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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス

作者:海戦型
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役者は踊る
  第十三幕 「スレチガイな考え」

 
前書き
湿気った柿の種っておいしいよね。ぬれせんべいは嫌いだけど 

 
前回のあらすじ:病弱少年、裾を引く

~放課後~

「・・・すまん、つまりどういう状況なんだ?」
「だ、か、ら!承章さんが生徒会長と生身で一騎打ちするんだって!!」
「いやだからなんだってそんな事になったんだよ?」

ばんっ!と机をたたいて必死に説明する同級生の相川さんを見ながら、一夏はひたすらに首をかしげていた。
なぜジョウさんがこの学園の生徒会長と一騎打ちなんてするのだろうか。その理由が皆目見当つかなかった。
そんな態度に少し苛立ったように相川さんがまくし立てる。

「承章さんが何で挑んだかは知らないけど、相手は生徒会長なのよ!?」
「その生徒会長が何かジョウさんを怒らせるようなことしたんじゃないのか・・・?」
「はぁぁ~・・・織斑君ったら全然知らないんだね」
「???」

どうも話がかみ合わない。クエッションマークを頭に浮かべる一夏に横から谷本さんが割り込んでくる。

「あのね、織斑君。この学園の生徒会長であること・・・それはこのIS学園において“最強”っていう意味を持つ肩書きなんだよ?」

生徒会長、更識楯無。1年生の段階で先代生徒会長を打ち破って今の地位を獲得、しかもその年でロシアの“国家代表”を務めているという化け物。3年生でさえ彼女に勝てる者はいないと言われるほどの実力を誇っている。いわばIS学園内の(千冬を除けば事実上)トップに君臨する人なのだ。

「へぇー。そりゃいかにもジョウさんが挑みそうな人だな。どれ、ちょっと見物に行ってみるか!」
「って、どうしてそうなるの!生徒会長の楯無さんは生身、頭脳、IS、権力等々全てにおいて最強だって宣言して、実際に誰も勝ててないんだよ!?いくら承章さんがユウ君のお兄さんだからって・・・無謀だよ!!」
「何言ってるんだ?ジョウさんがわざわざ挑むっていうんだから見物しなきゃ勿体無いぜ」
「「???」」

今度は二人が首をかしげる番だった。彼女たちが言いたかったのはつまり承章の無謀な行為を止めてあげてほしいという事だったのだが、一夏は承章の事を毛ほども心配していないようだ。もしかして、生身なら女など恐るに足らないなどと前時代的なことを考えているのか・・・と思った矢先、一夏が何かに気付いたようにポン、と手のひらを叩く。

「あ、そうか。みんなはジョウさんの事知らないんだな」

・・・そう言われてみれば。入学してからの1週間、彼はあの自己紹介の時の衝撃的な登場以来、特に目立ったことをしていない。2組から時々情報は入っていたが、その頃は代表決定戦でざわめき立っていたころだから内容もあまり覚えていない。一夏はどういえばいいか言葉を選んで話そうとするが・・・

「えーっとな・・・何ていうか、箒にはもう話したんだけどさ。その会長が“最強”ならジョウさんは“天才”なんだ」
「・・・それじゃ分かんないよ」
「つまり、どういうことなの?」
「ん~・・・あの人は理屈じゃないんだよなー・・・実際に見れば多分わかると思うよ。・・・で、結局どこでやるんだ?」
「う、うん。確か――」

情報を得た一夏は未だ釈然としない2人と途中で合流した箒を連れて決闘の場所・・・中庭が見える場所へと向かっていった。数分後、彼女たちは一夏の言わんとしたことを大体理解することになる。





――少し前の事・・・――

「IS学園生徒会長、更識楯無。お前は何時如何なる時でも挑戦を受け付けていると聞いた」

突如押し寄せた圧倒的な存在感と共に。突然生徒会室に現れたその男――残間承章は開口一番そう言った。
今まで更識家当主としてあらゆる“敵”と戦ってきた中で培われた経験則が告げる。この男は、強い。荒々しい猛獣でも静かに獲物を待つ狩人でもなく――そう、例えるならばそれは触れれば斬れる抜身の刀。隣にいる布仏虚の肩が震えるのが分かる。
正直、突然現れてそんなことを言うとは思わなかったからかなり驚いた。彼には仕事柄そのうち接触する気ではあったのだが、まさかあちらから出向いてくるとは。そして、これほどの威圧感(プレッシャー)を放つとは・・・これだけの威圧感を感じたのは織斑先生に“ちょっと本気で”ちょっかいを出した時以来だろうか、と懐かしむように思い出す。

「そうよ、ジョウ君?IS学園において、生徒会長とはすなわち最強であるということ。
 いつでも襲っていいし、勝てたらその者が生徒会長になる。そういうことになっているわ」

扇子を開いて口元を隠しながら、さも余裕あり気に返す。
残間承章。世界3人目の男性IS適性者。残間結章の実兄であり織斑一夏とも交友がある。性格は表裏がなく快活で、成績はどの分野においても秀でている、と下調べしたデータにはある・・・同時に重度のバトルジャンキーで試合、勝負、手合わせ、喧嘩など相手と直接的に戦う事柄を好む、ともある。
だが、単に手合わせをしに来たとは到底思えない。まさか・・・既にIS学園の“裏”を知っている?だとしたらいったいどこから情報を得たのか?

「最強だとかはどうでもいい。生徒会長になる気もない。ただ、俺が勝ったらいくつかの条件を呑んでもらう」
「・・・へぇ?ちなみに要求の内容を聞いても?」
「弟の・・・ユウに関することだ。詳しくは勝負がついた後に話す」

眉一つ動かさずにそれだけ言った。弟に関すること・・・一体何だろうか。
いくつか予測を立てることはできるが確信には至らない。
それは此処までの気迫を放ってまでする必要のあることなのか。
若しくは・・・私を試している?まさか・・・ね。彼の眼にはこちらを試すような様子も観察している様子もない。
かといってこちらが見えていないわけでは決してなく、一切の隙を感じさせない。
要求をはっきり言わなかったのは何故だろうか。それにも思惑があるのか単に言いたくないだけか、将又実は滅茶苦茶な要求でもする気なのか・・・何にせよ、挑戦は受ける。生徒会長に逃走の二文字は無い。
生徒会長は最強の証。そこに逃げという選択肢は無く、ただ力の限り挑戦者を打ち砕くのみである。

「・・・・・・いいわ。勝負方法と場所に指定はあるかしら?」
「勝負方法は一本先取の手合わせ。ISでも素手でもスポーツでもいい。ただ、場所は中庭だ」
「OK、準備に手間のかからない素手で行きましょう。その方が手っ取り早いわ」

中庭――という事は、勝負は否が応でも目立つ。そこを指定したことからも彼の狙いが絞れそうだ。

――さて、お手並み拝見といきましょうか。私を満足させてね、ジョウ君?







おまけ 「佐藤さんって・・・」

「聞いた話では今年の入試で総合成績4位だったらしいよ?」
「まじで!?凄いじゃんそれ!」
「しかもIS適性Sの上に特待生なんだって。よく日本の代表候補生に選ばれなかったね」
「それ、かんちゃんに聞いた話だと“めんどくさいからパス”って最初から断ってたらしいよ~?」
「うわー余裕あるなぁ・・・そのうち専用機とか貰うんじゃないの?」
「食堂でちらっと見かけたんだけどさー・・・何だかベルーナ君とも打ち解けているみたいだったよ?」
「千冬様を前にしても男子たちを見ても顔色一つ変えなかったし・・・」
「うん・・・」
「「「「やっぱり佐藤さんって唯者じゃないよね」」」」

モブ(笑)キャラ佐藤さんの評価でした。
 
 

 
後書き
せーとかいちょー見参。プラス、ブラコンの本領発揮。今までずっと大人しく(?)していたジョウ、その力が遂に示されるかもしれない 
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