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万華鏡

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第五話 豚骨ラーメンその十一


「成績もあがるわ」
「やればやるだけ」
「バスケもそうだったわよね」
「ええ、バスケもね」
 里香もそれもだと答える。
「そうよね」
「だから。学校の勉強もね」
「やればやるだけ」
「合理的にやることも大事だけれど」
「時間をかけて何回もやれば」
「絶対にあがるから」
「じゃあ私もクラスでトップテンとかになれるかな」
 琴乃は少し願望を込めて述べた。
「勉強してたら」
「少なくともよくはなるよ」
「今よりも?」
「今よりも勉強したらね」
 その分だけだというのだ。
「だから。お勉強も頑張れば」
「そうなるのね」
「私は一夜漬けとかはしないけれど」
 里香は自分のやり方も話した。
「毎日していくタイプだから」
「あっ、里香ちゃんって確かにそんな感じよね」
 琴乃も里香のその言葉を聞いて言う。里香自身に対して。
「毎日こつこつって」
「うん。何かそういう方が合ってて」
「だから頭いいのね」
 琴乃は微笑んで里香にこうも言った。
「入試でも一番だったし」
「じゃああれだよな」 
 美優は自分のラーメンをおかわりしていた。新たに入れた、替え玉方式で入れた麺を食べながらここでこう言った。
「テスト前に勉強会もするか?」
「中間テスト前に?」
「そう、それしないか?」
 こう琴乃達に提案するのだった。
「里香ちゃんに教えてもらいにな」
「そうね。私ももっと成績上げたいし」
「私もね」
 景子と彩夏も賛成してきた。二人も二杯目を食べている。
「じゃあ今度も五人でね」
「勉強しようね」
「いいだろ。勉強会も」
 美優は笑って言う。
「だからな。里香ちゃんもどうだよ」
「私も」
 里香は美優の提案に一呼吸置いてからこう答えた。
「皆と一緒に勉強すればね」
「勉強すれば?」
「わからないところが見つかるかも知れないし」
 だからだというのだ。
「お願いね」
「じゃあ五人で勉強するか」
「場所は何処にするの?」
 里香は場所を尋ねた。
「何処で勉強会するの?」
「図書館とか?」
 彩夏が最初に言ったのはそこだった。勉強をする場所の定番でもある。
「そこでする?」
「図書館でなの」
「そう。図書館なら静かだし」
 彩夏はここから話す。
「それに冷暖房もあるしただだし」
「お金かからないから」
「そう。無料で快適な場所で勉強できるのよ」
 彩夏は自分のラーメンに胡椒をどんどんかけながら言う。またしてもスープがその胡椒で黒くなっていく。
「いいでしょ。お家だと結構ごちゃごちゃしてるじゃない」
「ついつい遊んだりしてね」
 琴乃も言う。
「気付いたら寝ちゃったりとか」
「そうでしょ?けれど図書館だと」
「本はあるけれど」
「遊ぶものもないわよ」
 五人が先程やったテレビゲームやトランプ、そうしたものがだというのだ。 
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