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マクベス

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第三幕その三


第三幕その三

「安心するがいい。そなたは死ぬことはない」
「それは本当なのだな」
「神は嘘は言わない」
 少なくとも魔女達が信仰している神はそうであるようだ。
「その神が言う。そなたは」
「わしは」
「女から生まれた者には倒されはしない」
「そうか」
 マクベスはその言葉を聞いて安心したように笑った。
「では問題はない。マクダフですらな」
「そう、女から生まれた者には」
「しかしマクダフは始末せねばな。何があっても」
「それだけだ」
 血に濡れた子供は消えた。次に現われたのは雷鳴と稲妻と共に出て来た子供だった。その手に緑の杖を持ち王冠を被っている。そうした子供であった。
「王よ」
 王冠の子供はマクベスに対して声をかける。先の二人と同じく。
「森が動かない限りは安心せよ」
「森が!?」
「そう、森だ」
 彼はマクベスに告げる。
「バーナムの森が動かない限りはそなたは安泰だ」
「森が動くものか」
 マクベスはそれを聞いても満足気に笑うのであった。
「では何もないのと同じだ。しかしだ」
 それで完全に疑念が消えたわけではなかった。
「バンクォーの子供は」 
 フリーアンスのことであった。
「どうなるのだ。王位に就くのか」
「神に問うてはいけない」
 魔女の一人がマクベスに忠告した。
「それはならない」
「そうだった。だが」
「また神は消えた」
 気付けば。王冠の子供はいなくなっていた。
「いなくなったのか」
「そうだ」
「今度はその質問なのだな」
「う、うむ」
 魔女達の問いに答える。
「そうだ。それに答えるのは」
「出て来たぞ」
「質問に答える神々が」
 また何かが姿を現わした。それは八人の王達であった。
 その中には彼もいた。一番後ろに。
「バンクォー・・・・・・」
 マクベスは彼の姿を認めて色を失った。
「まさか本当に」
「おかしいな」
「そうだな」
 魔女達はその神々を見て口々に述べ合う。マクベスもそれを聞いて顔を顰めさせていた。そうして今度はその魔女達に問うのであった。
「おかしいだと」
「そうだ」
 そしてマクベスにまた告げた。
「あの鏡は」
「鏡だと」
 マクベスはギョッとしてバンクォーの方を向き直った。見ればその手には鏡がある。手鏡であった。笑いもせずにそれをかざしていたのであった。
 
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