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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 一~四章

作者:あさつき
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一章 王宮の女戦士
  1-01女戦士

「では行け!戦士たちよ!」

 王の声に、一斉に広間を出て行く王宮戦士たち。
 彼らに先を譲り、最後に広間を出て来たのは、戦士の国として名高いバトランド、その王宮戦士として初の、そして唯一の女戦士であるライアンだった。

 まっすぐで青みがかった、艶やかな黒髪は、顎ほどの高さで切り揃えられている。女性は結い上げられるほどに髪を長く伸ばすのが当たり前であり、戦闘の邪魔になるからと、伸びた側から切ってしまうのは、戦士としては良くとも、女性としてはおかしなことである。
 顔立ちは整っているものの、化粧気は無い。
 厳しい表情は、庶民的な愛矯や、貴婦人の微笑などとは縁遠く、凛々しいという言葉が相応しい。
 身長は、女性としては飛びぬけて高い。体格の良い男性戦士の中に入れば、さすがに小さく見えるものの、一般的な成人男性ほどは優にある。
 余分な筋肉の付き過ぎない、引き締まった身体を包む優美な鎧は、桃色である。

 これは、彼女のために特別に(あつら)えられたものであった。
 一戦士のためにそんな予算を組むのは無駄であろう、と、一旦は断ったものの、男性と同じ量産品では女性の身体に合わず力を発揮できない、万全の備えをするのが王宮戦士の務めである、美しくない、などと、周囲に総掛かりで説得され、それもそうかと――一部よくわからなかったが――受け入れた。
 実用的でありさえすれば、細かい意匠や色合いなどはどうでも良いことであったから、必要とあらば、固辞するほどでも無かった。


 その彼女に駆け寄って来る者がある。

「戦士さま!お助けください!子供が、子供は私の目の前で!」

 今回、王命でイムルの村子供行方不明事件の調査に出た王宮戦士は、ライアンを含め比較的年若い者たちであった。
 或いは使命に燃え、或いは手柄を立てる機会に勇み立ち、怒涛のように走り去る若い戦士の集団に、取り縋ることもできなかったのであろう。
 最後に残ったライアンに訴える女性は必死で、内容は要領を得ない。
 ともかく落ち着かせようと、ライアンは女性に微笑みかけた。

「ご安心ください、ご婦人。私が必ず、貴女の憂いを晴らしましょう。まずは落ち着いて、あちらでお話を伺えますか」
「!……は、はい……!」

 先ほどまでの興奮のためか、真っ赤になってこちらを見つめる女性に、ともかく落ち着いたようだと安堵して、ライアンは女性を一般向けの待合室に誘導した。
 
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