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万華鏡

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第四話 緑の葉その十一


「どうしてもね」
「何か私達ってね」
 どうかとだ。ここでこう言う彩夏だった。里香の話を聞いたうえで。
「お料理については対象的よね」
「そうみたいね」
「二人で足して二で割ったらいい感じかしら」 
 彩夏は笑って言う。
「というかお料理って個性出るのね」
「けれど下手な娘はいないみたいだな」
 それは確かだとだ。美優も言う。
「それは何よりだよな」
「それでラーメンよね」
 里香がその美優にすかさず先の話題のことを尋ねた。
「それよね」
「ああ、それな」
「豚骨ね。それだったら紅生姜必要よね」
「葱ともやしは当然にしてな」
 ラーメンならこういったものは必須だった。
「やっぱり必要だよな、紅生姜も」
「そうよね、やっぱり」
「それじゃあそういうのも買ってな」
 美優は里香の話を聞きながら言っていく。
「本格的に作るか」
「あっ、わかってると思うけれど」
 景子がすかさず言ってきた。
「麺はね」
「ああ、細めだよな」
「九州の博多風よね」
「豚骨だからな」
 豚骨といえばだ。そうなるというのだ。
「だから勿論麺はそれにするな」
「そう。よかったわ」
 景子は美優の話を聞いてほっとした顔になって微笑んだ。その豚骨ラーメンを食べながらそうなったのである。
「長崎ちゃんぽんもあるけれどね」
「あれは麺太いよな」
「かなりね」
 それが長崎ちゃんぽんの特徴だ。その麺は結構以上に太い。
「あれはあれでいいけれど」
「やっぱり博多はだよな」
「そう。麺は細く」
 そうでなければ駄目だというのだ。
「スープと絡まってね」
「流石景子ちゃんわかってるな」
「わかってるのね」
「ああ、豚骨にはな」
「それね。細い麺ね」
「ラーメンの場合はそうなんだよ」
 ちゃんぽんはちゃんぽん、ラーメンはラーメンだというのだ。
「だからな」
「そうね。それじゃあね」
「今度あたしの家でラーメンパーティーな」
 そういうことで決まった。
「勿論演奏もしながらな」
「うん、それじゃあね」
「食べながら練習しましょう」 
 琴乃と里香が微笑んで応えた。こうして話が決まった。
 そのうえでだ。琴乃はこんなことも言った。
「私のお料理は見栄えは悪いけれどね」
「味はいいのね」
「皆そう言ってくれるから」 
 そうだとだ。景子にも返す。
「ラーメンものびてないからね」
「のびている麺類は論外よ」
 それは景子も言う。
「この前大阪の天下茶屋の親戚のところに行ったけれど」
「大阪の西成の?」
「そう、あそこ」
 大阪の下町だ。雰囲気は大阪のものだが東京で言うと葛飾だろうか。下町独特の人情というものがある場所だ。
「そこのお蕎麦屋さんに入ったけれど」
「お蕎麦のびてたの」
「注文して出て来たその時点でね」
 もう既にだというのだ。 
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