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古の鉄の巨人を駆る他世界への介入者

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弐号機の行方

新横須賀港

ネルフの保安部のメンバーと一緒に、リツコは太平洋艦隊が入港するのを頭を抱えながら見守っていた。保安部はそんなリツコを見て、持ってきていた魔法瓶からコーヒーを淹れて手渡す。

「赤木博士・・・いかがですか?自分独自のブレンドですが少しはマシになると思いますが・・・」
「ありがとう・・・。いただくわ・・・」

リツコはコーヒーを受け取り口にすると、少しだが気持ちが楽になった。どうやら好みの味に近かったようだ。何故リツコがこうして来ているかというと太平洋艦隊司令部から、ネルフに強い脅しを込めた連絡が入っていた為であった。まずは 使徒が太平洋艦隊を攻撃した時に弐号機パイロットであるアスカがEVA弐号機独自判断で起動させ太平洋艦隊の艦船を踏み潰した事。踏み潰された艦船の半数が沈没。沈没しなかった艦船も、踏み潰された衝撃で多数の死傷者が出た事。事前にスティーブが対ショック姿勢をとる様に指示したからまだ被害者は少なくなったもののそれでもかなりの人数だった。そしてミサトの作戦妨害行為。

特に弐号機の無断起動。太平洋艦隊の艦艇を踏み潰し甚大な被害を与えた事について強く追求された。太平洋艦隊はネルフとしての謝罪が無い限りは弐号機の引渡しをネルフに行わずに『グライナルリーゼズ』に行うというのだ。これはネルフとして許せる行為ではない。

その謝罪と交渉の為にリツコが冬月に言われて此処まで来たのだが、正直明らかに此方が立場が悪いのは明らか。今までの使徒戦でも大した成果も上げられずに、切り札である弐号機も使徒に手も足も出ず食われるという醜態を曝していた。そしてそれを救出したのはグライナルリーゼズ。そして使徒を倒したのはグライナルリーゼズと太平洋艦隊の勇士達だ。アビスも攻撃はしたが使徒の体表の殆どを焼き尽くし致命的なダメージを与えるまでの有効な時間を作り出してくれたのは太平洋艦隊だ。この事を多大評価したのは他でもないグライナルリーゼズだ。そして今回護衛を勤めたのは彼らだ。艦隊のバックには巨人達がいる。リツコは諦めを感じていた。

すると、太平洋艦隊の空母からぐるぐる巻きにされ猿轡をされたミサトを引きずるシンジと、まだ泣きじゃくっているアスカを背負ったミゲル。そしてスティーブ少将と闇夜、そして藍が降りてきた。リツコは覚悟を決めて、深呼吸をしてきりっと顔を決めた。すると先程コーヒーをくれた保安部のメンバーが

「落ち着いて下さい、スティーブ少将は良識ある立派な軍人です、。下手な態度さえ取らなければ大丈夫です」

っと書かれたメモを渡してきた。リツコはその気使いに少し気が楽になり、少将たちとの談話に望んだ。

「君がネルフが寄越した使者かね?」
「はい、ネルフ技術部の赤木リツコと申します」
「どうやらそこの無能よりは遥かに礼儀正しい方で安心した。太平洋艦隊司令のスティーブだ。本国から命令があったので、エヴァ弐号機は下ろそう。だが肝心のパイロットはあの様子だ」

スティーブが指差す方を見ると、まだ泣きじゃくっているアスカを背負って声を掛け続けているミゲルの姿があった。

「あ、あの一体何が・・・」
「死という恐怖のイメージを間直に感じたのだろう。まだ14歳では致し方あるまい。だが彼女が齎し被害は許せる物ではない。艦艇の大半を海に沈め、多数の死傷者、負傷者も出た。これをネルフはどう責任を取ってくれるのかね。それと勝手に航空機を徴発しようとした加持一尉は現在独房の中だ。敵前逃亡の上に偽造の書類を使って徴発しようとしていたし、なによりも八雲准将を口説こうと失礼な事をしたからな」
「ど、独房!?」

リツコは自分の友人がそんなことをしている事に呆れながらも驚いていた。しかも准将を口説こうとしていた!?・・・。もう何を考えているのやら・・・。

「スティーブ提督、口説かれた事についてはとても不服ですが私はもう気にしていません。そもそもあのような簡単に乗り換えそうな男には興味はありません」
「藍、途中からお前の好みになっているぞ」
「申し訳ありません少将」

そして闇夜がリツコを睨みつけるように見た。リツコはまるで心臓をつかまれるような錯覚に襲われる。

「俺はグライナルリーゼズ所属、八雲 闇夜少将だ。今回の護衛の全てを任されていた」
「ネ、ネルフ技術部の赤木リツコと申します」
「さて、今回の中々楽しかったよ。随分と無有能な作戦部長な事だな。俺達に向って暴言を吐くなど足した度胸だ。上官侮辱罪で今すぐにでも処罰したいところだな」
「ほ、本当に申し訳御座いません!!」

リツコはその場に膝を着いて、土下座をした。自分に出来る精一杯の謝罪だ。だが闇夜は態度を変えなかった。

「俺は別に貴方の謝罪は望んでいない。だが、エヴァ弐号機は我々、グライナルリーゼズの指揮下に入ってもらう」
「ええええ!!!??」
「むぅぅううううう!!!!」

これにはリツコも巻き寿司になっているミサトもシンジも衝撃だった。

「で、ですがエヴァ弐号機はネルフの!!」
「それは以前の話だ。国連の事務総長の許可も取り付けた。それに同じ特務機関でも我々の方が有効に使える。世間的にいいとは思わんか?今まで不評だったエヴァンゲリオンがグライナルリーゼズによって成果を上げる。すばらしい事だろう?」
「で、ですが!!!」
「これは決定事項だ。これを拒否するであれば今回の海戦で発生した死者への遺族への見舞金、負傷者への治療費、艦艇の補充費、修理費、及び我々への侮辱の負担全てをネルフが受けるというのだな?」

その言葉でリツコはつい黙り込んでしまった。それだけの金もネルフにも無いし、各国から集めようとすれば一気に批判を受けて、ネルフの地位は更に転落し、特務機関ではなくなる事もあるだろう。

「それに弐号機パイロットからも了承も取った。先程、彼女の所属はグライナルリーゼズへと移行された。以上だ」

それだけ言い終わると闇夜達は弐号機の運搬作業へと入り、弐号機はイージス艦へと搭載されてイージス艦は太平洋艦隊のクルー達の敬礼を受けて去っていった。

後に太平洋艦隊にはグライナルリーゼズの隊長のキョウスケから直々の礼の文章と、沈んでしまった艦艇の補充、負傷者の治療は此方で引き受けるという申し出あり、喜んでそれを受けたという。

そして、精神的なショックを受けたアスカはミゲルが引き取る事になり、現在精神リハビリ中との事。 
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