移動してくると、襟首を掴んで思い切り揺さぶる。

「スプリングフィールドというのは、アレか! ナギの親類か何かか!」
「ちょっとエヴァンジェリンさん! アクセル君を離して下さいな!」

 息苦しいのはともかく、こうもガクガクと揺さぶられては話すらまともに出来ない。
 エヴァもあやかの言葉で我に返ったのか、バツが悪そうに俺の襟首から手を離す。

「あー、で、そのスプリングフィールドというのは?」
「ああ、エヴァの予想通りナギ・スプリングフィールドの息子だそうだ」
「くっくっく……そうかそうか。なるほどな。良かろう、歓迎させてもらうぞネギ・スプリングフィールド!」

 いつものあやかにも負けない程のハイテンションを見せるエヴァ。その様子を見ていたあやかが不思議そうに聞いてくる。

「アクセル君、エヴァンジェリンさんはどうしたんですの?」
「ほら、あれだ。エヴァがこの学園に閉じ込められているという話はした事があったな?」
「ええ」
「その閉じ込めたのがナギ・スプリングフィールドという魔法使いで、明日来るのがその息子らしいぞ」
「そう! つまり、その息子の血があれば私はこの忌々しい登校地獄という呪いから解放されるのだ!」
「……登校地獄、ねぇ」

 相も変わらずこの世界は良く分からない魔法や呪いがあるな。

「ちょっと、エヴァンジェリンさん? 明日来るのは魔法学校を卒業したばかりの子供だと聞いています。小さい子供相手にまさか無碍な真似はなさいませんわよね?」
「くくっ、さて、それはどうかな。何せ私は悪い魔法使いだからな」

 そう言いつつも、エヴァの性格から考えると女子供相手に殺すような真似はしないだろうと予想は出来る。

「ケケケ。無理ニ悪ブッテモ、スグニ見破ラレルゼ。コイツミタイニナ」

 チャチャゼロがナイフの切っ先を俺の方へと向けながらそう話す。

「姉さん、マスターのあれは嘘なのですか?」
「妹ヨ、オ前モマダマダ人生経験ガ足リナイナ」
「ええ。何せ生後一年ちょっとですので」
「!?」

 茶々丸のその台詞に思わず振り向くが、俺と目が合うと小首を傾げる。

「アクセルさん、どうなさいましたか?」
「……いや、そうか。そう言えばそうだよな」

 確かにエキドナに比べれば感情表現はまだまだ拙いものだ。だが、エキドナを創り上げたのはこの世界より遥かに文明の進んでいるスパロボOGsの世界でもトップクラスの技術力を持つレモンなのだ。それに比べて、この世界は俺が今まで渡って来た世界の中でも一番の後進世界であるのは間違い無い。その遅れた技術で茶々丸のような存在を作り出せたのは偏に魔法という存在があってこそだろう。

「そういう意味では確かに魔法は凄い技術なんだろうな」

 思わず呟いたその言葉をエヴァが聞き、不思議そうにこちらへと視線を向ける。

「どうした?」
「いや、何でもない。所で、そのネギ・スプリングフィールドだが……せめて手加減はしてやれよ」
「さて、どうだろうな。その時の気分次第という所か」
「エヴァンジェリンさん!」
「ほらほら、あやか。エヴァンジェリンさんだって本気で子供を苛めたりはしないわよ」
「おい、那波千鶴。これは苛める苛めなんていう問題では無くてだな。私の呪いを解く為に……」
「……エヴァンジェリンさん? まさか600年を生きる吸血鬼ともあろう方が年端もいかない子供を苛めるなんて真似はしませんよね?」

 例の如く、正体不明のプレッシャーを発しつつエヴァへと迫る千鶴。
 だが、当然エヴァとしても自分をこの地に縛り付けている呪いを解除する絶好のチャンスなのだ。そう簡単に諦めはしないだろう。

「取りあえず、学園長に相談してみたらどうだ? 年の功という奴で何かいい解決方法を教えてくれるかもしれないぞ」

 だが、俺のその台詞をエヴァは鼻先で笑い飛ばす。

「ハッ、この呪いを掛けられて3年後、本来ならこの呪いを解呪する約束の期限にも関わらずナギの奴が来なかった時、じじぃは色々と手を尽くして解呪用の魔法道具や呪術を祓う専門の術師も用意したがそのどれもがサウザンドマスターと呼ばれたナギの馬鹿魔力に対抗出来なかったんだ。それを今更どうこう出来るとは思えんな」
「だが、ネギ・スプリングフィールドという存在はこの学園にいる魔法使い達にとっては重要なんだろう? 少なくても、この麻帆良に封印されている吸血鬼よりは」
「……」

 俺の言葉に苦虫を噛み潰したかのような表情をするエヴァ。
 確かに近右衛門や高畑はエヴァに対して好意的だが、他の魔法使い達がどうかまでは不明なのだ。

「どうする?」
「良かろう。お前の顔に免じて1度だけじじぃと会談の場を設けてやる。だが、いいな。これが私が譲れる最大限の譲歩だぞ」
「ああ、構わない。……俺の魔力がサウザンドマスターよりも上だというのなら、俺がその呪いを解除出来ればいいんだがな」
「いや、無理だな。確かにお前の馬鹿魔力はナギのそれよりも数段上だろう。だがそれを使いこなしているとは言い難いし、そして何より私と同じでお前に治癒魔法の適性は無いだろう」
「何で分かる?」
「魔法の適性は性格の色が濃く出るのが普通だ。自分の性格を良く考えてみろ。お前は自分自身を攻撃と回復、どちらに向いていると思う?」

 その言葉を聞き、酷く納得する。

「確かに性格で適性が決まるとしたら、俺の適性は攻撃だろうな」
「だろうな。別にそれが悪いという訳じゃない。私だって同じようなものだしな。……そうだな。例えば、そこにいる那波千鶴なんかはどちらかというと攻撃よりも回復や補助に向いているだろうな」
「確かに千鶴は攻撃というよりは回復だろうな」

 そもそも、当初は俺が攻撃魔法を覚えるのにも余りいい顔をしなかった千鶴だ。基本的に母性本能の塊のような性格であるのは間違い無い。

「ちなみに、私の適性はどうなんでしょう?」

 やはり自分の適性に興味があるのか、あやかがエヴァへと尋ねている。

「あくまでも私の独断と偏見だが……雪広あやか、お前は良く言えば万能型、悪く言えば器用貧乏なタイプだと思うがな」
「き、器用貧乏……? 納得いきませんわあああぁぁぁぁっっっ!」
「だからあくまでも私の独断と偏見だと言っただろうに」

 こうして、ネギ・スプリングフィールドが来る前日の別荘での一日はあやかの絶叫と共に過ぎていった。 
 

 
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:38
PP:625
格闘:262
射撃:282
技量:272
防御:272
回避:302
命中:322
SP:462
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    ???
    ???

撃墜数:376 
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