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ソドムとゴモラ

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第二章

「それじゃあね」
「二人なのね」
「二人ならね」
 それならというのだ。
「何が出て来ても安心出来るでしょ」
「確かにね。いきなり強烈なのが出てもね」
 奈央もこのことは言う。
「怖くないわね」
「まああれよ、はじめて見る世界だから」
「本当に何が出るかよね」
「奇麗とは限らないからね」
「そもそも人の趣味って色々よね」
 奈央はここでこうも言った。
「そうよね」
「そうよ、薔薇とか百合だけじゃなくて」
 その他にあるものはというと。
「SMとかあるじゃない」
「私そういう趣味はないから」
 奈央はそちらの趣味もなかった。
「あとショタとかロリも駄目だから」
「スカトロは?」
「問題外よ」
 こちらには顔を顰めさせて返す。
「あと獣もね」
「そっちもなのね」
「そういう変なのは駄目だから」
 そういったことは全てだというのだ。
「もう吐き気を催すから」
「そこまでいくのね」
「ええ、もう全然理解できないわ」
 これが奈央のそうしたことへの考えだった。
「見たら吐きそう」
「だから。一人でいたらそこで気絶して終わりってことも有り得るじゃない」
「けれど二人だったら」
「そう、例え鬼が出ても蛇が出ても大丈夫でしょ」
「そうね。じゃあ一緒にね」
「いざ聖書にある退廃の街へ」
 即ち歌舞伎町に。
「突入するわよ」
「本当にどんなものだったのかしら」
 奈央は何時の間にか歌舞伎町をソドム、そしてゴモラだと考えていた、そのうえで綾女と男装して行くのだった。 
 男装は綾女も同じだ、そのロングヘアをキャップの中に隠してそのうえでサングラスまで装備していた、その彼女にだ。
 やはりサングラスをかけている奈央が問うた。
「何か凄い変装ね」
「あんただってそうじゃない」
「だってソドムにゴモラよ」
 同性愛の世界に行くからというのだ。
「男装してたらソドムには入られるじゃない」
「ありのままに性別を出したらね」
「ゴモラにも入られるじゃない」
 特撮の怪獣みたいな名前が繰り返し出される。
「だからこうして見破られない様にしたのよ」
「私もよ」
 それは綾女もだというのだ。
「だからここまで厳重にしたのよ」
「変装って厳重って言うの?」
「この場合はそう言っていいでしょ」
 こう返す綾女だった。
「だからよ」
「そういうことね」
「そう、そういうこと」
 こう返す綾女だった。こうした話をしながらだった。
 二人で日本一の繁華街に入った。そして綾女はスマートフォンを携帯につないでそのうえで検索しながら奈央に言った。
「お店見つけたわ」
「どっち?」
「両方」
 ホモもレズもだというのだ。
「両方が住み分けして共存してるお店があるのよ」
「何か好都合ね」
 同性愛を両方見たい人間としてはだ。 
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