| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 一~四章

作者:あさつき
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
次ページ > 目次
 

四章 モンバーバラの兄弟
  4-17オレたちの旅はこれからだ

 追手を警戒して変装し、老人から託された乗船券(じょうせんけん)を使い、エンドール行きの船に乗る。


 甲板に(たたず)み、想いを巡らす。


 果たせなかった、仇討(かたきう)ち。

 新たな、巨大な敵。

 家族も同然に過ごした、父の弟子。

 故郷を逃げだす、自分たち。


「……わかってたんだ。今の僕たちでは、勝てないことは。」

「ああ」

「だけど、オーリンさんを。犠牲にするつもりなんか、無かった。」

「そうと決まったわけじゃねえ」

「僕たちは」

「オレたちは、絶対に生き延びるんだ。親父の仇を討ち、オーリンの想いを果たすのは。オレたちしか、いねえんだ。」

「……そうだね。嫌な役目をやらせて、ごめん。」

「いいってことよ。お前は真面目だからな、こういうのはオレに任せときゃいいんだよ。ま、オーリンもしぶといからな。生きてりゃそのうち、会うこともあんだろ」

「そうだね」

「一回負けても、生き延びて最後に勝ちゃいいんだからな」

「そうだね。導かれ、やがて大きな力となる、か。」

「ああ、あれな。オレたちの旅はこれからだ、とか言ったか。なげえ前座(ぜんざ)だな」

「そうだね。僕たちの旅は、これから始まるんだ。」



 打ち(ひし)がれた、兄弟の。

 父を亡くした、姉弟(きょうだい)の。

 恋に破れた、若者の。


 様々な人々の、様々な想いを乗せて、船は()く。

 まだ見ぬ国へ、まだ見ぬ()()へ。


 彼らの旅は、これからだ。 
次ページ > 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧