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万華鏡

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プレリュードその七


「だから。部活は」
「そうだったの」
「けれど高校に入学して塾には通わなくなって」
 そうしてだというのだ。
「習いごとは休日だけになって」
「じゃあ部活できるようになったのね」
「ええ」
 そうだとだ。里香は微笑んで琴乃に答えた。
「そうなったの」
「じゃあどの部活に入るつもりなの?」
「ええと。そう言われても」
「書道部とか茶道部とかはどうかしら」
 里香がやっていると聞いたからだ。琴乃はこう言ったのである。
「そういうのは」
「あっ、どっちも休日とかにやってるから」
 それでだとだ。里香は琴乃に答えた。
「ちょっとね。部活をするならね」
「他のことにしたいのね」
「ええ、そう考えてるの」
 こう琴乃に話したのである。
「何かいい部活ないかしら」
「そうね。この学校大きいし部活も色々あるからね」
「迷うわよね、何処に入るか」
「私もどうしようかしら」
 里香と話しながらだ。琴乃も考える顔になった。
 それで腕を組み考える顔になってだ。こう里香に言った。
「最初はバスケ部に入るつもりだったけれど」
「今は違うの」
「他の部活もいいかしら」
 こう言うのである。
「そんなことも考えてるわ、今ね」
「そうなの。部活が多いとそれも困るのね」
「多いと賑やかだけれどね」
 その分学校が派手になる感じがするからだ。催し等の時に。
 だが何処に入るかという時にはだ。それがかえってだというのだ。
「さて、本当にね」
「どの部活に入るかよね」
「運動部もあれば文化部もあるし」
「とりあえず始業式の後凄いことになりそうね」
「ええ、そうね」
 二人で話しているとだ。その二人の目の前にだ。
 大柄、いや長身と言うべきか。一七〇近い長身の少女がいた。茶色がかった癖のある縮れ毛をポニーテールにしておりはっきりした目としっかりした口元をしている。鼻立ちはコーカロイドの様に高い。
 スタイルはすらりとしている。とりわけ足が長く緑のスカートにえんじ色のアスコットタイとやはり緑のブレザーの制服である。ブラウスは白だ。
 その少女を見てだ。琴乃が目が覚めた様に言った。
「何かあの娘って」
「私達と同じ新入生よね」
「そうよね。けれど何か」
「背、高いわよね」
 里香も言った。
「一七〇はあるかしら」
「なくても一六九位よね」
「スタイルもいいし」
「モデルさんみたいね」
「ええ、本当にね」
 二人でこんなことを話しながら見ていた。その新入生を。
 それで今度はだ。琴乃はこんなことも言った。
「あの娘なら運動神経もよさそうだし」
「運動部にもやっていけるよね」
「ええ、充分ね」
「陸上部かしら」
 里香はその新入生に相応しい部活を考えてみて言った。
「やっぱり」
「ううん、足も長いしね」
「足ね。私はちょっと」
「私も」
 琴乃もこのことには苦笑いだった。そのうえでの言葉だった。 
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