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インフィニット・ストラトス~黒き守護者~

作者:eibro
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二人目が天災に戻る時

―――とある五人の専用機持ちside

「え?」

 事情聴取を終えた五人が食堂で食事を取り終えて帰っていると、鈴音が急に立ち止まった。

「どうしたの、鈴?」

 シャルロットが声をかける。

「あ、いや……。さっき、織斑先生と風宮がこっちを通っていったような気がしたんだけど……」
「え? でもこっちの方向って……屋上だよね?」

 鈴音とシャルロットが話していると、箒とセシリア、そしてラウラも二人の様子に気付いて声をかける。

「いや、ちょっと気になることが――」
「「「「あっ」」」」

 鈴音以外の四人が一斉に何かを見つけ、鈴音もそっちを見ると、

「………一夏?」

 恐い顔をした一夏がいた。

「………もしかして、教官が風宮と逢い引きとやらをしているのを見つけたので弟として追跡中かもしれないな」
「「「「ないない」」」」

 ラウラの言葉に四人が否定するが………、

「気になるな。まさか千冬さんに限ってないと思うが………」
「それに、風宮さんってなんとなくですが楯無生徒会長や布仏先輩と仲がよろしいでしょう?」
「案外、年上好きかもしれないわね。たまに山田先生と楽しそうに話しているところを見たことあるから」
「でも、風宮くんは二、三年生の評判はあまりよくないけど、一年では評判がいいよ。面倒見のいい、お兄さんみたいだって」
「このままでは拉致があかん。追跡してみるか」

 五人は頷き、こうして簪を除く女専用機持ち追跡隊が結成された。

 ―――ひょこ

 いや、実はそうではなかったりする。





 ■■■





―――祐人side

 俺と織斑千冬が屋上に出て、すぐに結界を展開した。

「……何だ? 何か違和感を感じるんだが……?」
「防諜、防壁効果が付与されている特殊バリア。まぁ、外から見たら俺たちはそこにいるがただ見つめ合っているという感じしか―――って、出席簿は武器じゃな―――だからって木刀出すな!」

 思わず素で突っ込んでしまったが、とりあえず冷静に落ち着かせた。

「……で、だ。お前、束とは話したのか?」
「話しましたよ。俺の存在が向こうにとっては邪魔らしいですよ。俺があの女を殺したいのと同等らしいです」
「………どういうことだ? 何故お前は束を嫌う? まさかISを造ったからか?」
「そんなくだらないことで俺が篠ノ之束を殺す?」

 本音を言うと、「何言っての、こいつ」というだろう。

「確かにISが『白騎士事件』のせいで世に進出し、男の立場が弱まったのは事実だ。だけど、実際悪いのはミサイル2341発を飛ばした篠ノ之束だろ。なぁ、『白騎士』」

 俺がそう言うと、表情は出ていないが少しだけ顔が引きつった。

「隠そうとしても無駄ッスよ。過去に試してみましたけど並大抵の人物に軍のコンピューターにハッキングすることはまず不可能に近い。それで篠ノ之束に一番親しい人物は織斑千冬―――アンタと一夏、そして篠ノ之箒。その中でISを纏って動けるのはアンタぐらいだ。それに、前からISを動かしていたんなら最初の大会であれだけ動けたのには説明がつく」
「……どうやら、お前は知っているみたいだな。それとハッキングするな」
「仕方ないじゃん。当時の俺は11歳だったんだから」

 そう言うと、彼女が俺を見る目が完全に天災に向けていたそれだった。

「………お前、まさか記憶喪失も―――」
「……いや、あれは紛れも無く本物。そして俺は完全に記憶を取り戻した」
「……何をするつもりだ、お前は」
「世界を変えるとでも言えば嬉しいか?」


 途端に俺たちの間の空気が一変した。

「まぁ、俺が世界を変えることはないだろうな」
「……そんな保証はどこにもないだろう」
「ああ、ない。それに最初に言っておくが―――俺は委員会の命令に従う気はない。例え日本以外の国に所属しようと、ディアンルグに解体命令が出されても俺は従わねぇ」
「無理だぞ。例えどんなに逃げようと、世界はお前を欲しがるだろう。なにせ、お前の持っているコアは篠ノ之束が唯一手を着けていないコアだ。それが発表されればお前はおろか、お前のバックにいる人間までもが―――」
「―――いねぇよ」
「……何?」

 俺はある四体を呼んだ。

「俺のバックには誰もいない。俺をここまで育て上げた人間は子ども諸共すべてある人物に殺された」
「………まさか、亡国企業か?」
「だったら俺は亡国企業に所属するべき人間かもな」

 その途端に前から織斑千冬が俺に接近しようとするが、二人の間にISが割って入る。

「―――千冬様、下がってください」

 それは黒いISに身を包んだくー公だった。

「ふーん、お前まだ帰ってなかったんだ」
「ええ。急遽あなたを消さなければいけない事態が発生しましたので」

 近接ブレードが降り下ろされるが、俺はそれを避けた。

「まさか、私の攻撃を避ける人物が現れるとは思いませんでした」
「遅いんだよ、お前の攻撃は」
「ですが、あなたには今度こそ死んでもらいます」

 織斑千冬並みの早さで俺に剣戟を加えようとした―――が、ISを展開していない俺相手にくー公は一撃も入れられなかった。

「……何故です? 何故あなたはISを展開せずに私の攻撃を―――」
「そりゃあ、お前の攻撃―――遅いし」
「いや、待て! どうしてISが侵入している!」
「簡単だ。こいつが篠ノ之束の付き人だからだろ」

 今頃サーバー系統は混乱しているだろうな。生きてるか、セバス。

『ええ。大丈夫ですよ』

 どうやら無事みたいだな。

「それでくー公。こんな夜更けに来て俺を殺す? そんなくだらないことでここに来たってのか?」
「くだらない……ですか。ですが、私にとってはくだらなくないのです」
「あっそ。じゃあ―――失せな」

 ―――ドォンッ!!

 くー公の近くで爆発が起こる。

「風宮、お前は一体―――」
「何、ちょっとやりすぎてやりすぎただけだ」

 ―――バタバタバタッ!!

「祐人から離れろ!!」

 一夏が白式を展開するが吹き飛ばされた。

「すみませんが一夏様、邪魔しないでください」
「そうだぞ一夏。はっきり言って邪魔だ」

 ディアンルグを展開して俺はそう言った。

「何言ってんだよ! お前、今襲われているのに―――」
「それがどうした。俺はお前と違って強いんだよ」

 《ヘラクレス・ブレード》を展開して俺はくー公に攻撃する。
 くー公はそれをマトモに食らい、吹き飛ばされた。

「くっ!?」
「甘い!」

 接近して連撃を食らわせる。

「どうして……ダメージと……スピードが……!?」

 急に俺が離れた事に驚き、距離を詰めようとした。

「ターゲット……インサイト……《ヘラクレス・カノン》!!」

 途端に《ヘラクレス・ブレード》がパックリと割れ、中から砲身が飛び出した。

「え?」

 目の前に現れた砲身にくー公は驚くが、

「《ライトニング・カノン》!!」

 光線が発射されると同時に瞬時加速で避けた。だが、

「馬鹿が」
「なっ―――!?」

 (傍から見れば)何もないところから光線が現れ、くー公を襲う。だがくー公は避ける。だが、

「逃げられると思ってる?」

 次々と光線が現れ、くー公を包囲する。

「んで、くー公。テメェ、アイツをブツに入れただろ?」

 そう。最初からこれだけが聞きたかった。だから敢えて―――閉じ込めた。

「……ええ。命令ですから」
「……そうか」

 途端に光線が消え、《ヘラクレス・カノン》も《ヘラクレス・ブレード》に変化した。

「……どういう、つもりですか?」
「何が?」
「どうして、私を―――」

 一瞬、何を言われたのか理解ができなかったが、すぐに理解した。

「俺はそいつと違ってイかれているわけじゃねぇんだよ」
「………つまり、あなたはあの方は違うと言いたいんですか?」
「生憎俺は染めてないからな。全員は気絶、記憶の消去、錯乱で留めている。それに俺が一線を超えるときは、世界が俺の敵になる時だ」
「……そうですか」

 くー公はそれだけ言ってどこかに消えた。





 ■■■





 ある場所で結華は奇妙な存在と会っていた。

「久しぶりね。何の用?」

 そう言うと、その存在は箱を渡してその場から去った。

「………相変わらずね。まぁ、外にいる気配を察知してか」

 言いながら結華は箱を開けると、そこには―――普段では見れない物がそこにあった。 
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