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万華鏡

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第一話 五人その四


「とんでもない奴でな。けれど暴力なりセクハラ、ああ新任の先生にあれこれ言い寄ってたんだよ。そんなこともしてたんだよ」
「最低の人間ね」
「ああ、そうだったよ」
 本当にそうだったとだ。美優は景子に顔を顰めさせて答える。
「下種もいいとこだったよ」
「それでそいつはどうなったの?」
「先生の一人が見かねてな」 
 それでだというのだ。
「携帯でこっそりと暴力の現場撮影してな」
「それをPTAにでも出したの?」
「いや、ネットに出してな」
 そしてだというのだ。
「世界中にばらまいたんだよ、その暴力の現場」
「それでその暴力教師首になったのね」
「ああ、懲戒免職になったよ」
 実際にだ。そうなったというのだ。
「で、今訴えられるさ。そのセクハラされてた先生とか生徒の親とかな」
「自業自得ね」
「で、その暴力教師の目がな」
 どうだったかということもだ。美優は顔を顰めさせて話す。
「もう濁ってて獰猛そうでな。とんでもない目だったよ」
「そうね。本当に人はね」
「目に出るんだな」
「出るわよ」
 真剣な顔でだ。景子は話す。
「本当にね。けれどね」
「けれど?」
「ここにいる皆はね」
 どうかというのだ。琴乃達は。
「特に悪い娘はいないわね」
「目を見てわかるんだな」
「ええ。琴乃ちゃんだって」 
 今もハンバーガーを食べる彼女を見てだ。景子は微笑んで言った。
「悪い娘じゃないわね」
「じゃあ私ってどんな娘なの?」
「いい娘だと思うわ」
 そうだというのだ。
「私のお家にも来て欲しい位よ」
「あれっ、景子ちゃんのお家って何やってるの?」
「神社なの」
 それだというのだ。
「実はね。私のお家って神社なのよ」
「そうなの」
「そうよ。それで私もね」
 神社でどうしているのかもだ。景子は琴乃達に話した。
「巫女さんをやっていたりするの」
「えっ、巫女さんって」
 琴乃はその話を聞いて目を丸くさせた。そして言うのだった。
「景子ちゃんってそうだったの」
「何かおかしい?」
「おかしいっていうか凄くない?」
「凄いかしら」
「だって。巫女さんよ」
 琴乃は目を輝かせて言う。巫女であるそのこと自体がだ。非常に素晴らしいことだというのである。そう言うのだ。
「リアル巫女さんって」
「巫女さんっていうけれど」
「けれど?」
「そんなの普通になれるわよ」
 景子は驚きを隠せない琴乃を前にして少し驚いた感じで述べた。
「本当にね」
「そうなの?」
「アルバイトで雇うから」
 景子が言うのは現実的なことだった。
「お正月とかになったらね」
「アルバイトなの」
「そう、アルバイト」
 またそれだというのだ。
「アルバイトで普通に雇うし。それに」
「それに?」
「巫女さんの服を着たいんならね」
 それならばだというのだ。 
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