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戦国異伝

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第八話 清洲攻めその十三


 信友はだ。まずは愕然となった。朝起きると既にであったのだ。
「何と、もう完全に取り囲まれておるのか」
「はい、それにです」
「城の周りの田もです」
 あの戦いを生き残った家臣達が彼に話してきた。多くは何処かに傷を負っている。6
「全て刈り取られています」
「そして米はです」
「どうなったのじゃ」
 信友は強張った顔で彼等に問い返した。
「それで米はじゃ」
「はい、その田を耕している百姓達にです」
「全て渡してしまっています」
「何っ、それではじゃ」
 信友はその話を聞いてさらに驚いた顔になった。
「わし等に入る米はないぞ」
「しかもです」
「その百姓達はです」
 家臣達はその米を与えられた百姓達についても話した。
「この城にいる者達の家族の者が多いです」
「それもあります」
「つまりじゃ」
 信友は話をしていけばしていく程度だ。顔を強張らせていく。そうしてそのうえでだ。声を恐る恐るといったものにしてだ。家臣達にまた問うのであった。
「城の者達もあのうつけにか」
「心を寄せるでしょう」
「家族にそこまでの施しをしたならば」
「ううむ、まずいぞ」
 そこまで聞いてさらに顔を暗くさせる信友だった。
「ただでさえ取り囲まれておるというのにだ」
「米も手に入れられません」
「そしてそのうえ城の者達までとなると」
「いや、まだじゃ」
 それでもだった。信友はまだ諦めない。
「まだ戦うぞ」
「降伏はされませんか」
「まだ」
「清洲の周りには多くの城がある」
 その殆どが信友の城である。所謂出城である。
「そこから援軍を出させよ」
「はい、昨日のうちに使いを出しております」
「それぞれの城から」
「さすればまだ勝てる」
 彼は言った。
「援軍があればのう」
「ではこのままですね」
「篭城ですか」
「あのうつけは所詮うつけよ」
 まだ信長を認めていなかった。それははっきりとしていた。
「待っていれば勝てる」
「だといいのですが」
「果たして」
 しかし家臣達は思いはじめていた。信長は実は容易ならざる相手ではと。今更になってそう思いはじめながら主の言葉を聞いていた。
 やがて二日程するとだ。信長の軍勢にだ。
 その清洲の周囲の城からだ。続々と兵達が馳せ参じて来た。
「ふむ、来たな」
「はい」
「説得が終わりました」
 ここで村井や島田達も戻って来た。
「清洲の周りの城は全てです」
「全て説得し殿の兵となりました」
「よい、上出来じゃ」
 信長は彼等の言葉を受けて満足した笑みを浮かべた。そうしてであった。 
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