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万華鏡

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第六話 ゴールデンウィークその十


「駄目なのよね」
「思うことがなのね」
「そう。大事なのよ」
 微笑んでの言葉だった。
「何事もね」
「じゃあ私も」
「為せば成る、ね」
 景子は腕立て伏せを続けている。
「はじめなければ何もならないね」
「はじめないとね、本当に」
「そう、はじまらないし」
 そしてだった。
「ならないのよ」
「本当にそうよね」
「だから琴乃ちゃんもはじめるのね」
「うん、はじめてみるね」
 琴乃は未来を見ていた。他の人から見ればささやかだが彼女から見れば確かなそれを。
「そうするね」
「私もね」
「景子ちゃんも?」
「お泊り会で考えてるから」
 こう言うのだった。景子もまた。
「色々とね」
「そうなの」
「だから。私の方もね」 
 腕立て伏せを続けながら話す。
「まずはじめてみるわ」
「景子ちゃんもなの」
「私も。、為せば成るだから」
 景子自身にもかかる言葉だtった。これは。
「だからね」
「やってみるのね」
「やってみてね」
 そしてだというのだ。
「やってみるから」
「そうなの。それじゃあ」
「お泊り会楽しもうね」
「うん、そうしよう」
 こうした話をしながら腕立て伏せをしていた。しかしここで。
 一緒に腕立て伏せをしている三年の先輩が少し強い声で五人に対して告げた。
「そこの五人、静かに」
「あっ、すいません」
「トレーニング中は気を抜かない」
 こう言って注意したのだ。
「絶対にね」
「はい、そうでしたね」
「気を抜いたらね」
 そうしたらというのだ。
「それが怪我になるから」
「だからですね」
「そうよ。気をつけなさい」
 先輩は注意を続ける。
「怪我したら演奏もできないわよ」
「わかりました」
「それじゃあ」
「楽しくやるのはいいけれど気は抜かない」
 先輩が言うのは正論dった。
「本当に怪我するからね」
「そうですね。じゃあ」
「今は」
「おしゃべりは謹しんでね」
 先輩はこう言って五人の雑談を止めさせた。五人もそれを受けて真面目な部活に戻った。そうしたのだった。
 そしてゴールデンウィークが近付きだった。お泊り会の順番も決まった。
 五人は駅前のカラオケボックス、スタープラチナの一室に入って歌を歌いながらその上で話をしたのだ。そして決まった順番は。
「まずは私ね」
 くじ引きをして一番を引いたのは琴乃だった。
「引いたわね」
「そうね。まずはね」
「琴乃ちゃんね」
 他の四人も琴乃が引いたくじを見て言う。そこにはアラビア数字ではっきりと『1』と書かれていた。黒い字で。
 そして四人もそれぞれ引く。二番目は。
「私ね」
「で、私が三番目ね」
 里香と景子がそれぞれ言う。 
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