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DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
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第2章:おてんば姫とチャラ王の冒険
  第23話:どうして権力や財力を持った親というのは、娘の結婚相手を勝手に決めたがるのだろうか?

(エンドール城下町)
リュカSIDE

うるせージジイだ…
まだ3発しかヤッてないのに『急用じゃ!』と言って邪魔をする。
若者二人は諦めて出て行ったが…それとも触発されちゃったのかな?
お手々繋いで仲良く見えたが……?

しょうがないので4発目を早々に終わらせて、余韻を味わうことなく終了させた。
バニースタイルへ着替えるジュディーに「慌ただしくてゴメンね」と声をかけ、ディープなキスで部屋を送り出すと、気配を察した若い二人がお手々繋ぎながら戻ってくる。
ジジイは俺に怒り心頭で、若者二人の成長に気付いていない様子。

「…っで、僕の邪魔をする程の急用って何?」
いかんな…若者二人の成長が嬉しく思えるのに、お楽しみを邪魔された事の方が響いているみたいで、声のトーンが低音でドスが効いている。
怒ってるかもしれない、俺…

「う、うん…実はね…一人の女の子の為に、どうしても武術大会で優勝しなきゃならなくなったの! 今も闘技場では予選大会が行われているらしいから、それを見に行って後日の私の試合に備えたいの。リュカの力で少しでも強くしてほしいの!」

どうやら真剣なアリーナ…
まだ裸で、ジュディーの移り香や分泌液の匂いがする俺に近付き、心からお願いをしてくる。
顔が近すぎ、キスでもしようとしてるのかと思うくらい…
チラッとクリフトを見ると、服の裾を握り締め不安そうに眺めている。…面白い。

「その女の子が僕にどう拘わるの? 未来の僕の愛人か?」
「ふざけるな馬鹿! この国の姫様が、武術大会優勝者と結婚させられるんじゃ! 姫様はそれを阻止すべく、どうしても優勝しなければならないんじゃ!!」
どうにもよく解らん…武術大会の主催者は国王だろ?

「主催者である国王が、優勝しても姫さんと結婚させないって言えば済むんじゃね?」
「そ、それがね…王様自ら高らかと宣言しちゃったの…『武術大会優勝者への褒美は、余の娘…モニカを娶らせようぞ!』ってノリで言っちゃったらしいの…それで、引くに引けなくなっちゃって…本人は後悔してるのよ!」

「はぁ、何だそいつは!? 娘の人生を何だと思っているんだ!? …これだから王族や貴族・金持ちって言うのは度し難いんだよ! 自分は何をやっても許されるって思ってやがる。例え家族の人生でも自分の思い通りになると考えてやがる!」

最悪だ…大嫌いだそう言う奴は!
腕白馬鹿が優勝して姫さんと結婚し、王位をガッツリ継いだ挙げ句、この国を滅ぼしてしまえ!
こんな大会で優勝できるような奴に政を行える奴が居る訳ない!
自分の欲求の為に、権力と財力を使い果たし、全てを混沌に落としてしまえば良いんだ!

「きっと現エンドール王は、この国を滅ぼす切っ掛けを作った愚か者として歴史に名を残すんだ…ざまぁみろ!」
「リュ、リュカぁ…そんな事言わないで、この国を救う為に手を貸してちょうだい」
瞳を潤ませたアリーナが、俺の顔を覗き込み懇願する…

またアリーナに泣かれるのも嫌だな…
それに国が混乱し、最も早い段階で不幸になるのは女子供と言った力のない者達だ…
特にジュディーの様な美女は不男(あほ)共に最初に狙われる。

う~ん…知らなきゃ放っておけたけど、知っちゃったら放っておくのは嫌だなぁ…
昔のラインハットやサマンオサの様に、悲しい時代は見たくないなぁ…

リュカSIDE END



(エンドール周辺)
ブライSIDE

考えを改めなければならないだろう…
ワシもクリフトも…いやサントハイムの者全てが、最強ではないにしろ姫様はかなりの強者だと考えていた。
しかし…エンドールの武術大会予選を見て、その考えが間違っている事に気付かされた。

予選であるにも拘わらず、その激闘は予測を遙かに超え唖然とさせられた!
リュカが、『あ…このレベルじゃ、アリーナに勝ち目は無いなぁ…』と呟いたのだが、反論する事が出来なかった。普段なら姫様を愚弄したと怒鳴るのだが、ワシもクリフトも全く同じ気持ち…姫様さえ青ざめていた程だ。

姫様とリュカは、この国の将来を憂いで優勝への努力を誓っていたのに…
ワシは当初、隣国に恩を売る為にこの大会で優勝する事を希望したのだ。
だからワシ個人は“ムリ”と諦める事も出来るのだが、姫様には逃げ道が無くなり…それに協力するリュカが、途中放棄の発言すら許さない状況にしてしまっている。

今、ワシの目の前で姫様がボロボロになっている…
エンドール周辺のモンスター相手に、たったお一人で戦いボロボロになっている。
援護したい…お守りしたいと思っても、リュカがそれを許さない。
姫様を鍛える為の修業の邪魔を奴が許さない。

視界の悪い森の中で、リュカは大声で歌い続ける…
すると何処からともなくモンスターが近付き、姫様に攻撃を仕掛けてくるのだ。
クリフトは姫様の側で『スカラ』を唱え援護を許されているが、ワシはリュカの近くで待機を命じられている。

クリフトの奴には『アリーナ様危険でスカラ』とか『ムリをされては困りまスカラ』等、試合で使えるイカサマの練習をさせている。
具体的に言うと、セコンドとして側に着ける我々(クリフト)が、姫様を心配するフリ(勿論本心から心配している)をして“スカラ”の魔法を言葉の語尾に付けて援護する作戦だ。

良う思い付くものだ…
何でも、リュカが幼き頃に強制労働をさせられていた時期があり、その時に周囲の仲間を助ける為に思い付いた作戦じゃと言う。
どんな人生を送っておるのじゃ?

ワシには周囲を欺ける魔法が無く、ただ黙って見ているしか出来ない。
実質、姫様は一人で戦っている状況で、眺めているしか出来ないのは大変苦しい!
なんせリュカは、隙があれば姫様に向かって風だけのバギを放つのじゃ!

無論、突然の後方からの攻撃…
前方のモンスターに全力を注ぐ姫様に避けられるハズもなく、最も手痛いダメージとして蓄積されて行く…
あぁ…直ぐ隣で攻撃しておるのに、助ける事も出来ないとは…もどかしすぎる。



夜も更け…姫様の体力も大分前に尽きた頃、やっとリュカが引き上げの指示を出した。
立つ事も出来ず、気を失った姫様をクリフトが抱え、エンドールの城下町へと引き返す我ら…
これ程まで姫様に苦労をさせる意味はあるのだろうか?

リュカは言う…
ほんの数日で、あの武術大会で優勝できるほどの実力を得るのなら、常識を越えた特訓をしなければムリだろう…
本当にこの国の姫を助けたいと思い、この国の未来を救いたいと思っているのなら、この非常識な特訓に耐える事だ。

確かにその通りなのだろうと思う。
じゃが、他国の為に姫様が此処までする必要がワシには見出せん。
こんな国が滅びようとも、ワシには姫様の事の方が心配じゃ!

「アリーナが我が儘で、おてんばで、世間知らずなのは爺さんの所為だぞ」
ワシが現状を疑問に思っておったら、心を読んだかの様にリュカが話しかけてきた。
「教育係の爺さんが、もっと心を鬼にして向き合わないから、アリーナが弱くなったんだ」

「ぶ、無礼な! ワシは常に姫様の事を考「アリーナの事を本当に考えているのなら、彼女に苦労をさせるべきだ! “お姫様だから”とか“女の子だから”とか言って、苦労する事を回避させ続ければ、何れ纏めて苦労が襲いかかってくる」

ワシの言葉を遮って、ワシの苦労を非難するリュカ…
チャラ男のクセに…キサマはどんな苦労をしてきたと言うのじゃ!?
年頃の娘を育てる苦労じゃって知らんじゃろうに!

「爺さんが今回の特訓に反対なのは分かってる。でも今回の特訓はアリーナ自らが望んだ物…それを邪魔する事はアリーナへの最大の侮辱だと思え! アリーナが自ら考え、自ら望んだ、自らが選んだ道だ。親だろうと教育係だろうと、それを邪魔する事は許さん」

ワシが何も言わずにいると、リュカが激しくプレッシャーを与え恫喝してきた…
その恐怖もさることながら『姫様への侮辱』の言葉に、何も言えなくなる…
………ワシは間違っていたのだろうか?

ブライSIDE END



 
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