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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝

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第84話 桃色の人と再会

 
前書き
インフルエンザの熱が引きましたので更新再開しました。

今年は予防接種を自費で受けたのですが、それが良かったみたいです。 

 
「桃香が訪ねて来ているだと?」

私がお爺々様、朱里、雛里の3人を清河国に残し、冀州刺史の治所に帰還したら、望まぬ来客の報告を冥琳から受けました。

どうせ私にたかりにきたのでしょう。

「はぁ・・・・・・」

私は思わず深いため息をしました。

「正宗様、不味かったでしょうか? 真希や凪達から、劉玄徳と正宗様はあまり仲良くないと耳にしておりましたが、面会もせずに無碍に帰しても体裁が悪いと思いましたもので・・・・・・」

冥琳は申し訳なさそうに言いました。

「冥琳は気にすることはない。お前の言い分も最もだと思う。気が進まないが桃香と面会をしよう。それで彼女は今何処に?」

私は冥琳を気遣いつつ、桃香の居場所を聞きました。

「劉備は3000の義勇軍を率いておりまして、城下の者に対し悪戯に混乱を招きかねないと考え、私の独断にて城より西に100里の場所に駐屯するように手配いたしました。事後報告で申し訳ございません」

冥琳は頭を下げました。

「そんなことは気にするな。私もそれで問題ないと思う」

「ありがとうございます。それと、遅ればせながら、正宗様、揚羽殿、ご婚礼お目出度うございます」

冥琳は私に婚礼の祝辞を述べました。

「冥琳、ありがとう。本来なら、皆を婚礼に呼びたかったのだが、何分私の預かりしらない処でことが進んでいたし、冀州を留守にするのも問題と思い、参加者を勝手に決めてしまって済まなかったな」

「いえ、お気になさらないでください」

冥琳は笑顔で応えました。

「冥琳、桃香を呼んできてくれないか?」

「畏まりました」

私は新たに士官した者達の紹介は後回しにして、一先ず桃香と面会することにしました。





私は謁見の間で玉座に座して、揚羽と一緒に桃香達を待っていました。

ほどなく、冥琳は城外から桃香、北郷、関羽を連れてきました。

「正宗さん! 車騎将軍、冀州刺史、鉅鹿郡大守の就任。そして、王の爵位に奉じられたそうですね。おめでとうございます」

桃香は私の出世のお祝いを述べた後、頭を下げました。

北郷と関羽もそれに倣って頭を下げました。

「あのさ、ちょっと聞いて、ぐふっ・・・・・・」

桃香の後ろにいた北郷が私に声を掛けて来たので、そちらを振り向くと関羽が青龍偃月刀の石突きで北郷の後頭部を突いて昏倒させていました。

「桃香、その者が私に声を掛けてきた気がするんだが・・・・・・。良かったのか・・・・・・」

私は北郷をヘマをさせて、桃香達を体よく追い出そうと思っていたので、出鼻を挫かれてしまいました。

北郷の桃香陣営での扱いもなんとなくわかりました。

どうやら、原作通り「ご主人様」とは祭り上げられていないようです。

「アハハ! 正宗さん、全然気にしないでください。」

桃香は北郷の行動に少し焦った表情をしましたが、私に笑顔を返してきました。

「桃香がそう言うなら、そういうことにしておこう」

「正宗様、お待ちください!」

私が話を先に進めようとすると、私の直ぐ横に控えていた揚羽が声を上げ私を制してきました。

「揚羽、どうしたんだ」

揚羽は北郷を見やり厳しい視線を送っていました。

「あの・・・・・・。あなたはどなたです?」

桃香は揚羽の剣幕に動揺しながらも揚羽に尋ねていました。

「私は正宗様の妻で、司馬懿と申します。劉玄徳、その男はさきほど正宗様に『あのさ』と、場を弁えぬ無礼な言葉で声を掛けましたね。それに、その男の服は一見してこの大陸では見たことの無い生地です。もしや、先頃、この大陸に蔓延している占い師管輅の占いに出てくる天の御使いではあるまいな? もし、事実ならこの場でお前達を極刑にせねばならない」

揚羽は何時にも増して、凍り付くような厳しい視線を桃香達に向けました。

「あの・・・・・・なんのことでしょう? 私にはよくわかりません。でも、なんで天の御使いだったら私達は極刑なんですか? 私は頭悪いから教えてくれませんか?」

桃香は揚羽の言葉にビクリと一瞬体を震わせましたが、彼女は動揺を必死に隠そうとしながら、私の方をチラチラと見て揚羽に返答していました。

「正宗様は朝廷の重臣だからです。天の御使いを名乗るということは、己が皇帝であると宣言しているに等しいです。そのような者とそれに加担する者達は天下に弓引く大罪人です。生かす道理はありません」

揚羽はきっぱりと言いきりました。

「桃香様、そのような不届き者は誅殺せねばなりませぬな」

「えっ! そうだね。そんな悪い人は成敗しなくちゃ」

関羽は揚羽の話で脳内停止している桃香を無理矢理覚醒させてましたが、桃香は落ち着き無く話を合わせようとしていました。

桃香の反応を見た揚羽は私に視線を合わせ、一度瞬きをしました。

揚羽は北郷のことに気づき、用心のために桃香から「私達は天の御使いとは関係ない」という言葉を確認したかったのでしょう。

揚羽は私に気を使ったのかもしれませんが、ここで北郷を始末した方がいいでしょう。

この一件を朝廷の宦官共の耳に入ると言いがかりをつけられる恐れがあります。

「桃香、嘘は良くないな・・・・・・」

私は底冷えする声で桃香に言いました。

「ま、正宗さん、急に恐い顔をしてどうしたんです」

桃香は私の表情の変化に気づき、少し体を震わせています。

「お前の反応を先ほどから見ていたが明らかに不自然だ。何をそんなに怯えている。その男が天の御使いなのであろう」

私は小細工をせずに桃香に聞きました。

「えっと・・・・・・。違います・・・・・・」

桃香は言葉少なく返答しました。

「桃香、その男をお前の手で殺せ。そうすればこの一件は見なかったことにしてやろう。これは白蓮との知り合いであるお前への温情と思え」

私は拒否を許さないと言わんばかりの態度で言いました。

「正宗さん、何を・・・・・・」

桃香が発言しようとするのを私は殺気を放って止めました。

「お前がやらぬなら、この私が殺す。だが、その場合、お前達も生かしてはおかない」

「劉将軍、お待ちください。桃香様は何も悪いことはしておりません。民の笑顔を見たいと義勇軍を立ち上げただけです。この私が北郷を殺します」

愛紗が青龍偃月刀を強く握り、覚悟を決めた表情で応えました。

「お前の名は?」

「私は関羽、字は雲長と申します」

「ならば、お前が朝廷に弓引く逆賊に天誅を加えよ。特別に褒美をやろう」

私は殺気を納め、関羽の目を見て言いました。

「褒美ならば、桃香様にお与えください」

「愛紗ちゃん、勝手に何を進めているの!」

桃香は関羽に掴みかかって、抗議をしました。

「別に、良いではありませんか? 北郷が死んでも影響は別にありません。逆に清々します」

関羽は意外なほど北郷を殺すことに対し、拒否感がないようでした。

「何いっているのよ! 皆でこれまで頑張ってきたじゃない。そりゃ駄目な人だけど、仲間じゃない」

桃香は関羽の態度が許せないようでした。

「正宗さんの言う通り、北郷さんは天の御使いを一時期名乗ってました。最近は全然名乗っていません。だから、許してあげてください」

そういうと桃香は私に土下座をしてきました。

「劉玄徳、そのような真似をして正宗様のお心を乱すつもりか?」

揚羽は桃香を厳しい表情で見据えました。

「では、お前は私達に死ねと言っているのか?」

「それはどういう意味ですか?」

桃香は正座したまま、頭を上げて聞いてきました。

「揚羽も言っていただろう・・・・・・。私はお前と出会った頃の無位無官の私とは違い、朝廷の重臣。その私がその男を見逃せば、心ない朝廷の家臣はきっと私を貶める材料として利用するだろう。そうなれば、この私が逆臣となるだろう」

私は無表情で桃香に応えました。

「えっ・・・・・・」

桃香は私の話に顔を伏せ黙りました。

やるせない気分です。

私が悪人みたいじゃないですか・・・・・・。

桃香に言った通り、このことが張穣の耳にでも入ったら予想通りの結果になりかねないです。

ですが、霊帝が死ぬまでは大丈夫・・・・・・。

と言いたいところですが、張穣ならやりかねないです。

北郷は確かにある意味不幸な人物です。

「桃香・・・・・・。その男の件は不問にしてやる。ただし、条件がある」

私は胃痛を感じつつ、目を瞑って桃香に言いました。

「ほ、本当ですか!」

桃香の表情は分かりませんが、声色からして喜んでいるようです。

「条件はその男に半年の労役を課す。これが私の最大の譲歩だ。彼には労役の間、賃金は支給しない。食事と寝る場所は用意してやる。ただし、彼が問題を起こせば厳しいぞ」

私は話すほどに胃痛が増していきました。

「あ、ありがとうございます。ありがとうございます。その条件で構いません」

私が目を開けると、桃香は涙目でしたが満面の笑顔を私に向けていました。

揚羽は私の側で溜息をついていました。

「その男の件は置いとく。本来、桃香は私の元に何をしにきたのだ?」

私は胃痛を感じながら項垂れました。

「あの・・・・・・。助けて欲しくて、正宗さんに頼っちゃいました。てへっ」

桃香は冒頭言いずらそうでしたが、最後は悪戯ぽっく舌をチロッと出しました。

一瞬、私は彼女に言い知れない殺意を覚えました。

「私は罪人の助命をしてやった上に、お前の頼みまで聞かなくてはいけないのか?」

私はジト目で桃香に言いました。

「桃香様・・・・・・。少々、図々しいです。いえ・・・・・・、かなり図々しいですよ・・・・・・」

関羽は先ほどの緊迫した空気と違った、のほほんとした空気と桃香の行動に頭が痛そうに自分の額に手を当てていました。

「愛紗ちゃん、しょうがないじゃない。もう糧食が少なくなって、背に腹は変えられないの・・・・・・」

関羽は桃香を「言うだけ無駄だ」という表情で見ると、それ以上何も言いませんでした。

「正宗さん、お願いします。食料を分けてください」

関羽が黙ると桃香は立ち上げって、私に頭を下げて言いました。

「私の元にある食料は冀州の民の物であって、私の物ではない。お前にただでやれる訳がないだろう。はぁ・・・・・・」

「正宗様、よろしいでしょうか?」

私は桃香のごり押しに癖癖して、頭を押さえていると冥琳が話に割り込んできました。

「冥琳、何か言いたいことがあるのか?」

「劉玄徳は黄巾賊討伐に携わっていたと聞き及んでおります。ならば、未だ黄巾賊の残党の所為で緊張が続いている幽州の国境にて警備を任じてはいかがでしょう。その対価として、糧食を都合してやっては」

私は冥琳の献策に乗ることにしました。

幽州との国境ということは上手くすれば桃香は冀州から出て行ってくれるかもしれないです。

適当な官位をやればいいでしょう。

そういえば、劉備は黄巾賊討伐の論功行賞で安喜県の県尉に任じられたんでしたね。

「桃香、安喜県の県尉に任じるので、義勇軍を率いて任地に向かうといい」

「正宗さん、ほ、本当ですか! ありがとうございます」

私は今回の件で、白蓮がどれだけ桃香の所為で苦労したのか、まざまざと理解しました。
 
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