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ガールズ&パンツァー もう一人の転校生

作者:stk
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坂の両側

「パンツァーフォー。」
私たちは急いで横浜港を出て鉄道貨物の駅に向かった。
鉄道貨物で鹿島まで行く。
現在は深夜2時。
話を聞く限りでは5時間で着くらしい。
距離はかなりある。
でも行くしかない。
わざわざ教えてくれた情報を無駄にするわけにもいかないから。
私たちは貨物で移動している内に睡眠をとった。
5時間だが寝ないよりはましだった。

午前5時
まだ3時間しか経っていないのだが目が覚めてしまった。
睡眠は戦車でとったわけではない。
私がお母さん経由で客車を繋いでもらった。
「あれ、はやも起きてたんだ。」
他のみんなは寝ているのにはやだけが起きていた。
「瞳さんと約束破っちゃた。」
それは昨日の自由選択の時にはやが言ったこと。
『私が一緒に乗ります。』
この言葉を聞いたときの瞳さんはとても輝いていた。
その輝きを裏切ったのははやの心が痛かった。
「大丈夫。瞳さんたちもわかってくれるよ。」
「そうだといいな。」
はやは何時もより暗かった。
それもそうだろう。
だって私が無理やり連れてきたんだから。
「はやがゴメンね。でも今回の作戦は私たち全員がいないと意味ないの。」
「それは分かってるよ。でも急すぎたから心の準備が出来なかっただけだから。」
明るく見せているけど本当は正反対なのであろう。
『御乗車ありがとうございます。次はさいたま貨物駅です。』
さいたま貨物駅で貨物を下ろすために停車した。
さいたまの次は遂に大洗。
「少し寝るね。」
はやは毛布に繰るんで寝た。
「私も寝よ。」
私も後1時間半寝ることにした。

『大洗貨物駅です。』
私は車内アナウンスと共に起きた。
「梨華。起きてよ。ねえ起きてよ。」
私はさやかに体を揺らされて起きた。
「おはよう。もう着いたの?」
私は一度起きたからとても眠かった。
「もうつくよ。梨華?はやがいないんだけど。」
はやがいない?
でも停車はしてないし。
「たぶん戦車だと思うよ。」
はやが行くとしたら戦車以外に考えられなかった。
「はや。着いたみたい。」
絵里の言う通り大洗貨物駅に着いていた。
そして戦車も下ろされていた。
現在は午前7時。
黒森峰の作戦開始まで後一時間。
「それじゃあ戦車に乗って。すぐに大洗港に行くよ。」
「「了解。」」
私たち全員はすぐに戦車に乗り大洗港を目指した。

午前7時半
「何をしているんですか?」
私の前に修善寺女子高の隊長である斉藤美香がいた。
彼女は大洗港担当の学校を待っているのだが、
「文教女学院をどっかで見てない?」
あの内乱が起きていた学校はまだ到着していなかった。
「連絡もないの?」
「はい。一時間ほど前に隊長である中垣さんからの連絡の後には一回も繋がらないのです。」
「副隊長は?」
「全く繋がりません。中垣さんも繋がらないと言っていました。」
あの二人はまだ仲が悪いな。
「美香副隊長。」
近づいてきたのは前回対戦したときに謝罪してきた一年生の小早川さん。
「文教の生徒会長から連絡がありまして、中垣隊長派がこちらに向かっている最中に外川副隊長派と戦闘になり反大狩流を掲げた副隊長派がこちらに向かっているそうです。」
えぇー。
文教も反大狩流に参加してるんだ。
「それじゃあ私たちで叩くわよ。西住先輩。ここは頼みます。」
美香は後方に待機させていた戦車に行ってしまった。
「それじゃあ熊本中央の隊長に挨拶にいこうか。
私は熊本中央の校舎に向かって戦車を走らせた。
「梨華。熊本中央の隊長はこの人みたいだよ。」
裕香がタブレットを見せてきた。
「熊本中央高等学校戦車道隊長遊佐千紘。小学校の友達と一緒に戦車道をしていたことがあるため隊長に抜擢された。と書いてあるよ。」
私は彼女の名前に聞き覚えがあった。
西住家に泊まりに行ったときのことである。
彼女はみほと一緒に戦車に乗ってまほさんと戦っていた。
「ここにいるのが私ではなくみほだったらどれほど喜んだことか。」
私は小さな独り言を言った。
「いましたよ。」
裕香はまた梨華に報告する。
「降りて挨拶しましょうよ。」
裕香は何気に楽しそうだ。
「全員降車。」
私は一様指示を出した。
そして戦車の外に出ると、遊佐さんが話しかけてきた。
「どこかでお会いしたこと有りますか?」
私は会ったことがあったが、
「無かったと思います。私は大洗女子学園の大狩梨華です。こちらが襲撃されると聞いてやって来ました。」
無いと嘘をついて乗りきろうと考えた。
「そうですか。実は小学校の頃に会った友達に似てて。名前も癖もすべて同じ人がいるなんてビックリです。」
それって。
私のことを覚えてるんじゃん。
「それでも別人っていいきる?」
言い切るのが不可能だと感じてきた。
「副隊長、諦めてください。」
梨華のことを副隊長と今も呼ぶのは一人しかいない。
はやの戦車の操縦士であるみのり。
「わかったよ。千紘さんお久しぶりです。」
観念して私は久しぶりと言った。
今年は知り合いによく会うと思うよ。
「梨華さんもなにも変わっていませんね。とくに人を騙せないところが。」
最後の一文は余計だ。
「でも梨華さんが来てくれて頼もしいです。」
千紘さん私が見たなかでは一番の笑顔で私を見ていた。
「ところで他の護衛は?」
私たち以外には見当たらなかった。
「室蘭水産の方が先ほど黒森峰が入ってこないように対策を考えながら出陣してましたよ。」
ちょっと待って。
ここに来てるの全て私たちと戦った学校じゃん。
「とにかくなかにどうぞ。室蘭水産は25両で迎撃に向かったので大丈夫でしょう。」
黒森峰相手に25両?
かなり少ないじゃん。
「梨華。どうする?」
「私たちは黒森峰がここに来る前に叩きたい。千紘さん。良いところ有りますか?」
「学校につく前にあった坂なんていかがですか?」
確か坂の両側に丘があったきがする。
「ありがとう。学校敷地内はお願いします。」
私は戦車に乗り込み目標地点である丘に向かった。

『すみません。黒森峰の戦車五両がそちらに向かいました。』
涼冷さんからの通信。
いよいよ黒森峰がやって来る。
「各車、砲撃準備。黒森峰の戦車を発見しだい砲撃を開始してください。」
私は無線で両車に伝えた。
室蘭水産が配置された地点から約800M。
遠くも近くもない良いところ距離。
両側からの一斉砲撃。
今回は小ミサイル弾の支給が無かったためあまり使えない。
「ティーガー四両にマウスを捕捉しました。」
マウスは一番後ろだから前のティーガー四両を撃破したあとに一斉砲撃かな。
「二号車は二番目と四番目のティーガーを狙ってください。そのあとに一緒にマウスを狙ってください。」
私ははやと連絡をとりあって計画をたてた。
先頭のティーガーが見えると、
「発射。」
梨華の合図で砲弾は撃たれ、それより少し遅くはやたちからも砲弾が二両目に向かって撃たれた。
「装填急いで。」
私の声に誰も答えないのは忙しすぎて答える暇がないから。
カシャン。
装填が完了した。
「裕香。一両目の様子は?」
「行動不能です。二両目も同じく。」
奇跡だ。
一回でティーガーを倒せるなんて。
それならこの調子で、
「三両目に向かって発射。」
私の合図と同時に砲弾は撃たれた。
しかしはやたちは撃たなかった。
「どうして撃たなかったの?」
私はすぐはやに通信を入れた。
『時間差で仕掛けるから。あとマウスの注意を引くのが目的だから気にしないで。』
はやからの返答は私の計画とは少し違ったがいい案でもあった。
「梨華。はやたちの砲塔がやっと四両目を狙ったよ。」
裕香の言った通りはやは砲弾を撃つ準備をしていた。
「マウスの姿は?」
「確認出来ていますがまだここに来るには時間がかかると思います。」
マウスの車長に見えるようにしないと意味がないよ。
「マウスが射程範囲内です。」
ドォーン。
はやたちが撃ったんだ。
結構順調じゃん。
「梨華。マウスの射程可能範囲まで残り三十秒です。」
「仕方がない小ミサイル弾の使用を許可する。両戦車あるだけ使って。」
私はやむを得ず小ミサイル弾と砲弾の両方を使用することにした。
「了解です。亜依。装填が終わったら小ミサイル弾を任せていい?」
「勿論です。絵里。」
二人の仲はいつもいい。
私もこればっかりは羨ましいな。
「砲弾装填完了。」
「残り二十秒で。」
一刻と迫ってくるタイムリミット。
「小ミサイル弾も準備完了です。」
『こちらも完了だよ。』
両戦車から準備完了の合図を受けて。
「発射。」
私は撃つことを指示した。
「マウスの射程範囲まで残り五秒です。万が一に備えて退避しましょう。」
裕香が退避を提案するが誰も退避使用とはしなかった。
「大丈夫だよ裕香。決着はついているから。」
私は私は確信した。
マウスは行動不能だと。
何故なら計二発の砲弾と八発の小ミサイル弾を撃ったのだから。
「マウスの行動不能を確認しました。熊本中央高校に連絡しておきます。」
「うん、お願いね。」
その後黒森峰は全員が東日本戦車道連盟に連行された。
また私たちはお母さんから怒られると予想していたが、氷華がお母さんに言っておいてくれたので怒られはしなかった。

「ついに明日は準決勝です。気合いをいれていきましょう。」
大洗に戻った次の日にみほは準決勝のことをみんなに伝えた。
鎌倉歴史高校。
策士が多い相手だけど勝てない相手ではない。
「それでは解散。」
「「「ありがとうございました。」」」
明日が楽しみだ。 
 

 
後書き
準決勝に戻れる。
でも準決勝どうしようか悩むところです。
次の投稿は4/20です。
それでは次回もよろしくお願いします。
 
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