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万華鏡

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第十五話 雨は駄目その四


「ここはそうしない?」
「じゃあまずは琴乃ちゃんが一曲歌ってか」
「で、次は美優ちゃんね」
「その次は里香ちゃんか?」
 美優は琴乃から里香に顔を向けて言った。
「それでその後は」
「景子ちゃん?」
 里香は里香で景子を見る。
「そうなる?」
「それで最後は」
 景子は彩夏を見た。
「彩夏ちゃんね」
「一周して」
 彩夏は琴乃を見る。まさにリングだ。
「琴乃ちゃんね」
「それでどうかな」
「ああ、それいいな」
 美優はリーダーとして琴乃の言葉に頷いた。
「じゃあそうしようか」
「うん、それじゃあね」
「今度あの店でそうしような。それじゃあな」
「それじゃあって?」
「練習再開しようか。時間だよ」
 美優は自分の左手の腕時計の時間を見て述べた。
「サーキットトレーニングしようか」
「うん、じゃあ」
 琴乃は頷いてダンスを止めて座っていたがそこから立ち上がって言った。
「一緒にしようね」
「サーキットトレーニングってあれよね」
 彩夏も起き上がっている。そうしながら言うのだった。
「ちょっとの様に思えるけれど」
『結構ハードよね」
「何度もしていると汗だくになるから」
「今の季節は特にね」
「そうそう」
 自然と季節の話になる。五人一緒に準備体操をはじめながらそのうえでこの話にもなるのだった。
「梅雨ね」
「そう、私梅雨ってね」
 琴乃は肩を伸ばしながら彩夏に言った。
「好きじゃないのよね」
「雨が多いから?」
「それでなのよ」
 畏友はそこだった。実際に眉を曇らせている琴乃だった。
「梅雨はね」
「やっぱりそれね」
「じめじめしてるの好きじゃないの」
 確かに琴乃には合わない感じだ。その明るい性格からはだ。
「カビも生えるしね」
「パンとかに?」
「うん。パンも好きなのに」
 それでもだというのだ。
「カビ生えるからね」
「生々しい話ね」
「まあね。とにかく梅雨好きじゃないのよ」
「よく考えたら琴乃ちゃん色黄色好きよね」
「ええ」
 見れば今着ているジャージも黄色だ。見事なまでに鮮やかな黄色のジャージを着て身体を動かしているのだ。
「今もだしね」
「そうよね。私もオレンジだし」
 彩夏も彩夏で明るい色だ。
「こっちの色だから」
「彩夏ちゃんも梅雨嫌いでしょ」
「あまり好きじゃないわ」
 実際にそうだとだ。彩夏も答える。
「私も明るいのが好きだから」
「色はオレンジよね」
「そう、これね」 
 今自分が着ているオレンジのジャージの襟のところを左手で摘んで少し伸ばしてそのうえで琴乃に対して答える。 
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