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万華鏡

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第十三話 テストの結果その十二


「どうしてもね」
「そんなこと言うと今度からお豆腐食べさせないわよ」
「えっ、それは困るわ」
 こう味噌汁の中の豆腐を食べて言う。
「お豆腐大好きなのに」
「じゃあお酒の方も努力しなさい」
「量を考えろっていうのね」
「そう。飲むなとは言わないから」
 そうしたことは言わないがそれでもだというのだ。
「さもないと本当に身体壊すわよ」
「楽しく飲んでもなのね」
「何でも溺れたら駄目なのよ」
 母親らしくそこは注意する。
「絶対にね」
「ううん、お酒って勉強よりも難しいわね」
「琴乃ちゃんにとってはそうなのね」
「だって美味しいから」
 だからだというのは琴乃の返事だった。
「どうしてもね」
「それじゃあ中毒じゃない」
「アルコール中毒?」
「そこまではいかないけれどお酒止められないのよね」
「ちょっとね」
「それじゃあ中毒みたいなものだから」
 広範囲に言えばそうなるということである。
「とにかくお酒には注意してね」
「毒にもなるからよね」
「楽しく飲んで溺れない」
 母は娘にこの鉄則を話す。
「そのことは守ってね」
「うん、わかったわ」
「じゃあそれ食べたら食器は食器洗い器に入れてね」
 またこの話になる。
「デザートもあるからね」
「デザートは何なの?」
「林檎よ」 
 一言での返答だった。
「それがあるからね」
「林檎なのね」
「そう、それがあるから切っておくわね」
「あっ、切らなくていいから」
 琴乃は白い御飯を食べながら母に述べた。
「洗ってそのまま食べるから」
「だからいいのね」
「うん、気を使わなくていいから」
「じゃあお母さんもうお部屋に入るわね」
「うん、そうして」
 こうした話を終わらせて琴乃は遅い夕食を食べた。そのうえでデザートの林檎も食べ次の日の英気とするのだった。


第十三話   完


                             2012・10・25 
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