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スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇

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第七話 インスペクター四天王

               第七話 インスペクター四天王
「いよいよはじまりだね」
ある基地の会議室にて。四人の者が集まり話をしていた。
「あたし達の本格的な戦いがね」
「そうだな」
スキンヘッドの男が女の言葉に頷く。
「今まで備えていたものを向ける」
「ここにいるあらゆる勢力に対して」
「まずは何処を相手にする?」
金髪の男がここで三人に問う。
「地球人か?それとも」
「そうだな。まずは地球か」
スキンヘッドの男がそれに応えて述べた。
「最初はな」
「本当はバルマーを倒しておきたいんだがね」
女はそれに対してこう言うのだった。
「バルマーか」
「そうだよ。あいつ等が一番目障りだしね」
「確かにな」
金髪の男は女の言葉に頷いた。
「特にあのハザルの奴はな。始末しておきたい」
「そうだね。あいつだけは許せないよ」
女はそう言いながら黒い肌の男に顔を向けた。そのうえで言う。
「そうだね、シカログ」
「・・・・・・・・・」
シカログと呼ばれたその男は語りはしない。だが女は彼の言葉を聞いたかのように満足して微笑んだ。それから金髪の男に顔を向けるのだった。
「メキボス、ウェンドロ様はまずはどっちを倒されようと御考えなんだい?」
「どうやら地球人を警戒されているそうだ」
「そうなのか」
「そうだ、ヴィガジ」
メキボスはスキンヘッドの男の名を呼んだ。
「まずは地球人のその攻撃性を警戒されている。だからこそ」
「ふむ。そうか」
ヴィガジはその言葉を聞いて納得して頷いた。
「だが。俺は思うのだが」
「バルマーもまた。攻撃的だと言いたいのだな」
「それはわかる」
メキボスもヴィガジの言葉に頷く。
「あいつ等はな。やはり」
「そうだ。地球人よりも問題ではないのか?」
ヴィガジはそう述べる。
「あの者達は」
「だが今は奴等と戦うにはな」
「戦力か」
「そうだ。ましてや俺達はゲストとも対立している」
何かの名が出た。
「まずは地球の技術をより手に入れそうして」
「力を蓄える」
「何かみみっちいね」
「だがアギーハ」
メキボスは女の名を呼んだ。
「それが確実だ。だからこそ」
「わかったよ。それじゃあそれだね」
「ああ。まずは地球だ」
彼等の方針は決まった。それに基き動きはじめたのであった。
ロンド=ベルは北京に向かっていた。ユウナはその中でクサナギの艦橋にいた。
「皆出撃準備はできてるよね」
そうキサカに問う。
「カガリ達も」
「既に格納庫に入っておられます」
「そう。だったらいいんだけれど」
「シンと一緒に」
「えっ!?」
シンの名前を聞いてユウナの顔が一変した。
「それはまずいよ。シンが一緒にいたら」
「それ以前に何故シンがクサナギに」
艦長であるトダカはそれを問うた。シンは本来ミネルバにいる筈だからだ。
「どういうことなんだ」
「いや、彼だけではありませんよ」
アズラエルがそう言ってきた。
「彼だけではない」
「アスラン=ザラ達もいますが」
「アスラン君がいるのか」
ユウナはアスランの名前を聞いてとりあえずは落ち着いた。
「では彼に任せてみようか」
「任せるのですか?」
「うん」
そうキサカに答える。
「僕達も忙しいことだし。ここはそうするべきじゃないかな」
「ユウナ様、そう仰いながら実は」
「厄介ごとをアスランに押し付けたいのでは」
「まあそう捉えても別にいいよ」
居直ってきた。
「この前も二人の喧嘩止めて大変なことになったし」
「顎はもう大丈夫ですか?」
アズラエルは涼しい顔でユウナに尋ねる。実際に彼は二人の喧嘩を止めようとしてその二人に同時に殴られたのだ。なおその時アズラエルは急に何処かに消えていたのだ。
「この前のは」
「何とか。しかしまあ彼も苦労人だね」
「確かに」
「あの歳で」
キサカとトダカはユウナのその言葉に頷く。
「髪の毛も大変なことになっていますし」
「また後退していませんか?」
話がアスランにとって洒落にならない方に向かってきていた。
「この前に比べて」
「それに全体的に薄くなってきているような」
「ここは育毛剤をプレゼントした方がいいかな」
そうしたことにはよく気が回るユウナであった。
「このままだと本当に」
「そうですね」
「やはりここは」
「おや、そんな素晴らしいものがあるのですか」
アズラエルは育毛剤という言葉を聞いて妙な反応を見せてきた。
「育毛剤とは」
「あれ、貴方は別に」
「いやいや、念の為にですね」
ユウナに妙な取り繕いを見せる。
「一つ試させて頂きたいのですが」
「まあそれでしたら」
「いや有り難い。僕の製剤工場はBF団に破壊されてからずっと復旧していませんし」
何処までも異常能力者に悩まされているアズラエルであった。
「助かりますねえ」
「といいますと」
ユウナはBF団と聞いてふと思い出した。
「あの暮れなずむ幽鬼の時に」
「そうなのですよ。あの時についでに」
「それはまた」
「全く。あの連中だけは許せませんね」
かなり個人的な感情である。
「おかげで。何かと困っていますし」
「気持ちはわかります」
白昼の残月にオーブを滅茶苦茶にされたユウナならではの言葉であった。
「彼等はね。非常識極まりない存在でしたから」
「全くです。まあおかげでコーディネイターへの偏見も消えましたしライオンロボ君のことも知ることができましたしね」
それはそれで彼にとってはよかった。
「不幸中の幸いでしょうか」
「そうですか」
「ええ。そういえば国際エキスパートの本部は中国でしたね」
「あれっ、違いますよ」
「えっ、そうなのですか」
ふとあることに気付いた。
「中国にあるとばかり思っていましたけれど」
「何かバビルの塔にあったそうで」
「はあ」
「そこで最後の激戦が行われたとか」
それがBF団と国際エキスパートの最後の決戦だったのだ。それにより大作は長い戦いを見事に終わらせているのである。
「成程」
「ビッグファイアも死んだそうです」
一応はそうなっている。
「激戦の末に」
「じゃあBF団は完全に滅んだと」
「そういうことになります」
「じゃあ二度とBF団だけは出ないのですね。それは何よりです」
「全くです。あの時は我が目を疑いましたし」
ユウナとアズラエルはどうしても彼等には納得できなかったのだ。それは彼等がいなくなってもまだ心に残っていたのだ。
「彼等がいなくなったというのは大きなことですよ」
「ですね。では北京へ」
そのことにだけは安堵して先に進む。彼等は行くのだけは順調に進めていた。
北京に着くと既に敵が迫っていた。北にかなりの規模の軍が布陣していた。
「あいつ等かよ」
マサキは彼等の姿を見て声をあげる。
「名前も知らねえが。敵っていうのだけはわかるぜ」
「ふむ。データ通りか」
その敵軍の後方から声がした。ロンド=ベルの者達はその声に顔を向けた。
「何っ、データ通りだと!?」
「どういうことだ」
「君達に関するデータのことだ」
また声がした。
「攻撃的だというな」
「おいおい、また随分と一方的だね」
万丈はその声にシニカルな笑みで以って応えてきた。
「確かに僕達にはそういうところもあるけれど君達が言えた義理かい?」
「我々がだと」
「だってそうじゃないか」
また言葉を返す。
「君たちだってここに来ているじゃないか。戦いに」
「我々のそれは理由が違う」
彼は万丈にそう反論してきた。
「我々は平和の為にここに来ているのだ」
「平和!?」
「また随分高尚なことだな」
万丈だけでなくフォッカーも今の言葉にはシニカルに返した。
「平和の為に戦うとは」
「まあ誰でもそう言うんだけれどね」
「諸君等と一緒にしないでもらいたい」
声がムッしてきた。
「我々は宇宙の平和の為に今ここに来ているのだ」
「宇宙の平和だって!?」
「それは一体何だ」
イサムとガルドはそれを聞いて声をあげた。
「おいおい、ハッタリじゃねえよな」
「まやかしではないのか」
「それはない」
彼は二人に対しても反論した。
「我々インスペクターの名にかけて」
「何っ!?」
「インスペクターだと」
その名を聞いたダバやミリアの顔色が変わった。
「御前達がインスペクターだったのか」
「それが今地球に」
「あれ、知ってるのかよ」
彼等の様子が変わったのを見てケーンが問うてきた。
「一体何なんだ、この連中は」
「よかったら教えてくれねえ?」
「まあ敵だってことはわかるけれど」
タップとライトも述べる。
「バルマーと対立する勢力の一つだ」
ダバが三人にそう説明した。
「異文明の勢力で。かなりの力を持っている」
「何だよ、バルマーの敵なのかよ」
勝平はそれを聞いて少し安心した声をあげた。
「だったら俺達と一緒じゃねえか」
「本来はそうね」
ミリアはその勝平に静かにそう返した。
「本来は!?」
「けれど彼等はここに来た」
「関係ない筈の地球に」
ダバも言う。
「それが何故かは俺にはわからないが」
「では私が教えてやろう」
また声がした。
「それは諸君等があまりにも危険だからだ」
「危険!?」
「俺達がか」
「そうだ」
声はまたロンド=ベルの面々に答えてきた。
「君達は圧倒的な戦闘力を持っている。それが危険だというのだ」
「俺達を危険だと判断するのか」
「その通り」
彼は勇にも答えた。
「その技術はあまりにも戦闘に突出している。宇宙の歴史を変えんばかりにな」
「だからどうするっていうんだ?」
今度はジョナサンが彼に問うた。
「俺達を同化するつもりなのはわからるんだがな」
「何、悪いようにはしない」
見下ろす感じの声であった。
「我々としては平和を望んでいる。これは事実だ」
「段々胡散臭く聞こえてきてるんだけれどよ」
勝平はまた述べてきた。
「平和平和ってよ。こういうこと言う奴ってよ」
「そうだな」
宇宙太は彼のその言葉に同意して頷いてきた。
「奇麗事を言う奴程信用できない」
「そうよね」
恵子も彼の言葉に頷く。
「何かを隠しているのよ」
「それで君達は僕達をどうするつもりだい?」
万丈が声に問うた。
「保護してくれるとてもいうのかな」
「その通り」
声は万丈に対して答えてきた。
「我々は平和を愛する。君達の平和もまた」
「その平和はどうやってもらえるのかな」
「我々が君達のその技術を預かる」
話が本題に入ってきた。
「そうしてその技術を宇宙の平和の為に使うのだ」
「何かと思えば」
「結局はそれかよ」
皆今の言葉を聞いて呆れ返った顔になった。
「要するに自分達の為に使うんじゃない」
「それでよく平和って言えたものね」
「ふむ。邪推されるとはな」
声はロンド=ベルの面々の冷たい言葉も兵器で受け流していた。
「君達はどうやら我々を理解してはいないようだな」
「いや、もう充分だよ」
リューネが彼にそう言い返す。
「あたし達の力を利用したいんなら素直に言いなよ」
「そうだ」
ヤンロンも言う。
「僕達の力は僕達の為にある。御前達の為ではない」
「では我々にその力を預けないというのか」
「おいおい、また随分と欲が深いなインスペクターってのは」
今度はマサキが言った。
「俺達の力が欲しければ力づくで奪ってみせやがれってんだ」
「わかった。では交渉決裂だな」
その言葉と共に恐竜を思わせるマシンが姿を現わした。
「相手になろう。私はインスペクター四天王の一人ヴィガジ」
「何だ、この禿頭」
甲児はモニターに現われた男の顔を診て言った。
「手前がヴィガジだってのかよ」
「如何にも」
ヴィガジは甲児に対して答えた。
「私がそのヴィガジだ」
「もう話は済んだよな」
甲児はその彼にまた言う。
「だったら来やがれ、この禿!」
「よかろう」
ヴィガジは甲児の言葉にも感情を露わにはしない。だが戦闘用意は出来ていた。
「行くぞ。全軍攻撃開始」
「来たわね」
ミオがその動きを見て声をあげた。
「こっちだって遠慮はしないわよ!」
「ミオ、まずはレゾナンソクエイクを御願い」
テュッティがミオに言う。
「私はケルヴィンブリザードを仕掛けるわ」
「了解!」
ミオはテュッティのその言葉に頷く。
「じゃあまずは派手にやっちゃうんだから!」
「リューネ、ヤンロン!」
マサキも二人に声をかける。
「俺達もやるぜ!派手にな!」
「わかってるわよ!」
「まずは一撃だ」
二人もマサキの言葉を受けて前に出る。
「数だけで勝てると思ってらね!」
「それは違う」
五機のマシンがまず前に出た。そうしてインスペクターの軍に広範囲の攻撃でダメージを与える。これが口火となった。
ロンド=ベルのマシンは総攻撃を浴びせてきた。それはまさに火炎そのものであった。
「おらおらおらっ!」
ケーンがドラグナーを前に出す。
「久し振りによ、暴れてやるぜ!」
「っておめえこの前の戦いも派手にやったじゃねえか」
「別に久し振りじゃないんじゃないのか?」
「出番の関係なんだよ!」
そうタップとライトに返す。
「最近出番がなかったからよ!派手にやるぜ!」
「インスペクターの強さを見させてもらいたい」
「ええ」
美久はマサトのその言葉に応える。
「その為にも今は」
「頑張ってね、マサト君」
ゼオライマーは前線に出て派手に暴れる。一気だけでもかなりのものだ。
戦局はすぐにロンド=ベルに傾いていった。左右に別れた彼等はそこから鋏で紙を切るようにインスペクターの軍勢を切っていっていた。そうしてヴィガジのいる後方にまで迫っていた。
「やい尻頭!」
勝平がヴィガジに対して言う。
「手前みてえな奴はここで終わりにしてやるぜ!」
「私が終わりだと」
「そうだ!」
勝平は彼に言い返す。
「ギッタンギッタンにしてやっからな!」
「ふむ、確かに好戦的だ」
ヴィガジは叫ぶ彼を見て冷静に述べた。
「あまりにも。だが」
「何ブツクサ言ってやがる!」
「対策は可能だ。それが今だ」
「なっ!」
ヴィガジが言うと急に援軍が現われた。インスペクターのマシン達であった。
「な、何でここに」
「備えはしておくものだ」
彼はそう勝平に述べた。
「いざという時の為にな」
「畜生、伏兵ってやつかよ」
「ってわかってたでしょ?」
「いつものことだろうが」
恵子と宇宙太が勝平に言う。
「何を今更」
「驚くことか」
「まあ驚いてはねえけれどよ」
彼もそれには驚いてはいない。平気な顔である。
「けれどまた出て来てよ。うざいっていうかよ」
「じゃあ倒せばいいだけさ」
万丈はいつもの軽い調子で勝平に言った。
「いつも通りね。それじゃあ」
「ええ万丈さん」
「ここは力を合わせて」
「うん。じゃあ勝平君」
恵子と宇宙太の言葉を受けて勝平にも声をかける。
「背中合わせで行こうか」
「よし、じゃあ派手にやるぜ!」
ザンボットとダイターンが背中を合わせる。そうして周りに群がるインスペクターのマシンを次々に薙ぎ倒していくのであった。二機のマシンだけでロンド=ベルはかなりの戦火を挙げていた。
だがそれを見てもヴィガジは冷静であった。落ち着いたまま言う。
「強さはわかった。予想以上だ」
「データは揃ったんだな」
「うむ」
通信に出て来たメキボスに答える。
「ここでの仕事は終わりだが」
「おっと、それはまだだな」
ここでメキボスはこう言ってきた。
「まだだと?」
「俺達の仕事がな」
「終わりじゃないじゃない」
「アギーハ」
アギーハも通信に出て来た。
「今そっちに出る」
「シカログも一緒だよ」
「・・・・・・・・・」
モニターにシカログの姿も映った。すると新たに三機のマシンが戦場に姿を現わした。
「また出たのかよ」
マサキが彼等の姿を見て言った。
「やいインスペクター!」
「何だ?」
メキボスが彼に応える。
「俺達に言いたいことがあるようだな」
「あるから言ってるんだよ!」
マサキは遠慮なく言う。8
「手前等一体何者だ!名乗りやがれ!」
「おいおい、また随分と血の気の多い奴だな」
メキボスは感情を露わにするマサキに対して苦笑いを浮かべた。
「別にそんなに怒らなくてもちゃんと名乗ることは名乗るぜ」
「そうよ。その為に来たんだし」
「その為に!?」
リューネがアギーハの声に反応を示した。
「じゃああんた達。何者なんだよ」
「少なくともインスペクターでかなりの地位にあるのはわかる」
ヤンロンの読みは当たっていた。
「そうだな」
「如何にも」
メキボスが彼に答える。
「俺の名はメキボス」
まずはメキボスが名乗った。
「あたしはアギーハ」
「・・・・・・・・・」
アギーハが名乗ってもシカログは名乗らない。それでアギーハがまた言った。
「こっちはシカログ。あたしの彼氏さ」
「何だ、彼氏持ちなのかよ」
忍はそれを聞いて言った。
「また随分と変わった彼氏だな」
「あたしの理想の彼氏だよ」
アギーハは得意そうにそう答える。
「渋いシカログはね」
「俺達はインスペクター四天王」
メキボスが言った。
「覚えておいてくれ。リーダーは俺だ」
「ちょっと待て」
ヴィガジが突っ込みを入れる。
「リーダーは俺じゃなかったのか?」
「御前は影のリーダーじゃなかったのか?」
「何だそれは」
同僚の言葉に目をいぶかしめさせる。
「はじめて聞いたぞ」
「当たり前だ。今作ったんだからな」
「おい、それでは何の意味もないぞ」
「じゃああたしは真のリーダーだね」
調子に乗ってアギーハが言う。
「それでシカログが裏のリーダー。それでいいじゃないか」
「よくはない」
ヴィガジはムッとした顔で応える。
「リーダーを決めておかないといざという時にだな」
「ああわかったわかった」
メキボスはつっかかるヴィガジをあしらいにかかった。
「じゃあそれでいい。それでだ」
ロンド=ベルに顔を戻してから言う。
「とにかくあんた達は俺達に協力とかするつもりはないんだな」
「そうだ」
万丈が代表して答える。
「君達の言っていることは一方的な制圧だ。そんなものは受けられない」
「まあそうだろうな」
それに関してはメキボスも納得する素振りを見せてきた。
「俺でもそうするな」
「おい」
「だがわかっている」
ヴィガジに言葉を返す。
「こっちもこっちの事情があってな。じゃあ交渉は決裂だな」
「そういうことになるね」
そうメキボスに返す。
「君達の態度がそんなのだとね。
「わかった。ではまたな」
撤退にかかった。
「今は退くが今度はそうはいかないだろうな」
「全面戦争というわけか」
「そういうことになるな。あんた達が俺達の提案を受け入れないっていうんだからな」
「何か随分あっさりしてるね」
「そうだな」
雅人と亮はここはあっさり引き下がるメキボス達を見て言う。
「またな。だが今度はそうはいかないぜ」
「全面戦争っていうつもりかい?」
「その通りさ」
メキボスは今度は沙羅に答えた。
「容赦はしないってことで。いいな」
「ああ、望むところだ」
また万丈が答える。
「こちらも。遠慮なくやらせてもらう」
「じゃあ。またね」
アギーハも撤退にかかった。
「あたしとシカログのナンバーワンカップルの実力見せてあげるよ、今度はね」
「・・・・・・・・・」
「何かねえ」
リョーコがシカログを見て言う。
「ああした感じの奴を見てると思い出すんだよなあ、あたしは」
「あの人が後ろに立つと殴る人ですか?」
「ああ、それそれ」
ヒカリに対して答える。
「あの十三番目の奴な。無口なせいかね」
「あはは、流石にあそこまで変じゃないですけれどね」
敵だと思って滅茶苦茶言う。
「けれど似てるかも」
「ゴルゴはゴルフをして負けてゴロ寝」
「イズミよお、久し振りで悪いけどもう強引過ぎて訳わからねえよ」
「そもそもあの方ゴルフはされましたっけ」
ルリがリョーコの突っ込みの後で問う。
「どうでした、ハーリー君」
「さあ。スポーツはしないんじゃ」
問われたハーリーが答える。
「そもそも趣味自体不明ですし」
「ですね。他の人の漫画じゃいつも虐められていますし」
何故かルリはそこまで知っている。
「滅茶苦茶変な人ですし」
「変ってものじゃないですよね、あれは」
メグミも話に入る。
「有り得ないっていうか」
「それで作品の中じゃモテモテだけれど」
続いてハルカも。
「あれがわからないのよ」
「何か漫画の話で盛り上がってるのかい?」
アギーハがナデシコの女性組の盛り上がりを見て声をかけてきた。
「いいねえ、漫画は。漫画は最高の文化だよ」
「そうだな」
メキボスも笑顔で彼女の言葉に頷く。
「リリスの生み出した退廃の極みだ。そうだな」
「あ、ああ」
アスランは敵に話を振られ戸惑いながら答える。
「そうだな」
「あんた名前は?」
メキボスはアスランに名前を尋ねてきた。
「よかったら教えてくれないか」
「アスラン=ザラ」
アスランは素直に名乗り返した。
「これでいいか?」
「ああ。変なものだな。初対面だってのにな」
笑いながらアスランを見て言う。
「あんたとはどうも他人のような気がしない。どうしたものかな」
「それは俺もだ」
アスランもメキボスの言葉に頷く。
「敵だというのにな。不思議なものだ」
「声が」
後ろでハイネがポツリと呟いた。
「声が似ているな。そういうことか」
「まあ妙な関係で知り合ったがこれからも宜しくだ」
「こちらこそ」
「それじゃあな。あと一つ言っておくが」
「何だ?」
「髪の毛には注意しろよ」
「うっ」
言われたくないことを言われて顔を歪ませる。
「さもないとヴィガジみたいになるからな。ケアはしっかりとだ」
「おいメキボス」
ヴィガジがシカログに突っ込みを入れる。
「私はだな。これは剃っていてだ」
「ははは、じゃあまたな」
話を誤魔化して撤退に入る。
「また会おうぜ。戦場でな」
「じゃあね」
「また会おう、地球の諸君」
「・・・・・・・・・」
四天王はそれぞれロンド=ベルの面々に別れの言葉を告げて姿を消した。そうしてインスペクターは北京から姿を消したのであった。
戦いを終えたロンド=ベルは妙な感触を抱いていた。今度の相手に対して。
「どうにもね」
最初に口を開いたのは万丈であった。少し困ったような笑みを浮かべている。
「今一つ憎めない相手だね」
「まあそうだな」
それはマサキも認める。
「特にあのメキボスってのはな。けれどよ」
「ああ、それはわかっている」
万丈は真面目な顔になってマサキに答える。
「敵であることには変わりない。話はできるようだけれどね」
「けれどそれは重要ですね」
ユリカはそこに注目してきた。
「話ができる相手というのは」
「そうだな」
それにナガレが同意して頷く。
「少なくとも何もかもを破壊する相手ではないというのはな」
「どうにもあれだね」
サブロウタも言う。
「向こうはそんなに戦うつもりはないみたいだな」
「それはありますね」
ジュンがその言葉に頷く。
「話し合いで解決できればいいと考えているふしがあります」
「だが。何かあるっていうのかよ」
ダイゴウジがジュンの今一つ煮え切らない様子に突っ込みを入れてきた。
「あいつ等に」
「多分ね」
アキトが彼に答えた。
「そんな気はする。けれどそれはどうして」
「それは今はわかりません」
ルリが彼等に答えた。
「ルリ」
「けれど。戦意は高いです」
「そうだね」
万丈は今のルリの言葉に頷いた。
「あまり乗り気ではないかも知れないけれど戦うことは否定してはいない」
そう読んでいた。
「若しかすると。彼等の上の方がいて」
「上の方!?」
「その意志かも知れない」
皆に述べる。
「それが何かはわからないけれどね」
「どちらにしろ言えることが一つだけあります」
ユリカがまた言った。
「それは彼等が今のところ敵だということです」
「そうだね」
アキトがユリカのその言葉に頷く。
「それだけは。間違いがない」
「はい。ですから今のところは」
「戦うしかないね」
万丈がまた述べる。
「敵が増えるのは辛いけれどね。それでもね」
「話ができる相手というのはまだ気持ちが楽です」
「しかし油断はできません」
ユリカとルリはそれぞれ正反対だが正論を述べてきた。
「彼等の戦闘力もかなりのものですし」
「それもわかっているさ」
万丈はルリに答えた。
「充分ね。その戦力も」
「だからこそです。ですからここは慎重に戦略を立てるべきです」
「慎重にか」
その言葉を聞いたブライトの目が光る。
「それならばまずはやはり地底の勢力を」
「そうしたいところだが。上手くいくかね」
甲児が横から言ってきた。
「どういうことだ甲児、それは」
「いやさ、何か最近こんなのばっかりだから言うけれどさ」
ブライトに応えて延べる。
「新しい敵が出て来たらまたすぐに出て来るだろ。だからまたひょっとしてな」
「おいおい兜」
ボスがそれを聞いて甲児に突っ込みを入れる。
「あまり不吉なこと言うなだわさ」
「おとすまねえ。けれどついな、気になって」
「だが可能性は皆無ではない」
ブライトは腕を組んで言う。
「また新たな敵が出て来る心構えだけはしておこう」
「そうだな。それがいい」
アムロが彼の言葉に頷いてみせた。
「どうなるかわからないが意識していれば迅速に対応できるしな」
「そういうことだ。それではな」
「ああ。まずは地底勢力に」
とりあえず彼等は日本への帰路についた。だがその途中でまた敵の報告を受けたのだった。
「やはり来たか」
「場所は!?」
ラー=カイラムのブリッジにあがったアムロとブライトはすぐにサエグサとトーレスに問うた。
「アメリカです。場所はシアトル」
「シアトルか」
アムロはシアトルと聞いてすぐに目を光らせた。
「遠いな。ここは急がないと」
「わかっている。速度をあげろ」
彼の言葉を受けて無頼とはすぐに命じた。
「いいな。シアトルまで全速でだ」
「了解」
トーレスとサエグサはすぐに二人の言葉に頷いた。
「じゃあ今から」
「全速で」
「それで敵はどの勢力だ?」
ブライトは今度は敵について尋ねた。
「地底の勢力か?それともバルマーか」
「いえ」
サエグサはブライトの問いに首を横に振った。ブライトはそれを見て心の中で嫌な予感を感じたがそれはあえて口には出さなかった。
(まさか)
「さっきのインスペクターのマシンと同じです」
トーレスが報告をあげた。
「インスペクターの!?まさか」
「ですが間違いありません」
トーレスはこうも言う。
「実際に彼等が」
「わかった。ならいい」
これ以上の疑問の言葉は時間のロスと判断した。それでこう返した。
「インスペクターならそれでいい」
「わかりました。では全軍シアトルに」
「うむ、頼むぞ」
「しかし。どういうことだ」
ブライトにかわってアムロが疑問を呈してきた。彼はわかったうえでそれを出したのである。
「どうしたアムロ」
「いや、インスペクターの兵器だったな」
予定調和のように話を進める。
「シアトルに現われたのは」
「報告ではそうだな」
「俺達が今戦ったのもインスペクターだがこれは一体」
「複数の方面軍がいるのかもな」
ブライトはこう予想を立ててきた。
「北京の彼等とは別の」
「いや、それはおそらくはない」
ブライトの予想に対してアムロはこう返した。
「あくまで俺の勘だが」
「ないか」
「考えてみてくれブライト」
そのうえでブライトに対して言う。
「インスペクターは北京に四天王全員がいたな」
「ああ」
それははっきりと見た。その通りだ。
「おそらく最高幹部の彼等がだ。それならば」
「インスペクターの主力は北京にいたあれだ。そう言いたいんだな」
「そうだ。俺はそう見ている」
それを今言う。
「それならシアトルにいるのは」
「それもまら見極める必要があるな」
ブライトは前を見ながらアムロに言葉を返した。
「その辺りもな」
「では行こう」
アムロはまた言った。
「シアトルへ」
「ああ」
謎を意識しながらシアトルへ向かう。戦いはまたはじまるのだった。

第七話完

2007・9・3
 
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