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妖精の十字架

作者:雨の日
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~魔風壁~

「ちッ!どこにいやがる・・・」

駅内を走りまわり、エリゴールを探すが全く見つからない。俺、ナツ、グレイの三人で探しているのに見つからないはずはないのだが今のところ戦闘の音は全く聞こえてこない。しかも駅の中からにおいがしない

「・・・まさかここにはいないのか?」

窓から外に目をやるとなにやら沢山の人が群れを成し、駅を囲んでいた
エリゴールを見つける前に、あの人たちを逃がすか・・・
俺は窓を割り、外に飛び出し、駅員の持つスピーカーを拝借して勧告をだす

『あー。聞こえるか?今すぐここから離れろ。もうじき死の魔法が来るぞ!』

「ちょ、あなた!なんですか!?」

スピーカーを返しながら慌てる群衆を眺めた

「・・・あんたも逃げたほうがいい。パニックを生んだことは詫びるが仕方ないことだ」

真剣なまなざしに駅員はたじろぎながらも同僚を連れ逃げ出した
俺は、全員が逃げたのを確認してから駅のほうを振り向くと、駅は風に包まれていた

「魔風壁・・・?」

「ご名答!しかしお前は勘が良すぎるな。ここで鳥かごに入っててもらおう、か!」

突風が俺を襲う。右手で風を防ぐが、突風に飛ばされ、二、三歩下がる
それにさらなる追撃が訪れ、俺の体は魔風壁の中に飛ばされた

「!?」

「妖精はそこで指をくわえてみてな!!」

「チッ!覇王砲!」

両手から魔力を放出して、遠距離攻撃の魔法を放つ。しかし、内側からの攻撃はすべて魔風壁には通じなかった。派手にはじかれ、魔力が拡散した

「フハハハハハ!諦めろ!ハエがぁ!」

エリゴールは声高らかに笑い、その場から飛び去って行った
その時、エルザがちょうど駆けてきて俺と同じ様に魔風壁に攻撃をしたがはじかれた

「クルス!奴は!」

「飛んでった。どこに行ったかはわからんが、なにやらたくらんでるぞ」

小さく舌打ちをしたエルザは再び駅内へと戻りだした

「どうしたエルザ!?」

「だれか一人ぐらい解除出来るかもしれん!急いで探すぞ!」

「だったら解除魔導士を探せ!カゲと呼ばれていた男がそのはずだ」

わかったとだけ言ってエルザは魔風壁解除を可能としるカゲを探しに行った。俺は別ルートでカゲを探すことに

「!?ナツと・・・誰だ?」

鼻の奥をくすぐるこの感じ。ナツだ。しかし、そばにだれかいる、いや、誰かと戦闘中といったほうが正しいだろう

「・・・こっちか」

においをたどり駆けだす。途中、配置されていた雑魚が行く手を阻みにくるがすべてを軽く弾き飛ばす
。そのまま走ると、火が目視できるようになった

「ナツ」

「ん?兄ちゃんか!後少しで終わるからまってろ」

カゲの八岐大蛇を炎で破壊し、咆哮を放ち、重い拳を叩き込んだ

「ぐふぅ!!?」

カゲが壮大に吹っ飛び、戦闘不能に陥ったそのタイミングでエルザが駆け付けてきて壁に押し付けて剣を突きたてる

「外の魔法を解除しろ、ノーと言うたび・・・」

「アバラが砕けるぞ?」

成すすべなく承諾の言葉が・・・
聞こえることはなかった
背後から、さっきの雑魚戦で倒したはずの男が壁からカゲの背中にナイフを突き刺していた。カゲの体力はもう限界。力なく膝から崩れ落ちる

「なんで、だよ」

ナツから負のオーラが流れ、壁ごと打ち破る

「ひ、ひぃっぃいいい!?」

壁とともに崩れおちた魔導士は意識を失った

「これがお前らのギルドかよ!」

「やってもらわねばならぬ!!」

「無理だ!この傷じゃ何もできねぇよ!」

「鉄の森ィ!絶対ゆるさねぇ!」

ちょうどその時、ルーシィとハッピーが合流したが空気について来れてなさそうだ

「・・・お邪魔、かしら」

「・・・あい」

俺はとりあえずカゲを担ぎあげた

「ちょ、クルス!何してんだ!?」

「ん?外に連れてって治療してもらう」

「えぇ!敵じゃないの!?」

出来るだけ振動を与えないように慎重に歩きながら駅の外に向かう

「ルーシィ。こいつだって生きてんだ。見殺しにはできん」

エルザは微笑を浮かべ、快く承諾してくれた
ルーシィも何とか納得してくれて、外にでる

「風つえぇぇ!?」

と叫びながらナツが突進をかますが風に阻まれ体を斬られた

「ちょ、ナツ!?やめなさいよ!」

ルーシィが後ろから羽交い絞めで動きを止めるがナツは今もなお暴れた
グレイとエルザは冷静にカゲの止血をはじめ、なんとか血を止めることには成功した

「・・・兄ちゃん!壊せねェのか!?」

「無理だ。こいつは物理的なもんじゃぜったいに壊れない。ワープかトンネルでもなきゃ出られない」

と、その時ハッピーが何かを思いでした様だ

「あーーー!ルーシィ!思い出したよ!」

しょっている風呂敷からひとつの鍵をとりだした。よく見ると黄道十二問の鍵だ

「ちょ!それエバルーの・・・」

「あい!バルゴが自分からルーシィに渡してくれって!」

「ありがたいけど今はちょっと、ねぇ!」

ハッピーの頬を引っ張るルーシィ
おぉーハッピーの頬、よく伸びるなぁ

「ら、らっふぇふぁるふぉならふぁなつくれふし・・・」

訳 だ、だってバルゴなら穴ほれるし・・・
かなりの重大発言だった。穴。その発想はなかったが結果オーライになりそうだ

「ハッピー!もっと早く言いなさいよ!貸して!」

「お前が言わせなかったように見えるが?」

俺の言葉はスルーされ
ルーシィがハッピーから鍵を受け取り精霊との契約をかわす
鍵から音がなり、魔法陣が展開されてメイドが現れた

「バルゴ!時間ないの!見た目とかは後で突っ込むからとりあえず穴ほって!」

「かしこまりました・・・えぇとぉ」

バルゴはルーシィの全身を眺めた後、呼び名を決めた

「姫」

「そんなところね」

グレイが思わず

「姫かよ!?」

と突っ込んだのは余談だ

「では!」

バルゴの手が地面にふれると同時に地面に穴があいていく

「ルーシィか、やはり侮れんな」

エルザが関心した声をあげた
俺は再びカゲを持ち上げ外に向かう

「なんでだ!俺は置いて行けよ!」

「?死なれちゃ後味ワリィンだよ」

くっ!っと苦しそうな声をあげてカゲは抵抗をやめた

外にでると、一瞬なにかが飛ぶのを見た。その時

「・・・ナツは?」

「ハッピーもだぜ?」

「あいつら、先行きやがったな」

「行くぞ!エルザ!クルス!」

「あぁ」

「運転はまかせろ!クルス、案内頼む!マスターの命が危ない!」

マスター?あいつの目的はマスターなのか?
俺は魔道四輪車(街で借りました)の上に乗り、前方に注意した
そして、駅の鉄道を走りだした 
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