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魔法少女リリカルなのは平凡な日常を望む転生者 STS編

作者:blueocean
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第22話 ぬらさんの訪問

「………」
「キャロ………」

事件の終わった次の日。
キャロとルーテシアは共に有栖家の家の前に居た。
地球では今日は休日であり、近くの公園から子供のはしゃぎ声が聞こえる。

そんな雰囲気とは違い、2人の包む空気は重かった。

「大丈夫よ、レイ兄の事だから絶対何か考えあっての事なんだから」

ルーテシアに言われキャロの暗い顔にも少し光が戻る。

「ありがとうルーちゃん………行こう!」
「うん!!」

2人は手を繋ぎ、有栖家家のドアを鍵で開けた………








「おっ、キャロお帰り~」
「キャロ、ルー久しぶり~!!!」

ただいまと小さく言いながらリビングに向かう2人。
真っ先に2人を迎えたのはキッチンから出てきたアギトと同じくキッチンから出てきたライだ。
ライに関してはしっかりと抱擁を交わして。

(相変わらずお、大きい………)
(レイ兄はこれをいつも味わって………)

キャロは少し顔を青くして、ルーテシアは真っ赤にしてそれぞれ思うことを思っていた。
この時だけはすっかり当初の目的は忘れていた。

「ライ、2人が苦しそうですから離してあげなさい」
「はーい………」

少しもの足りなさそうにするもライは離れ、2人は少しそのまま固まっていたが直ぐに我に返り、2人を解放してくれた人物を見た。

「星お姉ちゃん!!」
「ちょっと見ない間に立派になりましたね2人共」

クッキーのお皿を置き、2人に話しかける星。
その雰囲気に母性すら感じていた。

「ちょうど良いタイミングですね、アギトと一緒にクッキー焼いたんです。良ければ食べてみてください」
「アタシもやれば出来るもんだな」

自身満々にキャロとルーテシアに見せびらかすアギト。星が作ったのと比べると形は歪だが、バターの美味しそうな香りがしていた。

「さあ、ちょっとしたお菓子タイムにしましょう」

そう言って星が皆をテーブルへと手招きした………






「どうだ?」
「美味しい」
「美味しいよアギト」
「へへ………」

キャロとルーテシアに美味しいと言われ、嬉しそうにするアギト。
今の有栖家は星とアギト、ライのみ。

「星お姉ちゃん、お兄ちゃんは?」
「レイは夜美と一緒に大学の図書館でオリエンテーションの資料作りをしに行ってます。2人が取った授業にペアでオリエンテーションの授業があるみたいですね」
「僕は発表は構わないけど資料作りはね………」
「アタシも頭使うのは勘弁だな………」

たわいもない会話から零治と夜美が留守なのは分かった。

「優理はどうしたんです?」
「優理はミントと一緒に映画。本当は夏穂ちゃんと佐助君も呼んだらしいんだけど忙しいから断られちゃったってボヤいてたわ………」
「セッテさんは?」
「セッテはダメっ子の3人に連れていかれたわね………毎度の事だから気にしてないわ」

「全く………」と小さくボヤきながら自分で入れた緑茶に口を付ける。

「………それで、せっかくの休日に帰ってきたのは訳があるのよね?」

笑顔ながら確信をつかれたキャロは驚きに目を丸くするが、隣に座るルーテシアに肩をポンと叩かれルーテシアを見ながら頷いた。

「お姉ちゃん達に聞きたい事があります………」
「何?」
「何でレイ兄はあの時現れたんですか?何で連絡が取れなかったんですか!?大悟さんも加奈さんも連絡したのに繋がんなかったらしいです!!目的は何だったんですか?何故何も教えてくれなかったんですか!!」

全てを吐き出すかのように言うキャロ。
そんなキャロの様子を見て星は申し訳なさそうな顔をした。

「ごめんなさいキャロ。あえて連絡をしなかったのはキャロやルーが油断するかと思ったからなんです。せっかく六課に入ったのに油断して台無しにしてほしくないってレイが」
「お兄ちゃんが………?」
「レイ兄………」
「もし手加減なんかされたらはやてたちにも感づかれるかもしれないですしね」
「そっか………」
「普通に考えればそうよね………」

星の話を聞いて納得する2人を見て、星も笑顔になる。

「これからも黒の亡霊と戦うことがあったら全力でぶつかりなさい。レイもあなた達の成長を楽しみにしているし、全力でぶつかってもレイは負けませんよ」
「それは分からないよお姉ちゃん」
「私達の連携は凄い」
「ふふっ、なら私もそういう風に伝えておきます」

スッキリした顔のキャロとルーテシア。
そんな笑顔を見て安心した星、ライ、アギトはその後も楽しいお菓子タイムを過ごしたのだった………









「………まさか直接会いに来るとはな」

大学の図書室。
結界を張られ、敵の襲撃かと身構えていると現れたのは大悟と加奈だった。

「フェアリー!!」

その後も少々強引にセットアップする前にバインドで零治達を縛る加奈。

「何の真似だ!!」
「そっちこそ何を考えてるんだ!!管理局を襲ってロストロギアを奪って………一体何が目的だ!!」

大悟までセットアップして大剣を向ける。

「答えによってはここで零治を逮捕する。零治にあるように俺にも守りたいものがあるんだ!!」

そんな大悟の顔には鬼気迫るものがあった。
だが、そんな大悟にも物応じせずに零治がゆっくり口を開いた。

「大悟、加奈………もしかして気がついたのか?」
「ああ、今の時期で零治達が回収しに来るロストロギアと言えばレリック以外思い浮かばなかった」
「別に証拠があるわけじゃないわ。だけど私としてはそれはどうでも良いの。一番は何で戦いわないと決めた筈の兄さんが戦いに出てるのよ、夜美達は一体何をしていたの!?」
「レイも我等もそんなことは決めておらん。いざとなれば大事な者達を守れるようにと力を付けてきた」

加奈の問いに夜美が力強く答えた。

「だったら何で私達に敵対するの!?敵対せずに私達と………」
「無理だよ、俺達の守りたいものは管理局の敵扱いなんだからな」

そう言った零治の言葉で大悟と加奈は零治の思いを感じる事が出来た。

「スカさんの頼みなのね」
「ああ。ドゥーエさんやクアットロの調べで分かった事だ。そしてスカさんは回収したレリックを自分で封印している」
「でも何で今更?別に管理局に預けてても何も無かっただろ?」
「………違うぞ大悟。現にレリックは裏でクレインに横流しされている。それもかなり内密に」
「クレインに?何故?」
「何かの研究に使用しているんだと思うが詳細は不明だ」
「それでスカさんは渡すくらいなら自分で封印って事?」
「まあそう言うことだ。だからこそ協力してる。既に過去に持っていたレリックは封印済みで、管理局にあるレリックもそれほど無いと思うが、それでもクレインに好き勝手させる訳にはいかない」

零治の言葉を聞いてようやくバインドを解いた加奈。

「事情は分かった。だが、一言連絡くれても良かっただろう。色々心配したんだぞ俺も加奈も」
「いやぁ、通信機器は故障して今スカさんに修理してもらってるところなんだ。………それに余計な事を教えて裏目に出たら駄目だろ?情報の漏れ方なんて様々なんだし」
「それはそうだけど………」
「取り敢えず落ち着いて話そう。いい加減結界と解かないと管理外世界でも管理局に気がつかれる。それで困るのは俺達何だけど………」
「食堂はどうだ?この大学の学食は美味いぞ?」
「………分かった」

その後食堂へと移動することになった………













「バルトさん………?」
「そう、奴について話を聞きたい」

食堂へ移動した4人。時間は昼過ぎな為、人が少ない。
聖祥大学は多い学生の為に食堂や購買部が様々とあり、テレビ取材も来たりするほどだ。
その中でも美味しいと評判の食堂にやって来ていた。
大悟と加奈はせっかくなのでガッツリと。零治と夜美は軽食の飲み物だけで済ませている。

「彼はバルトマン・ゲーハルトでは無いのか?」
「………違う」
「私もそう思うわ」

零治の質問に大悟はしばらく間を置いてから、加奈は即答して答えた。

「加奈は随分と即答したな」
「だって全くそう思わないもの。文句を言いながら訓練をこなして、ヴィヴィオちゃんに文句を言われながら付き合って上げて、エローシュとヴァイスと一緒にバカやってる様な人が殺人鬼なんてどうしても思えないわ」
「そんな人物か………大悟はどうだ?」
「………俺も最初はそう感じた。だけど零治と戦っている様子をはやてに見せてもらってから考えは少し変わった。戦闘こそバルトマンと似てたのは分かったけどそれだけだと思ったんだった。だけど………零治と戦闘しているバルトさんはバルトマンに見えた」
「レイはどう思ったのだ………?」
「俺は………確かにバルトマンに思えたけど、何故か別人だと思った。何を根拠にそう思ったのかは分からない。だけど何故かそう感じたんだ………」
「何だかんだ兄さんが1番付き合いが長いものね………兄さんがそう思うのならそうなんじゃないのかしら………」
「嬉しそうだな加奈」
「ええ、なのはが悲しまなくてもよさそうだからね」
「………え?」

加奈の言葉に思わず裏返えってしまう零治。

「そんな仲なのか!?」

夜美も零治と同じように驚いている。

「バルトさんは良く分からないけどなのはは好きだね」
「大悟まで気がついているとなると確実そうだな………」
「夜美?それってどういう事?」

そんな大悟の問いに夜美は答えず、買った緑茶を飲む。

「ややこしくなったな………」
「取り敢えずシャマルさんに言ってDNA検査をしてもらうつもりだ。ちょっとした検査って感じでね」
「それでバルトマントと同じだと………」
「………出来ればその通りになって欲しくは無いわね個人的に」
「加奈も結構気に入ってるのだな」
「だらしがない人だけど、何だかんだ言いつつ付き合うバルトさんの優しさなんか好きよ私」
「か、加奈………す、好きって………」
「何を動揺してるのよバカ」
「………話を聞くとレイに似ていそうだな」
「そうね、金髪巨乳の人が好みみたいで、フェイトにはぞっこんよ」
「確かに好みも似ている………」
「ちょっと夜美さん!?」

そんなこんなでその後は久しぶりの会話を楽しんでいたのだった………






「くっ!?」
「ティアナ、遅い!!」

初任務が終わって早1週間。
ロストロギア防衛戦で更に脚光を浴びた機動六課。
表のニュースでは見事テロリストからロストロギアを守ったと報じられ、更に人気が高まった。
そんな中訓練にも更に熱が入る。

「駄目だよティアナ。周りを見ながらでも攻撃に対応していかないと………負担が大きいけどスターズの要はティアナなんだから」
「はい………」
「取り敢えず少し休憩しようか」
「はい………」

今ティアナが行っていた訓練、それは攻撃と防御の一体となったマルチトレーニングで、ティアナ専用メニューでもあった。

多数のスフィアからの攻撃に対応しつつ、スフィアを攻撃し撃退する。
一見ティアナにとって簡単に出来そうな内容の訓練だがそのスフィア1つ1つが固かった。
要するに魔力ランクの低いティアナが高ランクの敵と戦っても、戦闘しながら指示でき、なおかつ撃退出来る様にするための訓練である。

本当ならばもう少し後にやらせるはずだった訓練内容だったのだが、予想以上にティアナのレベルも新人離れしていたのでそうなったのだ。

「じゃあ私は一旦戻るね。ティアナは休憩したらヴィータちゃん達のところへ合流して」
「はい………」

なのははティアナの返事を聞き、そのまま隊舎の中へと入っていった。

「はぁ………」

そんななのはの姿を見届けた後、後ろに倒れ混むティアナ。

「要か………」

なのはの期待は素直に嬉しいが、それ以上にプレッシャーが大きかった。
ティアナ自身自信はあった。スバルもそうだが、訓練生時代から自分を中心に部隊を動かしており、能力的にもトーレやティーダのお陰で決して劣っているとは思っていない。

ただ、その自信はこの前の防衛戦で見事に砕かれた。
周りから見れば称賛に値する活躍だったのだが、ティアナからしてみれば最悪だった。
場所が場所だけに仕方がない部分もあるのだが、ティアナはどうしても納得出来ないでいた。

それが今自分が行っている訓練である。

「もっと自分が周りを見てれば………」

自分の戦闘で手一杯になってしまい。録に周りを見る余裕が無かった。スバルに助けられてやっとである。
そのせいでバルトが飛び出したのをスバルに聞いて初めて気がついた。

「………もっと強くなりたい」

ティアナの呟きは風と共に流れていった………













「ふう………疲れた………」
「誰が休んでいいと言った!!」
「あだ!?」

シグナムに拳骨を落とされ、飲んでいたスポーツドリンクを思わず吹き出してしまうエローシュ。

「全くエローシュ君は………」
「一番動いてないのに何てだらしがないのかしら………」
「まあまあ………」

エローシュのだらしがなさに思わず厳しい言葉が出るキャロとルーテシアをなだめる真白


「はああああ!!」
「踏み込みが甘いよエリオ」

そんな中、エリオはフェイトと共に付きっきりで訓練をしていた。
訓練形式は実戦形式。
実際に戦いながら自分で感覚を掴んでいくといった方法だ。
零治やゼストとしていたときも基本的にこの手法で、エリオは実際に攻撃を受けながら技や効率の良い動きを覚えていった。
その成果の1つが零治が使う空牙絶咬でもある。

「まだまだ!!」
「おっと、速いねエリオ。………だけどまだまだだよ!!」

本来ならこの訓練方法はするつもりはなかったフェイトとシグナム。
個人で見るなら全体的に底上げできるこの訓練は効率的だが、チームで見るとなると効率が悪い。
しかし昨日の夜、エリオの必死な説得とエローシュの『うちの特攻隊長の好きにさせてあげてください』といった言葉があり、現在フェイトがマンツーマンで訓練を見ていた。

「くそっ………」
「真白に頼ってばかりは嫌なんでしょ?だったらもっと頑張って!」
「はい!!」

フェイトの声にも熱がこもる。
実はあまり頼み事などしないエリオに壁があるのではないかと内心ずっと悩んでいたフェイト。零治と共に遊園地に行ったりとコミュニケーションはしてきたつもりだったが、それでも壁があると感じていた。
だからこそ一生懸命頼むエリオにフェイトはとても嬉しかったのだ。

「まだまだ行くよエリオ!!」
「はい!」

2人の訓練はまだまだ続く。

「よし、私達も休憩終わりだ。続きを始めるぞ」
「「「はい!!」」」
「うぃーっす」
「………」
「すいません、マジで調子乗ってました!!なので振り上げてるレヴァンテイン下ろして………」

そんなエリオに触発され、ライトニングの3人娘は元気よく返事するが、エローシュはいつも通りであった………










「ふい~」
「あらあらお疲れですね………はいどうぞ」
「おっ、サンキュー」

心地好い日差しを浴びながらバルトは受け取ったコーヒーに口を付ける。

「相変わらず美味いな………」
「そう言ってもらえて私も嬉しいです。これ貰い物ですけど良ければ………」

そう言ってクッキーを差し出され、食べるバルト。

「おお、美味いなこれ!!」
「バルトさん、甘いの苦手ですよね。甘さ控えめのクッキーなんです」
「ああ、サンキュー。今度ヴィヴィオにも買ってやるか………」
「大人向けなので止めたほうが良いとは思いますけど………」

バルトの反対側の席に座る女性、カリム・グラシアが苦笑いしながらそう答えたのだった………












「………」
「あれヴィヴィオちゃん、1人でどうしたの?」
「………バルト出かけちゃった………せっかくの休みなのに………」

たまたま隊舎の中庭を歩いていたフェイトは1人ベンチでムッと頬を膨らませてつまらなそうな顔をしているヴィヴィオを見つけた。

「出かけちゃったって、バルトさん減給で遊ぶ金無いって言ってなかったっけ?」
「うん………だけど『美味いコーヒー飲みに行く』って言って行っちゃった………」
「えっ、もしかしてそれって………」
「せいおうきょうかいって場所。………バルトのバカ、私も連れてってくれればいいのに………」
「ああ………まずいなぁ………」
「フェイトお姉ちゃん?」
「ヴィヴィオちゃん、ヴィヴィオちゃんにも関係ある話なの!!」
「?」

?マークを浮かべるヴィヴィオの手を取り、中にへと連れていくフェイトだった………












「えっと………それで慌てて帰ってきたからビックリしたよ………」
「フェイトお姉ちゃんいきなりヴィヴィオの事引っ張って………」
「取り敢えず、はいオレンジジュース」
「ありがとうなのはお姉ちゃん………」

コップのオレンジジュースを満足そうに飲むヴィヴィオ。

「でもなのはお姉ちゃんお仕事じゃ無かったの?」
「午前中だけだよ、臨時の教導を頼まれたから行ってきたの。でシャワーを浴びて一息着こうとしたらフェイトちゃんが慌てて帰って来たから………」
「あはは………」

苦笑いしながらヴィヴィオと同じ様に出された紅茶を飲むフェイト。

「でどうしたのフェイトちゃん?何か急ぎの用があったんでしょ?」
「ああそうなんだ!!バルトさん、聖王教会に行ったんだって!!」
「聖王教会………」
「ねえなのは、最近バルトさんとぎこちないのは分かってるけど このままで良いの?」
「………私には関係無いよ。聖王教会に行くのもバルトさんの勝手だよ」
「なのは………」

キッチンでお菓子の準備をしながらそう言うなのは。
言葉は淡々と言われたがその背中は寂しげで暗い影が包んでいるようにフェイトは見えた。

「ねえなのはお姉ちゃん」
「何ヴィヴィオちゃん?」
「お姉ちゃんはバルトが好きじゃないの?」
「ヴィヴィオちゃん!?」

まさかの直球的な質問にフェイトは思わず驚きの声を上げた。

「私は………」

そんなヴィヴィオの問いに言葉が詰まるなのは。
そんななのはの態度にヴィヴィオは頬を膨らませた。

「なのはお姉ちゃん、バルトはなのはお姉ちゃんが好きだよ?なのに何でなのはお姉ちゃんは冷たいの?」
「えっ………?」
「だってバルトはいつもなのはお姉ちゃんの事を気にしてるもん。最近態度がおかしいってなのはお姉ちゃんの事気にしてたし、なのはお姉ちゃんと一緒にいるバルトはいつもより柔らかいもん」
「ヴィヴィオちゃん………」
「なのはお姉ちゃんはバルトが嫌い………?」

上目遣いでなのはを見つめるヴィヴィオ。
なのははしばらく黙っていたが………

「私は………ううん、私も好きだよヴィヴィオちゃん」

ヴィヴィオにしっかりそう答えた。

「本当に?」
「うん。私はヴィヴィオちゃんに嘘はつかないでしょ?」
「うん!!よかった、バルトもきっと喜ぶよ!!!」

そう言ってはしゃぐヴィヴィオを優しい笑顔で見つめるなのは。

(これなら大丈夫かも………まだ不安はあるけどなのはとバルトさんをくっつけるのはやっぱり………)

先ほどの暗い影が無くなったなのはを見てそう思うフェイト。
まだまだ暗い雰囲気が無くなった訳では無いがヴィヴィオの無邪気で優しい気持ちにかけてみる事にしたのだった………












「って感じでよ、何でそんな態度になったのか全然分からねえんだ………」
「バルトさん本気で言ってます?」
「俺はいつでも本気だ」

そんなバルトの答えを聞いたカリムが深くため息を吐いた。

「………バルトさんって女性の扱い上手そうですけどそうでもないんですね」
「上部だけの短い付き合いが多いからな。だからハッキリ言ってよく分からん。何であの時話を切られたのか、何で素っ気ないのか………」

バルトの今日訪れた目的はなのはについての相談の為だった。
バルトが訪れるのを密かに楽しみにしていたカリムにとって他の女の話など!!………と嫉妬深く思うことは無いが、それでもいい気分では無いのは確かで、さっきまでの笑顔がぎこちなくなってしなった。

「………バルトさん、そもそもあなたは女性の扱い方がなっていません!先ずは………」

説教に近い話を始めるカリム。

(懐かしいな………)

そんな姿を見ていると不意に思い出す記憶。

『バルト!!あなたは訓練をサボってばかりで………私の騎士なんだからもっとしっかりと………』

(元は変わっていないな………)

大人になったカリムを初めて見たときには昔と随分大人になったと思ったバルトだったが、元が同じな事に嬉しく思った。

「バルトさん、聞いてますか?」
「ああ、聞いているよ」

そんなバルトの返事を聞いて、「それじゃあ続けます」と更に話を進めるカリム。
そんな光景に心休まる気分を感じていた。

(俺はもしかしたら昔に戻りたいのか………)

カリムの話を聞き流しながら美味しいコーヒーを飲むバルトだった………












「………」
「ヴァイスさん、何かバルトさんおかしいッスね」
「確かに何か黄昏てる………今日、カリムさんと何かあったのか………?」

談話室の窓際の席に座り、コーヒーえお飲みながら星空を見るバルト。
そんなバルトを近くの席に座っているヴァイスとエローシュが心配そうに見ていた。

「えっ、バルトさんって更に狙ってる女の人いるんですか!?」
「ワイルドだからな……今日今は肉食系男子の時代だよ」
「猛獣ですからねバルトさん………」

「てめえ等聞こえてんだよ………!!」

バルトの声に驚き、震える2人だが、バルトはため息を吐いて再び空を見上げた。

「おかしい、こんなのバルトさんじゃない!!」
「ああ、絶対何かあったぜ、修羅場みたいな何かがな!!」
「何もねえよ。ただ少し昔を思い出してナーバスになってただけだ」
「バルトさんが………」
「ナーバス………!?」

「てめえ等、ぶっ飛ばしてやる!!」

何だかんだ騒がしい3人なのであった………











「ふんふ~ん」
「星、手伝うか~?」
「大丈夫です、レイはゆっくりくつろいでて下さい~」

穏やかなとある休日の夜。
バイトなどそれぞれの予定を終え、有栖家の面々は全員揃っており、皆がリビングでくつろいでいた。

「夜美さん、お茶取ってください~」
「ほら………」

テーブルのイスに座り読書していた夜美にクッションに座っていたセッテが立ち上がって夜美にお茶を組んでもらった。

「あっ、夜美俺も」
「僕もー!」
「アタシも欲しい」
「ワシもくれ」

「貴様等………少しは自分でやろうとは………わし?優理、お前ワシなんて一人称だったか?」
「私じゃないよ?」
「………では星か?」
「はい?」

洗い物をしていた星はいきなり名前を呼ばれ、何の事かさっぱり分からない。

「では一体誰が………」
「酷いのう………大して時は経っておらんのにワシの事すっかり忘れているな………」

そう言ってのんびりとお茶を飲む1人の男。
黒く長い髪に古風的な羽織物。

「あれ?ぬらさん来てたの?」
「おお、ライ。直接会うのは久しぶりじゃの………随分と大人っぽくなった………」
「えへへ~でしょ!!」

そう言いながら零治の腕に絡みつくライ。

「仲も前よりも深まってそうだの。良いことじゃ」
「………一体どうしたんです?ってかどうやって入ったんです?」
「ワシはぬらりひょんだぞ?ぬらりくらりと訪れ去る。そんな妖怪に鍵なぞ不要だ」
「………ぬらさんに対して最新セキュリティーも形無しだな」

そんな夜美の言葉に頷く皆。

「それでいきなりどうしたのですか?あらかじめ言ってくれれば私もおもてなし出来たのに………ライ、もしかして忘れてたとか………」
「ち、違うよ!!」

星の問いに慌てて否定するライ。
それが返って怪しく見えてしまうのだが、ライは隠し事が苦手なのだ。

「まあそう言うな星。今回は特に連絡もしておらん」
「?じゃあ本当にいきなりなんですね、一体どうしたんです?」
「ライ、お前は随分前に自分が魔導師だと言っておったよな?実は頼みがあるのだ………」













「………珍しいな零治君。零治君から私に連絡してくれるなんて………星ちゃん達から心変わりしたんか?」
『今でもラブラブだよ。お前も忙しんからって彼氏作らんと取り残されるぞ』
「マジで不安な事をえぐらんでほしいんやけど………こうなったらやっぱり零治君に貰ってもらうしか………」
『で、実はな………』
「無視すんなや………」
『はやてに………いや、機動六課にお願いがあるんだ』
「何か深刻な話みたいやな………」
『実は地球にロストロギアがある。………でこれが結構面倒で………』
「面倒………?」
『そう、そのロストロギアのせいで妖怪大戦争が勃発しそうなんだ………』
「………はい?」

はやては零治の言っている意味がイマイチ良く分からなかった………














「ふんふ~ん」
「ヴィヴィオちゃんご機嫌だね」
「うん!!だって地球に行くんでしょ?キャロやルーの故郷って聞いているから楽しみなんだ~!ねえバルト!!」
「ふぁ~。まあ別荘に泊まるって聞いたしゆっくり出来るかな」

ミーティングを終え、明日の準備を行うバルト達。
なのはがバルトの部屋にいるのはヴィヴィオの準備を手伝ってもらっているからだ。
と言ってもバルトは要らないと言ったが、なのはが無理やりすると聞かなかったのだが………

「私の家もあるんだよ。スイーツ店やってて結構評判が良いんだよ」
「ヴィヴィオ食べる!!!」
「甘いもんはいらん」
「コーヒーも美味しいよ」
「仕方ねえ行くか………」

ここにいる3人は仕事の事など一切頭から消えていたのだった………










「でもはやてちゃん良いのですか?」
「何がや?」
「だって妖怪大戦争でしたっけ?みんなにはロストロギアが発見されて回収に行くしか言ってないじゃないですか」
「いいんや」

部隊長室。
はやてはスーツケースに自分の荷物を詰め込み、その隣ではリインが一緒に荷物をまとめていた。

「でもみんな驚いちゃいますよ~私もはやてちゃんから聞いて怖いし………昔肝試ししたとには本当に出たじゃないですか………」
「だからこそや。季節的にはちょっと早いかもしれんけど、肝試しって面白そうやん。肝試しやってロストロギア回収してバーべキューして帰るだけやって」
「………絶対終わらないですよぅ………」

そんな弱気なリインの言葉を聞き流し楽しそうに荷造りするはやてだった………  
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