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友達はいますか

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第四章

「ほら、見舞いな」
「ああ、悪いな」
「食ってくれよ、好きなだけな」
「色々あるから楽しんでくれよ」
「メロンもあるんだな」
 実はこいつの大好物だ、俺もそれを知っていて持って来てやった。
「悪いな、本当に」
「悪いと思うならもう二度とこんなことするなよ」
 俺は今度は注意sてやった。
「くれぐれもな」
「正直反省してるよ」
 ベッドの中で実際にそんな顔になっていた。
「失態だったな」
「全くだな、それでその娘はどうなったんだよ」
「ウォッカの一気飲み煽った娘か」
「ああ、その娘はどうなったんだよ」
「逃げたらしいんだよ」
 そうしたというのだ。
「俺が倒れたのを見て真っ青になってな」
「おいおい、煽った本人はかよ」
「ネットにいそうな奴だよな」
 自分は煽っておいてやばくなったら真っ先に逃げる、ネットでは確かにそうした奴が結構多い。
「話を聞くとな」
「俺もそう思うよ、今はな」
「可愛くてもそれじゃあな」
 性格がそれだと、俺は座って腕を組んだまま言った。
「止めておくべきだな」
「やっぱりそうだよな」
「ああ、そうだよ」
 止めておけ、俺は告げた。
「そもそも煽る時点で駄目だろ」
「そうだよな、二本空けたらデートって言われたんだけれどな」
「それで二本空けたんだな」
「それで気付いたら逃げられてたよ」
 苦笑いを浮かべて俺に言って来た。
「いや、参ったよ」
「そうだろうな、それじゃあな」
「それじゃあか」
「暫くいいよ、もうな」
 苦笑いから静かな、達観した様な顔になって俺に言った。
「女の子はな」
「そうか、暫くはか」
「ああ、暫くはな」
 ずっとじゃなかった、こいつはそこまでは言わなかった。
「それでいいよ」
「そうか、それじゃあな」
「御前と遊んでいいか?」
 その暫くの間そうしようかというのだ。
「友達とな」
「いいぜ」
 俺はあっさりと答えた。
「それじゃあな」
「よし、じゃあな」
「それじゃあ退院したらカラオケにでも行くか」
 今度は合コンじゃなくてツレ同士の遊びでだというのだ。
「そうしようか」
「いいぜ、ただしな」
「酒は、だよな」
「そっちも暫く止めておけよ」
 それはだというのだ。
「いいな、暫くな」
「そうだな、暫くはな」
「それじゃあ行こうな」
 退院したその時の約束もした、そうして。
 俺はツレのところを後にした、そうしてだった。
 そいつが退院した時に迎えに行ってカラオケに行った、そうしてだった。
 友達同士で楽しんだ、俺がそのカラオケボックスで一曲歌った後でだ。
 俺にだ、そいつはこう言って来た。
「悪いな、見舞いに来てくれてな」
「その話かよ」
「そうだよ、他の奴等も来てくれたけれどな」
 馬鹿な理由で退院してもだった、それでも。
「こういうのが友達だよな」
「「そうだよな」
 こう話すのだった、そうして。 
 俺達は今は楽しく遊んだ、こういうのが友達だと思いながらそうした、下手な彼女よりも友達はずっといい、本当にそう思いながら。


友達はいますか   完


                           2013・6・3 
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