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宇宙を駆ける一角獣 無限航路二次小説

作者:hebi
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第一章 二話 一角獣《ユニコーン》の目覚め

 
前書き
第二話投稿です。
用語の解説は、後書きでやるつもりです。
 

 
惑星メリルガルド周辺宙域

青く光る惑星メリルガルドを背景に一隻の宇宙戦艦が航行していた。
その艦の名はゼスカイアス級戦艦[一角獣《ユニコーン》]と言う、大マゼラン銀河でも五指に入る0Gドッグ[白野秋人《しらのあきひと》]の乗艦である。
そしてその白野秋人は、転生者であった。彼は一度死んだのである。
そして、自分の知っているゲームの世界にやってきてしまった彼は全力で0Gドッグとしての力を蓄えた。
この世界において、宇宙を旅する0Gドッグは力と知恵が全てである。死にたく無いのならば敵対者全てをまとめて薙ぎ払い殲滅し後顧の憂いを断ちつつ航海をするしかない。
だが、よくある神様から何かもらったわけでもない白野は特殊能力で派手にヤることもできず、ブラスターに撃たれれば普通に死ぬ真人間である。そんな彼だが、自身の将来に不安を感じてはいなかった。
世の中には、そんな真人間でも一隻の戦艦で軍隊をまとめて叩きのめす偉人もいるのである。
星の海に竿さすと決意したのならば、そのくらいは目指すのが当たり前というものであった。
だが、旅をするためにはまず金がいる。金はタダでは出てこない。従って、働かねばならない。ニートになる気などない白野であるから、航海技術を学ぶことも兼ねてしばしの間は一般の艦船でクルーとして働いていた。さいわい、その手の仕事の斡旋は公共施設である空間通商管理局が取り行っていたので楽に乗組員となることができた。
宇宙の厳しい旅を経験し、乗り合わせたクルー達と働き、時として海賊を撃退しながら金を貯め彼は慎ましやかに初めての艦船を購入した。その名を【ボイエン級輸送艦・シノーペ】という。ちなみにシノーペというのは魚の骨という意味がある。

自分の船を手に入れた後の白野はまさに阿修羅のごとく戦った。
ボイエン級は輸送艦。攻撃力などたかがしれているが、積載量はそんじょそこらの船に負けなかったので唯一存在する砲門は動きを艦載機に止められないように対空砲を積んで済ませる。
後は、白兵戦用のクルーを大勢雇いシノーペに居住スペースを設け、手に入る価格で最大性能の保安局を積んで白兵特化のウォーシップに改造してアステロイドベルトに潜んだ。
そして、近くを海賊船が通りかかると砲撃を掻い潜って突撃し、乗り付けて内部から制圧する戦法で赫赫たる戦果を上げ続けたのである。
艦内を血で染め上げた白野の姿はまさに修羅の化身であった。
そんなこんなで金を貯めた白野は、大マゼランを旅しながら艦船の内装モジュールおよび設計図を掻き集めた。
どうせなら自分だけの戦艦に乗って宇宙を横行したい。
そう思った白野は、頑張って勉強して艦船設計の資格を取りつつ使い古したシノーペに別れを告げてある惑星で最初の戦艦である【ネビュラス級戦艦・ヴァイコーン】を購入した。ちなみにヴァイコーンとは二角獣を意味する。
素でも装甲が厚く、兵装も固定式のネビュラスで艦隊線の実戦訓練を行いながら、白野はコツコツとその設計図に改良を加え続けた。
その結果、船首に装備した拡散プラズマ砲二門を束ねて収束し、巨大なプラズマ砲である【メテオプラズマ】を製作した白野はヴァイコーンを次々と改造し、大型のジェネレーターや装甲厚の増強、内装スペースの大幅な書き換えなどによりネビュラス級を全く違う艦である【ゼスカイアス級】に改造することに成功していた。
これは正規の手順ではなかったのだが、それでも圧倒的な性能を発揮していた。
そして、その時改造資金稼ぎがてらに海賊を狩りまくったおかげで名声がどんどん高まり宇宙を航海する全ての船乗りのなかのトップ100である[ランカー]になった。ちなみに、現在のランクは52位である。

何故彼がここまで力を求めたのか、それは無限航路というゲームのストーリーに原因がある。
このゲームのラスボスは、この世界を作ったいわゆる上位生命体である。上位生命体は、宇宙にある程度人が満ちるとその宇宙を消去し、新たな宇宙を創ることを繰り返しているらしい。
そして、ゲーム終盤になると宇宙を消去する末端のハードウェアである[ファージ]を次々と送り込み宇宙に存在するほとんどの惑星を消し去った。
主人公を初めとする最高の0Gドッグ集団が決死の攻撃を仕掛けようやく宇宙は消滅を免れたのだ。
つまり大地の上でのんびり暮らすことはできない。生半可な0Gドッグになっても途中で死ぬだけ。
だとすれば、凄腕の0Gドッグになるしかない。最初から選択肢は無かったのだ。

そしてその凄腕の0Gドッグはといえば、艦長業務が全て終了したのをいいことに艦長室で居眠りしていた。

『……………………………………………………ぐぅ…ぐぅ…………』

寝息をたてていた白野を、甲高いアラートが叩き起こした。
飛び起きた白野は、眠気を全く感じさせない鋭い足取りでブリッジに向かう。

『どうした?この近辺には海賊はいないはずだが。』

仮にも一国の首都の近くである。辺境の宙域ならばともかくこういった所では治安機関のパトロールが定期的に行われている。
海賊などは、まず近づかない。

『それが……レーダーの索敵範囲ギリギリなので艦種不明ですが、マーカーを見る限りどうやらロンディバルド正規軍の艦のようです。救難信号を出しています。』

白野の質問にユニコーンのレーダー管制担当ズローギン・ゲイケットがそう答える。
彼は、白野が大マゼラン有数の軍事国家アイルラーゼン共和国を旅していた頃、有名なPMC(プライベートミリタリーカンパニー、民間軍事企業の意)バダック商会に所属していた傭兵だった。そしてその実力を見込んだ白野が彼と契約し、クルーとなったのである。少し理屈っぽいところもあるが、今では白野のいい友人のひとりである。
そして、その報告を受けて白野はかんがえる。

(ふむ、艦種不明の正規軍か。……事故ってはぐれたな。)

ゼロコンマ一秒でその結論をはじきだすと、白野はゲイケットに指示をだす。

『ゲイケット、前方ロンディバルド艦に通信、こちらユニコーンこれより救援に向かう、とな。』

『了解。……………………艦長、ロンディバルド艦から返信です。ワレ、貴艦ノ救援二感謝ス。とのことです。』

それを聞き、白野は艦内通信を入れてもう一つ指示を出す。

『整備班、聞こえたな?これからロンディバルド艦の救援にいく。船外活動の準備をしておいてくれ。』

『……………………了解…………』

ユニコーンの無口な整備士ハル・バークが言葉少なに答える。彼も、白野がバダック商会からスカウトした整備士である。腕はいいが無口なのでそれを認められる機会がやって来ず、バダック商会でベンチウォーマーに甘んじていたところをその実力を見抜いた白野が勧誘したのである。

『艦長、ロンディバルド艦から音声通信です。』

モニターに、ロンディバルドの軍服を着た若い男が写し出される。

『こちら、ロンディバルド連邦ベータ宙域艦隊所属グール・レッケンダス大佐だ。貴艦の救援に感謝する。』

グール・レッケンダスと名乗った大佐は、白野が知っているゲーム中のレッケンダス大佐とは少し違った。まず、全体的に若いし、髭が生えていない。そして、生え際の後退も始まっていなかった。
白野は、レッケンダス大佐と通信を続ける。

『[ユニコーン]艦長の白野秋人だ。無事でよかった。いま整備士をむかわせている。…………ところで何があった?正規軍がこんな所で単艦でいるとは。』

白野は、興味本意で聞いてみる。どうせ機密保持のため答えられないと言われると思っていたが、予想に反して答えてくれた。

『実は、この近辺に最近海賊の拠点が出来たとの情報がはいってな。私が偵察として送り込まれたんだが情けないことに、発見されてしまってな。囲まれてしまったんだ。何とか逃げ切ったが、もう連中は拠点を変えてしまっただろう。任務は失敗というわけだ。』

『そうか、そんなことがあったのか。…………ん?ああ、分かった。レッケンダス大佐あなたの艦、損傷が激しすぎて応急処置ではまともに動けないそうだ。港まで牽引させてもらう。構わないな?』

『…………ああ、頼む。』

そう言うレッケンダスは、相当落ち込んでいるようだ。無理もない。任務に失敗し、敵に逃げられ、挙句の果てに乗艦がスクラップになるのである。そんなことがあれば誰だって泣きたくなる。

『艦長、牽引ワイヤー装着完了です。』

ハルが白野に報告する。

『ご苦労様。戻ってきてくれ。』

『了解。』

短いやり取りのあとで、ハルとの通信を切る。

『あとは、任せる。ゲイケット、頼めるな。』

『お任せあれ。このくらいなら問題ない。』

白野はゲイケットにあとの事を任せると艦長室に引っ込もうとする。が、世の中そう甘くは無い。
レーダー監視を行っていたゲイケットの部下が警告の声をあげる。

『レーダーに反応!高熱源体接近!艦種照合…………出ました、[リークフレア]級及び[シャンクヤード]級、ともに二隻います!』

それを聞き、白野は考える。

(このタイミングでの襲撃、恐らくレッケンダス大佐に対する追撃だな。だとするとマズイ、レッケンダス大佐の[マハムント]級は満身創痍、とても戦える状態ではない。否応なく護衛戦となる。少し面倒なことになる。……………………アレを使うか。)

しばしの黙考の末白野は奥の手の使用を決める。

『砲雷班、アレを使う。準備をしていてくれ。』

『リョウカイ、艦首主砲エネルギーチャージカイシ。』

現在、砲雷班には特筆すべき人物はいない。なので空間通商管理局から貸し出されたドロイドが仕事をしている。決められた仕事を正確にこなす分、無能な人間よりはマシなのだ。だが、結局最後に必要なのは人の力、いわゆるマンパワーである。
だからして、優秀な砲術能力を持った人材との出会いを渇望してやまない白野であった。

『敵艦更に加速!30秒後に戦闘距離に到達します。』

ゲイケットが緊迫した様子で告げる。普段なら、あの程度の敵に手こずる事は無い。だが、今回はレッケンダス大佐と言う護衛対象がいる。自分たちが危なくなったら最悪放って逃げるという選択肢もあるが、後味が悪すぎるのでそんな事はしたく無い。
なので、白野は奥の手を使う。

『敵艦が戦闘距離に到達すると同時に仕掛けろ。』

『リョウカイ。』

『…………来ます!』

そして、白野は高らかに号令を下す。

『メテオプラズマ、発射‼』

ユニコーンの銀色の船体の艦首に搭載された主砲から、船体とほぼ同じ大きさのプラズマ弾が放たれる。
これこそが、ユニコーンに装備された最強の兵器[メテオプラズマ]。限界まで圧縮したプラズマを一気に放出する、大マゼランでも有数の威力を誇る兵器である。
巨大なプラズマの塊は真紅の軌跡を描き一直線に敵艦に向かい先頭のシャンクヤード級に直撃した。
艦の船体よりも巨大なプラズマの塊をモロに食らったシャンクヤード級は、ひとたまりもなく粉砕され宇宙のチリとなる。

『敵一番艦、インフラトン反応消失。撃沈です。』

律儀にゲイケットが撃沈報告をした。そして、ニヤリと笑って付け加える。

『今の攻撃で敵はだいぶ混乱したようです。最早戦列すら維持出来ていません。…………どうします?』

同じく白野もニヤリと笑って答える。

『決まっている。…………揉み潰せ。』

それと共に、ユニコーンに搭載された多数のプラズマ兵器がはなたれ、残存の敵艦を抉り、貫き、打ち砕いた。
爆煙と共に攻撃すら許されなかった敵艦が最期の断末魔として、インフラトン粒子の蒼い輝きを周囲に撒き散らし轟沈してゆく。

『敵艦、インフラトン反応消失。殲滅しました!』

ゲイケットがそう報告する。モニターに写し出される敵艦は、跡形もなく消し飛んでいた。

『レッケンダス大佐、無事か?無事ならこれからあなたの艦を再び牽引する。』

『あ、ああ。大丈夫だ。牽引を頼む。』

通信に答えるレッケンダス大佐は、心なし怯えているようだった。
牽引ワイヤーを装着し直し、ユニコーンのブースターが起動する。
目的地は惑星メリルガルド、その宇宙港である。
広大な宇宙を銀の巨体が駆け抜ける。
歴史はまだ始まったばかり……………………


続く














 
 

 
後書き
用語解説(wikiより抜粋)

0Gドッグ・・・宇宙探査をおもな商売とする冒険者。『戦いは宇宙で決着をつける』が共通のルールで、地上に住む人間に迷惑 をかけることは忌避される。

インフラトン粒子・・・子宇宙から抽出された粒子。光速の876倍の速度を誇る、アイキューブ・エクシード航法を実現するための主機関、インフラトン・インデュース・インヴァイターの動力源として使用される。

アイルラーゼン共和国・・・大マゼラン歴2000年にアッドゥーラ教国から独立した国。伝統的に弱きを助け、強きを挫く武士道や騎士道のような精神価値観をもつ。

ロンディバルド連邦国・・・大マゼラン歴2000年にアッドゥーラ教国から独立した国。大マゼラン銀河最大の国家で銀河連邦の盟主。連邦の盟主として軍事、政治共に大きな発言権をもつ。

バダック商会・・・クルーの紹介、訓練を行っている。

ゼスカイアス級・・・大艦巨砲のシンボルたる戦艦。ジーマの技術をうけヤッハバッハとの戦いを前提とした設計。火力は高く、全ての面で高い性能を持つ。

マハムント級・・・ロンディバルド軍の各部隊に最も多く配備される巡洋艦。基本設計が優れており国内外で活動する旗艦として重用される。

リークフレア級・・・ゼオスベルトユニオンに集う冒険者たちが好んで使う標準巡洋艦。

シャンクヤード級・・・ゼオスベルトユニオンに集う冒険者たちが好んで使う標準重巡洋艦。


 
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