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カンピオーネ!5人”の”神殺し

作者:芳奈
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護堂の受難

 
前書き
##CAUTION##今回の話は、不快な思いをさせてしまうかもしれません。こういうのって、問題になりますかね?問題になるようなら消します。別に、絶対必要な話ではないですし##CAUTION##
 

 
 くさなぎごどうは こんらん している!!!

 このような文章が頭に浮かぶほど、彼は混乱していた。

 眠りから覚め、体に残る鈍痛を意志の力で無視して目蓋を開ければ、そこには知らない天井が合った。自宅どころか、チェックインしたホテルの天井ですらなかった。その清潔感と圧迫感を感じさせる純白の天井と、充満する薬品の匂いで、辛うじてこの場所が病院だと理解した護堂。

 しかし、場所を理解しても、どうして自分が病院などという場所で目を覚ますのか?その理由が、目覚めたばかりの頭では全く分からなかった。

(・・・ったく、病院では静かにしろよ・・・。重病人でも運ばれてきたのか?)

 廊下から聞こえてくる怒声と、バタバタと響く大勢の足音。それに不快感を覚えながら、取り敢えず自分の肉体の確認をしようと考えた彼は、ユックリと体を起こした。

「・・・一体、ここは何処だ・・・?」

 軽い目眩を覚えながら、やっとのことで体を起こした護堂が見たのは、眩い程の長い金髪の女性が、此方を振り返る場面であった。

「き、気がついたの!?」

 バッ!!!と音がしそうな程に素早く振り返ったのは、見覚えのある女性。

(・・・そうだ、俺は確か、海岸でこの人と出会って・・・)

 そこまで考えた時、彼女の視線が一箇所に固定されていることに気がつく。

「・・・・・・・・・。」

 その視線を追ってみると・・・そこには、寝起きということで大きくなった、護堂のアレ(・・)が・・・。

「う、ぅあ・・・!」

「き・・・キャアアアアアアアアアア!?」

 護堂の羞恥の叫びは、彼女の羞恥の叫びで簡単にかき消された。顔を真っ赤にした彼女は、力を失ったようにヘナヘナと地面に座る。

 それと同時に、病室の扉が勢いよく開け放たれた。そこから流れ込んでくる人、人、人。あっと言う間に病室を埋め尽くしたその人間たちは護堂を取り囲むと、槍や長剣、小型の弓などを彼に向けた。

「え、うお!?何だ!?」

 その武器の輝きを見れば、それらが模造刀などではなく、真剣などのホンモノ(・・・・)であるということが理解出来る。護堂に出来ることは、ユックリと両手を上に上げて、降参の意思を示すことだけだった。

「・・・・・・何でさ?」

 様々な感情を詰め込んだ彼の言葉は、虚しく消え去った。




『一体、何をしようとしていた!?』

 スキンヘッドの男性が、護堂に叫ぶ。当然、護堂にはイタリア語など分かるはずもなく、冷や汗を流し続けるだけ。

『・・・貴方は、ここで何をしようとしていたのですか?』

 イタリア語が分からないのだと理解した別の女性が、今度は英語で喋りながら古めかしい古式銃を突きつけながら脅す。

 これは、幼い頃から祖父の陰謀によって、何度も海外で一人生活をしたことのある護堂にも理解出来た。だが・・・

(何をしようとしていただって?・・・は?起き上がったのが、そんなに悪いことだったのか!?)

 その言葉の意味が理解出来ない護堂には、何の効果も無かった。魔術などとは何の関わりも無かった護堂には、先程まで、まつろわぬ神に匹敵する呪力がこの部屋に溢れかえっていた事など、知る由もない。

「あ、あの~・・・・・・。」

 取り敢えず、相手を刺激しないようにユックリと言葉を紡ぐ彼は、まくれ上がったシーツを指差し、

「と、取り敢えず、体を隠しても・・・いいでしょうか?」

 十数人。それだけの数が、小さい病室にひしめき合っていた。それだけ入れば、護堂のベットに寄りかかるようになるのも必然である。しかも、一体どういう運命の巡り合わせなのか、護堂の周りを直接取り囲んでいるのは、女優かと見間違うような美女ばかり。

 そんな人たちの前で下半身を露出させたままなのは・・・正直言って、彼の心を酷く傷つけていた。一刻も早くこの状況を脱しなければ、女性恐怖症になってしまうかもしれない程に。

「「「・・・・・・・・・」」」

 魔術師は、特殊な魔術を使用することで、言語の習得を早くする事が可能だ。その為、ここに集う人間は皆、日本語も理解することが出来た。昂っていた心を落ち着かせて見れば、この状況が有り得ないものだと分かる。

 男性陣は、護堂に同情の顔を見せ。

 女性陣は、顔を赤くしながらも、彼の下半身から目を離さない。

「・・・隠せ。」

「・・・!有難う御座います!」

 先程のスキンヘッドの男がボソリと呟くと、護堂は神速とも言えるような速度でシーツを引き寄せた。その目には、若干の涙が見える。

「Big・・・。」

 その時、一人の女性が呟いた言葉は、意図的に聞き流して。護堂は、心で、泣いた。

「スマン。」

 子供にトラウマを植え付けてしまったかもしれないと、男性陣が次々に謝罪し、それに少しだけ癒される護堂。

 何とも言えないカオスな空間が、そこには存在していた。
 
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