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ソードアート・オンラインーツインズー

作者:相宮心
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SAO編-白百合の刃-
  SAO9-妹との距離

 夢を……見たような気がする。
 相手の顔は霧のように白くぼやけていて認識でき無かったが、小柄な少女と口論していたのはなんとなくわかった。なんだか懐かしく思える、乱暴な言葉遣いで相手をぶつけていた。
 なんで、顔が見えない相手に、こんなにも理不尽に怒りを抱いて、責めているんだろう。
 なんで、顔が見えないはずなのに、彼女は泣きそうな表情しているって認識できるのだろう。
 そもそも、なんで私と彼女とで口論しているんだろう何か気に食わないことでもあったのかな?
 答えを探そうとしても、口が勝手に相手をぶつけさせ泣かせてしまう。やめてほしいと頭ではわかっていても、口では全くわからず感情のままに相手をぶつけてしまう。
 あぁ……そうか……そういうことか。
 なんというか、マンガ・アニメみたいなベタな展開だなぁ……。
 でも、頭でしか理解してないから口に出す言葉は何も変わらない。わかっていれば、目の前にいる彼女とは口論しないで謝罪
 ごめん、ごめんなさい。何度でも謝るから、お願いだから、もう泣かないで。全部、私が悪いんだ。私の身勝手な理由を八つ当たりしているだけなんだ。私が何もわかっていないだけなんだ。
 そんな私を許せとは言わない。だけど、お願いだから泣かないで笑ってほしい。
 す、ぐ…………。



「キリカさん、朝ですよ!」
「う~ん……あと、にじゅうじかん……」
「長いですよ!」

 シリカに起こされた私は昨夜のことを思い出し、そのまま放置してしまったこと、部屋に戻さなかったことを謝った。
 シリカも「ごめんなさい、ベッド占領しちゃって……」と、寝てしまったことを謝ってきた。
 お互いさまと言うことで終わり、改めて朝の挨拶を交わしたら朝食をしっかりとってから、転移門へ移動した。

「さて、四十七層。思い出の丘へ挑戦よ!」
「はい! あ……あたし、四十七層の街の名前、知らないや」
「じゃあ、私が指定するね」

 シリカの手を握って、目指す所への場所を口にした。
 本番とまでは言わないけど、変に失敗することはできない。ここで失敗したら、シリカは絶望してしまうだろう。そんな想いをさせないためにも頑張って、ピナを蘇生できるようにしよう。

「転移! フローリア!」

 声を上げると同時に(まばゆ)い光が広がり、私とシリカを(おお)いに包んだ。



「到着っと……」
「すごい」
「ここがフローリア。通称『フラワーガーデン』よ」

 四十七層主街区ゲート広場は無数の花で溢れていて、円形の広場を細い通路が十字に貫いてそれ以外の場所はレンガで囲まれた花壇となっている。
 街だけじゃなくて フロア全体が花だらけ、チューリップにバラにデイジーやたんぽぽに椿に菫や百合とか矢車草など、種類は様々。
 また北の端には『巨大花の森』というのもあるが、それはまた今度機会があれば連れていくことにしよう。
 つか、ここ……さ、ほとんどが男女の二人連れしかいないの? 皆しっかりと手を繋いだり、腕を組んだり、小指だけで繋いだりしている……このバカップル達が。イチャイチャするなっつうの。
 とはいえ、実際ここはアインクラッドのデートスポットであるのだから、そこでイチャイチャしたいのも遊園地や水族館みたいなものだからイチャイチャしないわけないか。彼らカップルがこうして、イチャイチャできるのも、私達攻略組の成果になっているのかね。一部の人からは妬みられそうだけど、その問題は個人で管理してもらいたい。
 いつか兄に彼女が出来たら教えておくか。それが、いつになるのかわからないけど。少なくとも一人は好意を持っているプレイヤーを知っているから、なんとかなるかな。

「さ……さあ、フィールドに行きましょう!」
「う、うん……それはいいけど、どうしたの?」
「な、なにがですか?」
「……いや、やっぱなんでもないや」

 なんか誤魔化すように発言したし、シリカが火照(ほて)ったような気がしたけど……あんまり私に言いたくないことかもしれない。それにピナの蘇生アイテムをゲットする本番みたいなものだから緊張しているのかも。そこのところは私がカバーしないといけないな。
 私とシリカはゲート広場を出て先へ進んだ。ちなみに街のメインストリートは同じように花に埋め尽くされている。
 さて、このままモンスターが出てもバッサバッサと、倒して行き、無事に使い魔蘇生用のアイテムをゲット! そしてピナと無事に再開! やったね、イエイ! ハッピーエンド……って、なったら簡単で一番良い結末なんだけどなぁ……絶対そう簡単にいかないような気がする。といっても、何かしらのトラブルがなければそうならないから、あんまり固く考えずにちょっと気楽な感じでやればいいかもしれない。後は運にまかせよう。

「あの……キリカさん」

 モンスターが現れず、普通に歩いていたら、急にシリカは伺うように訊ねてきた。

「どうしたの? あ、心配しているの?」
「いえ、そうじゃなくてですね……妹さんのこと、聞いていいですか?」

 …………。
 トラブルっていうのは違うが、予想外なことを訊ねられるとは思いもしなかった。

「きゅ、急だね……どうしたの?」
「あたしに似ているって言ったじゃないですか。それで、気になっちゃって……」
「あー……そうなのね」

 …………。
 実は、からかっただけだよ~。って、告げたところで信じられないし、誤魔化されたことがバレで気を遣われそうだ。
 この世界においては、現実世界の話を持ち出すのは最大のタブーだ。理由は様々だし、何故かはわからないけど、仮にこの世界が偽物だったと認識してしまい、死を現実のものとして受け止めることが出来なくなってしまうかだそうだ。
 それをシリカは知っているのを承知で言っているのかは、知らないけど……気になってしまったから私に訊いたんだろう。
 他の人に過去話なんて早々にないからな……変な緊張がする。

「妹のことなんだけどさ、実は……妹とは…………仲悪いんだ」
「えっ……」
「いや、妹が私のことを嫌っている」

 私はぽつりぽつりと妹のことを話し始めた。

「家族構成は私と双子の兄と妹……家族じゃないけど、従姉が遊びに来るから姉も一応はいる。あとは母に父といった、至って普通の家庭に聞こえるのだろうけど、私達双子は親と妹の血が繋がっていないんだ。血が繋がっている家族は兄だけ。だから本当は妹じゃなくて、従妹」
「妹さんは知っているんですか?」
「どうだろう。妹が生まれた時から一緒に育ったから、向こうは知らないはず。もしくは知っているけど言わないで黙っているかもしれない。さっきも言った通り、仲悪いからそう言う話はしなかったよ」

 言っていて思ったことがあった。例え妹が私と兄が本当の家族じゃないって知ったところで何も変わらないだろう。変わるとしたら、妹はより一層私のことを嫌いになるだろう。無事に帰ってきたところで妹は私のことなんてお姉ちゃん扱いはされないわね。
 それもこれも、自分のせいで返ってくるものだ。因果応報ね。
 そのせいで、色々と失ったものもあるんだ。そう思うと、本当に自分がどうしようもないガキなんだ。

「私ね……つい最近まで、す―――ごく、口が悪かったんだよね」
「えっ?」
「うーん、一言で言うと……不良かな?」
「ええっ!? ふ、不良だったんですか!?」
「あ、やっぱり驚いちゃう?」
「だって、キリカさんが不良だなんて、想像できませんよ」
「……そっか」

 兄にも、クラインにも「お前変わりすぎだ」って言われていたけど……そんなに昔酷かったのか?

「でも、昔の私はそうだったんだよ……」

 いや、酷かった。
 昔の自分は……ただの強がりを振る舞う、どうしようもないガキだった。

「子供の頃から、私は口が悪かったと言うか、ガキっぽいと言うか、荒れていたと言うか、とにかく男ぽくて、怒りっぽい感じの性格だった。実はさ、妹とは最初から仲が悪いことはなかったの。それなりに仲は良かった、と思うんだ。それが狂い始めたのは、私が中学生になった時だった。たまたま、私は血が繋がっているのは兄だけだということを知ってしまった。そのことを知った私は、怒りや憎しみ抱いてしまった。全部が全部、本物じゃなく騙されたんだって思い始めちゃったんだ。それから私は本物の家族である兄しか味方はいないんだって思い始めもした」

 今でも覚えている。
 それはほんの偶然の出来事だった。偶然の出来事で、私は真実を知った。血が繋がっているのは兄だけで、父母、妹は血の繋がらない家庭だったということを、そして本物の家族はもうすでに亡くなっていることを知らされた。
 正直、ショックだった。全部が全部、悪夢でいてほしかった。何も知らずに、のうのうと生きていた自分がなんだか惨めに感じた。今まで家族として暮らした日常は、全部が嘘だったんだと、騙された気がしてなかなかった。
 そんな家族が憎かった。だから私は、本物の家族である兄しか味方はいないんだと思い始めた。
 それが、間違いの始まりであった。

「それからの私は、母さんや父さんに反抗したり、妹とケンカしたりするようになっちゃった。特に妹のことは全然見なくてさ、私のことお姉ちゃんって呼ぶけど、本物じゃないのにそう呼ばれるのがムカついてしまって、存在自体が憎かった。私の本物の家族は、周囲に壁を作るくせに寂しがり屋である、双子の兄しか見ていなかった。中学からゲームにハマった時にはもう、仲良かった姉妹の仲は崩れてしまった。気がついた時は何もかも、父さんや母さん、妹の思い出を私は否定していたわ」

 そして家族を否定したまま、私はこの世界に閉じ込められた。それでも良いとは思った。私がいなくなったことで、せいぜいするんだと思っていた。実際はどうだか帰ってみたいと分からないが、私のことなんていらないだろうと自分自身も否定していた。
 だけど、皮肉にも私はゲームの世界に閉じ込められて自分を見つめ直すことができた。そして、自分の行いが間違っていることにも気づいた。

「今になって思うよ。たとえ血がつながってないのに、拾われた身だからって、父さんも母さんも、妹には何にも変わりなかった。今までの日常、妹の仲に全部が本物だった。血は繋がっていないけど、母さんも父さんは私を娘と接していたのに、妹はお姉ちゃんと呼んでくれていたのに、私はそれを全部偽物だと否定をした…………最低な人間だ」

 お互いにこんな関係なんて望んではいなかった。当時を振り返ってみても、家族を否定して続けて楽しかったことなんてなかった。ただ虚しさが残るだけだってわかっていたはずなのに、頭でわかろうとしなかった。
 気がついた時には私はアインクラッド、ゲームの世界。その時、私は取り返しのつかない後悔をした。

「きっと恨んでいるだろうね。こんな姉なんて、いないほうがいいに決まっている……」

 ポロッと、私はシリカに弱音を吐いてしまった。言ったところで、家族の仲が直るわけがないのに
 弱音の流れから涙を流しそうになった時、シリカがギュッと手を握られてた。
 その手の感触に、穂のかな暖かさが包まれたような気がした。

「あたし……一人っ子で血が繋がって親もいますから理解できません。昔のキリカさんのこともわかりません。ですが、あたし……キリカさんがお姉さんだったらいいなって思います」

 同情? 

「無理して慰めなくても……」
「違います! 本当にあたしはそう思っているんです。

 違った。同情ではなく、言葉を選ぼうとしないシリカの発言に私は嬉しかった。

「血が繋がっていなくても、共に過ごした時間は本物だと思うんです。だから、ちょっと食い違っても家族であることは変わらないと思います。もしも、キリカさんのことを嫌いになったとしても、また好きになるんじゃないかと思います。家族って、そういうものなんですよ。だから、キリカさんがいなくなったほうがいいなんて思っていないと思います」

 私はシリカの言葉に、過去の自分を思い返してみた。
 ……私が反抗しても、母さんも父さんも見捨てたりせず、私を見守ってくれた。そして、SAOも買ってくれたんだ。それを気づかず、私は反抗ばかりしていた。それでも母さんと父さんは私のことを娘として見てくれていた。
 だけど、親は思っていても、妹は……私を許せないんだろうな……。

「キリカさんは、妹さんと仲直りしたいんですよね?」

 でも、相手が許せなくても、私は……。

「……うん。想っている」

「仲直りしたい、謝りたい、お姉ちゃん、で……いたい!」

 本当は泣いているところなんて見せたくなかったけど、想いを発した時には我慢できずに涙を流してしまった。
 そんな私をシリカは優しく微笑んだ。

「大丈夫です、想いは伝わりますよ。それに妹さん、恨んではないと思いますし、きっと仲直りしたいと思っているんじゃないかと思うんです。だから、絶対に仲直りできますよ」

 ……心の中では、妹との溝なんて埋められないと思っていた。当然だ、私の勝手な苛立ちをぶつけてしまったんだ。そんな私のことをいつまでも許さないだろうと想っていた。
 ……本当にそうだとしても、私はお姉ちゃんでいたい。帰ったら謝ろう。今までのこと、全部謝罪して、想いをぶつけよう。そして、親に迷惑かけたから親孝行しないと。いっぱい手伝ったり、支えたりして、母さんと父さんの娘でいたい。
 後悔はたくさんした。その溝がなくなるのかは私次第になってしまうけど、もう二度と後悔するのは嫌だから、頑張ろう。
 だから……生きて帰らないと。生きて帰って、ただいまを言いたい。
 私の帰ってくる場所は、あの家族なんだ。

「一つだけ聞いていい?」
「はい、なんでしょうか?」
「……妹は、まだ私のこと……お姉ちゃんだと思っているかな?」
「はい、絶対に思っていますよ!」

 シリカに訊くのもなんだったんだけど…………うん。
 そう、だね!

「……もう、妹の名前も知らないくせに、生意気だぞ」
「え、えぇ!? で、でも」
「わかっているよ……ありがとう。あと、ごめん。泣いちゃって」
「大丈夫です」

 シリカはそう言ってくれるが、いつまでも泣いちゃったらかっこ悪いので、急かすように袖で涙を拭いた。
 なんだか、私の方が慰められてばっかりだな。
 さて、シリカに慰められて元気百倍! シリカの為にも、なんでも蘇生アイテムを手に入れないとね!

「じゃあ、行くとするか!」
「はい!」
「っと、その前に注意事項をシリカに言わないとね……何があっても、不思議じゃないから」
「そうですよね。よろしくお願いします」
「よろしい」

 元気百倍になったところで勢い良く行きたいところではあるが、もしものためにもシリカには最低限のことを伝えなければならない。下手して、シリカが死んでしまったら最悪だ。

「もうフィールドに入っていて、会話中に戦闘になることもあるけど、これだけは言っとくわね」
「な、なんでしょうか?」
「シリカのレベルと私があげた装備なら、ここの層のモンスターは決して倒せないわけじゃないし、私もいる。だけど……何があっても不思議じゃない」

 私はベルトにつけている小さなポーチから、転移結晶をシリカに渡した。

「これって……」
「シリカも知っているけど、それは転移結晶。最悪な事態が起きた場合、私が離脱しろって言ったら迷わずにどこの街でもいいから跳んでね」
「で、でも、それじゃあキリカさんは……」
「いや、私のことはいいよ」
「いいって、そんな!?」
「今回の目的はピナの蘇生をして再会すること。それなのに、当人が死んじゃったらどうするの? そうならないように私のことは心配……するなとは言わないけど、自分のことを優先させてほしいな」
「キリカさん……」

 私のことは大丈夫なんだ。
 シリカにはまだ言えないけど、この世界で過ちを犯してしまったことがあって、その繰り返しをしたくない意味でもあるのよね。
 だから、そう言う意味でも、シリカには死んでほしくないんだ。

「……わかりました」
「ありがとう」

 シリカは想いを伝わってくれたのか、承知してくれた。
 
「よし、ピナの再会に必要なアイテムを取りに行くとしましょうか!」
「はい!」

 今の私達にどんな敵が立ち塞がろうと負けやしないし、シリカは足でまといにならないように気合い充分に伝わって来た。
 私達ならいける! どんな敵が現れたって負けはしない!

「ぎゃあああああ!?」

 第一戦、モンスターが現れて、シリカが悲鳴を上げだした。

「……あの、シリカさん?」
「なにこれ!? 気持ちワル――――!? いやあああ来ないで――――!!」

 シリカが気持ち悪がっているものは茎、もしくは胴のてっぺんはひまわりに似た、黄色い巨大な花。なんだけど、口は牙むき出しでぱっくりと開いて内部の毒々しい赤をさらけ出している。そしてファンタジーにはお約束のツタを生やしている。分類は植物モンスター。それも歩く花だ。
 その植物モンスターをシリカは嫌がっていた。

「やだってば――!!」

 そんな嫌がるシリカを面白がっているのか、標的はシリカに定めており、ツタがにょろりにょろりと伸び襲いかかってくる。私なんか目にもしない。

「シリカー、目をつぶって短剣振り回しても当たんないからねー」
「だ、だってぇぇぇぇ」
「そいつは花のすぐ下の、ちょっと白っぽくなっているとこを狙えば簡単に倒せるから!」
「無理です! 気持ち悪いんですぅぅぅぅ――」
「うん。確かにね、確かに気持ち悪いし、ぶっちゃけ嫌いよ、私も。……でもね、世の中にはこれより気持ち悪い奴なんてたくさんいるんだよ。例えばそうね……ぬるぬるネバネバの触手が山ほど生えた奴とか」
「キエ――――!!」

 シリカは私が例えたモンスターを想像してしまったのか、悲鳴を上げつつ抵抗するように、無茶苦茶にソードスキルを繰り出した。だけど、無茶苦茶に振るっているので、ソードスキルは見事に空を切った。
 その隙に、二本のツタでシリカの両脚をぐるぐると捕らえ、ひょいと持ち上げられてしまった。

「わ!?」

 
 ……ちょっと惜しいな。なんてね。

「き、キリカさん! 見ないで助けてくださいよ!」
「やだ」
「やだ!? ど、どうしてですか!?」

 無理な体制になって、右手を持つ短剣でツタを切ろうとしてもうまくいかない。
 つまりどう言うことか?

「その体制だとキツいんじゃない? 両手で使えば抜けられるよ?」
「でも、そうしたら、み、見えてしまいますよ!」
「うん。私はそれが見たい」
「キリカさん!?」

 ちょっと、自分の変態発言には反省はするが後悔はしない。
 だって、そいつ弱いから、もしもの可能性があってもシリカを無事に助けることができる。だからまだ助けないでおこう。シリカの今後のためにも。
 そんなやり取りに巨大花は参加するように、楽しくおちょくるように吊り下げたシリカを左右にぶらぶら振り回す

「こ、この……いい加減に、しろっ!」

 やむえなくスカートから左手を離して、ツタの片方を掴むと短剣で切断した。ガクンと体が下がり、白っぽいところを狙って再度ソードスキルを繰り出す。今度は見事に命中し、巨大花の頭がコロリと落ちると同時に全体を含めて爆散。ポリゴンの欠片を浴びながら着地したシリカは振り返って訊ねてきた。

「……見ました?」
「見えたんだ」
「…………キリカさんって、意外とそう言う人なんですね」
「失望した?」
「いえ、失望はしません、が……少しがっかりしました」

 少し怒りを表し、プクゥと膨らませて顔を逸らした。

「さっさと行きましょう、キリカさん」
「はいはい……で、どこをがっかりしたの?」
「そう言うところです!」

 怒りを力に変えては言わないけど、少しぐらいからかって多少緊張が和らいだと同時に、さっさ見たいな気持ち悪い敵も普通に倒せるはず。
 普通に倒せるはず……がね。

「あ、さっきと同じ敵だよ」
「いやああああ!!」

 その次のモンスターに遭遇しても。

「ほら、さっきと違うモンスターだから」
「これも気持ち悪いから――!!」

 終いには、イソギンチャクに似たモンスターに対しては……。

「いやああああ!! ヌルヌルする――!!」
「しっかりして! 今助けるから!」

 ヌルヌルの触手に全身ぐるぐるまきにされたシリカは、流石に私が助けないと、いろいろと危ない気がしたので即刻救出活動をした。
 ファンタジー要素があるエロいお約束だったけども……トラウマになったら、嫌になるでしょ。

「も、もう……嫌……」

 精神的にシリカは気絶しそうだった。足下がふらついて、まるで見えない誰かに誘われているようだ。

「今……行きます。……ピナ、待っていてね」
「シリカ! そっちは何もないから! 道そっちじゃないよ!」

 だ、大丈夫だよね……この先も大丈夫だよね!?
 
「キリカさん。あたしと一緒に、ピナに会いに行きましょう……フフッ、フフフフフ」
「さっきまでの元気ハツラツはどこへ行ったのだ――――!」 
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